第13話
『任務ご苦労様、拓斗くん』
「ご苦労様、なんていうのならこんな無理な依頼なんかすんなよ」
「お待たせいたしました、ご注文のサラダセットでございます」
現在、本堂は既に
『いや何、本当に感謝しているんだよ』
「どーだか、それならもうちっといいことあってもいいんじゃないか?」
『ああ、だからね』
「ん?」
右手で注文しておいたミネラルウォーターを口に含みながら左手のタブレットで統括理事長の話を聞く。
『今度の
「ウグッ!?……あ」
器官に入りかけたのだろう、水が入ったコップのみ転移され中身の水はとどまりがなくなり無残にもソファへと落ちた。
それに反応した店員はすぐさまに布巾を持ってきてあっという間に水は布巾へと消えた。
350円、と本堂にとっては屁でもない金額だが嘆いてみたが特に虚しくもなかったのでそのまま話を続ける。
「で?どういうことだ?そんなことわざわざアンタラが許可するなんて」
『勘ぐらなくていい、ただの好意さ』
「ただの好意が一番恐ろしいことぐらい知ってるぞ」
『しょうがない、教えるか』
そんなもともと教える予定のような話し方に本堂はしまった、といった顔をする。
たとえどんな条件があったとしても本堂研究員と行動することができる、しかも
『君に、チームを組んでほしい』
「...チームだと?」
『ああ、正しく言えばコンビになるがね』
チーム、暗部などの組織はほとんどが組織を作り、そこで活動している。
それがチーム、本堂が知っている組織といえば麦野沈利が指揮するアイテム、垣根帝督が加入しているスクール、それぐらいである。ほかは興味すら湧いていないため覚えていない。
「お客様、お客様に会いたいという人物が店内に...」
「………通せ、ただしどこかの直属部隊とかそういったのはしないからな」
「はぁ?か、かしこまりました」
『分かっているよ、フリーとしてコンビを組んで欲しいんだ』
本堂はこの時、適当に組み、面倒くさくなったら任務中に不慮の事故として殺せばいいと考えていた。統括理事長の思惑はわからなかったがとにかくそいつとずっと組んでるいのは怪しいと感じたためだ。店員の頭が席の仕切り越しに見える。
こちらに移動してきた、もう一人の頭が見えないため小柄な人物だと判断。
もとより本堂は様々な人物と出会ってきた、多少の変人など相手しなれている、
だがしかし、その状態に本堂はただただ驚くことしかできなかった。
店員も少々把握できていないような顔で連れてきた人物は本堂に一礼したあと向かい側のソファに座る。人物は考えたとおり小柄な人物であり女性であった。
髪は黒のショート、目も黒、肌は白い、ここまでは普通である。そう、ここまでは少女の背中からは鷹のような黒い翼が生えていた、生えていたのだ。
別段本堂は寝ぼけてもいない、だが目の前に広がる現実を現実として認識はしたくなかった。そんな本堂を知ってか知らずか少女は元気いっぱいに自己紹介をした。
「自分、今回よりあなたとコンビを組むこととなりました、
あ、これは自分の能力ですと羽を指差しながら楽しそうに話し出す少女の前で意識が戻った本堂が最初にしたことは
「とりあえず黙れこの鳥」
「ふぎゃぁ!?痛いですよ!?やめて下さい!?」
笑顔からのアイアンクローであった。