いやぁ操虫棍楽しいですねー。テツカブラにロデオして楽しんでます。
久しぶりに書いたため今回は少し短めとなっております。
灰理は空高く飛んでいた。晴天な日に飛ぶと風が心地よく体を通り抜けていく。そんな感覚が灰理にとって一二を争う娯楽であるといえる。そしてその背中にちょこんと座っているのは今回、本堂拓斗より絶対安全に連れてくるようにと命じられた人物、本堂包夢。その柔らかな黒髪は風によって揺れている。
本来であればもう感動の対面が起きているはずであったのだが本堂拓斗の方が『競技に出場することになったため20分程度遅れる』とメールをしてきたため空いた時間を使い遊覧飛行中というわけである。
「灰理ちゃん、あれはなんだろう?」
「あれは外から来るお客さんように開催された科学館です、と言っても技術レベルは落としているらしいですが」
そんな感じで観光しているのである。いくら観光用にスピードを落としているとは言えその背中にいてこんな感じに笑っているのであるからこの人物の動じなさが伺える。少し自己紹介を済ませたあと、すぐに灰理は"ちゃん"づけで呼ばれており少しこそばゆい思いをしているのだが当の本人は気づいているのかいないのか。とにかく余りそういったことを気にしない人物であるということが灰理にはよくわかった。ここでは灰理は自分自身もそう言った人間であることには気づいていないようである。
と、ここで近くにあった巨大な液晶に二人とも目が移った。
「じゃぁ次は……ってあれ?」
「どうしましたー?あの液晶ですか?大きくて薄くて曲がると三拍子揃った最新型ディスプレイだそうですよ……ん?」
『さぁ!盛り上がった参りました
『そうですねぇ、何といっても今回はLevel5が二人出場していますのでどんなことになるのかと言った所ですかね』
すると映像が移り変わりそこにはスタート地点にずらりと並んだ走者達、その中には見覚えのある人物が一人、本堂包夢の方も気づいたらしい。
「拓斗?!」
二人が揃って驚きの声をあげたが一番驚いたのは包夢の方だったらしく灰理の声はかき消されてしまった。驚くのは無理もない、元々選手宣誓すら嫌がっていた筈の本堂拓斗がこうしてスタート地点に立っているなど信じられなかったのだ。てっきり二人共本堂拓斗が『競技に出場』というのは嘘で何か危ないことになっているかと心のどこかで思っていたらしい。
『さぁスタートしましたが…?どうやらLevel5の二人を止める手段に出たようですね』
『どちらとも能力がはっきりしていませんし不安要素であったのでしょうねぇ、おっと削板選手が十数人程を引きずりながら歩き始めました!そしてそれを我感とせず本堂選手が物凄いスピードで歩いています!本当に歩いているのでしょうかあれは!』
「……別のところ行きましょうか」
「そうですねぇ...」
なんとなくだがこのまま見ているのはかわいそうだと思ったのか二人ともその場から離れる。しばらく飛んで見て数分、突如として本堂包夢が声を出した。
「ねぇ、ちょっとあっち行ってみない?」
そういって本堂包夢が指差した方向に少し灰理は顔を歪めた。先程から、何となく行きたくないなと思っていた場所であったためだ。無論、そんな事は関係ないのだろう。だがしかし、灰理は絶対無事に連れてくるようにと命じられている。そんな人物を嫌な予感がする場所に連れて行っても良いのだろうか、いやだめであると灰理が決意を固めようとした時に少しだけ、自分の翼があればいつでも逃げることが出来ると自信を持ってしまった。確かに、超電磁砲には落とされてしまったがあれはあくまで超電磁砲の存在に気づいていなかったためであり本来であれば避けることも可能であったはずだ、とどんどんと己に対する過信が増して行き、最後の関門である本堂の命も
「拓斗には私から伝えとくからさ、ねっ?」
その義理の母親の言葉によって崩れてしまった。灰理はほんの少しだけ、と翼を動かし指差した方向へと向かって行ってしまった。