とある天然の絶対回避《イヴェレイション》   作:駄文書き

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ここからは章の名も変えて『その能力の意味』をお送りします。
あっ、ちなみに分岐もここから始まります。


『その能力の意味』編
第41話


 地図に示された第20学区のビルに向けて最短距離を歩いている本堂はふと気がついた。そろそろ水分を補給しなくてはいけないことに、そもそも予定に入っていなかった運動をした本堂は経口保水液を口にしていたが足りないとは自分でも気がついていた。そのため丁度、家も近かったため一旦家に帰りそれから場所へと向かうこととした。せっかく早く向かってもしょうがないなと思ったためだ。

 

 

家に着くと本堂は手洗いをしてうがいをして冷蔵庫に入れてあった経口保水液を取り出して口に含んだ。そして適量を摂取したことを確認した後にまたすぐに家を出ようとして、少しだけ、ほんの少しだけ珍しく本堂は不安を覚えた。それはあの時、第五位が本堂に無理矢理見せたあの映像が起因していたのだが本堂はそのことに気がついてはいない。

本堂が抱えた不安、それは、武器は足りるだろうか、という単純なものであった。普段本堂が携帯している弾数は多くてもせいぜい30発程度、だが最近はやけに使う機会が多く12発程度しか残っていなかった。これが普段の本堂だったのならば何も考えずにそのまま外へと歩き出しただろう。だが今の本堂にその選択はあったが選ぶという心境ではなかった。

故に、本堂はすぐさま武器の補充を始めた。とりあえず弾は家にある在庫分を含めて計30発、少し前の報酬でもらった威力のみを重視した結果、一発撃つと壊れるロケットランチャー(ケース付き)があったのを見つけたのでそれも手にする。ついでにあったナイフは見事にスルーされた、初心者が使ってもしょうがないので致し方ない。最後に、本堂の部屋のテーブルの上におきっぱなしになっていた謎の紙に目が行った。

 

「………ッチ」

 

この紙、古臭い割には損傷も少なく結構頑丈であるようでライターの火にも耐えたときは流石に驚いた。これを手に入れた後、本堂は結局これを読むことはできなかった。恐らくは失われた言語関係のものだったのだろうが読めないのなら意味はない。だが本堂は何を思ったのかそれを無造作に服の裏ポケットに入れてこの場を離れた。

 

 

 

 

漸く、目的のビルへとたどり着いた本堂はここまで自分に何も言わずにつれてきてくれたとても優しい個人タクシードライバーに金を払いさっさとこの場を離れるように告げた。

さてとと本堂は辺りを見回し、周りに人がいないことを確認するとビルの中へと歩いて入った。

中は無人、のように見えたのだが本堂がここに入った瞬間シャッターが閉まり武装をした人間がぞろぞろと出てきた。ここで幸運だったことといえば武装といえど警備員(アンチスキル)のようなゴツイものではないということか。

周りには銃を手にした人間たちが20人程、見事に囲まれ出口は封鎖されている。絶望的な状況だと人は言うだろうか?だが本堂はこれを敵といえるほど弱い存在ではなく、冷や汗ひとつかくことなく本堂は口を開いた。

 

「死にたくなきゃどけ」

 

「ッ!こんの餓鬼が!!」

 

その言葉に一人の男が激昂してナイフに切り替えて襲い掛かってきた。男は右足を踏み込み本堂の胴体めがけてナイフを動かす、があっというまに本堂にその腕をつかまれていた。それに気がつくと一旦下がろうとするもいつのまにか踏み込んでいた足が踏みつけられてて身動きが取れない。

 

「ゲゴァ?!」

 

次の瞬間には腕が引っ張られて体重を崩した男の腹にきれいな膝蹴りが決まり男は悲鳴を上げたるそうしてその場に崩れると本堂は腰から銃を取り出して痛みで倒れた男を足で押さえつけて頭の横に銃をつきつけてためらいもなく引き金を引いた。

乾いた音がしても悲鳴は聞こえなかったそれに疑問を覚えるといつのまにか取り囲んでいた人は消えうせていた。逃げたのか、あるいはまた何処かで襲おうとしているのか、とりあえずは探すかと本堂はため息をつきまた歩き出した。

 

本堂はとりあえず一番近く似合った扉を開いた、そこで本堂は顔をしかめた。その部屋には戦闘の形跡があり中央には人の焦げ付いた死体がありその焦げた臭いがしたためだ。近寄って確かめようとも思った時、死体がいる場所の床が開き死体は落ちていった。

 

「何だったんだ………?」

 

そんな疑問を持ちながらも本堂はその部屋を見渡す、白い壁に煤がついている事から手榴弾程度の爆発があり丁度爆心地は中央付近だったのだろう。そしてその煤がつく前の壁や地面の傷は………風だろうか?何かで細く抉り取られた後がいくつも見えた。風力使い(エアロシューター)でもいたのだろうか、そう考えたとき本堂にある事を思い出した、灰理は空中でその体を切り刻まれたことを。それを思い出すと少しだけ本堂はにやりと顔を変えた。

 

「やっぱ、ここにいるのか。待ってろ?人の楽しい一日を潰してくれたこと、うちの部下をあんなことにしてくれたこと、たっぷり償わさせてやるからよぉ...ってうぉっ!?」

 

そんな言葉を言い切った本堂は格好悪く、開いた地面に吸い込まれていった。

 




・一発撃ったら壊れるロケットランチャー
ロマン系の研究者だったようですよ?ちなみに銃弾も通さないケースつきです、ケースの材質は秘密。

・とても優しい個人タクシードライバー
優しいですねぇ、本堂が抱えていた荷物を見て何もいわずに運んでくれたんですから、
まぁ本当はただの常連なんですがね。

・でた瞬間あっという間に殺された男
これにもしっかりとしたわけがあったりします。

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