自身の為、その短い単語を聞けば人はなんて自己中心的なやつだ非難するだろう。だからこそ逆に聞く、
「この世に自分以外のために動いている人間なんているのか?」
それはきっと誰もが分かっている答えであり問である。たとえどんなに素晴らしい理由も、どんなに人に巻き込まれて出来た理由も全て、自分が決定したことなのだ、例えしたくないなんて思っていてもそれは自分の為なのだ、だからこそ本堂は"自身の行動に自信"を持つ、駄洒落のようだがそれはきっとこの世界の理であると信じているのだ。だからこそ、本堂はとある者のために今日も歩くのである。
「ようやく見つけた」
そう言って本堂は口角を釣り上げていた。目の前には相変わらず光が入らない一本の路地裏の前で立っていた。ちなみに灰理は別行動である。いくつもの路地裏を練り歩き、数多もの無能力者や低能力者を叩き伏せた本堂の足には少し疲労がたまり始めていたがしっかりと防具や靴などに気を使っていることや普段から使っているということもありまだまだ限界は遠い、つまりここでキャリーケースを片手に本堂の前で動いている者達から奪い返し第23学区にまで持っていくことなど簡単であるということだ。だからこそ本堂は何の声もかけず懐から
「ッ?!逃げろ!」
「させると思うか?」
キャリーケースを庇うようにして一人が走り出す。よく見えなかったがどうやら三人いたようで肩を抑えて踞まっている者を庇うようにして本堂の前に立ちふさがり一本の銀色のナイフを構えているがその顔には焦りが見える。まぁ、拳銃を前にしてナイフだけでは心もとないのは確かなのだが。ナイフを持った男は声を震わせながら口を開く、どうやら本堂を知っているようである。
「こ、こんなに近けりゃ接近戦の方がはええんだよ!」
それは自身に言い聞かせているようにしか聞こえなかった、自信を持たせたかったのだろう、Level5を前にしてそんな催眠程度で勝てるとしたらお笑いものであるが。そもそも、銃という物は種類にもよるが確かに連射は不得意であり多人数戦は苦手とされるが対人戦では絶大な効力を発揮するものなのだ。なにせ狙いが近づいてくれるしたったつの一つ、これは狙いやすい。そんなので戦えなくなるのは所詮三流である。もしこの男が何十人にも分裂できたら確かに銃は使いづらくなるがそれは二流、一流とは銃を完全に使いこなしながらも別の道も持つ者をいう。
例えば本堂が三十人程に囲まれたとしよう、一度にセットできるのは六発、二丁あるため最大十二発、そこからは補充の時間だ。きっと相手はここが攻めどきだと一気に来るだろうがそれは無理なことである。何故なら本堂は避けるという考えに意識を削がないで済むからだ、故にすぐに補充は終わるしその間傷一つつかない。相手が銃を奪い取ろうとすればそいつに蹴りを入れればいいだけなのである。
-閑話休題-
「・・・・・・・・・さて、キャリーケースを持った奴は右に行ったな」
10秒もみたないうちにアスファルトへと沈んだものを踏みつけながら本堂はキャリーケースを持っていった奴の方へと歩く、
どうやら敵も覚悟を決めて待っていたらしい。角を曲がった瞬間、
だが焦らずに本堂は体を引いたところに飛んできたものをスルーし角を曲がる。そして見えたの人物に思わず顔をしかめた。どうやら最近の本堂はとことんついていないらしい。
「えっと...誰だっけか」
「
「ですの...ああ、
「そう(です)か...なら(ば)・・・・・・・・・力ずく」
二人が揃って言った言葉と同時に路地裏に音が響く、金属音が響き渡り渡る、黒子は足に手を伸ばし、本堂はそれを気にすることなく足をかかと落としの動作のために振り上げる、黒子が狙うのは人体ではなく本堂をとめることができる方法、捕縛。狭いから壁が近いことを利用し鉄棒を服とコンクリートをつなぐ留め具にする。もちろんそれを簡単に受ける本堂ではないすぐさまに羽織っていた大きめの服を脱ぎ捨てながら足を降ろす、それを察知した黒子は近づかず後ろに転移する、高位の
だがそれも勿論当たらず弾丸はただ空を切る。キャリーケースを持ちながらの転移は難しいはずなのだがこうまで何度も転移で躱されるとは思わなかったのか少し行動に間を置いた。それに合わせて黒子も間を合わせる、ここで無闇に突っ込むほど馬鹿ではない。
「(案外厄介だなこいつ・・・・・・・・・)」
そんな考えを抱きながら本堂はポリポリと頭を掻く仕草をして上に顔を向ける。痒くはないがこういう行動をとると少々落ち着くのである。そうして上空を見た後、本堂は拳銃を黒子には構えず空へ向けて放った。
15巻まで読み終わったー!
だが...一方通行さんの風格がぱねぇ