本堂はその瞬間、理解ができなかった。
長年付き合ってきたはずの己の
不意の背中からの衝撃にえずく御坂の前で呆然と立ち尽くす本堂はとりあえず後を追わないとと思い背を向け歩き出す。それに何とか演算をした御坂の電撃が迫るがこれも避けるのではなく体を貫くようにして通り過ぎていく。
実体がなくなっているかと思い体に触れるがそこにはしっかりと己の腕がある。理解不能だ、そんな時あのシスターの言葉を思い出した。
『力ってのは俺の
『ふーんそうやって呼んでいるんだ、こっちは
そう考えれば体をすり抜けるというのはいずれ消えてしまうということなのだろうか?本堂は恐れた、そうして無我夢中で割れた十字架を拾って念じる、消えろと。そうした瞬間、本堂の頭にノイズが走った。
「グッ!?」
昔のことを思い出そうとすると走るこのノイズ、理由はわからないが邪魔だ、そう考えたら消えた。
「・・・・・・・・・なんだったんだ?」
その言葉は誰にも聞こえず消えていった。
『っう訳だ、そっちはどうだ』
「はいこちらもビルに入っていくとこ見つけましたー身を隠しているようなのです」
『ok、俺も近くいるから見張ってろ』
本堂は通話を切るとある一件のビルをじっと見た、あそこに人をこけにした女が隠れているらしい。空間系の癖に隠れるとは根性が足りぬなどと第八位は言うだろうし第七位の本堂もこの場はそう言う。
とりあえず機会を伺おうとスコープを使いどこにいるかを確認し始める。そして女、灰理の記憶が言うには
座標を利用した転移、黒子とはだいぶ毛色が違うようだ。ただかなり繊細な演算が必要らしく自分を転移するのを怖がるだとか、故に懐中電灯を使って座標の場所をわかりやすくしているだとか。まぁ本堂たちの場合は繊細というわけでもなくただ壁に埋め込めばよかったらしい。つまりこういうタイプを倒すには遠くからの狙撃や意表を付く攻撃が一番効くのだ。
と、その時騒ぎが起きたらしくビルから人がどんどん出てきた。
幸運なのか不運なのか、おそらくその人ごみの中にはいないと判断して出てきた奴を適当に選びの胸ぐらをつかみ話を聞く。
「おい」
「ヒィッ?!な、なんですか!」
かなり恐れられているようで非常にききやすい。
「何があったあの中で」
「そ、それが飯食ってたらいきなりガラスとか色々割れて」
「(戦闘か?)」
「赤い髪の女がいきなり服貼り付けられて」
「ありがとよ!」
その言葉を聞き終わるやいなや本堂は電話で灰理に指示を出し、指示を受けた灰理は屋上にいたらしく空から落ちてきて本堂を掴み上空へと飛ぶ。そうして上空に待機する体制が安定したら灰理に話しかける。
「隙を見つけたら突入する、皮膚硬化してろ」
「はい、仰せのままに!」
恐らく貼り付けとは黒子のことだろう。ならば勝手に潰し合いをしてくれと思う。そうして手薄になったところを突入して本堂はキャリーケースを奪取することに決めた。そうしてスコープで騒ぎが起きたとみられるレストランのフロアを見る。
やはり見えたのは黒子と
「なんか言い争ってますねー」
「みたいだな、キャリーケースは風紀委員が持ってるから」
それからしばらくはその戦いを観戦していた二人だったが
「っち!暴走しやがった、とっとと奪い取る...消えた」
「マジですか?!」
「いいから早く上がれ!空から見つける!さもないと...」
「今日の本堂さん怖いですよ!?」
「ハァ、ハァくっ!どうすれば...」
Level4の
・・・・・・・・・いや、まだ出来る事はある。キャリーケースの中身は
その時、杖の音がした。
その音に反応してすぐに結標淡希は構えた...が、その構えは相手を見て一瞬で崩れた。
病的にまで白い肌、
ベクトル操作、
狂気に滲んだ紅い眼、
学園都市最強・第一位の
「何だァ?この捨てられた子犬みてぇにぶるぶる震えてやがる三下はよぉ」