機動戦士ガンダム ~さらにその先へ~   作:haneさん

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予約投稿しようと思ってたのですが、サブタイトル入力途中で間違って投稿してしまいました。



ガルパンはいいぞ。


7話 開発会議

 

色々な前振りを経て、やっとシーゲルさんと二人っきりになる事が出来た。

二人っきりと言っても18歳未満厳禁な行為をする予定は無く、サイド8の主要メンバーとサイド8についての報告と、これからの活動について打ち合わせをするだけだ。

まだまだ6歳なので、このような陰謀を計画するのも一苦労なのだ。

 

「改めて、お久しぶりです」

「リヒト君とは通信で毎日顔を合わせていたが、実際に顔を合わせるのは久しぶりだね」

「でも、急に会って話がしたいなんて、どうしたんです?」

 

サイド8の行政上の報告、MSを始めとした秘密研究所の開発状況など、定期的にシーゲルさんと通信上で議論をしてきた。

…元はただの一般人なので、シーゲルさんにおんぶに抱っこ状態なのは否定しない。

 

「ダイクン首相との会談の報告と、君に謝りたかったのでね」

「会談の報告なら通信で十分ですから、僕に謝りたかった、というのが本命ですか?

でも、シーゲルさんに謝ってもらう事なんてありましたっけ?」

 

僕が謝らなければいけない事としては、ラクス嬢や奥さんの召喚がまだだったり、シーゲルさんには内緒でイゼルローン要塞の改修計画を極秘裏に進めていたりと、色々と謝罪ネタが思いつくのだが。

 

「君に重しを背負わせてしまったからね。もう少し、君が一般人である事を考慮するべきだったし、君の補佐をする者としてフォローが足りなかった」

「僕の考えが足りなかっただけですし、権力者なら誰もが通る道です。このままザビ家の男として成長すれば何れは他人の命に責任を負う立場になっていたでしょうから、それが少し早くなっただけですよ」

「しかし、今ならまだ」

「止まりませんよ、僕は。既に3000万人の命を背負っているんです、彼らに見せた夢を実現させるには、まだまだ勢力の規模が少ない。」

 

シーゲルさんの言葉を遮るように、改めて自分の決意を口にした。

そう、僕はもう止まるつもりは無い。既に召喚した3000万人に見せた銀河大航海時代の到来という夢を実現する為にも、彼らに幸せな人生を提供する為にも、サイド8は最低でもジオン公国に匹敵する国力を手に入れる。

 

前世で上司が顧客満足度に拘っていたが、現世では僕が国民の満足度に拘る事になりそうだ。

 

「それに、僕は一人で責任を背負うつもりはありません。シーゲルさんにはそれなりの給料を支払っているので、僕と一緒に責任を背負ってもらいます」

「…給料分の仕事はこなして見せよう」

 

くっと声を上げずに口元だけで笑うシーゲルさん。

仕事が出来る人がやると、無意味にカッコいい仕草だ。

 

「この話題はこれまでにして、早く前向きな話をしましょう」

「それでは、ここからサイド8と通信を繋げて皆にも参加してもらう」

「会議システムを立ち上げますね、皆さんは待機済みですか?」

「もう少しで会議が始まると個人端末で連絡を入れておいた」

 

何時の間に連絡を入れたのだろう? そんな疑問を思い浮かべながら僕個人部屋に設置されたPCを起動し、会議システムを起動する為のソフトとパスワードを入力。

最後に虹彩認識と指紋認証をクリアすれば、デスク上に複数のディスプレイが現れる。

 

このディスプレイはナデシコに登場したコミュニケを利用しており、AR拡張現実として画面が空中に表示されるという技術だ。

これも召喚した道具であり、量産の為に秘密研究所で研究中の技術でもある。

もっとも似た技術を別途研究中なので、これがこのまま製品化されるとは限らないのだが。

 

「おや、思ったよりも早かったですね」

「本当、もう少し時間がかかると思ったんですが」

 

画面に複数の男女が映し出され、声が聞こえてくる。

画面に映る背景は2パターンあるので、何時も通り複数の場所からのTV会議になるようだ。

 

 

「フルメンバーかと思ったんだけど、全員じゃないんだ」

「アルスター外交官は出張中、文人総監は警察での会議中だ」

 

欠席しているアルスター外交官はガンダムSEEDに登場したフレイの父親ジョージ・アルスターだ。彼は穏健派とは言えブルーコスモスの一員なので、コーディネイターへの確執を消去した上で召喚しており、サイド8と連邦政府の交渉を一手に引き受けてもらっている。

ディランダル議長は使用ポイントが高かったので候補外としたのだが、正直アイリーン・カナーバ女史と悩んだのだが覇権国家に属していたアルスター外交官の方が相手の思惑を読みやすいだろうとアルスター外交官を召喚した。

 

文人総監は通称であり、当然本名があるのだが本人が文人総監を名乗っているので誰も本名で呼ばない。

警察行政を任せるために召喚したのだが、登場作品でも本名が登場しないキャラクターなので召喚ポイントが低く、お買い得物件として召喚している。

一応警視庁のトップにまで上り詰めたエリート官僚なので知名度が低いわりに仕事をこなしてくれる優秀な人だが、何故か影が薄い人でもある。

 

 

折角なので、この会議に参加しているサイド8の主要メンバーを紹介しよう。

 

