突然だが話そう、本堂は生物を運ぶ依頼を受けない理由を。
それは本堂が触れている物(例えば靴や鞄)は
微生物すらも一緒に移動しないためそれが発覚したときはだいぶ依頼人が騒いだものだ。
………が、植物系は生物としてみなされない。
「木は生きている」そんな発言している人には申し訳ないがおそらく生きていないと
では植物性プランクトンと動物性プランクトン、両方併せ持つ微生物などはどうなるか、それは知らない。
「だからこれから調べる異論はないな?」
「今日はないからって受けた依頼がこんなんかよ………」
現在、本堂はミドリムシが入ったシャーレを持ちながら銃口を突きつけられている。
頭も足も固定されているためこのままだと第2段階の転移が発動する。
銃口を突きつけているのは今回の依頼人であり能力解析系の研究員らしい。
今日はたまたま
「いやー、よかったよ君の能力は彼と同じくらい謎だからね」
「どこがだ、
「いや、そんなのは多少の差だよ。
君の身体を害すものそれから回避、なんてあやふやすぎる。
だってそれが事実なら今君はここにいない、それにちょっと触るだけでもそれはその人を害してるとも言える、つまり能力自体がそれを受けてどうなるかを把握して発動しているかどうかなんて考えも浮かぶ、それに君は身体だけじゃ「ハイ終了、とっとと実験を始めろ」……フー、分かった分かった」
話すのに熱が入った男を本堂は少々イラつきながらせかした。
男は話を止められて不機嫌になりながらも引き金を引いた。
「結果はもちろんその形質のみ転移だなご苦労、本堂くん」
「わかってたなら試すな」
「それが研究員というものさ」
本堂はつまらない顔をしながら出口へと歩いて行きその部屋の中には男しかいなくなった。
男は喋り足りなかったのだろうか、誰もいない所へブツクサと話し始めた。
「...となると能力は...もっているはずだ。
...の時はどこへ?なら、そうだな。仮定としてやつの能力の本質がアレだった場合すべてが当て嵌・・・誰だ?」
出口を本堂を通過した後、音がした。
その音は独り言をつぶやいている男でもわかった。
誰だ?その一つの疑問が男の頭の中を駆け巡る、できることなら本堂であってくれ、
そう願うが着々と近づくそのダレカが直感が逃げろと告げる。
大丈夫だ、こちらにだって銃がある。
そう、気を紛らわせ少しでも行動をする、銃を出口の方へ構え息を呑む。
出口の方に人影が見えた時、男は引き金を引いた。
その人影は銃弾をいとも簡単によけた、だんだんと姿がわかってきた。
その二つが男を緊張の縛りから解きほぐした。
「何だ、君だったのか、驚かせないでくれ」
影がなくなり現れた姿は男が先ほど別れたばかりの顔であった。
本堂である、その顔はいつもの無表情でありそれが緊張を高めることはなかった。
この男は味方でもないが敵でもない、危害は加えられないはずだ。
依頼だってやつは一日に一度しか受けない。
「驚かせないでくれ………か、ちょっと戻ってきただけで銃弾ぶっぱなすような奴に言われたくないな」
「いや何君が戻ってくるとは思わなかったものでね、用は何だい」
「ああ、そうか。用はな、お前に客だ。気が向いたからついてきた」
「客?約束などしていないが……いったい誰だい?」
「第2位」
「………は?」
部屋の状態は悲惨であった。
もともと実験で使われていた部屋でろくな部屋ではなかったが本堂を実験するためある程度の清潔さはあった。
今はどうだ、白かった部屋は爆発のせいか黒くすすがついている。
そこの持ち主はもはや跡形もなくただ赤い部分がチラホラ見えるだけでありこんな所にいた人間なんて死んでしまうだろう、当事者と傍観者を除いて。
一人は黒髪、もう一人は金髪に近い茶髪、
お互い、わかる人が見れば勝てる気がしないといったところであろう。
黒髪は第7位、我らが本堂拓斗。
金髪に近い茶髪は第2位、未現物質《ダークマター》をの異名を持ち、顔もまあまあの男である。
「で?なんでこいつは殺されたんだ」
「教える義理もねえし、教えたくもない。とっとと消えろ」
「脅迫出来る立場か、おい。今現在お前の
「やろうと思えばお前の家だって破壊できるんだぞ」
「そっちかよ。まあいい、じゃあな」
一触即発、そんな雰囲気漂う会話はすぐに終わり本堂も興味もなくなったようで破壊されかけた家へと戻った。
11月3日、修正