一切傷がついていない少年の前には中学生ほどの少女がうつぶせで倒れている。
男は手に銃を持っていて少女の手には何もない。
この状況は非常にまずい。
後ろに転移できたので勢い余ってかかと落としとか決めたはいいけどこの状況をどう処理しよう。
さすがにこのまま放置するのは気が引ける、実際こいつには苛立ちこそあるがこのまま放置して変態の世話になるのも後味が悪い、本堂は考えた。
ならば、
「カリスマのアップでもしますか」
そう呟き本堂は公衆電話を探す。作戦はこうである、優雅に通報して第三位に差を理解してもらうのだ。
すぐに見つかる、さすがは学園都市、連絡設備はととのっている。
そのまま何を警戒するわけでもなく本堂は受話器を耳に当て緊急ボタンを押した。
『はい、こちら
「……あ、そうだったけか」
そういえば下校時刻を過ぎるとやってないんだっけか。
なら
「何をしていますの?」
「あ~?いや
「△△▼-○▲□◆ですわよ、自首でもするおつもりで?」
「どうも、そんなもんするわけない、自己防衛だ、逆にアイツを逮捕でもしともらおうかなと……で?誰だお前」
「
「業務時間外じゃなかったか?同行はしないぞ?」
「それは残念ッ!!」
いつの間にか背後にいた風紀委員の少女、公衆電話(オープン型)の番号を教えてくれたのはありがたかったがどうやら敵意丸出しのようで本堂はいきなり腕掴まれてしまう、
ここで少し説明しよう、本堂の
つまりは拘束なども短時間ではダメージとはならない。
まあ、縄で締め付けるとかだったら問答無用で発動するのだが今回はそうもいきそうにない。
腕を振り払おうとした瞬間場が変わる、自分の背後には冷たいコンクリートの地面があり少女がいつの間にか馬乗りの体勢となっている。
そして気づくと本堂は身動きが取れなくなっていた。
「……
「ええ、これを体内にぶち込まれたくなければご同行お願いいたします」
そう言って少女は本堂に細長い黒い棒をちらつかせる、
恐らくはこれで自分の服を地面に縫い付けているのだろうか、ひどいことをするものだと本堂は思う。
後で服の弁償費でももらいたいものだ、と軽口を叩きながら本堂は表情を変えない。
しかし困った、まさかこんなに早く動きが封じられるとは。
だが、
「ただの脅しにもならんぞ
「そうですか」
少女は残念そうな顔をしたまま演算を開始、その瞬間棒は視界から消える、少女はミスを犯した、そこで本堂の顔はニヤつく。
そんな棒が自身の体内へと転移されたら間違いなくダメージとなる、つまりは
「形勢逆転、ま劣勢ていうわけでもなかったか」
「ッ!?」
今度は少女の背後に転移したらしくすぐさま銃口を少女の頭につけようとするが流石は
がそれもまた悪手、手にダメージと判定されたらしく本堂の手はその攻撃が当たらない所へと移動させ状況は変わらない。
「諦めろ、ソイツだけを逮捕だけして連れて帰った方がよくないか?ソイツ電撃をいきなり人にぶつけようとしてきたんだぜ。反射神経が神がかっているからよけられたけどよ」
「銃刀法違反、過剰防衛の疑い、公務執行妨害、さすがに逃すわけにはいきませんの」
「最初の二つは良しとして3つ目は怪しいなどんだけ功績あげたいんだよ、なら是が非でも諦めたくなるようにしてやろうか?」
本堂はため息をついたあと、腰に拳銃をしまいリラックスの体制を取る。
それに疑問を抱いた少女も臨戦態勢をとりながらも本堂の話を聞くことにした。
「……?」
「おかしいとは思ったよ、流石に来るのが早すぎるしな。お前アイツが第3位ってこと知ってんだろ?ついでに狙ってる理由も」
「………」
「急に黙ったな、まあいい。つまり俺が何かを持っている事も、俺の依頼主の大本も知ってんだろ、だからせめて、俺を捕まえて、なんとかしてえんだろ。それが第3位を助けることだと思ってな。だから言っておく、
そろそろ本気で
「ッ!!」
「潰されたくないならいまから何もせずにそいつ持って逃げろ、10秒待ってやる」
「………」
少女は息を整え、ためらいの素振りを見せたあとすぐに第3位の元へ駆け寄りその場から消えた。
本堂はため息をついたあと、時間を過ぎないため、少し急ぎ足で動き始めた。
11月3日、少し口調を訂正。