まずは、ユーリ・アマルフィ。シーゲルさんと同じく元プラント最高評議会議員であり、工学エンジニアとしてMS開発に関わっていたので召喚した。

現在は秘密研究所の所長として、様々な研究を統括してもらっている。

…シーゲルさんを若返らせているので、アマルフィ所長も同年齢になるようにして召喚した。

また、本人の希望で奥さんと、戦争の記憶を消したニコルを召喚している。

 

次に秘密研究所の各部門長を召喚しよう。彼女らは全員オリジナルキャラクターとして召喚しており、各部門の開発に必要な知識と経験、マネジメント能力を付与した才女である。

それと、一般人については付与する能力と人数を指定してランダム召喚しているのだが、主要メンバーは容姿から名前まで指定して召喚している。

まあ、絵心とかネーミングセンスが無いので、某ゲームキャラクターをモチーフとしている。

簡単に言えば、ゲームなどのキャラエディットにおいて好きなキャラクターを作成し、僕の考えた最強設定を付与したような物だ。

 

艦船研究部門のディーナ・ウィザースプーン。MS研究部門のステラ・ブラヴァツキ。支援兵器及び情報技術研究部門のジリアン・マキャフリー、異世界技術研究部門のクラリス・パラケルスス、彼女達が秘密研究所の頭脳と言っても過言ではない。

彼女達の下にそれぞれ数百人のエンジニアが働いており、秘密裏に技術開発を進めている。

 

それと兵器開発には専門家の意見も必要だし、自分達が使用する兵器の開発から参加させるべく軍人も開発に参加している。

軍事組織がまだ存在しないサイド8ではあるが、将来的には彼らが軍事を担っていく事になる。

そんな軍人の代表がレイ・ユウキ。彼もガンダムSEEDに登場したキャラクターで、ザフト特務隊FAITHの隊長、軍組織として特殊な形態だったザフトの実質的な総司令を務めていた人物だ。

ユウキ隊長の下に三人の幹部を配置しており、この三人は秘密研究所の四人の部長と同様に知識と経験、技術を付与したオリジナルキャラクターとして召喚した。

まあ、こちらも某ゲームのキャラクターを参考にしているのだが・・・

 

ます、艦船部門を主に担当しているディートリヒ・ベルク、次にMS部門を主に担当しているリヴェータ・イレとルドヴィカ・ロアの女性コンビ。

この三人がユウキ隊長の元、前線指揮官としてサイド8の軍事を担う事となる。

 

また、召喚したオリジナルキャラクター扱い(外見と名前、設定を完全にパクっているが)で召喚した7人は女性陣が15歳、男性であるディートリヒのみが20歳の設定で召喚しており、全員が念能力者となっている。

これは、一年戦争時の年齢を若くしたかったのと、別人と分かっているが好きなキャラクターが老いた姿を見たくなかったからだ。

 

このような会議の場でしか交流が無いので彼等の念能力の詳細は不明だが、噂ではリヴェータは特質系で敵の時間を一時的に止める『発』を持っているらしい。

 

それと軍人枠で召喚した人物の中には、銀河英雄伝説のシンクレア・セレブレッゼもいる。彼は衛星ヴァンフリート4=2に存在する同盟軍の後方基地の司令官をしており、かの有名なキャゼルヌ先輩の前に後方勤務のスペシャリストとして同盟軍で腕を振るっていた人物だ。

キャゼルヌ先輩と一緒で軍指揮官としての能力は皆無だが、そういう能力は求めていないのでサイド8でも補給の達人として腕を振るってもらうつもりだ。

 

「本日の議題だが、ダイクン首相との会談の報告と、各自の開発状況を報告してもらいたい」

 

と、会議が始まってしまったようなので、紹介はここまでにしよう。

本来なら内政を担当する人物もいるのだが、彼等は別の機会に紹介したいと思う。

 

「まずは私から、ダイクン首相との会談の報告から始めよう。会談の内容自体は事前に事務方で取り決めた通り、互いの領土を確認し尊重しあう事で合意した」

「会談後の会見をニュースで見ましたので、そのあたりの事は把握しています」

 

よくニュースで流れる政治家同士が笑顔で握手する姿と、ジオン共和国とサイド8が互いに領土を確認した事を発表するニュースをTVで確認している。

このニュース映像はサイド8でも流れたので、この会議の出席者は全員知っているはずだ。

 

「実は会談中、ダイクン首相から通商条約を締結してはどうかと提案があった」

「…流石に連邦政府が黙っていないでしょう。特にジオン共和国は地球連邦の経済制裁下にあります」

「リヒト君の言うように、連邦は黙っていないでしょう。今回の会談についても、事前にアルスター外交官が連邦に対して根回したからこそ、ジオン共和国との交渉許可が許されているのです。クライン議長、これは断るべきです。仮に締結するとしても、今は時期尚早すぎます」

「アマルフィ所長。今の私は最高評議会議長ではなく、サイド8自治政府首相だよ」

 

シーゲルさんとアマルフィ所長、ユウキ隊長は召喚前からの付き合いなので、稀に昔の役職名で読んでしまう事がある。

大抵はシーゲルさんが議長と呼ばれ、苦笑と共に否定するのがお決まりのパターンとなっているようだ。

 

