とある天然の絶対回避《イヴェレイション》   作:駄文書き

19 / 52
息抜き程度に読んでいただけるとありがたいです。


閑話 とある科学の肉体変質

 私がまだ小さい頃、そのころはまだ憧れなんてTVの魔法少女などに向けられていて今でこそある恐れを知らずに自分を貫くような喋り方も、己の武器となっていた肉体変質(オートレイション)もLevelなんてギリギリの2、まぁ小学4年生にしては恵まれている方であるとも思った。灰理は保育園を卒園するやいなや学園都市へと送られた、子供のためだとか最先端の技術を見せたいだとか言っていたが私は気づいていた、所詮子供の世話を見るのが好きではなかったのだと。故にその時は少し荒れていたかもしれない。まぁ、小学生で送られてくるような子はほとんどがホームシックやストレスに悩まされたりするのだとかでまだマシな部類ではなかったかなと思う。

 

たった2の肉体変質(オートレイション)ではせいぜい日焼けを治したり髪の長さを調節とかそんな事しかできない私であったが希少な能力、と言う事で様々な人に協力して欲しいとか言われたときは少々まいっていた。けど少し時間を使うぐらいだし勉強は得意な方であったので暇つぶしとして協力していたことも覚えている。そんな私が彼にあったのはその年の大覇星祭(だいはせいさい)であった。

 

 

 

「...つまんない」

 

人ごみにうもれかけながら歩く灰理はそんな言葉をため息とともに吐き出した。だがそんな言葉をつぶやいたところでこの状況がいきなり面白くなるわけでもなくただただ歩いている。灰理は大覇星祭(だいはせいさい)で小学生の部の綱引きに参加していたが相手側に能力者が多く存在していたためかあっさりと負け代わりにできた空白の時間を過ごしている。親こそ来たものの灰理に見向きもせずに今頃滅多に入れない学園都市を楽しんでいることであろう。別に灰理はもう家族の団欒なぞも考えず"また"変わっていた父親の顔をも覚えようとせずその場から離れたかったとので好都合であった。保育園の頃自慢にしていた黒髪も少しボサボサに見えるのはそんな心境からなのであろうか、ただひたすらに目の前の光景が全て灰色に見えているような感覚さえもしていたことは事実であった。

 

「(少し、休も)」

 

人ごみにうもれて苦しかったのか考え事をしていて頭が混乱し始めたのか、灰理は一旦手頃な路地裏に入り休息をとることとした。本来であれば路地裏にはスキルアウトとというガラの悪い無能力者の住む場所として注意が必要なのだがこの辺りは小学生らしく危機感が足りていない事と人が多いということで少し感覚が麻痺していたらしい。路地裏に入りどこか座れる場所はないかと探している時に物陰から現れた影に灰理は体を拘束されてしまう。

驚きながら暴れるが所詮は小学生、それよりも何年も生きている者たちの力に敵うはずがない、だが灰理を捕まえたものは少々混乱している様子であった。

周りにいつの間にかいた人間も慌てている。

 

「お、おいこいつ誰だ?」

 

「知るかよてめぇが捕まえたんだろ!?」

 

「だってすぐ捕まえないとどっか行くとか」

 

「だからって男と女の見分けがつかねぇ馬鹿なのかてめぇは!」

 

「(何、なんなの一体!)」

 

すぐに助けを呼びたい灰理であったが恐怖によって口がカタカタと歯とぶつかり音を鳴らすだけで声が出ない。自分よりも何倍も背丈が大きいように見える少年たちはやはり混乱していてどうしていいのか分からずただ灰理を捕まえている力を強くすることしかできないでいてそれで灰理は声にならない悲鳴を上げる。

 

「ッー!」

 

「馬鹿!騒ぐな!」

 

「馬鹿はてめぇだ!声が大きい!...どうするよこのガキ」

 

「どうするったてここがバレたら不味いし...とりあえず眠らせとくか?」

 

「そうするか」

 

自分を捕まえている男と話しているもう一人の方がポケットからなにやら怪しい瓶を出すとそれが自分に使うものだと分かった灰理は暴れる力を強くする。それがたまたま上手くいきなんとか解放された灰理は人が多い通りへと逃げ出そうとする。捕まえられている間に移動したのか自分が歩いた距離よりも大通りへとの道は遠くなっていてすぐに追いつかれて首に手が伸ばされていることは見なくても分かった。だがそれを見るのが怖くてただ一心不乱に走っているその時、一人の奇妙な少年とすれ違った。小学、5.6年生辺りでろあうか、黒髪の少年であった。別段ここまでは奇妙でもなんでもない、ただ驚くべきは灰理やそれを追っている者達を目線からしても見ているはずなのに眉一つ動かすことなく前を向いて歩いていることであった。灰理は叫びたかった、危ないから逃げてと、けどその前に口を開いた少年はただ灰理から少年にと目標を変えた男達に当たり前のように言ったのだ、

 

「どけ、俺が通る道だ」

 

その時、灰色に映っていた景色に色がともったような気がした。

少年はどこからか取り出したのか手に拳銃を持っていてそれを見て男たちは動きを止めその光景唖然とした灰理もまた少年の後ろで足を止める。

 

「こ、こいつ何でそんなもんを...!?」

 

「は、ハッタリだ!そんなもんこんな日に撃てるはずが」

 

瞬間、音がしたかと思うと男の頬から一線の赤色が見えていた。そんな風に先程は焦って顔も見えなかった灰理は何故か落ち着いて男たちを観察することができた。

 

「あ、外したか(まだ慣れてねぇんただよなこいつ)」

 

そんなただ残念そうな声が恐怖で縮まった男たちを逃走へと駆り立ていつの間にか男たちは消えていた。少年は拳銃を服の中にとしまうと後ろにいた灰理に目もくれず立ち去ろうとしている。お追うとした灰理であったがどんどん光が当たらない闇へと進んでいく少年についに足が止まり追いかけられなくなるがそこで諦めようとはしなかった、息を少し吸うと遠くなっていく少年に声をかける。

 

「あ、あの!!」

 

「………ん?」

 

その声に少年は振り返った、チャンスを物にしようと灰理は声を続ける。だが混乱しているのか自分でも意味不明な言葉を並べてしまう。

 

「わ、私はまだそっちに行けませんけどまたいつか会えるのならお礼がしたいんです!何か欲しいものはないですか!?」

 

他人が聴いたのなら全員?マークを浮かべるであろうこの言葉に少年は首をかしげながらも無気力に答えた。

 

「欲しいもんねぇ、こんなとこ通らないで済む羽かね」

 

その言葉を言い終えると少年は闇へと消えていき偶然に光があたっている場所に灰理だけが残っていた。その後、風紀委員(ジャッヂメント)に保護されお叱りを受ける灰理であったがその目には確かに光が宿っていた。

 

その後、灰理はネットなどを使い絶対回避(イヴェレイション)というLevel5の存在を知り約束を守るため翼を作るためにまずはLevelをあげようと苦心し異常とも言えるスピードでLevel4へと昇格し、本堂を真似してか他人を恐れないような話し方になっていく、時同じくして灰理にある一通の電話が来るのだがそれはまた別のおはなし。

 




どうでしたでしょうか、しっかりかけたでしょうか、とりあえず灰理が本堂を憧れる理由はこんなことが起きたためです。ちなみにこの時の年齢設定

灰理小学4年生(10歳)
本堂(11歳)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。