「さて、今回はマトモな奴だと助かるんだけどな…」
すべてが真っ白の部屋で銀髪に紅目の男が呟いた。男は過去に死んだ人をアニメやゲームの世界に転生させていた。しかしその悉くが神である自分を崇めずただの痛い厨ニ病患者にしか見ていない。しかもその上におちょくってくるのだから堪らない。
「来たか、どうか高望みはしないからまともな奴で頼む」
「……ここは?」
目を開けると知らない場所に立っていた。
「……確か俺は死んだはずだ」
男は傭兵で戦場で敵国のスナイパーに頭を撃たれて死んだはずだった。しかしよくわからない場所で自分が生きているということに男は少なからず動揺していた。
「来たか、とりあえず説明からしよう」
声が聞こえたと同時、腰のホルダーから銃を抜き……死んだからなのか銃はそこにはなかった。
「い、いきなり物騒なことするなよ。ビビるだろうが」
「……ここはどこだ?」
「ここは死後の世界に行く途中って言えばいいか?まぁめんどくさいことは置いといて用件だけ言おう。あんたにはこれから転生してもらう」
「……転生?」
「そう、行き先はすでに決まってるんだけどね」
「……そうか」
「………自分で言うのも何だけどもうちょっと驚いたりしないのか?」
「……任務中にいちいち驚いていたら死んでいる」
「そ、そうかい(静かだから良かったと思ってたけど、とんでもない奴だよこいつ!)」
「……それだけならさっさと行っても?」
「まだだ、アンタには特典を決めてもらわなきゃな。まぁ特典って言うのはあんたに与える能力みたいなもんだな。転生する時にだいたいもらうオマケみたいなもんだ」
「……銃が扱えればそれでいい」
「もっと他にないのか?前の奴は図々しいくらい言ってきたぜ?」
「……他に思いつかないだけだ、強いて言うなら強ければなおいい」
「………本人が言ってるんだしいいか。それじゃあ、行ってらっしゃい」
その言葉と共に傭兵は姿を消した。
「今度のやつは案外まともな性格だったな」
髪は手元に置かれている紙を見た。そこには傭兵の過去のことが書かれていた。
「東洋の殺戮者、ミンチメーカー、黒い凶弾、死神、ヤバい呼び方ばっかりだな。今更ながらアイツをあそこに送ってよかったのか……」
神は今日も一人で悩んでいた。
男は目が覚めると周りの状況を確認した。戦場ではいつ敵が出てくるか分からない、それは男が培った経験則からくる行動だった。
「……手紙か?」
こじんまりとしたアパートのような部屋にパソコンが一台とその他の雑多な家具に囲まれた場所で黒い封筒が目立っていた。
「……あいつからの手紙のようだな」
『やぁ、これを見てるということは無事に転生できたわけだけど、早速動いてもらうよ。今日の一時からソードアートオンラインというゲームの正式サービスが始まる。君にはそれに参加してもらう。詳しいことは同封されているゲームの説明書を読んでくれ。では頑張ってくれ、名無しの傭兵
神様より」
「……つまりゲームの中で戦えということか」
男は戦えるなら場所は選ばない正確だったのでさほど問題はなかったが説明書を読んでいて不安になった。
「……このゲームに銃は出ないのか」
どうやらソードアートオンラインというゲームは剣が主体となっており魔法や銃といった遠距離の武器はないようだ。神と名乗ったあいつに頼んだので平気だと思うがそれでも男は不安になった。願いが叶わなくなることにではなく、戦えなくなるかもしれないという事に。銃がなくても男は戦える自信はあるが、出来るなら銃を使って戦いたい。男はその考えを持っていた。
「……今は必要なことを覚えるか」
「……ん?もうこんな時間か」
時計を見ると既に時間は12時50分を指していた。男はなーぶぎあと呼ばれるヘルメットのような物にゲームをインストールし、ベッド似寝た状態でそれを被った。しばらくした後男は呟いた。
「……リンクスタート」
ある程度オリジナルの√を通るので原作と矛盾が発生するかもしれませんがスルーしてくれると有りがたいです