「実際問題、サイド8は地球連邦から自治権を得ていますが外交権は無いですよね?」

「良く勉強しているね、流石私の生徒だ。一般的に独立国の定義として自治権と外交権があるが、我等がサイド8は自治権しか承認されていない」

「それも、制限された自治権だがね」

 

サイド8には自治権が与えられているが、一定の制限が設けられている。

例えばシーゲルさんは首相だが、シーゲルさんの上に国家元首として大統領がいたりする。

大統領は地球連邦政府の指名により決まり、サイド8自治政府及び議会に対して一定の権限を有しているのだ。

また、他のスペースノイドと同様、サイド8市民は地球連邦議会への参政権を持たず、他サイド及び月面、地球への移動を制限されている。

ただ、サイド8の税収から10%の上納金を地球連邦政府に収める事で、残りの90%の税収をサイド8自治政府が議会の承認の元、地球連邦への報告義務や監査を受ける事無く自由に使用する事が可能となっている。

これは僕の召喚により手に入れた資材、技術などに対する資金の流れを隠す為の処置である。

それと一定以上、具体的にはサイド8防衛に必要な最低限の軍備しか認められていないので、他サイドへの攻撃能力を持つ事は許されていなかったりする。

 

「紐付きですけど大統領は忍者の活躍で傀儡になっていますし、まだまだサイド8は国として独立するには幼すぎますからね」

「それでも、何れは豚共から独立するつもりなんでしょ?」

 

画面に映るリヴェータの獰猛な笑みに内心ビビりながらも、何とか彼女の問いに答えようとする。

が、あまりの迫力と、予想以上にモチーフにしたキャラクターの性格を引き継いだ彼女への驚きで声が出ない。

・・・予定では綺麗なお姉さん属性だったはずなのだが、ドS属性が強すぎ無いか?

 

「最低でもペースコロニー建造の第5次建造を終え、人口4億を超えた後の話だよ」

「首相、そういうの要らないから。戦うの? 戦わないの?」

「リヴェータ、首相に失礼だろう」

「なによ、ルドヴィカ。良い子ぶっちゃって」

「なに、貴様よりも育ちが良いからな。自然とこうなってしまうのだ」

 

前から思っていたけど、リヴェータとルドヴィカの仲は悪い。

彼女達にも部下がいるのだが、上司達の仲が悪い為か部下同士も仲が悪い。

まあ、ガンダムのギレンとキシリア、ドズルみたいに足を引っ張り合うような感じでは無いし、いざとなればディートリヒが二人を止めるので問題無い。

・・・はずだ。

 

「平和的な解決も模索しますが、最悪はサイド3との軍事同盟を視野に入れ、地球連邦政府への宣戦布告もありえます」

「それを聞いて安心した。これから本格的に牙を研ぐのに、研いだ牙を振るえないんじゃ悲しいもの」

 

なるべくなら研いだ牙が振るわれない事を望むのだけど、歴史が原作通りに進めば振るわざる負えなくなる。

その為にも、地球連邦、ジオン公国よりも10年進んだ技術を手に入れ、両者よりも優位に立つ必要がある。

 

「しかし、ダイクン首相は通商条約締結なんて話題を出したんでしょうか?」

「彼はスペースノイドが団結し、アースノイドを目覚めさせる必要があると」

「団結するのは正しい事なのでしょうが、それによりサイド8がどのような被害を受けるのか考えているんですかね?」

「ジオン共和国国民のリヒト君には酷だが、ダイクン首相は『正しい事』を実施した結果生じる犠牲は尊い犠牲と考えているようだ」

「…理想を語るのはその人の思想信条の自由があるので批判しませんが、自国民に犠牲を出すのは為政者として失格なのではないでしょうか?」

「他国民だから良いんじゃないの?」

「リヴェータ、揚げ足を取らない」

 

僕がシーゲルさんに学んだ為政者としての姿勢と、ダイクン首相の姿勢に乖離があるように感じる。

まあ、昔から政治家、為政者というより宗教家といった印象を受けていたけど。

将来的には密貿易で資源を流そうかとも思ったけど、止めた方が良いかもしれない。

ギレン兄さんと違った意味で、ジオン共和国を滅ぼしてしまう人物だったりするのだろうか?

 

「最も通商条約締結の話題もデキン殿が止めてくれたので、無かった事になっているがね」

「ジンバ・ラルが父を睨む光景が目に浮かびます」

「彼はダイクン首相の偉大なイエスマンで、ダイクン首相を肯定する事で権力を手に入れた御仁です。人種差別を承知で発言させてもらえば、プラントにはいなかったタイプです」

「…アマルフィ所長」

「申し訳ないです、議長」

 

SEED世界での発言なら大問題だろうが、ここにはコーディネイターとナチャラルの差別など無いので誰もアマルフィ所長の発言を気にする事は無い。

それでも、同じコーディネートとして元プラント最高評議会議長としてシーゲルさんはアマルフィ所長の発言を足しためた。

 

「犬はNo2になりたがるから、リヒトの親父が目障りなんだろ」

「ああ、だから貴女は私を目の敵にしているのね」

「ルドヴィカ、それは自分が軍のNo2だって言いたいわけ?」

「私は事実しか口にしない」

「アンタは何時もそうやって上から見下して!」

「仕方ないじゃない。リヴェータ、何時も貴女が下にいるのだもの」

 

…ディスプレイ越しだけど、リヴェータとルドヴィカのオーラが見える。

何時から僕は凝を習得したのだろう?

