この超ポジティブまぬけがっ!   作:甚三紅

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承太郎の扱いが酷いです、KY太郎です。ごめん承太郎!
こんなん承太郎じゃねぇよ!てくらい酷い事言ってるので注意!!

DIO様激おこするの巻。
ディオ視点→ジョナサン視点。


てめーはおれを…以下略

さて、オレは常々シーザーを犬だ犬だと言っているがそれはおれの所有物であるが故の気安さだ。二回目のジョセフも犬かよ、などと言っていたが「本っ当にシーザーちゃんてばディオが大好きね!」的なニュアンスなのでまぁいい。

話は変わるが、おれはおれの所有物と認めたものをコケにされるのが嫌いだ。それは即ち、持ち主であるおれを所有物を通して馬鹿にしたという事だからだ。決して許す事は出来ない。

つまり何が言いたいかというと…

 

「『てめーはおれを怒らせた』てやつだ、泣いて詫びろ」

 

加減なく頬を殴り抜いたために唇を切ったらしく、膝をついている承太郎の口元は血で汚れている。対しておれは怒りから笑みすら浮かび、髪をかきあげながら無様な姿をさらす承太郎を見下ろしている。短気を起こさないようになったと思っていたがそうでもなかったらしい。

場所は校内の人通りのない廊下、周りには驚きに目を見開いたジョセフとシーザー。

今の今まで、機嫌の悪い時ですら安易に手を出さなかったのは色々と面倒だという思いが強かったからだ。だが今回はそれを怒りがあっさりと追い越した。こいつが呟いたのはたった一言だったがこれ以上ないくらい馬鹿にされたのだから当然といえる。

 

承太郎はすぐさま強くおれを睨んで流れた血を乱暴に拭いながら立ち上がりその右手をふるう。当然このおれがそのままやられる筈もなく、殴る蹴るの肉体言語による話し合いに突入した。

 

 

互いに息が切れ中々に酷い有様になった頃ようやく喧嘩は終わる。承太郎はジョセフに羽交い締めにされ(流石のジョセフも承太郎相手には手こずっていた)、おれはジョジョに真正面から止められた。シーザーが慌てて呼んできたらしい。

承太郎はジョセフに引きずられ家に帰り、おれは保健室へ連れていかれる。確かにここまでやり合ったおれたちを一緒の部屋で治療など出来るはずがない。

 

自分で治療をすると言ったのだが怪我人は大人しくしていろと言われ、おれは渋々椅子に座りジョジョの手当を受けている。にしても本当に不器用だなお前、逆に傷が広がっているような気がするぞ。放っておけば再生する吸血鬼ではないというのに傷を広げてどうする、やはり自分でやれば良かったと思ったが今更遅い。

 

「ディオが自分から手を出した上ここまでやるなんて、承太郎が余程の事を言ったんだろうね。ぼくが知ってる彼らと別人なのは理解してるけど…」

 

情けないまぬけ面をしながら顔の治療を続けるジョジョが不意に呟いた。こいつはこいつなりに色々と悩んでいるのだろう、無意識の内に手に力が入ったのか消毒液が飛び目に少量入ってきた。洒落にならないほど痛い。

 

「っっ…!」

 

こいつの前で悲鳴を上げるなど冗談ではなく奥歯を噛んで声を飲み込む。が、生理現象の涙までは堪えきれず非常に痛む目からは消毒液を流し出そうと涙がこぼれた。

 

「ディオ…」

 

そんなおれを見たジョジョが悲痛な顔をして手を止め、治療道具を置いて強く抱き締めてきた。

貴様今度は何を勘違いしている!?

怒鳴りつけてやりたいが体中が痛む上この馬鹿力に締め上げられろくに声も出せない。

こうなってはこいつが落ち着くのを待つしかない。本気で体が痛いのでさっさと離して欲しいのだが暫くは無理だろうな。今のこいつを引き剥がすなど時間と体力の無駄だ。

早々に諦めて体の力を抜く事にする。さっさと落ち着けこのまぬけ。

 

 

後日、ジョセフから今回は承太郎が完全に悪いとの証言があったようでシーザーには素直に、おれにはかなり嫌々ながら承太郎は謝罪してきた。

おれを殺した事を含め誰が許すかッ!

