とある天然の絶対回避《イヴェレイション》   作:駄文書き

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俺は悟った、アクセス数少ないからランキングに乗れているということに


第12話

 人の顔を何かに例える、それはたとえどんなのであっても失礼に当たるであろう。

何故なら人の顔は好きでそうしたわけではない人物が大勢だからである。

例えば、「あなた有名俳優の○○に似てるわね」これは褒め言葉になるであろうか?違う、どんなに似ていたとしてもその人は自分本来を見ていないということになるのである。この人は俺の事を○○というレンズを通してみているんだ、そういう風に考えられてもおかしくはない。

だが、そんなことを分かっていながら本堂はそう考えてしまう。

 

「(相変わらずのカエル顔の医者だ)」

 

と、彼が本堂が今回頼った医者、昔医療機材などで顔を合わせた事が有り本堂自身も彼の仕事を一回目の当たりにしている、その時の結果は目を見張るものであり冥土返し(ヘブンキャンセラー)の名にふさわしい人物だと男を褒め称えたことがあった。

そして医者の前には先程腹を貫かれて死にかけていた標的、10032号がいる。

どうやら既に山は超えたようでいくらか血色も良くなっている。

 

そしてその隣には何故か邪魔者の青年一人と少女一人。

電話をした時に周りの状況を伝えたらそっちも相手するといわれ本堂が少し驚いたのは内緒である。ちなみに一方通行(アクセラレーター)も運ばれたのだが流石に4人は無理だったのかそれとも単なる気絶だっためか普通にやってベッドに運ばれていった。本堂は全くの無傷であったためか彼らを運ぶために少し力を使い不機嫌気味。

その時、本堂は丁度活動限界時間(お休みの時間)であったためそのへんのベッドを借りて眠り始めた。

 

医者は仕事が終わり一息入れようと後ろを向くとスゥスゥと寝息を立てて寝ている本堂が見えた。少々ため息をついたあとで少しはだけ始めていた掛け布団を掛け直し声をかける。

 

「まったく、医者人生いろいろとしてきたけどLEVEL5が3人も来るなんて初めてだよ?」

 

勿論本堂は起きない。それでも医者は話を続ける。

 

「それにしてもまさか君が直してくれ、なんて言ってくるから能力がなくなっちゃったかと思ったじゃないか」

 

「ま、きっと君なりの事情があったんだろうから詮索はしないけど」

 

医者はそれを言い終わると部屋から出ようとする。そして完全に部屋から出る際、端末を耳に当てて一言呟いた。

 

「少し、話をしようか」

 

この後、医者と統括理事長のあいだに亀裂ができるのであるがそれはまた別のお話である。後不潔という事でいきなり転移でお風呂に本堂が飛ばされるのだがそれもまた別のおはなし。

 

 上条当麻、起床。上条当麻は手などに感覚がないことを不審に思う。

そしてその時蘇ってくるあの時の戦い、あいつはまだ倒れていなかった、それを思い出して体を起こしてと周りを見回そうとする。

だが動かない。そしてこころなしか手に違和感を覚えそちらを向くと、

自分の感覚のない手を胸に押し当てている御坂(10032号)がいるわけで、

 

「ッ!ちょ!?」

 

当然上条当麻は驚いた。そして考える、どうしてこうなっているかを。

ここで脳裏に浮かぶはひん剥かれたり恥ずかしい目にあった少女や女の人たち、またやってしまったのか?と顔を青ざめる上条当麻に御坂(10032号)は気づいたようで話しかける。

 

「この手は自分の意思でしているのでご心配なさらずに、心拍数を図っていますとミサカはあなたの目の前で怒りをまとっているオリジナルのためにも補足します」

 

その声に上条当麻は目をなんとか前へと向けると確かに手に電撃をまとっている御坂がみえて、さらに顔を青ざめる。

 

「あのちょっと御坂さん?ほら御坂妹もこういっているわけですし誤解で」

 

「関係っないわよ!!」

 

「ヒ~~!?いま腕使えないからタンマタンマ!」

 

上条当麻は体をなんとか動かそうとしながらも一つの疑問を抱いていた。

あの状況でどうやってこんなことになっているのかと、実質あの時動ける仲間は一人も居なかったはずであり立っていたのは"奴"だけであった。

とするならば………、

 

「(あいつが俺たちを助けた?なんで、そもそも御坂(10032号)がここに居るのが解らない、連れて行かなかったのか?)」

 

「うるせぇぞ」

 

そんな騒がしい病室にまた新たな声が聞こえた。御坂と上条当麻はその声に驚き上条当麻のベッドから斜め前方向にあるカーテンを引いてあるベッドに目を向ける。

それに釣られて御坂(10032号)も顔を向ける。

そこにはカーテンを開けて少し髪がボサボサ気味になっている本堂拓斗が存在した。

それに驚いた御坂は纏っていた雷撃を更に大きくして構えるが御坂(10032号)が何の驚きもせずに淡々と告げた。

 

「心配しないでくださいオリジナル、彼は任務の邪魔をしなければ攻撃はしてきません、とミサカは戦闘が始まらないように少し急ぎ気味に伝えます」

 

だがここで御坂は一つ勘違いをしていたのである。

御坂は本堂の言葉を受けていない、つまりここに居るのは上条当麻の勝利のためだと考えていたのである。そこにまた本堂が現れたため御坂(10032号)を殺して運ぶために来たのだと勘違いを起こしていたのだ。それに気がついた御坂(10032号)はすぐにまた声をかける。

 

「安心して下さい、計画は見直し、ミサカ達の生存は約束されています。それにここまで連れてきてくれたのは彼です、とミサカは慌てながらも冷静に伝えます」

 

「………へ?」

 

ここで上条当麻の考えは現実にへと変わった。そんな二人を見て本堂は呆れながらも声を出す、どうやら寝起きで少し声が低くなっているようだ。

 

「そうだよ、俺の任務はそいつを生きて連れて行くことだ、ここまで連れてきたことに感謝して欲しいね」

 

「あ、ありがとう?」

 

御坂は混乱しながら声を出す。それもそうである、敵がいきなりこんなフレンドリーに話しかけて混乱しない奴はいない。だがそれこそ本堂を理解していないものの答えであり本堂は敵でもなければこんなもんである。

ちなみに、御坂(10032号)を本堂が連れ出す時に少々口論が起こったのだがそれはここには書かないでおこう。




補足、ベッドの配置

   本  御  窓
   堂  坂  窓
出口       
   御  上  窓
   坂  条  窓
   妹  当
      麻

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