それでもイベント開始3日でE-2乙突破。恐らく、これが投稿される頃にはE-3乙も……(慢心)
艦隊戦より航空戦が多い艦これ小説とはこれいかに。
クーガ隊の山先、戒田、バン、青笹、台場は新人との予定接触ポイントへと急行していた。敵機が新人を巻き込んで一戦交えたいようで、クーガ隊が護衛をする事になった。
『ニューフェイス、ポイント3へ接近中。』
バンが報告する。
『さあて、やっこさん出迎えるか。』
青笹は既にやる気満々で、敵が来るのを今か今かと待ち構えている。
『新入り、どんな奴らですかね。』
『ビギナって話だろ?』
『使い物になるのやら。』
台場に青笹が返答する。台場は冗談半分で言っているようだ。
『まあ、そう言うなって。仲間だろ? フォローしてやろうぜ!』
戒田が言う。
『そうだな……守りきるぞ。』
山先が言う。全員連れ帰るという決意に満ちている。間も無く予想会敵地点だ。
『前回はバッファローだったよな?』
『ファースト・コンタクトの話か?』
『今回はどう読む?』
青笹とバンは敵の機種を当てられるかで賭けをしているようだ。
『ふむ……パターンからするとワイルドキャットだろう。そっちは?』
『ライトニング!』
『閃き、か……』
『今日は絶対来る! 賭けてもいいぞ!』
青笹は自信満々に言う。しばらくすると、双発双胴の独特の形状の重戦闘機、P-38ライトニングが見えてきた。
『来た……はは!』
『そんな……まさか……』
『俺の勝ちだ! 後で何か奢れキャスリング!』
『了解……来るぞ!』
ライトニングは5機の零戦へ機首を向ける。真正面からのヘッドオンを狙っているようだ。火力はライトニングの方が上。クーガ隊には少々不利な状況だ。
『全機散開し、自由戦闘。味方を撃つなよ。』
山先から自由戦闘の指示。クーガ隊は散開してヘッドオンを回避すると、それぞれ敵の背後に回り込むべく、旋回戦に移行した。双発のライトニングは速度が速く、火力も零戦以上。だが、機体の大きさゆえに被弾面積が広く、旋回性もいいとは言えない。零戦相手には分が悪かった。
山先はたちまちライトニングの背後に回りこむと、一瞬だけトリガを引いた。7.7mm機銃がキャノピィ上部を撃ちぬき、パイロットに命中。無力化した。山先からもキャノピィに付着した血液が見えていた。
『
バンの声を無線で聞いた戒田は機体を傾けて背後を見る。次の瞬間、敵から曳光弾が飛んできた、ギリギリ当たらない。すぐさま回避機動を取り、援護を要請する。
『援護してくれ!』
『任せろ!』
近くにいた山先は戒田機を確認すると急降下し、ライトニングに真上から襲いかかる。右エンジンを狙って撃ち、エンジンから出火させた。山先は制限速度ギリギリで機首を上げる。ライトニングは奇襲に驚いたのか、戒田の追跡を諦めて回避機動に移行しようとするが、燃料タンクまで延焼。機体は突然爆発した。
『助かりました!』
『後にしろ。まだいるぞ。』
山先は右旋回して次の獲物を狙う。戒田は左へ上昇しつつ旋回。敵機の背後をとらえる。一瞬だけ射撃する。弾丸は右翼先端をへし折り、エルロンを脱落させる。戦闘不能になったと判断した戒田は離脱し、次の獲物を探す。
『もらった!』
青笹はループ中の敵を狙う。上昇で速度を失っており、格好の的だった。青笹は狙い澄まして機銃を撃つ。被弾したライトニングは左翼が折れ、そのまま失速して真っ逆さまに落ちていった。すると、パイロットが脱出。落下傘が開くのが見えた。
『こちら
『こちら
『
『群島の上を飛ぶ気分はどうだ!?』
『いいですね!』
『新鮮です。』
青笹に戒田と台場が答える。
『落ちて艦隊の面々に迷惑かけるなよ!』
『了解!』
『了解。』
そう言いながらも敵を撃墜する。エースの余裕である。
『隊長、新手です。』
バンが敵の第2波を確認した。北から接近してくる。
『各機、迎撃に備えろ。』
敵の第2波はざっと10機はいた。またライトニングだ。
『奴ら必死です!』
『新人を襲うにしては大げさすぎるだろうが!』
戒田と青笹は文句を言いながらも背後に回り込む。
『何かあるのか?』
バンが言う。
『話をしている暇があったら周りに気を配れ。撃たれるぞ!』
山先はそう言うと敵の攻撃を回避し、背後を狙う。まるで踊るように舞い、敵を墜としていく。
『クロスボウ1機撃墜! あと何機だ!?』
『おお、クロスボウも乗ってきたな!』
青笹は豪快に笑いながら敵を追う。20mm機関砲の弾が切れ、7.7mm機銃だけで応戦している。
歴戦の猛者であるクーガ隊の5人は7.7mmで動翼やコックピットを狙い、効率よく敵を墜としていく。零戦の機動性と、パイロットの腕が織りなす芸当。速度に優れるライトニングには、格闘戦に持ち込まれたところで勝ち目はなかったのだ。一撃離脱に持ち込んでも、回避されて格闘戦に持ち込まれる。開戦からずっと生き延びてきたクーガ隊はそれだけ洗練された技術を持っていた。