 

 

 

- - - - -

 

 

 

酷く慌てたシーザーくんに呼ばれて現場に着いた時、ぼくは酷く驚いた。なぜならディオが…あの気の長いディオが手を出していたからだ。

大抵の事は笑って流すしかなり苛ついても最終的に手を出した事なんてぼくが知っている限りほとんどない。そんなディオが?

シーザーくんに詳しく話を聞けば、承太郎がシーザーくんに向かって「てめーにプライドはないのか」なんて言ったらしい。

ああそうか、ディオはシーザーくんが馬鹿にされたからあんなにも怒っているのか。納得した。そういえばディオが流すなりなんなりしていた時はディオ自身に向けられた言葉や態度ばかりだった、他人のために怒るなんてディオは相変わらず優しい。

 

「兄貴!ちょっ、ディオ止めて!!」

 

必死に承太郎を止めようとしているジョセフの声にハッとする。そういえば今は生身の人間なのだ、怪我をしたら中々治らない。早く止めなければ!

喧嘩をする二人の間に入りディオを抱き締めるようにして止める、当然ディオはぼくを振り切ろうとしたけれど腕は緩めなかった。

 

 

ディオは一番目立つ顔にはあまり傷を作っていなかった、その分ガードに使ったであろう腕は痣だらけで酷いものだったけれど。

こんなにも痛々しい姿をしている相手が自分で治療をするなんてもってのほかだ、当然ぼくが治療をする。シーザーくんには気にしないように言って家に返した。

 

手を動かしながら考える。彼らはぼくたちが知るジョセフと承太郎とは別人だと頭では理解している。理解しているけれど、愛する家族が本気の喧嘩をする様子は見ていて悲しくなってくる。

以前ならば絶対に有り得ない事だった、彼らはディオを愛していたしディオも彼らを愛していた。じゃれあって怪我をする事はあったけれど、必ず最後には笑顔があったのに…。

 

ぼくは知らず言葉にしていたようでディオの顔が痛みを堪えるように歪む。そして次の瞬間、彼のその綺麗な青い目から一滴だけ涙がこぼれ落ちた。

そうだよね…ディオが一番辛いに決まっている。彼らが別人なんて百も承知しているだろう。けれどあんなにも慕っていた彼らと全く同じ姿、声で罵倒され嫌われて殺気まで向けられて辛くないはずがない…!

ましてや今回は大切にしている人に酷い言葉を吐かれたのだ、きっとシーザーくん本人以上に怒り悲しんでいるのだろう。

たった一滴の涙にぼくこそが泣きたくなった。以前の子供の時からそうだ、辛い事も悲しい事もディオは全て飲み込んでしまう。きみの辛さや悲しみをぼくにも分けて欲しいのに…そう思いながら抱き締めるとディオは体の力を抜いた。

彼の精一杯の甘えにぼくは更に腕に力を込める、きみは生き方が不器用すぎるよ。

 

 

後日、一応ジョセフからも話を聞き事の顛末をきっちりと花京院くんにも伝える。ディオは絶対自分からなんて言わないからね。

花京院くんと二人がかりでOHANASHIした結果、反省したらしい承太郎はちゃんとディオにも謝った。

 

できる事ならジョセフと承太郎にはディオと仲良くして欲しい。今回だって大切な家族だし、何よりディオが辛そうなのは嫌だ。

けれど…もしもがあれば、ぼくはディオをとると確信している。

今はない牙を思い出すように自分の唇に触れながら静かにそう思った。




DIO様は二人が完全に別人だと理解してるし納得もしてるので、ジョセフと承太郎の容姿が同じで態度が真逆な事は全然気にしてません。いざとなったらさっくり殺れる程度には。だってこいつら元々敵だし?という感じで。

久々に勘違い成分を入れようとしたのですが失敗。元祖ツンデレライバル(笑)な野菜王子みたいになってしまった…。

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