 

「…私の話は以上だ、次の議題に進もう」

 

流石シーゲルさん、二人の喧嘩に呆れながらも会議を進行している。

あのオーラにも物怖じしないとは、サイド8の行政を任せられるのはこの人しかいないよ。

 

「では、私からMSの開発状況をご報告致します」

 

今まで沈黙を守ってきた秘密研究所のメンバーから、まずはブラヴァツキ女史が椅子から立ち上がった。

女史という敬称を使うと大人の女に見えるが、容姿も年齢も少女なので間違い無いように。

 

「既にリヒト坊やの耳には入っていると思うけど、ザク2とジムのコピー生産に成功したわ。原作通りのスペックで良いなら、生産ラインさえ揃えれば量産可能よ」

「生産したザクは私のハーツ・オブ・クイーンが、ジムはルドヴィカの騎士団連中が実働テスト中よ」

「テストを始めたばかりなので、まだ問題は出ていません。一通りのテスト終了後、我がグラン・ファランクス騎士団でMS戦の戦術研究を開始したいと思います。何処かの荒くれ集団では、研究などという高尚な行為は出来ないでしょうから」

「ルドヴィカ、その荒くれ集団とは私のハーツ・オブ・クイーンの事を言っているのか?」

 

何だろう、この二人は喧嘩しないと呼吸出来ないのだろうか?

泳いでいないと呼吸出来ない回遊魚の仲間なのか?

 

「平行してフィールドモーターシステムと流体パルスシステムの比較試験を実施します」

「・・・二人の事はスルーなんですね」

 

隣の喧嘩を華麗にスルーし、ブラヴァツキ女史が報告を続ける。

彼女の表情は自然体で、隣で続いている喧嘩を完全に無い物として扱っている事が良くわかる表情である。

 

「比較試験後、どちらの駆動システムを採用するのかを検討。その後、ザクをベースに量産型MSを設計します」

「比較試験に1年、検討に3ヶ月の期間を予定しています。量産MSの設計にはルドヴィカ女史の戦術研究結果も盛り込みますので、要件定義、設計で最低5年の時間がかかるかと」

「問題無いです。MSが必要になるのは宇宙世紀0079年の予定です。欲を言えば、この時点で第二世代汎用量産型MSが配備出来ていると良いんだけど」

 

今は宇宙世紀0061年なので、原作通りなら開戦まで約18年ある。

…今の連邦軍なら70年代軍備増強計画の前なので、開発・製造という過程を省略できる召喚で軍備を整え独立戦争を挑む選択肢もありえる。

ただ、一時的に地球連邦に勝利しても、その後が続く保証が無い。

僕の、サイド8の目標は地球連邦に戦争で勝事ではなく、銀河大航海時代の一翼となる事なのだ。

銀河大航海時代への過程として独立戦争は考慮しているが、独立戦争後は独立したサイド8の統治、地球連邦への対応を考慮すれば息切れし、地球連邦から手痛いしっぺ返しを受ける可能性がある。

 

また、地球連邦の国力や経済は絶大で、仮にサイド8が独立しても地球連邦との貿易が無ければ経済が停滞してしまう。

サイド8として地球連邦から承認を得ているのも、地球連邦という地球圏唯一の経済圏に入る為だ。

承認が無ければ無頼の集団として地球連邦に所属している民間企業、官公庁と誰も相手にしてくれないが、地球連邦政府の承認という印籠があれば門前払いを受ける事は無い。

 

「まだMS研究が始まったばかりなので確かな事は言えませんが、70年代後半には第二世代機も配備できるかと」

「他の開発もあるし、なりより研究所としての規模が小さいから仕方ないか」

 

将来の増築に備えて土地自体はそれなりの規模を確保しているが、勤務する技術者・研究者が約1000人と国家プロジェクトを幾つも抱える研究所としては規模が小さめだ。

開発チームの規模としては人も予算も、将来のジオン公国の10分の1も無いのではないだろうか?

人口3000万のサイド8と人口が数億いるジオン公国を比べる方が間違いなのだが、兎に角サイド8は予算も人も少ない。下町ロケットのガウディ計画も驚く程、今のサイド8には予算が無いのだ。

はっきり言って、秘密研究所の最大の課題は技術的な物ではなく、資金的な課題なのだ。

 

サイド8が建造され、活動を開始して約半年。運転資金は召喚した資源衛星から採掘した鉱石の売却益と地球連邦からの借金で賄われている。

正直、MSを始めとした兵器開発は早まった感がある。MSが必要と想定される一年戦争まで約18年、もう少しサイド8の産業が成長してからでも遅くなかった気がするくらい、今は開発予算が無い。

研究所の建物自体はスペースコロニー建造時の備品(家を建てる際のキッチンや風呂、トイレなどと同じ扱い)として建築したし、研究設備なんかは召喚したので資金が無くても問題無かった。

が、研究所で働く技術者には給料が必要だし、技術者の他にも警備員や清掃員、食堂のおばちゃんと毎月色々と人件費がかかる。

 

この資金の余裕の無さが、銀英伝の標準巡航艦が研究されずに倉庫で埃をかぶっている最大の原因だったりする。

技術者を確保するだけなら召喚すれば良いのだが、給料が払えないという問題にぶち当たる。労働には正当な報酬を支払う。前世で色々あった僕としては、為政者として曲げられない矜持の一つなのだ。

