とある天然の絶対回避《イヴェレイション》   作:駄文書き

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シャガルマガラ、意外に弱かったですねぇ。そろそろ集会所進めないと。
え?いいから早く進めろ?そんな殺生な(以下略

あ、ちなみにあのキャリーケースの時は
灰理飛ぶ→御坂発見ビリビリ~!→落ちるがなんとか辿り着き荷物を渡す→だが追いつかれてビリビリ&縛る→キャリーケースと中身を壊し運良く携帯が壊れていなかったため奪い本堂にかける→帰る。となっております。


第39話

 本堂は本日3度目の怒りを迎えていた。

一つは競技に出る事になってしまったこと、

一つは競技が終わったので連絡したのだが灰理から返事が一向にないこと、

そして最後に、今一番会いたくない人物からの連絡があったことである。そのためかなり周りから見てわかるほどの怒気を纏っている本堂は電話をかけてきた人物に話す。

 

「殺されてぇのか」

 

その一言で有名人だから見ておこうという気分でいた周りの人間は消えた、正しく言えばその場から素早く去ったというのだろう。だがそんな状況にもかかわらず相手は一切怯えずに話してくる。

 

『殺されたくはない、まぁ話を聞け』

 

「断る、こんな日にかけてくる事なんていい事など一つもないに決まっている」

 

相手はいつも通りの"統括理事長"...という肩書きを持つ者であり本人ではない。いつもこうやって電話をかけては本堂包夢を人質に使い様々なことを要求するので好感度で言えばいつ刺されてもおかしくない存在である。そんな人物から本堂に告げられた言葉はいつも通り……とはいかなかった。

 

『いいのかい?大事な人が死にそうになっているというのに』

 

「………んだと?」

 

 

 

 

 本堂は駆けていた、街を、行く先は灰理のGPS信号が途絶えた最後の場所、バスターミナル近くに向かっていた。理由はごく単純でそこでナニカガ起きたと知らされたからである。そう考えると灰理からの定期的に送られてくるはずのメールがないのも頷ける。出来るだけ早く、そして息を整えて進む。そこに近づくにつれて人が少ないながらも密集してるのを見ると悲劇的なものがあり深層心理的にかたまりたいのだろうと思いながら進む。

そして、ついにその場所へとたどり着いた本堂が見つけたものとは

 

 

―――血だまりに沈んでいる灰理優木と泣きながらその横に座っている本堂包夢であった。血の気が引いた、本来大事な人の本堂包夢が無事でありそうなことは喜ばしいことのはずなのに、何故か血の気が引いた。だがそのまま傍観しているわけでもなく直ぐに大声を出して二人に近づいた。

 

「アホ鳥!なにやってんだ!」

 

そうして血だまりの中から灰理の両肩を掴み本堂は灰理を揺らした。ここでするべきは病院に連絡して治療を頼む、が最優先なのだが本堂の頭の中は混乱していてその選択肢が浮かび上がらない。本堂包夢は少し呆然としながらその光景を見ている。灰理は意識があるのか否か、焦点を合わせずに口を開いた。

 

「ご、めんなさい。おかぁ...さんは無事でしょ...ぅか...?」

 

途切れ途切れに話す灰理のその言葉には謝罪の感情しか込められていない、それを感じとった本堂は無意識に思考を停止して頭を冷やす。そしてすぐに血だまりから少し離れた場所に灰理を寝かせてタブレットを素早く叩き電話をする。その時だけはコールが嫌に長く感じた、

 

ピリリリ、ピリリリ、ピリリリ、と3回ほどの倍以上に感じたコールは終わり人の声が聞こえる。灰理はその能力(チカラ)の利用方法のせいか骨格などが一般人とは違う、だから呼ぶのは普通ではない医者だ。

 

「おいカエル!灰理のスペアパーツ(補充肉塊)を用意しとけ!大至急救急車一台寄越せ!!場所は第『安心してくれ、既に通報はもらっている』、なに?」

 

ここで少しおかしいことが起きた、通報が既に入っていることは望ましい事態だ。だが誰が?この医者の名前と灰理の特異性なんて知っている人物などいない。という事で先ほどからいる野次馬どもは除外される。

そして灰理はGPSの信号がないことから携帯の使用は不可、本堂包夢も携帯なんてものは渡されていない。では誰が?

 

『通報者の情報は渡さないけどその子はきっと助けてみせる、だから出来る限りのことはしておいてくれ』

 

「……ッチ!了解だ。おらとっととてめぇら道開けとけ!」

 

タブレットの通話持続ロックボタンを押した本堂はすぐに周りの野次馬たちをどけるように口を開いた。ただでさえ血だまりの状況に怯えながらも写真などを撮ることができる人間はその程度ではどきもしない。だが相手が悪いのだ、本堂はすぐに最前線で野次馬をしている女子中学生三人組のうち一人の眼前に近づき血のついた手を見せながら脅した。

 

「どかねぇんなら………分かるよな」

 

そして止めと言わんばかり突然のことに怯える少女の頬に血をつける、この行動で人はあっという間に消え去った。次は灰理の容態を確認、先程見たときは傷はついていなかった。つまり灰理が苦し紛れに塞いだのだろう。だがそんなのでできるのは表面だけ、内面までは不可能だ。恐らく無意識的に今も肉体変質しているのが見て取れる。だがいかんせん内出血している箇所が見られる。そして翼はほとんど大きさは元のまま、つまりはわざわざ残したのだ。それを察知した本堂は灰理の耳元でしゃべる。

 

「俺が許可する、翼を使ってもいいから直せ」

 

数秒後、翼は次第に小さくなっていきみるみる灰理の見た目は元に戻っていった。だが、これでもまだ足りない、臓器もやられている可能性もある。しかし本堂が出来るのはここまでで後はあのカエル顔の医者に任せるしかない。

 

本堂は一息つくとくるっと体を回し本堂包夢の方へと向き合った。




本堂が本堂じゃない?気のせい気のせい、だって早速中学生脅してるし。
"治せ"じゃなくて"直せ"だし、本堂の大事な人以外は全てゴミぐらいのスタンスは健在である、と信じている。

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