『ニューフェイス、ポイント2へ接近。間も無くです。』
『各機、合流前に片付けるぞ。』
戒田は敵機の真後ろにつき、エンジンを正確に狙い撃つ。片方のエンジンが止まり、トルクで機体が傾いて制御不能になったライトニングを戦闘不能と判断して見逃し、次の獲物を探す。しかし、敵機は全滅していた。ふと、傾いた機体を見ると、パイロットが脱出し、機体は海へと吸い込まれていった。
クーガ隊はそこへやってきた新人を取り囲むように隊形を整え、泊地までエスコートする。
『こちら、第67飛行隊所属、クーガだ。君たちを空母まで護衛する。』
『こちら鵜久森、以下4名。援護感謝します。』
ーーーーー
合流地点と泊地の中間地点。そこに飛龍と護衛の金剛、霧島、陽炎、皐月、吹雪がいる。飛龍はクーガ隊を確認すると手を振った。
『飛龍、こちらクーガ。着艦許可を求む。』
『着艦を許可します。安全第一でね。』
『了解。新人が先に。』
飛龍が腕の飛行甲板を構えると、新人の白い零戦21型が甲板にタッチダウン。尾部にある着艦フックを甲板上のアレスティングワイヤーに引っ掛けて急制動をかけ、止まった。すると、機体はたちまち矢へと姿を変える。それを確認した飛龍は矢を仕舞い、次の機体の着艦に備える。この技術も今のところは出所不明で、一部ではオカルティックな憶測まで飛び交う始末だった。
全機着艦し、飛龍は矢の数を数え、全員いると確認した。
「着艦終わりました!」
飛龍の声を聞いた艦娘たちは輪形陣を敷き、飛龍を護衛する。結局、泊地までは敵の妨害も何も受けることはなかった。
クーガ隊は一旦発艦し、泊地の滑走路に着陸する。新人たちが先に降り、次に青笹、台場、バン、戒田の順で着陸していく。
滑走路手前でスロットルを絞り、減速しつつ機首を上に向け、綺麗な三点着陸を披露した戒田は駐機場に機体を止め、整備妖精に機体を預ける。そして、格納庫前の山先たちを見つけると、その方へ走って行った。
「隊長! こいつらが新人ですか?」
「ああ。」
4人のパイロットは整列し、敬礼する。すると、白髪のパイロットが口を開いた。
「申告します。鵜久森、石飛、六郎、葉神、織科、辞令によりただいま着任しました。」
「あれ? 織科は?」
「え?」
すると、1人の女性パイロットが走ってきた。
「遅れました!」
そして、鵜久森たちの隣に並ぶと、敬礼した。
「申告します。織科真海、辞令により着任しました。」
ーーーーー
その頃、司令部では提督3人が雁首そろえてメテオラ隊のパイロット3人から話を聞いていた。そこにいたのは鶴保、高嘴、雛木だ。
「で、爆撃機が合流地点に来なかったのか?」
宮原はありえねえ、そんなセリフが顔に書かれているようだった。
「はい。第12戦爆連合との合流地点はいつまで経っても鳥1羽来ることはありませんでした。恐らく、深海棲艦側の攻撃により撃墜されたものと思われます。」
「そうか……で、どうなった?」
黒坂は壁に寄りかかって腕を組みながら訊く。
「最悪の一言だった。ヘルキャットの大軍に襲われて、俺らはなんとか帰ってきたんだ。少なくとも20機は叩き落としてやったが、こっちは3機食われた。」
高嘴は機嫌が悪そうに言う。仲間を墜とされたのが悔しいのだろう。
「わかった。メテオラには新人を配備する。どうやら次の敵航空隊は厄介のようだな。」
「で、どーするエリート死神さんよ?」
「一旦、守勢に回るか?」
宮原は攻撃の保留を提案し、黒坂は少し考え込む。
「クーガ、メテオラの混成部隊を艦隊の護衛につける。久坂、お前の所の艦隊に支援攻撃を頼めるか?」
「お安い御用よ。なんせ、ウチの連中は優秀だからな。」
「よし。宮原、道中の援護頼む。」
「あいよ。大湊から連れてきた隠し球にやらせる。」
「鶴保隊長、すまないが、機体の整備が終わり次第出撃の用意を。」
「了解しました。」
「おいおい、大丈夫なのか?」
宮原が不安そうに言ったその時、山先がやって来た。
「話は聞いていました。行けます。」
「メテオラも同じく。」
2人の目は自信に満ちていた。どんな敵でも蹴散らしてやると言わんばかりの気迫だ。
「わかった。任せる。」
宮原はその2人を見て安心したようだ。それを皮切りに司令部は慌ただしくなった。艦隊の出撃は明日。黒坂は編成、及び搭載兵器の確認を急ぐ。
今回はスカイクロラ イノセンテイセスの2ステをオマージュしたものになっています。
キャラ紹介
ゲーム版イノセンテイセス登場
石飛、六郎、葉神は作中で名前がカタカナ表記のみだったので、当て字でこうなりました。
コミック版イノセンテイセス登場
え?なんでスカイクロラと艦これをクロスさせようと思ったかって? ニコ動で艦これ・クロラと検索すれば理由がわかるかと思います。