 

「第二次スペースコロニー建造と入植が完了すれば経済基盤も安定し、研究規模も増やせるでしょう。そうなればMS研究なども開発速度も向上するかと」

「アマルフィ所長の言う通り、予算を増額すれば研究も捗るだろう。ただ、経済が安定するまで数年かかるだろうから、リヒト君には色々と召喚してもらう必要があるだろう」

「召喚するのは良いのですが、サイド3からだと召喚出来ないのが辛いですね」

 

チート能力である召喚能力にも、欠点はある。現在把握している欠点は大きく三つ。

 

一つは同一世界の人物は原則召喚出来ない。例を挙げればアムロ、カミーユ、ジュドー、シーブック、ウッソと言った宇宙世紀系列の主人公は原則的に召喚する事は出来ない。

あくまでも原則なので天文学的ポイントを使用すれば召喚可能だが、そこまでして召喚するなら同程度の能力を設定したオリキャラを召喚した方が良い。

 

二つ目は召喚に必要なポイントの獲得手段が無いという事だ。転生して一年も経っていないので獲得条件が判明していないだけの可能性もあるが、現在は初期ポイントを使い切れば召喚能力は使用出来なくなってしまう。

 

三つ目の欠点は召喚対象を遠隔地に召喚出来ないという事だ。具体的には、サイド3から核兵器などをジャブロー内に召喚する、サイド3からサイド8の秘密研究所内に研究設備を召喚する、などは出来ない。

現在判明している召喚先の条件は、僕の直接視界内である事、召喚先が半径50キロメール以内である事、以上の二つがある事を確認している。

 

この条件の為、サイド8のスペースコロニー召喚時は召喚した忍者を影武者として残し、僕はサイド8がある宙域まで遠征する必要があった。

今回の第二次スペースコロニー建造も同様で、ザビ家には折角覚えたので影分身を残して僕(本体)はサイド8を訪問して召喚を実施する予定だ。

勿論、不測の事態で影分身が消えてしまった場合は、バックアップの忍者に僕に変化してもらって影武者になってもらう予定だ。

 

「便利すぎる能力にも欠点はある。いや、便利すぎるからこそ多少の欠点があった方が良い」

「ある程度まとめて召喚してもらっているからね、開発者としてはリヒト君の召喚能力に不便は感じていないよ。所長としては、もう少し予算が欲しいが」

「わたくしとしては、保管されている船が多すぎて中々研究が進まないのですが」

「船乗りとしては、色々な船に乗れるから楽しめるんだがな」

 

遠隔召喚が出来ないからこそ、研究対象となる物は予め秘密研究所の保管庫に召喚している。

MSについてはザクとジムの研究を優先させたのだが、艦船については大雑把な指示しかしていなかった。その為、艦船部門には負荷をかける結果となっている。

 

「艦船の研究はどのなっているんです?」

「召喚頂いた船の通常航行、砲撃などの実働データの収集が完了致しました。現在はディートリヒ殿と共に戦闘を想定したデータ収集、及び改良点の洗い出しを進めています」

「艦の性能としてはリヒト坊ちゃんの予想通り、コストは高いがカイラム級は高い砲撃能力、大型艦にしてそれなりの機動性を持っていた、グワジン級、特にグワダン級は空母に匹敵するMS搭載能力と長距離巡航性能。総評としては砲撃能力と機動性ならカイラム級、MS搭載数と運用力、長距離巡航性能ならグワジンン級といった感じだ」

 

艦船部門の報告はウィザースプーン女史とディートリヒ・ベルクからだ。

彼等にはガンダム世界の艦船を中心に研究をしてもらっている。

 

「どちらも高コストですが、グワジン級はカイラム級よりも頭二つ分くらいコストが高いです」

「ナスカ級もカイラム級を上回る機動力です。速力という一点では召喚した艦の中でもNo1でしょう」

「空母としてドロス級かゴンドワナ級、主力戦闘艦としてカイラム級、空母と主力戦闘艦の中間に位置する旗艦としてグワダン級、速力を活かしてMS部隊を戦場に高速展開するナスカ級。後は数を揃えられる艦としてムサイ級、サラミス級、ローレシア級の何れかを採用する」

 

僕が考えたカッコいい設定ではないが、一年戦争が勃発した際の計画も一応考えている。

まずはサイド3、恐らくはジオン共和国からジオン公国に政変しているだろう、との軍事同盟を結ぶ。何だかんだで、ザビ家は家族だしサイド3は生まれ故郷なので見捨てられない情愛があるし、サイド8単独で独立戦争をするよりも勝率は高くなる。

欲を言えばサイド1、サイド4、サイド5とも軍事同盟を結びたいので、時期が来たら外交攻勢をかけるつもりだ。

 

拠点としてはサイド8本国、月のグラナダ、L4宙域にソロモンと同等の軍事拠点を持ちたいので、首都防衛艦隊、グラナダ艦隊、L4方面艦隊の艦隊(軍団?)を編成したい。

 

