とある天然の絶対回避《イヴェレイション》   作:駄文書き

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アンケート結果はあとがきにて
そしてまたもやランキング入り!うれしいですねー


第37話

 見えるのは、いつも暮らしていた研究所。だが明らかにいつも様子が違う、悲鳴と怒号がとびかい更に俺を混乱させた、そこでふと思うあの人は無事かと。いつも嫌っても勝手に笑顔で話しかけてくるあの人に今はあって落ち着きたかった。直感のままに研究所の中を進む、たまに飛び出して歩いた時こそあったがそこまで道など覚えていない俺にはただそうするしか出来なかった。曲がり角をゆっくりと確認しながら曲がった瞬間、俺は地に伏した。何が起きたかはわからなかったが痛いという感覚があった。そして後ろの方から足音が聞こえて、それが怖くて怖くてたまらなかった。

足跡が倒れたまま動けない俺の体のすぐ近くで止まって、引き金を引く音がして、カチカチと震える俺は後ろを振り向くこともできず………火薬の音がした。

 

 

「なにすんだこのババア………!」

 

本堂は開会式の選手宣誓をしてすんなり終わらせて帰ろうとした時、本堂は顔を怒りに染めていた。どうやら気を抜いた時に勝手に心理に干渉したらしい。買っておいた機材はいつの間にか電源が切られている。今は着替え(本堂はこのまま帰ろうとしているため)が終わって選手ルームにいる。

 

「んー、優しさ?」

 

そう笑う食蜂に反省の二文字はないらしくその顔に拳でも入れようかと思うほど本堂は怒りを覚えていた。まぁいい、どうせもう会うことはないと思い本堂はそのまま扉に手をかけようとした時、動きが止まった。

 

「すいません本堂くんいますか?!」

 

そのあと扉を勢いよく開き部屋に入ってきたのは確か長点上機学園の大覇星祭(だいはせいさい)役員だったはず。何故動きが止まったかといえばそのまま扉に手をかけていたら本堂は漫画のごとく扉と壁のサンドイッチになるはずだったからであろう。それを気にする本堂ではなく役員をどけそのまま外へ出ようとする、が役員は本堂の腕を掴みとめる。

 

「すいません止まってください!どうか、どうかもう一つだけお願いを!」

 

「…なんだ」

 

最近動きが止められるのは多いなと自傷気味に口にして役員の方を振り返る。

 

「あの……競技に一つだけでも出て欲しいのですが」

 

「帰る」

 

「いやいやいや!選手宣誓に出て一つも競技に出ないとなると少し学校的にまずいんですってば!お願いします!」

 

「知るか」

 

「ここで保護者様とかにもいい格好できますし!」

 

「…競技はなんだ」

 

ここで折れる辺り本堂らしいのである。

 

 

『さぁ!大覇星祭(だいはせいさい)もかなり盛り上がってまいりました!続いての競技は男子障害物競走!

ルールを説明します、これから1kmにわたって整備したコースを走ります。乗り物を使うのはNG、それぞれの関門を通りゴールに一番早く着いた人の学校にポイントが入ります。整備している時は人がいないため干渉数値もひくめです。そして今回はLevel5がいるのでかなり面白そうな展開になりそうですね』

 

「ったく、とっとと終わらすぞ」

 

本堂はなれない体操着を着て男子障害物競争のスタート位置に付いていた、学園は印象が悪くなるなど言っていたがそれはあくまでも建前であり本当は今日参加するはずの人が出れなくなってしまい補欠さえいなかったためらしい。普通は逆だろ本音と建前とつっこみたかったがそんなエネルギーを使うくらいならこちらをさっさと終わらしたほうがいいと判断した。周りの人間はそんなやる気のない本堂を見て敵意を抱いているらしくかなり睨まれているが動じない。

 

「ん?拓斗じゃねぇか」

 

そんな風に声をかけられて声に覚えがあったため振り返り顔をしかめた。そこにいるのは本堂が苦手とする人物であるためである。

 

「第八位…てめぇかよ」

 

「相変わらずその呼び方は変わらんな拓斗」

 

削板軍覇(そぎいたぐんは)、第八位である。好きなワードは根性、昔の漫画の主人公のように努力・友情・勝利、どれもLevel5で言えば彼を指す言葉である。ちなみに本堂はそのライバルキャラ(冷酷バージョン)、一方通行(アクセラレータ)はダークヒーロー(青年誌系)と言った研究員は次の日に消えていた。

 

「いい勝負をしよう!」

 

「勝手にしてろ、くれぐれも邪魔すんじゃねーぞ第八位」

 

『それでははじめます、位置について』

 

普通ならばここで走る構えを取るのであろうが何故か皆飛びかかる体制を作っている所をみると本堂達を潰しにかかろうとしているらしいが二人とも気にせず会話を続けている。

 

「相変わらず根性がないぞ」

 

「なくて結構、そんなので面倒を起こしたくはないしな」

 

『よーい

 

―――ドン!!』

 

「かかれぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

その掛け声とともに周りにいた者共は肉の壁を作り二人を潰そうと押し寄せてくる、が本堂だけならまだしも削板にその選択はバッドである。彼はLevel5の中でも肉体派、その力は人の理を外れている。

 

「ぬ、ぅおおおおおお!!!」

 

本堂はするりと持ち前の早足でその一段を抜ける。あんなのと一々構うのは時間の無駄だ。本堂はいつも通り歩く、動作の言葉から考えられるのとは違い速さは一般人の走りと同等だ。そして多くの人間は削板に釣られているのでただいまダントツで1位である。今回は干渉数値が低めであるが転移系は自身を飛ばすなどは干渉数値オーバーだそうだ。つまり本堂も第二段階の転移を発動させないようにしなくてはいけないのだ。

 

「(まっ、そんなのこんな遊びじゃ起きないけどな)」

 

『第一関門、一番早く着いたのは長点上機学園の本堂拓斗選手!第一の障害は平均台です、歩いている間に飛んでくるボールをよけられるか!!ちなみに落ちたら最初からです』

 

目の前には平均台が一つありその横でボールを構えた生徒がいる。ちなみに中学生の役員らしいのでズルは起きないそうだ。そそんなことは頭の片隅にもおかず平均台にそのままのスピードで足をかける。それと同じ瞬間に皆ボールを本堂に投げてきた、幸いにも勢いがあるため害と判断されて絶対回避(イヴェレイション)が発動した。バランスは崩れそうになるがそうなる前にスピードを上げて渡りきりそのまま関門を突破する。

 

その後も様々な関門があったのだが本堂は気にせず進む。そうして遂にゴール直前、後ろには誰もいない………筈だったのだがいつのまにか猛スピードで削板が迫ってきていた。そのためここで本堂もスピードを上げ追いつかれないようにしてゴール、その0.5秒ほど後に削板もゴールした。そして参加した半数以上がゴールできなかったとして歴代障害物競走の中でも1.2を争う、恐ろしいレースだと語り継がれることとなるのだが知ったことではない。

 

 




1:5
2:7
3:10

というわけでルートは「今までどおり運び屋ルート」に決定いたしました。アンケートにご協力頂き感謝です!いやぁ皆さん結構変化を好まないのでしょうかね。

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