プロローグ
この世で最も科学が進んだ街、学園都市。
そこには様々な技術が揃っている。
その技術の中には人間の脳を開発をし能力者として開花させる技術がある。
ここで重要なのはあくまで素質がある人間にのみ能力はあたえられるということだ。
そして能力はその大きさでランク分けをさせられる。
能力なんてファンタジー物のように思えるがここは現代社会である。
LEVEL0から始まりLEVEL5まで、
学園都市はそのLEVELの大きさによって生徒を支えるための払う奨学金などの額を変えている。一番額が大きくなればもはや奨学金の額など優に超えているのだ。
ちなみにLEVEL5の人間たちはこの学園には"8人"しか存在せず何人かはその顔や能力の詳細さえわからない。
とここまで大まかに適当にこの都市について説明したが実は能力者の中にはその科学を必要とせずに能力を持つ人間がいる。
その名も原石といわれ気味悪がれ、捨てられ、虐待され、よくわからん組織に売られたりと散々な運命をたどるものも多い。
「そんな中俺は何一つ不自由せずにこの地位にたどついたわけだ」
そう呟いたのは黒い髪を無造作に伸ばしている少年、名は本堂拓斗。
先ほど述べたLEVEL5であり原石の人間だ。
彼がそこまでたどり着いたのは幸運という他ない。
生まれてすぐに能力が発覚した彼は親から気味悪がられていたがそれを聞きつけた学園都市の組織の一つが拓斗を迎えた、その組織は現在解散している。
それからは拓斗は組織によって育てられた。
拓斗自身はなぜこんなにも待遇がいいのか疑ったこともあった。
……が、それは8歳の頃に伝えられたことで解決する。
『拓斗、お前の仕事だ、誰にも渡すんじゃないぞ』
そういい研究員が渡してきたのは小さい箱であった。
そのころはお使い程度に思い仕事の意味も分からずに言われた通りに行動した。
もちろん絶対に他の人には渡してはダメだという注意もしっかりと守った。
これを奪うとする人間もいたが拓斗は一切の邪魔をされずに仕事を無事終えた。
その後も毎日頼まれるようになったので本堂はきっとこのために呼ばれたんだと自身を納得させた、それにそれ以外では外に出る機会がなかったので散歩のように歩いていた。
9歳の頃には自分が持っているのは能力なんだと気づいた。
しかも科学を必要としない原石ということに。
危険だといわれるものが自身に迫る時、すべてを回避してしまう能力。
【
だがしかし自身の能力の恐ろしさなどわからずに便利だという気持ちで
13歳の頃には既にフリーの運び屋となっていた。
殺しも覚えた。別に罪悪感などは全くなかった。
自分の邪魔をする人間をどけているだけ、そこに出てくる相手が悪い。
これは本堂の能力ゆえの考え方であった。
痛みなんてせいぜい成長痛ぐらいしか味わったことはないだろう。
すべて回避してしまうのだから痛みを味わせたことによる罪悪感なんて生まれない。
死なんてものにはこれほど程遠い人間もいないだろう。
本堂はフリーの運び屋。
価値なんて知らずにただただ運び続ける、なぜなら知っても意味がないからだ。
一日一回、運び続ける。
所属なんて関係ない、なぜなら彼に危機が迫ることなんてない筈なのだから。