あまり考えたくないが地上降下作成が実施された場合、サイド8はオセアニアを担当したいと思っている。うちはシーゲルさんを筆頭に、プラント関係者が多いのでオセアニアは庭みたいな物だし、第一次降下地域はオデッサの資源確保の為にジオン公国が実施するだろうし、第二次降下地域も兵器生産拠点[キャリフォルニア・ベース]や穀倉地帯確保の為にジオン公国と被るし、第四次降下地域は混戦となったアフリカだ。

その点、第三次降下地域となったオセアニアはコロニーが落ちた影響もあり、大きな戦乱が無かった地域なので、他の地域と比べれば労力はかからないだろう。

 

この構想の一番の問題はグラナダだ。

原作ではグラナダはキシリア姉さんの拠点であり、MSの一大生産拠点でもあった。戦後もギラ・ドーガの生産などでネオ・ジオンと関わり続けるグラナダ工廠があるジオンの重要拠点である。

この拠点をサイド8が占領してしまう事で、ジオン公国の戦力が原作以上に低下してしまう可能性だってある。

正直、ジオン公国よりも国力では上回りたいが、仮に地球連邦に対して独立戦争を挑むなら味方する予定のジオン公国とのパイの奪い合いは望ましくない。

 

グラナダをジオンに譲った場合は召喚システムで月面都市を召喚する手もある。

欲しいのは地球との貿易をする上での中継地と、ルナ2に圧力をかける為のL4宙域拠点への補給基地なのだ。

この条件をクリアできるなら、無理にグラナダに拘る必要は無い。

 

「リヒト坊ちゃんが考えている通商破壊艦隊はナスカ級を中心に編成するとして、MSも機動力のある第三世代を中心に編成した方が良いだろう」

「それは僕も考えていました。通商破壊艦隊は機動力を活かした奇襲攻撃を主にしたいけど、ミノフスキー粒子を戦闘濃度まで散布すれば敵は警戒するし、戦闘濃度散布から初撃まで数分あるから優秀な部隊なら十分に戦闘態勢を整えられてしまう」

「そこまでの練度がある輸送部隊や護衛部隊は稀でしょうが、敵の過小評価は自軍の敗北原因になりえますからな」

「そこで考えたんだけどステルス能力をもったMA形態で敵に接近、ミノフスキー粒子散布ミサイルとか散布装置でミノフスキー粒子を戦闘濃度まで展開してそのまま初撃を与えるMSを開発出来ないかな?」

「ステルスとミノフスキー粒子散布能力を持たせることで攻撃力が疎かになる可能性がありますが、奇襲による初撃で敵を混乱させる事を目的と考えれば面白いかもしれませんね」

「護衛部隊を壊滅出来ないだろうけど、そこは後続のMS部隊に任せれば良いからヒットアンドウェイで対応すれば良い。それにミノフスキー粒子散布下での奇襲ならミノフスキー粒子散布能力は不要だから、それなりの攻撃力を持たせられるかも」

「ミノフスキー粒子散布前の奇襲を担当するタイプAと、ミノフスキー粒子散布下での奇襲を担当するタイプBですね」

 

レーダーを無効化するミノフスキー粒子の影響か、ガンダム世界ではステルス機は一般的ではない。

ファーストガンダム放映時はそもそもステルスという概念が一般的では無かったから仕方ないのだが、

後に一年戦争時をモデルにしたゲームでステルス能力を持ったイフリート・ナハトという試作機が登場するのみである。

他作品であればガンダムデスサイズ、ブリッツガンダムなどの機体があるが、何れも量産まではされていない。

 

というより、ステルス能力を持った量産機ってマクロスのVF17、VF25、YF29とか、マブラヴのF22ラプターくらいか?

 

「開発は可能だと思うけど、当然予算と人員は別枠で必要になるわよ」

「直ぐには無理ですが、開発スタート時には予算と人員をまわします」

 

ブラヴァツキ女史は予算と人員要求は当然だし、この第三世代機開発プロジェクトにはそれなりの予算と人員、開発期間が必要だと思っている。

本当に兵器開発には金がかかる。うちはチート能力のお陰で費用はほぼ人件費のみだが、それでも月10億は支出がある。

ひとえに銀英伝系の技術、イゼルローン要塞など、の研究が全く出来ないのも金が無いからだ。貧乏は本当に嫌だ。

 

研究するのは召喚した技術者だし、運用するのも召喚した軍人なんだから給料なんて無くて良い、又は薄給で良いという発想はあるだろうが、召喚した人員は奴隷では無いので人として普通に扱いたい。

…お金が無いので、この世界の同業他社の平均年収よりちょっと低い水準しか給与を支払えていないが。

転職サイトで調べたら、うわっ私の年収低すぎ、と言われてしまう水準では無いと雇い主としては思っているのだが。

 

「それと召喚していた銀河帝国標準巡航艦なんだが」

「何か分かりました?」

「リヒト君、予算も人員も足りないのに余計な仕事をする訳ないじゃない」

 

 

ウィザースプーン女史の言う通り、現在の秘密研究所では余計な仕事を抱え込む予算と人員は無い。

人員が足りなければ残業すれば良いという発想はあるが、その場合は残業代が余計なコストとして計上されてしまう。

この為、銀河帝国標準戦艦を研究する場合は業務外、つまりはサービス残業で対応しているのが現状だ。

サービス残業である事を宣言している為か、賃金よりも好奇心や知識欲優先な奇特な研究員が手の空いている範囲で研究を行っているので進捗状況は芳しくない。

 

