とある天然の絶対回避《イヴェレイション》   作:駄文書き

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ふぅ...ようやく40話という大台です。
ここから舞台は急展開を………見せたいなぁ


第40話

 向き合ったはいいものも、本堂はどうしたらよいか迷っていた。この場合、ひとまず慰めの言葉を送るべきなのか、それとも先に何が起こったのか聞くべきなのか。本堂はこういったふうにしゃべることに気を使うことが苦手なのである。そんな本堂に気づいたのか包夢は寂しかったのか本堂に抱きつき、泣き声混じりに口を開いた。

 

「灰理ちゃんと、飛んでたら………」

 

 

相変わらず、上空を飛んでいた灰理達はあるものを見つけた。爆音が響き、誰かの叫び声が聞こえる。そこでもっと近づいてみたところ、急に灰理の体が切り刻まれたのだ。灰理はなんとか包夢を降ろすとそのまま声が聞こえる方へ飛んでいった。

その後、追いかけた包夢は血だまりにいる灰理を見つけた。灰理の携帯は壊れていて包夢にはまず携帯なんてものは持たされていないから、電話はできなかった。だからその近くにいた人に頼んだ。

 

 

これが包夢が話す事件の全容、正直言って本当に何が起きたのかはわからない、と本堂は苦々しく顔を歪ませた。灰理は高位の能力者同士の喧嘩に巻き込まれたのか?しかし灰理もまた高位の珍しい能力(チカラ)持ちである。そう簡単にやられたりするだろうか?そして、もう一つ気になったのはその通報者だ。何故か先程から"違和感"を感じているのだが本堂はその正体を掴めない。

 

「包夢さん、近くにいたやつの特徴は?」

 

違和感を抱えながらも本堂は包夢に問いかける。

 

「えっと………"特徴なんて余りなかったけど"女の人だった」

 

「(ちぃ、流石に一方通行(アクセラレータ)みたいな特徴の塊がそうホイホイいるわけねぇか)わかった、じゃぁ………相変わらずタイミングを読まないな」

 

本堂が次の質問を投げかけようとした時、彼の仕事用のタブレットの方が音を上げた。ちなみに先程から通話ロックにしているのはプライベート用だ。音を上げているタブレットをつけようとした時新たな違和感を感じた。

 

今日は、こっち(仕事用)の電源を入れたか?

 

そんな違和感に本堂は少し手が止まるが気にせず、包夢をいったん離してタブレットの通話ボタンを押して耳に当てた。

 

「こちら本堂」

 

『やぁ、私だ』

 

相も変わらずムカつく声だった。

それについ本堂は声を荒げる。

 

「さっきは有益な情報ありがとよ!」

 

『ん?いやどういたしましてだ。所で...知りたくないか、彼女を"殺した"人間を』

 

「は?いや、生きてんぞ」

 

『ん?』

 

「は?」

 

二つの疑問詞がぶつかり合う最中、

 

灰理は口を動かしていた。肺がやられているのか声は出ないが必死で口で形を作って誰かに伝えようとしている。それは包夢の手によって止められた。

 

「駄目よ、喋っちゃ」

 

そんな包夢を灰理は"恨みがこもった目"で見ていた。

丁度、救急車が来たようでいくつもの足音が灰理の耳に届いた。このままでは不味い、灰理はそう思い無理矢理体を変質させて、声...いやただの音を張り上げた。

 

「~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」

 

「ッ!?駄目!!」

 

「おとなしくして下さい!」

 

「何してんだアホ鳥?!」

 

それにその場にいた全員注目した。灰理はそれを利用してまた、口を動かした。本堂もまた灰理が何かを言おうとしているのに気がついた。そこで本堂は灰理の口の動きから何を言おうとしているのか推測をする。だが本堂は口唇術など身に着けていなく、せいぜい何の段か読み取れない。

 

1つめはイの段、

 

2つめはエの段、

 

あと何回か動いたがそれ以上は読み取れずに灰理はそのまま救急車へと詰め込まれて運ばれていった。それを見届けた本堂は話を再開した。

 

「で、誰がやったんだ?」

 

『うん、第20学区のビルに潜んでいるよ、いま地図を送ったはずだから確認しといてくれ』

 

「はぁ?いや誰がやったのか聞いてん……切れやがった」

 

何なんだとため息をついて送られてきたフォルダを確認する、包夢は先程救急車に同伴していったため誰かを気にする必用はなくなった。本堂はタブレットをしまいそのまま目的の場所へと歩いていく。ちょうど太陽は一番高い位置まで来ていて影が濃くなった細道を本堂は一人で歩いて行った。

 




今回は謎を多くしたため文字が逆に減りました(なんで?!)
多分気づく人は気づくんでしょうが少し自重をお願いします。
次は閑話「クロムウェルの記憶」をお送りします。

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