とある天然の絶対回避《イヴェレイション》   作:駄文書き

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祝!30話目です。ここまで来れたのも読者様のおかげです。そういや最近ギャグはさめてないな~とか思ったので何かいい方法ないだろうか。とか思ったのですが露骨に挟むのもアレだなぁと思ったのでこのままいきますよ。


第30話

 本堂拓斗はプライドが高い人物である。仕事のやり方、日々の生活、どちらにも自分流のやり方がありそれを崩されるのを嫌う、成功率はつい最近まで100%であったし知りたいものがあればたとえ相手がLevel5であろうとも踏み込む。それが本堂拓斗である。そんな人物が自身のせいで荷物を盗られたなんて知ればどうなるか...答えは

 

「あ、あのーさっきの相手のことなんですが」

 

「・・・・・・」

 

「む、無言で首を回さないでくださいよ」

 

怒りである、正確にいえば自分への。先ほどの相手は本堂がすぐに銃を放てば状況が変わっていたかもしれない。そんな考えが自分自身への怒りにつながっていた。

だがいつまでもそういう風になっているわけではなく次第に矛先が変わり始めるのだ。そんな時タブレットが音を上げた、仕事用の方ではなく本堂包夢との連絡用である。本堂はそれを取りすぐに耳に当てた。

 

『やぁ』

 

「今度は何だ」

 

『何、裏切り者の始末さ』

 

「・・・・・・・・・さっきの奴か」

 

『相変わらず勘がいいね、場所は教えるからそいつから荷物を奪い取れ、今すぐにでも』

 

そういって通話は切られメールが送られてきた、そこには座標が書かれていてそこに標的がいるということなのだろう。そして上空からは金の入ったケースが落とされてきた。どうやらかなり焦っているらしい。

 

「いまのは?」

 

「統括理事長」

 

「ああ、あの人ですか。すごいですよね学園都市のトップが依頼だなんて」

 

その灰理の言葉に本堂は顔をしかめてこういった。

 

「お前、まさか本当に統括理事長だなんて思っちゃいないよな?」

 

「...え?」

 

「あいつは"統括理事長"っていうコードネームなんだよ、本当はその部下の一人だ」

 

おかしいとは思わなかっただろうか、いくら首輪のついたLevel5だからといったって統括理事長と会話が出来ているということに、交渉しているということに、いわば電話の相手は受付、ただの受付なのである。

しかし、学園都市の裏の一人だということに間違いはないし受付が伝えれば本堂包夢も危なくなる。ちなみにたまに地がでている。だが統括理事長の意思を伝えるということは間違っていなく、話術もなかなかなものではある。そんなことを知らぬ灰理はあたふたしているがそれを気にする本堂はではなかった。

 

「アホ鳥、この地点まで時間がかかる。翼を使う」

 

「・・・・・・・・・はい!」

 

その言葉にすぐに灰理は翼を広げて本堂の背中をしっかりと掴む。当然本堂もどこから出したのかわからない防弾マスクと先程から付けていたゴーグルを改めて装備する。そして一瞬の間を置いたあと、二人は空高く飛び上がった。身長がいささか低い灰理は本堂の背中に見事に隠れてまるで本堂自身から翼が出ているようにも見えた。

 

 

 

 

白井黒子は目を覚ました、周りを見れば風紀委員第177支部のいつもの光景が広がっている。どうやらまた助かったようである、黒子は自分の悪運の強さを呪った。今回はまたとない機会であったのにとため息をつくと自分の頭に乗っている無意味な手ぬぐいをどけながらおきあがろうとして...

 

「フグッ?!」

 

乙女とは思えないほどの悲鳴を上げて地に伏した。起き上がろうとした瞬間体全体に痛みが走ったのだ。首を回すのも痛いこの状況、手も動かせず手ぬぐいは微妙な位置に移動していた。そんな声を聞いてか右側からドタドタと音が聞こえた。

 

「あ~白井さんダメですよ動いちゃ、全身痣が出来てるようなものですから」

 

その声を聞いて判断、初春飾利という頭に花の冠を載せている友人の一人である。能力(チカラ)定温保存(サーマルハンド)のLevel1、実践では使えない能力である。どのようなものかといえば触れているものを一定の温度に保つというものであり夏場と冬場の生活面で重宝されるだろう。ちなみに普段は能力を使いパソコンの熱暴走を抑えている。

 

「体の全体に痣ですか...可憐なる乙女..とは言えない状況...なのでしょうね」

 

「自分で可憐とか言っちゃうとか白井さんマジ尊敬しますよ」

 

軽口を叩きながら初春は手ぬぐいや湿布を手にして白井の体中につけている。その際に痛みが走るが我慢する。そんな時、ふと思った疑問が白井の頭を駆け巡った。

 

「あれから...どうなりました...?」

 

口当たりも少し痛みが走り少しづつしか話せない白井はどうしても最後に見たあの二人が気になったのだ。

 

「ああ、丁度カメラが復旧した頃には本堂とか言う人は壁に埋まってて灰理さんしかいませんでしたよ?」

 

「...ケースは...?」

 

「その後の様子から持ってかれたかと」

 

いや~三つ巴ですね~などと気の抜けた声でいう初春を尻目に白井の考え事は更に深まる。あのキャリーケースは一体なんなのだろうかと、本堂から奪取する程の女性は一体何者なんだろうかと。そんな時、アラームが響いた。

 

『緊急!B5地点で能力者どうしの戦い、片方は転移系もう片方は電気系統、繰り返しま』

 

「電気系統と」

 

「転移系?」

 

二人の声が重なった。普段なら何も感じないような事件だが白井はどうしても違和感を感じずにはいられなかった。

 

 


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