「研究とかじゃなくてセレブレッゼ殿から指摘があったんだ。射程長すぎて使いにくいんじゃないかって」

「背後にコロニーがあれば、間違いなく壊滅させるでしょうね」

 

言われてみれば、ガンダム世界の艦砲とは比較出来ないくらい銀河英雄伝説の艦砲は射程が長い。

戦場が同じ宇宙とは言えガンダムは地球圏内、銀河英雄伝説は銀河系内とそもそも想定される戦場環境が違い過ぎる。

 

「流石に適当に撃ってコロニーに当たる事は無いでしょうが、注意する必要はあるでしょう。また、敵がコロニー防衛艦隊の場合は当然背後にコロニーがあるので使用する場面も選びます」

「リヒト君には酷でしょうけど、完全に次の時代の兵器と言えるでしょう」

「今の戦場は、あの船には狭すぎる」

「…お二人の意見は分かりました。予算に限りもありますので、このまま銀河帝国標準巡航艦の研究はこのまま凍結します」

 

何だろう、イゼルローン要塞が遠のいていく。

召喚能力と言う打ち出の小槌を持ってはいるが、上手く使いきれていない感じがする。

人員はその後の管理コストを無視すれば幾らでも召喚出来る、資金も鉱物資源や貴金属を召喚出来るから換金すれば問題無い。

 

ただ、個々人としては優秀だが組織としては発足間もない為にまだまだ未熟だ。

それに民間の技術者を召喚するなら兎も角、兵器開発の技術者を召喚してもお金を稼いでくれない。

つまり彼らの給与は税金となるが、今のサイド8の経済、税収には公務員を大量に養えるまでの余裕はない。

召喚で資金をやりくりしても所詮は自転車操業、何れはポイントが0になるし、僕の死後にサイド8は崩壊してしまう。

そもそも、鉱物資源を資源衛星として召喚したのも雇用を生む為だし、僕が死亡した後も召喚物は残り続けるので万が一の事態になった場合でも計画に支障が無いようにする為だ。

 

「こんな格言知っています? 『良きことはカタツムリのようにゆっくり進む』」

「マハトマ・ガンジーですな」

「時間はまだまだありますので一歩ずつ着実に進めていきましょう。大丈夫です、MSのコピー生産にも成功していますから我々は十分最先端にいます」

 

まずは召喚に頼らない経済基盤を整え、そこから徐々に兵器開発の規模を拡大しよう。

10年あれば、サイド8は十分経済大国になれるだけの技術と資源を持っている。

 

「支援兵器開発部門でもミノフスキー粒子の生成、及び散布装置の開発に成功しています」

「これで最低限MS戦を行う準備が整ったね」

 

MSはあくまでもミノフスキー粒子下でこそ威力を発揮するが、ミノフスキー粒子が無ければレーダーに捕捉されてハチの巣にされるのがオチだ。そういう意味では、MSとミノフスキー粒子は色々な意味で切っても切れない関係だ。

それと、ミノフスキー粒子の存在が証明されたのが0069、ジオンがMSの開発に着手したのが0071だからサイド8は結構時代を先取りしているのだ。

 

「そろそろヘリウム3の採取計画も本格化しないとダメだね。シーゲルさん、採取計画の立案状況は?」

「ユウキ司令とセレブレッゼ殿に主導してもらい計画を進めている」

「私はお飾りで、殆どがセレブレッゼ殿の主導になります。現在は採取船の設計仕様をまとめているおり、来年度までには艦船部門に要望書を送れます。また、輸送計画も並行して計画中です」

「異世界技術研究部としては、ヘリウム3の採取と共にGNドライヴ製造を提案します」

 

太陽炉は中枢パーツであるTDブランケットの製造には特殊な環境(木星)と膨大な時間が必要になる。

 

「GNドライヴの性能は良いの?」

「生産コスト、製造期間がネックですが、出力、利便性、稼働時間、どれをとってもミノフスキーイオネスコ型核融合炉を大幅に超える性能を持っています」

 

パラケルスス女史の言う通りGNドライヴ、通称『太陽炉』は半永久的にエネルギーを生み出せる上に、生成されるGN粒子は推進剤の代わりにもなるし、圧縮すればビーム兵器にもなるし、機体周囲に圧縮したGN粒子を展開すれば防御手段にもなる万能な不思議粒子だ。

欠点としては、半永久的に使用出来るタイプのGNドライヴは中枢パーツを木星でしか製造できない上に、製造期間が数十年かかるという点がある。

原作では初期の製造に木星までの航行に20年、製造に20年の計40年かかったらしいが、TV版最終話から劇場版までの2年間に新規に2機のGNドライヴを製造しているので、設備が整っていれば数年で製造出来るはずだ。

 

「ただ、量産機の動力としては当然ながら向いていませんし、疑似太陽炉は外部からの電力を定期的に供給する必要があります。将来のジオン公国との軍事同盟を想定するならば量産機の動力は同じ核融合炉の方が宜しいかと」

「確かに同盟相手とは言えジオン公国に必要以上に技術提供をする予定もないし、核融合炉搭載機の性能に問題がある訳でも無いから余計な詮索はさせない方が良いか」

「GNドライヴはワンオフ機にのみ搭載し、サイド8単独の戦闘にのみ使用すれば機密も守れます」

「ミノフスキー粒子の影響で通信出来ないし、見ただけでGNドライヴと分かる人もいないだろうしね」

 

