とある天然の絶対回避《イヴェレイション》   作:駄文書き

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パソコン(正しく言えばメモリ)がいかれますたー


第46話

 とても大きな爆発音、それが本堂の耳に響く前に本堂の体は"自動で動き"手で耳をふさいでいた。そうして現れた現実に本堂は口を歪ませて笑った。推測は、正しかった。煙が晴れるころには撃った方向には大きな穴が開き、人間であったものの破片がいくつか落ちていた。本堂はその破片のひとつに近づくと勢いよく足を振り上げ、踏み潰した。

 

「随分と、荒っぽくなったじゃないか」

 

反対側からでは奴が銃を本堂の後頭部に向けていた。そしてもう片方の手には………何もいなかった。本来、そこには捕らえられているはずの灰理がいるはずだというのにだ。

 

「いつから気がついていた」

 

そう奴は本堂に問いかけた、その額には血管が浮かび上がっていることから平静な言葉とは裏腹に腹を立てている事はとてもわかりやすい。

 

「ふとした疑問から、推測は出来上がった。最近いろんなことが多すぎたがよぉ……やっぱり魔術とやらは関係なかった」

 

その証拠だ、と本堂は指を自分の足元に向けている。

 

「感覚干渉系の能力者を4.5人使ってお前はあの空間を作り出した」

 

恐らくは、本堂が包夢の死体が移動させられた瞬間にその術中にはまった。それから見せたのは本堂を誘うために用意した映像。奴の動きに合わせて視覚や痛覚、聴覚味覚触覚を操ったのだ。

だがしかし、レベルが低かったのかあくまで触覚は暗示させる程度であった。故に本堂は最初こそは視覚などにだまされてロケットランチャーを見失ったもののその推測を信じて手探ったときにそれを見つけ出した。

 

「だが、全員レベルは3以上だ。余程お前がその推測に確証を得られなければ………」

 

「馬鹿かお前」

 

「なに?」

 

「どんな時だって正しいこの俺が出した推測、信じる価値はある」

 

精神干渉もいたのか、かなり不安定になっていた本堂はようやくつかめた現実によって元の通りにまで復活していた。だがその言葉を聴いて奴は笑い出す。

 

「どんな時だって正しい………?馬鹿か?!結局お前が守ろうとしてきたのは偽りだったじゃないか!」

 

「関係なしだ、ある程度の疑いの気持ちは抱いたが死んじまった以上確かめる術はない」

 

「いいや!あの女は彼女を殺して入れ替わりお前を騙し続けていた、それは事実だ」

 

「というか結局のところお前の言う真実も全然信じられてないんだなこれが、故にそんな事実もまったく持って気にしていない」

 

「な!?」

 

本堂のスタンス、それが今奴の唆しを真っ向から否定する。例えどちらが真実であろうと関係なしに本堂は自分の言葉を信じる。理解できない、そう零した奴に本堂は続けて言う。

 

 

「理解できなくて結構だ、俺の道は正しいがお前の道は正しくない。ただそれだけなんだからよ」

 

 

「ち、調子に乗りやがって!!」

 

本堂は奴が力み発砲したのを皮切りに奴へと向けてまっすぐ歩き出す。

その銃弾、無論当たらない。

続けての発砲、これも当たらない。

罵声とともに投げられた拳銃、避ける意味すらない。

大きく踏みしめて入れる右フック、避けられ腕がつかまれる。

 

八方塞とはまさにこのことをさすのであろうその状況、本堂はそのまま冷や汗を流した奴の鳩尾にまず本堂は笑顔で一発拳を入れ、掴んでいた腕を離した。

そうして痛みで体をくの字に曲げた奴の右頬に勢いよく蹴りを入れる。

こうなってくるともはや反撃も許されない、そのまま倒れた奴を何度も何度も足で踏みつけ笑う。ここまで来るとただの悪魔である。

 

「さぁ、しめぇだ………!」

 

そう言って本堂は拳銃を取り出して奴のこめかみに狙いを定めた。それに気がついた奴はあわてて何かを言おうとするものも、余りに蹴られ過ぎて何も喋れなくなっていた。待ったの声も聞こえず、本堂は引き金を引き、奴はビクンと体を一度跳ねさせて、二度と動かなくなってしまった。

それをしっかりと確認した本堂は顔についた血をぬぐい灰理を探し始める。恐らくは、灰理もここにいる。先程は幻影で作り出した偽者だったがやはり包夢がここにいたのだからどこかに監禁でもされているのだろう。

 

「………?」

 

その行動をしようとして少し違和感を感じながらも本堂は灰理を探した。

 

 

 意外にも灰理は自力で脱出しておりすぐに見つかった。あれほどの爆発音が響いていので当たり前といえば当たり前なのだが、それよりも今本堂が今問題としていることがある。

 

「いい加減離れろ、アホ鳥」

 

「えぇ~~~、今日一日ぐらいいいじゃないですか」

 

灰理が合流してからというものも一切本堂から離れないのだ、最初に避けようとしなかった本堂が悪いのだろうか。とりあえず本堂が灰理を見つけて最初にしたことは、握り締めた拳骨を振り下ろしたことぐらいである。

 

「………」

 

ビルから出て適当に呼んだタクシーの運転手を血がついた手で脅し、発進させた辺りである程度落ち着いたのか、灰理は急に何も喋らなくなってしまった。恐らくは、本堂包夢のことについてだろうかと本堂は推測し口に出す。

 

「………仇はとった、お前が心配することじゃねぇ」

 

そういってまた灰理にチョップを入れると灰理は痛っ。と声を出した後もやはり沈んでいながらも少しだけ顔を上げた。そんなことをしている二人を乗せた車は病院に向けて動いていた。




久しぶりの更新ですねぇ、で皆様抱くことが

「本堂が灰理にむちゃやさしくね?」

ということなんですがそこら辺は本堂は死んだものに余り興味がないことや奴の話が少なからず効いていたりもします。やはり本堂も人間ということなんです。

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