作戦はこうであった、本堂は上を向いた瞬間上空に点のような物を見つけてそれが灰理だと気づいたのは勘である。だからこそ本堂はメッセージの一つも伝えずに銃を放った、後は全部灰理が理解してくれなければ成功はしなかったかもしれない作戦であった。
無事灰理は黒子へのボディタックルに成功し黒子はアスファルトをなめるような状態になり現在少し粉塵がでている。それを防ぐためポケットからマスクをとりだしゴーグルをするとすぐにキャリーケースを手に取った。
「(こいつがなけりゃ身体に障害が残ってたなこりゃ...)」
黒子は咄嗟にキャリーケースを上へ防御として転移させそこに灰理がつっこんだため全体的に威力が分散していた、恐らくその行動をしなければ一点にのみダメージがいき後遺症が残っていただろう。そしてあの勢いで地面にぶつかったというのに気絶しかける程度で済んでいる理由として考えられるのは...
「アホ鳥、手加減したな?あの状況じゃお前へのダメージは少なかったはずだぞ?」
「うっ!」
それを突きつけられて灰理は一瞬ギクッとても効果音を出しそうにリアクションをとる。どうやらこの展開は読めていたようだ。
「ダメージを受けるのが怖かったら直前で手放せばよかった、けどお前はそれすらもしなかった...つまりはこいつを殺したくなかったのか」
灰理という人物はついこの間闇に触れ始めたばかりの人物、そんなことを考えるのはある程度予想ができるのだ。ここでもう少し深い暗部だったりした場合、始末しろなどといって覚悟を迫るのであろうが本堂の場合は違った。
「次はちゃんとやれ」
結局は黒子の事をそこまで重大だと思っていないのだ。ただ少し大きめの石であったと認識しているのでどけられさえすれば本堂はどうでもよかった。とりあえず本堂はキャリーケースを届けるかとため息をつき、移動しようとした瞬間目の前に一人の女性が現れた。紅く長いツインテールの女性の格好はさらしで巻いた胸をさらけだしていて外の世界で歩いたいた場合すぐに職務質問をされて連れて行かれてしまうのではないだろうかと終われるほどである。まぁその警察が実は偽者で女性がどこかへ連れて行かれるという展開もあるかもしれないが
閑話休題
とにかく、目の前に現れた女性は奇抜であるということである。その手には懐中電灯が一本、確か結構お高い代物だ、と灰理は記憶していた。とりあえず、先ほどの金属が降り注いできた音を聞いて現れた野次馬ではなさそうだと思った、それを気にすることなく本堂は女性の隣を抜けようとした。
「あらあら、無視はひどいんじゃないかしら?」
それに反応して女性は本堂にライトを当てた、本堂はゴーグルのおかげで直視出来るようだ。
「邪魔だ、どけ」
「貴方がどけばいいのよ」
そう女性が不敵に笑った瞬間、本堂は壁の中に埋め込まれていた。
「本堂さん?!」
それをみた灰理は翼を動かして女性に急接近、どうやら一瞬の間に皮膚も硬化しているようで当たれば一撃卒倒は間違いなしだ。だが女性はそれに冷や汗かくこともなく懐中電灯を当てて次の瞬間灰理の右腕は壁に埋め込まれていた。
「...あほ、転移系は意表をつくのが定石だ」
自身の恥を隠すように呟いた本堂は身動きが取れないでいた、本堂は右半身を斜めにうめこまれていて拳銃を持っている腕も自由に動かせない、そのため固定されたまま動けないでいる、仮に動こうとしても壁に隙間なく張り付いてるようなものなので皮膚がついたまま、つまりは皮膚がはがれてしまうため
灰理が攻撃してくれたらよけられないため第二段階、転移がはじまり逃げ出せるわけなのだが...
だが灰理も同様であった、右腕が壁の中に入っていて身動きが取れないでいる。もちろん動かせば皮膚が取れる...はずなのであったが
「………フン!」
「なっ!」
「ホゥ」
灰理はほんの少し迷った後一気に腕を引き抜いた、もちろん皮膚を壁に残して。
それを見て女性は口元を押さえた、どうやらその光景を見て気持ち悪くなったらしい。本堂も少しばかりその感情を抱くがそれよりも灰理に対する考えが変わっていく方が強く出た。痛みはないだろう、まあそこからばい菌が入ったら壊死してしまうだろうが...すぐさま灰理は壁についている皮膚に手を伸ばし皮膚を変質させて腕につけた、もちろん変質の代償もあったので見た目こそ変わっていないが体のどこかを使ったのだろう。
そのまま灰理は女性のほうへと近づく、それに気づいた女性はすぐに自身を転移させてよけた、気づけばキャリーケースも持っていかれていたようで本堂は完全なる自分のミスに舌打ちをした。
丁度その時、黒子も気が抜けて意識を完全に失った。
「あれ?本堂は転移系だからAIM拡散力場に影響して転移させることなんてできなくね?」
「...ネタバレになるから言えません」
まあそもそも結構前に黒子に転移されていますし気にしないでください。