ワンオフ機の開発となれば、やっぱりリヒト・ザビ専用機に搭載するべきでしょう。

国のトップが出撃するのは狂気の沙汰だがGNドライヴ搭載機ならGNフィールドがあるし、影分身で乗れば万が一撃墜されても問題無いし。

 

「それでは準備が整い次第、ヘリウム3採取船団第一陣と共にGNドライヴ製造班を木星に送ります」

「宜しく。船団出発までに間に合わなくても先の実験でフォールドが可能な事が確認出来ているから、最悪そっちで木星まで製造設備を持って行けるから無理しなくても良いよ」

「畏まりました」

 

銀河大航海時代に必要な技術、恒星間航行はフォールド可能な事で既に解決している。

いつの間に確認したのかと聞かれれば、秘密研究所発足当日にフォールド航法の実験を行ったからだ。

実験と言っても、召喚したシャトル(フォールド能力搭載)で冥王星まで飛んだだけだが。

 

「それとニューロリンカーの研究の進捗は?」

「計画通りに進行しています。臨床試験や連邦政府の販売手続きに問題が無ければ再来年には一般販売可能です」

「サイド8の主力製品になる予定ですので、宜しくお願いします」

 

ニューロリンカーはアクセル・ワールドに登場する量子接続通信端末だ。

グローバルネットやローカルネットに接続して脳細胞と量子レベルでの無線通信を行うことで、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)といった技術を実現するデバイスで、アクセル・ワールドの世界では国民ひとりに一台と言われるまで普及している。

当然ガンダム世界には存在しない技術なので、アクセル・ワールドの世界と同じように普及しサイド8が独占出来れば、Windowsやi phone以上の利益をもたらしてくれる。

これはデバイスの商品販売益だけでなく、ニューロリンカーが普及する事でコンテンツやアプリでの収益など色々とビジネスチャンスが広がる可能性があるのだ。

 

何処かの下町になる製作所みたいな事にならないよう、特許申請は神○弁護士みたいな弁護士さんを召喚して入念に行う予定だ。

 

また、軍事的にもニューロリンカーからMSを操縦出来るかも知れないし、脳内神経ネットワークのパターンで認証されるニューロリンカーを使用すれば、登録されているニューロリンカーの拡張現実のみで機密情報を閲覧すれば情報漏洩のリスク低下に繋がる。

 

あとちょっとした思い付きだが、一般販売するニューロリンカーにウィルス、装着者の見たものを定期的に撮影し特定サーバーに送信する、を仕掛ければ労せずしてスパイを得る事が出来るのでは無いだろうか?

 

情報は命だから、収集する方法、防衛する方法は色々と手を打っている。その一つがNARUTO世界の忍者を中心とする情報機関NINJAだ。

この他にも構想としてミサカ計画、とある魔術の禁書目録に登場したミサカネットワークを応用した諜報網を構築する、がある。

概要としては、サイド8内外の一般人、連邦政府役人、連邦軍人としてオリジナルキャラクターを召喚する。彼らは仮想人格を持っている以外は完全な一般人であり、睡眠時のみ仮想人格が起動し同一の脳波の波形パターンを形成、主人格が記憶の整理として見ている夢を収集し脳波ネットワークを利用して送信する計画だ。

 

このプランのメリットは諜報員自身が諜報員という認識が無いので自然体である事、脳波ネットワークを利用するので、情報発信を察知する事も妨害する事も出来ない事があげられる。

デメリットとしては夢を収集して送信する為、欲しい情報が確実に手に入るか分からない事があげられる。

それでも多角的に情報は収集出来るし、重要度の高い情報は諜報員の印象にも残りやすいので収集出来る可能性は高い。

…諜報員のプライバシーがゼロだが、本人も気が付かないし収集した情報は機密として外部流出を防止するし、重要なポストに就きやすいよう高い能力と技能を与えるので許して欲しい。

 

相手の人格、人権を無視した事を計画していると、自分が悪の秘密結社の親玉になった気分になってくるが、それが国益になるなら実行するつもりだ。

五十歩百歩だと分かっているが、コロニー落としやコロニーに毒ガスを散布するよりは人道的だろう。

 

「ニューロリンカーは試作品も出来ていますので、第二次スペースコロニー建造時にはお見せできるかと」

「楽しみにしています。ニューロリンカーだけでなく、MSや艦船も見てみたいです」

「畏まりました、それではリヒト殿のお越しを研究所一同お待ちしております」

 

この世界に転生して約1年。

チート転生者として色々やって来たけど、その成果を実際に見られるとなると興奮を隠せない。

特に前世ではガンオタ(ジオン贔屓)だったので、ザク乗ってみたかったんだよね。

第二次スペースコロニー建造まで三か月あるので、月日が過ぎるのを指折り数える日々がやってくるようだ。

 

 




一部シグルトさんのアイディアを参考にさせて頂きました。
まだグラナダを占領するのか、私有月面都市にするのかは決めてませんが。。。

今回でサイド8の主要メンバーが登場しましたが、元ネタ分かる人はいるのかな?
軍人キャラ3人は流行ってるから知ってる人多そうだけど。

さて、そろそろガルパン劇場版上演の時間なので5回目の鑑賞に逝ってきます!

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