黒き殺意の凶弾   作:粉プリン

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プネウマの花

現在俺は第35層の森に来ている、既に半分以上の層が突破されている状況でなぜこんな下層に来ているかというと、あるギルドの生き残りの男から依頼されたからだ。自分のギルドのメンバーを殺されたから復讐がしたいと。しかも全財産を払って監獄エリアに繋がっている回廊結晶を持たせてくれる程だ。

 

「……確か、タイタンズハンドだったか」

 

聞いた話だとオレンジギルドのリーダー格がこの層にいると噂されているがそれでもこのSAOの中から一人の人間を探しだすのは骨が折れる作業だ。まぁ

 

「……当たりはついてるんだがな」

 

「さっきからアンタ何ブツブツ言ってるのよ」

 

考え事をしていると目の前の女が話しかけてきた。ロザリアと言う女で今いるパーティーのリーダーだ。それと同時にタイタンズハンドのリーダーとの噂もある。偶然かもしれないが確かめるだけの価値はあるだろう。

 

「それでシリカちゃん抜けちゃいましたがいいんですか?」

 

「いいわ、別にあの子がいなくても変わらないし。今日はこれで終了よ。何かあったら知らせなさい」

 

そう言ってロザリアは一人先に帰り始めた。他のパーティーメンバーも帰り始めているので俺も帰るか。

 

 

 

 

 

 

 

次の日、起きるとロザリアからメッセージが届いていた。

 

『仕事があるから、47層のフィールド門前に来なさい』

 

「……当たりか?」

 

この仕事というのがタイタンズハンドとしての仕事なのかどうかは判断がつかないが、何かあるのは確かだ。なら行くべきだろう。装備品とアイテムの準備をして47層のフィールド門前に来るとロザリアが待っていた。

 

「……何をするんだ?」

 

「これからアンタ達であるパーティーを襲ってもらう。目標はレアアイテムよ。良いわね?」

 

ビンゴ、これで確証はとれた。ロザリアがタイタンズハンドのリーダーなのだろう。

 

「……了解した」

 

しかしこいつ存外アホではないだろうか?入って一週間程度のやつにいきなり犯罪行為に手を貸せと提案するものなのか?そのお陰で尻尾を掴むことができたのだから、なんとも言えない感じだが。

 

「ここで来るまで待機、準備しておきなさい」

 

命令が出ると各人木の影に隠れつつ装備品などの確認をしていた。ここに来るまでに殆どの準備は終わらせてきたので、ジャッカルを出した状態で木の影に待機していた。余談たがこのパーティーに入った時から銃は使っていない。サブで上げていた鍛冶スキルが最大まで溜まったので新しい武器を作っておいた。幅広の出刃包丁の様な見た目になってしまったが、一応上層でも通用する曲刀が作れたので大方満足だった。更にだが他のプレイヤーと比べるとレベルとスキルの上昇率が格段に速かった。おそらく神が勝手に付与した能力だと思うが、これのせいで一度アルゴに怪しまれているので今度あったらあの神を絞めておこう。

 

「来たよ、囲みな!」

 

ロザリアから合図が出るとこちらにやって来た男女の組を囲むように他の面子が動き始めた。ものの数秒で包囲が完成したところからこのようなことに慣れているのだろう。

 

「そこに隠れてるアンタ、出てきたらどうだ?」

 

すると、黒い服を着た男のほうが明らかにロザリアの隠れている木を見ながら話しかけてきた。相当の索敵スキルの所持者なのだろう。俺は隠密スキルをカンストさせているのでバレていないようだが。

 

「へぇ……私を見つけるだなんてやるじゃない」

 

「ロザリアさん?!なんでこんなところに」

 

「あらシリカ、無事にプネウマの花は取ってこれたのね、関心よ。………ならそれを渡しなさい」

 

プネウマの花と言うのが今回の目的のレアアイテムなのだろう。そう言えば昨日はシリカがパーティーから抜けたがその時に連れていたフェザーリドラが見当たらない。なにか関係してるのか?

 

「悪いがこれは渡せないな、ロザリアさん。いや、タイタンズハンドのリーダーって言えばいいのか?」

 

驚いた、あの男も俺と同じ目的らしい。

 

「ふん、渡さないならこっちも手段は選ばないよ。アンタ達やっちまいな!」

 

木の影から飛び出したロザリアの部下が黒い剣士に斬りかかるが男はその場から動かない。あれは多分与える攻撃よりも自動回復する方が早いのだろう。そのまま部下たちは武器を壊され戦意を失ったようだ。

 

「さて、お前の部下は倒した。観念するなら今のうちだぞ?」

 

「ま、まだよ!出てきな!出番だよ!」

 

どうやら俺の出番らしい。このまま帰ってもあの剣士がロザリアを捕まえるだろうが一応俺も依頼されている。ならばロザリアを捕まえる手伝いくらいはするか。

 

「まだいたのか?索敵には引っかからなかったが……」

 

「……悪かったな」

 

「れ、レッドさん?!なんでレッドさんもロザリアさんと一緒に?!」

 

シリカも驚いていた。あまり関わりはなかったが、向こうから何度か話しかけられてたのだがこんなところにいるとは思わなかったらしい。どんなふうに思われていることやら。

 

「アンタ、アルゴが言ってた銃使いか?」

 

「……知らない奴に自分のことを言うとでも?」

 

「そうか……なら、力ずくで聞き出させてもらうぞ!」

 

そう言いながら剣士が斬りこんでくるがこちらは銃、どっちが有利かだなんて考えるまでもなかった。そのまま、銃スキルのパラライズバレッドで麻痺状態にしておいた。そのままシリカも麻痺状態にし、プマネウの花を手に入れた。

 

「よくやったじゃない。さぁさっさと行くわよ」

 

「……あぁ」

 

「ま、まて。どこに行く気だ!」

 

「どこってアジトに帰るのよ。じゃあね、黒の剣士さん」

 

ロザリアと共に転移結晶を使ってアジトに戻った。

 

 




オリジナルスキル

パラライズバレッド 敵を麻痺状態にする弾を撃つ。他にも毒や弱体化などの種類がある。

シリカから花を奪えたのは麻痺らせて腕を操作してトレードさせる方法です

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