第8話
何度も言うようだが本堂はLEVEL5である。
LEVEL5というのは単身で軍隊すらも壊滅することができるほどの力の大きさとも言われていて実際本堂もそれをすることが可能である。
攻撃方法の能力ではないが彼には回避の
例えば、ミサイルを持って特攻したとしても爆発の前に本堂の
国との戦闘も核爆弾でも背中に背負い突っ込めばいい。つまり完全無敵の名を冠する事ができる存在といってもいい。
しかし、本堂が倒す手段を持ち得ていない者がいる。
第一位、【一方通行】である。
彼の性格は非道残虐と言われていて今も罪なきクローンを殺し続けている。
が、それは全く違う。
罪なき命を奪い続けているだけで残虐非道なんて言われたら今生きる全ての生き物は残虐非道である。
人間の形をしているというだけで人は罪悪感を覚えあたかも自分が正しいようにふるまう。クローンはクローンであり
故に本堂や一方通行は罪悪感なんて覚えないのだろう。
そしてそういった罪悪感を覚えないという人間はいつだって自分のために動いている。
自分が悲しむから人を助ける、誰も近寄られたくないから頂点を目指す
それは二つとも偽善などではなく純粋な欲望であることに間違いはない。
◆
任務の縮小を受けてからも本堂はずっと任務を遂行していた。
その任務がないときは別の任務を受け、
時に勧誘され、
様々な事件はあったものの本堂を劇的に変えるものなど何一つなく、至って普通のつまらない日々だった。
今日は死体の回収の任務であるためそろそろ終わるだろうと見越して今日の実験場所へと向かう。
その時、ふと妙な音を聞いた。
爆発音であろうか?わざわざ秘密裏にしている実験で何故爆発なんてさせているのか理解することができなかった。
が、そこまで気にせず歩みをやめない。
「(……おかしい、そろそろ電話があってもいいところなんだが)」
いつもならばもう実験が終わっているはずの時間になっても一向に電話は来ない、それとも向かっているという理由で電話をかけてきていないのだろうか。
それとも
例えば、獲物を逃がしたとか。
例えば、誰か乱入者が入ったとか。
まあどうでもいい、どうせ
そんな風に楽観的考えであった本堂の目に飛び込んできたのは、
最強と言われた
「‥‥‥‥‥‥は?」
つい言葉が漏れ出た。ありえない、何があった。
そんな本堂のつぶやいた言葉は周りにいた人間を気づかせるには充分であった。
「ッ!?誰だ!」
「新手!?」
本堂もその声にがする方へと顔を向ける。
片方はすぐに分かった。
何度と会ったクローン、そのオリジナルのLEVEL5、
彼女の近くにはやけに尖ったツンツン頭の青年がいる。
本堂と同い年ほどであろうか?本堂はすぐに自身の頭の中の人物と照合をはじめるがそんな人物は知らなかった。
青年は本堂を見ながら終わりを告げるかのように声をかけた。
「……見たか?学園都市最強はさっき、学園都市最弱のLEVEL0に倒された」
本堂は衝撃を受けた、いま青年はなんといった?無能力者?最弱?そんな人物が
LEVEL5を倒したというのか?何がどうあったかは知らないが
………まあ、
「どうでもいいわ、正直言って」
「ッ!?」
別段、本堂が不利になることではない。金は前金なので依頼を受けたときにもらっていたのだし長い依頼もやんなくていいとなれば逆に良いのかもしれない。
とりあえず今日は依頼の予定がなくなったので新たな依頼を受けようとタブレットの電源をいれる。その間、青年達は臨戦態勢を解くことなくずっと本堂を見ていた。
電源を入れた瞬間、電話が来た。
なんてタイミングがいいのだろうかと思いながらも通話ボタンを押す。
「はい、こちら運び屋」
『やあ、拓斗くん』
その声はよく知っていて今最も本堂の弱みを握っている人間であった。
久々更新、とりあえず電話の相手が誰かわかりましたかね?
主人公(当麻)からしたら本堂は不気味でしょうね、なんせ最強を倒したところを知っているというのにどうでもいいと言って電話を始めるのですから。