とある天然の絶対回避《イヴェレイション》   作:駄文書き

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今回から章をいじってみました。
戦いの中で進化していく、それがサイヤ人(素人)というものだ(違います)


第19話

 昼を過ぎ、ちょうど部屋に日が当たらなくなった頃、灰理は帰宅した。その時に玄関に本堂の靴がないことを確認すると少し残念そうな顔を一瞬見せすぐさま元に戻す。部屋に入り書置きを置いておいたテーブルの上を見ると何もなく朝きれいにしておいたゴミ箱にくしゃくしゃになった紙を発見する。もっと心を開いて貰おうと色々と苦心しているのだが今日もまたそれは実らなかったらしい。と再び顔に影が出かけた瞬間、先程までの光景がフラッシュバックしてあるものが異様に気になった灰理はすぐさま玄関へと戻る。そこには一枚の紙が貼ってあった、セロハンテープで上をとめている。それをじっくりと灰理は読むと顔に輝きを灯しすぐさま着替えて街へと飛び出した。

 

『任務、もしかしたらお前が必要になるかもしれんからこれ読んだらすぐ来い、場所はこの前の所だ』

 

 

 

 学園都市が誇るLevel5の一人、本堂拓斗はまたもや困惑していた。

仕事を協力するといったはずなのに相手が土人形を操り攻撃してきたためだ、無論そんなものは本堂には当たらない。しかし相手側が使役する土人形から見て力の大きさはLevel4程だと判断できる、そこが問題なのである。学園都市にしかいないはずの異能力者が何故外から来た人間が持っているか。考えるとすれば二つ、

 

1.本堂と同じように原石

 

2.外に異能力者用の技術が漏れている?

 

だが考えてもしょうがなくとりあえず目の前で表情がだんだん険しくなっているシェリーを落ち着かせることを決めた本堂は拳銃を取り出さずにシェリーの近くへとただ無防備に歩いていく。その間も頭の中には声が響く、

 

『そこの民間人!早く戦闘をやめ避難してください!繰り返し...』

 

どうやら先ほどの土人形の揺れのあとも監視カメラで生きているのがいたようでこちらの状況が伝わっているらしい。そのためか先ほどよりも声が強くなっている気がする。それを気にせず進みたい本堂であったが流石に何度も頭に直接テレパスを送られて気にしないものはいないだろう。だがここでもし何らかのアクションでも起こした場合、いくら今回の依頼人が統括理事長であれ本堂の顔はマークされることとなり非常に面倒くさいことになるだろう。なのであくまでも危険人物に近づく一般人をよそわなくてはいけない、そのためにはあの監視カメラは少し邪魔だ。見たところ画像しか見えないタイプだから何をしゃべろうが自由なのだからシェリーに破壊してもらうのが一番なのだがなと本堂は歩きながら考える。

 

一回落ち着かせようと背後に回ったらそれに反応して回し蹴りが来た。少々反応が早かったことに曲がりなりにもプロかと称賛する。とその時土人形がこちらに振り向くと同時に邪魔であった監視カメラが土人形に吸収されたのが見え少し口角を上げる。その様子に気づいたのかシェリーは土人形を地中に戻らせたあと、口を開く。

 

「何かおかしい?」

 

「いや何、今日はついているのかついてないのかよく分からなくてな。それよりいい加減矛を収めろ、俺は任務でお前と協力するために来てるんだ」

 

「...そうね、協力してくれるこれ聞いてくれないかしら」

 

「?」

 

「死んで」

 

「それは無理だな」

 

その瞬間、本堂の足元から先ほどの土人形の顔と思われる部分が出現し本堂の足を奪い取ろうとする。本堂はそれを見てまゆひとつ動かさず視線を上にに上げる。

足に痛みは走らない、代わりになにか不自然なものを感じ取った本道は足元に再び視線を戻す。そこには土人形の歯に僅かにできた隙間に引っかかるようにして動けなくなっている己の右足、確かに危害にはなっていない。少し面倒くさいこととなったなと本堂は顔を歪めたが拳銃を取り出して土人形が地中にいるため無防備になっているシェリーへと向ける。

 

「死にたくなけりゃいい加減話を聞け」

 

「死ぬ?変な話だ」

 

本堂のその言葉にシェリーはフフッと笑い声をこぼす。どうやら本堂の言葉を信じていないらしい。

 

「あ?」

 

「だって殺せるのならわざわざあんなことしない、あんた私を殺せない理由があるんでしょ?だから殺すなんてのは脅しにならない」

 

その笑いはどこかぎこちないように見えた。

どうやら相手もだいぶまいり始めていらしい。このままじゃ平行線だなと頭を掻く本堂の後ろかに何者かが来る音が聞こえそちらへ視線を向ける。そこには完全武装している警備員(アンチスキル)達が大勢いたためこれまた本堂はため息をこぼす。どうやら土人形が出す揺れのせいで突入が早まったらしい、一人がメガホンを持ってこちらに向かって話し始めた。

 

『テロリストにつぐ!直ちに武装と人質を開放し投降するように!さもなくば』

 

「さもなくば何?...エリス」

 

その声と共に潜っていた土人形の腕などが飛び出し警備員(アンチスキル)を襲い始めた。それに乗じてこっそり拳銃を隠す本堂であったが先程の言葉を思い出して間抜けな顔で声を漏らした。

 

「人質って...俺のこと?」

 

本堂の人生の中で初めて自分が人質?になった瞬間である。(ちなみに今までは交渉に入るとかじゃなくて捕まることもなかった。たとえ拘束されても一時間もすればすぐに解かれたため。)

 

 


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