さて、勢いで登校してきたはいいがどうするか。
さっきマッチングリストを確認したがやはり、俺の名前はしっかり載っていた。
そして俺に見えていると言う事は黒雪姫さんにも見えているということ、まだ接触してこないとは思うがやはり心配だ。
まぁ今日は、いつもの倍おとなしく生活するとしよう。
黒雪姫side
私の学校には、本人は気づいていないようだがなかなかの有名人がいる。
その者は、自分では目立っていないつもりなのだろうが、いつも困っている人を見ると助けないと気が済まないらしい性格をしているようで、行く先々で生徒を助けている。
そのおかげで『梅郷中学校のブラウニー』という異名を持っている。
何を隠そうこの私も助けられた1人だ。
あれは私が生徒会に入ったばかりの時だ。当時まだ生徒会では新入りだった私は所詮下っ端としてプリントを運ばされていた。
だがそのプリントの量は私にとっては少し多すぎた。そして、プリントを廊下にばら撒いてしまった時に現れたのが彼だ。
「大丈夫、ごめんね直ぐに気ずいてあげられなくて。」
「いや、なんで君が謝るんだ。これは私の力不足で起こったことだ君が気に病むことなんて何もないだろう。」
「いや、でも俺がもっと速く来ていたらこんな事にはならなかったかもしれないし……まぁそれは今はいいとして手伝うよ。」
「いや、遠慮しておくこれは私に任せられた仕事だ自分の力でやる。」
しかし、そんなこと言ってる間に彼は素早くプリントを集めていた。
「何処まで運ぶの?俺が持っていくよ。」
「いや、だからいいと「いいから遠慮しないで」むぅぅ…分かったならば好きにするがいい。」
私はこの時、自分の言葉を遮られてことに少し腹が立ってこんな事を言ってしまった。
「しかし、一度手伝うと言ったからには最後まで手伝ってもらうぞ、これ以外にも仕事があるんだそれもやってもらおう。」
私は彼を追い払うために半分冗談でそんなこと言った。
「わかったよ後は何が残ってるんだ、これを運び終わったら全部やっておくから教えてくれ。」
「ちょ…ちょっとまて1人で全部やるつもりなのか?」
「うん、困ってる人はなるべく助けたいと思ってるんだ。」
彼はなんてことない顔でそんなこと言ったので私は少しおかしくなって笑ってしまった。
「フフッ君は大馬鹿者だな、私の負けだよ。君に手伝ってもらうことにするよ、ただし半分は私が持つ。」
「馬鹿はひどいなぁ、それに心配しなくてもこれぐらい持っていけるよ」
「そういう問題ではない私の気持ちの問題だ。いいから早く渡したまえ。」
「わかったよ君も大概、頑固だね。」
「頑固とは失礼な私はこれでもおしとやかな乙女のつもりだ。」
そんな言い合いをしていると違いに笑いがこみ上げてきてしまった。
「ハハハッ」
「フフフッ」
「君とのお話も楽しいけど今は、このプリントを運ぼうか。」
「ああそうだな、それに話は歩きながらでもできる。」
こうして私は彼と一緒に職員室までプリントを運んだ。
「失礼します、先生プリントを運んできました何処に置けばいいですか。」
「おぉありがとうな、それにしてもこんな量よく運んで来れたな。」
「いや私だけで運んできたわけではないんですよ。彼が一緒に運んできてくれたんですよ………って居ない⁉︎」
「あぁもしかしてその彼って、赤髪だったか?」
「はい、先生知ってるんですか?」
「知ってるも何も教師の間では結構有名だぞ。いろいろなことを率先して手伝ってくれるし時には、学校の機材を直してくれたりするんだ。」
「へぇーそんな事をやっていたんですか。あっ…そういえば私彼の名前を聞いていません。」
「あぁそれなら教えてやるよ、あいつの名前は衛宮士郎、通称梅郷中学校のブラウニーだぞ。」
「衛宮……士郎……」
私はその名前を職員室から出た後も心の中で繰り返していた。
あれは、我ながら、安いとは思うがきっと一目惚れだったのだろう。それに、あれ以来彼とはあまり話していないのにも関わらず私の気持ちは強まる一方なので一時の気の迷いという訳でもなさそうだ。
そんな事を思い出していると前にやけに挙動不審な彼が廊下を歩いていた。
私は、何故かそんな彼を見ていると何故か途端に彼に悪戯したい衝動にかられた。
「わっ‼︎」
そんな普段は出さない大声を出して私は彼の背中を押した。
どうだったでしょうか。
以前、感想にヒロインはいますか?と聞かれた際今はまだ未定と返しましたが、考えた結果、黒雪姫さんをヒロインにしようと思います。これにより原作が大幅に変わるというわけではないです。せいぜい、春雪くんと黒雪姫先輩の関係が仲のいい先輩後輩になるだけです。
それとうちの士郎君は原作の士郎君ほど正義に執着していません。せいぜいものすごくいい人止まりです。
次は士郎君サイドの話になると思います。
では次回もよろしくお願いします。