とある天然の絶対回避《イヴェレイション》   作:駄文書き

39 / 52
あ、あぶねぇ全部消えるところだった。


第36話

学園都市に息子がいて、外資系企業の証券取引対策室という精鋭部署に勤めるエリート会社員、上条刀夜は少し困っていた。今日は大覇星祭(だいはせいさい)という行事で学園都市にまで夫婦揃って来ているのだが肝心の息子の上条当麻が見当たらないのだ。別に彼は迷子属性を持っているわけでもなく単に人が多すぎて迷っているだけなのであるが。ちなみに混んでいるといっても妻の上条詩菜がパンフレットを広げられるだけの感覚はある。それでもこの辺は待ち合わせ場所によく使われる場所なのか少し人口密度が高いのだ。

 

「おっかしいなぁ、ここであってるはずなんだが」

 

「そうねぇ……」

 

刀夜の声に詩菜も相槌を打ちながら周りを見渡すのだが見当たらない。体育祭ということもあり学生のほとんどは体操着を着ている。メーカーの追求したせいなのか似たようなのが多いため見分けがつきにくいのだ。そうして立っていると刀夜は前から歩いてきた女性にぶつかってしまった。

 

「あ、どうもすいません」

 

人とぶつかりほぼ条件反射でこのセリフが出てくるあたり外資系といえど日本人なのだと感じさせる。

 

「いえこちらも前を見てなくて…すいませんが道を聞いてもいいですか?」

 

ぶつかった女性もただぶつかっただけで怪我もなくそのまま事が済むかと思いきや女性は手持ちのパンフレットを刀夜に見せて道を聞いてきた。その光景を見ていた詩菜は少し顔に影を纏う。何故かといえば刀夜はこういった事が多くありそしてその人物が大抵美人であったりするためである。故意であれば叱ったりして強制すればよいのだがこれが天然で起きるため手に負えない。それを背中で感じ取った刀夜も人の頼みを聞かないわけにもいかないので話を聞く。女性はパンフレットに書かれた地図を開き質問をしてくる、

 

「常盤台ってこれ見ても載ってないんですけどどこにあるかわかります?」

 

刀夜は全く学園都市の情報を知らないわけでもないので常盤台が名門であることはなんとなく知っている。そのためしっかりと地図を確認して自分が知っている位置に常磐台がないことを確認して物を言う。

 

「特に情報も出ていませんでしたし………公開されてないのでは?」

 

「まじかーどこにいるのかなあの娘」

 

数回会話して既に敬語が抜け始めているあた警戒心が薄いというかフランクな人というか。とにかくその女性は片手で茶髪の頭を押さえて言葉を口にする。ここで刀夜は単なる優しさから一緒に探しましょうかと口にしようとしてまた詩菜の怒りを買う場面になるはずであったがその会話は横から来た人物によって遮られた。

 

「あのすいません、この子見ませんでしたか」

 

ここでこの人物も女性と表記すると先程から出ている女性と混ざってしまうためこの人物は特徴からとって黒髪の女性と表記する。

黒髪の女性は左手にタブレットを持っておりその画面には一人の子供が写っている。それだけなのであればただ迷子を捜している母親であるが次の発言が刀夜達の度肝を抜く、

 

「今は高校生でかなり成長してるはずなんですが……」

 

確かに、写真に写っている人物は小学生あたりの年齢である。それを見せて高校生の人物を探しているなどというこの人物は本当に母親なのかと疑ってしまうが刀夜はなんとなく悪い人間ではなさそうだとも感じている。そんな中何やら周りが騒がしくなっていることに気づいた一同は近くにいた人に事情を聞いた。

 

「どうしたんですか?」

 

「いや、あれさ」

 

その人が指差す方に目を向けると二人の男女が言い争っていた。少し遠い位置であったが声が大きくてそちらを認識すれば会話が入ってくるほどである。

 

「へっへーん!今回の上条さんは違うのですよ、見よこの鍛え抜かれた………真っ白な体操着を!」

 

「馬鹿じゃないのアンタ!特に言うことないならわざわざ言うんじゃないわよ!それにどうせ私達の学校が上位入賞なんだし賭けの言葉を取り消すなら今よ!」

 

「おやおやぁ?怯えてるんですか実は負けちゃわないかとLevel5ともあろうお方が」

 

「なっ!せっかく気を使ってやったのに…いいわよこうなったら絶対約束守らしてあげるわ!」

 

「いいでしょう、では負けたほうが言う事なんでも聞くということで」

 

「なんでも?!」

 

「やっぱり怯え」

 

「やってやろうじゃないの!」

 

その光景は一部切り取られたものではあるがこの二人が誰なのかは読者の人ならばわかるであろう、片方は既に苗字も出ていることであるし。

そう、上条当麻と御坂美琴である。今もなお言い争っている二人を見て一同は次々に口を開く。

 

「おっ、いたいた。やるな~あんな可愛い子とあんな約束結んじゃって」

 

「あの体質は一体誰から受け継がれたものなのでしょうかねー」

 

「ぼ、棒読みはやめてくれよ……俺じゃないからな」

 

「随分とにぎやかだなー」

 

一人はからかい気味に、一人は更にその影を濃くし、一人は背後から浴びせられる言葉に怯えながらも心の底でそこがいいと考え、一人は前の3人も含めて少しうらましそうに見る。

その後、一同は争いが静まったあとに合流し賑やかに話していた。そんな時、刀夜がふとまだ黒髪の女性の悩みが解決していないなと思い出す。同時に御坂美琴が自身の母親、御坂美鈴をに尋ねる。

 

「ねぇ、あの人は………?」

 

「…すいませんがこの子見ませんでしたか?」

 

疑問の目が向けられたことに気づいたのか黒髪の女性は先程と同じくタブレットを御坂たちに向けた。そこに写っているのはやはり先程と同じく目つきの悪い小学生高学年程度の人物であるしここから高校生の姿を想像せよなど無理な話ではあるがその写真に御坂美琴はどこか見覚えがあった。確か最近どこかでこんな感じの目つきの悪い人間にあったなぁと記憶を探っているその時、上空から何かが降ってきて黒髪の女性の前に立ち元気に声を出した。

 

「初めまして!本堂さんの名によりお迎えにあがりました本堂お母様」

 

あまりの事で反応できずにいた一同、降ってきたのはどうやら人間のようでその背中から翼が生えている。灰理優木、御坂美琴が最近戦闘した人物のひとりである。その時は空を飛んでいるのを見つけ痺れる程度の電撃を浴びせて捉えたのだ。ちなみに名前は白井より聞いていた。もちろん、灰理がどんな人物と関係を持っているのかも。

 

「あんた!また………って本堂お母様?」

 

つい御坂美琴は戦闘態勢に入りかけて灰理のが口にしたお母様という単語に引っかかった。そして黒髪の女性が本堂拓斗の母親であるということを理解した御坂美琴は腕をおろす。

 

「ありがとうございました~」

 

「それではさようなら~」

 

そのまま黒髪の女性は灰理に運ばれていく様子を写真に撮られて次の日、掲示板に話題としてスレが作られたが一瞬のうちに誰かによって消されたことは特に関係はない。




ただいま
1.lllll 5
2.lllll 5
3.llllllllll 10

3がかなりリードしています、皆さん変化は好まないようです。ちなみに37話が投稿されるまで募集中です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。