機動戦士ガンダム ~さらにその先へ~   作:haneさん

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2話 召喚してみよう

昔から、三人よれば文殊の知恵と言う。

 

一人であれこれ考えても埒が明かない。こういう時は、頭の良い人の意見を参考にした方が良い。

幸い、僕にはポイントを使用してマンガ、アニメ、ゲーム、小説など、この世に存在する全ての創作物に登場するキャラクター、道具を召喚する事が出来る特典がある。

この特典を利用して、頭が良いキャラクターを召喚して知恵を貸して貰おう。

 

さて、誰を召喚しよう。

とりあえず今後の事を相談したいから、頭良いキャラクターが良いな。

頭が良いだけじゃなくて、政治の知識、経験があるキャラクターが良い。

後は性格的に問題が無い、同じガンダム作品に登場するパトリック・ザラみたいなナチュラルへの蔑視、憎悪、選民意識が強いキャラクターは無理だ。下手したら新たな火種になってしまう可能性もあるし。

 

「目立たないけど、ガンダムSEEDのシーゲル・クラインとか良さそう」

 

シーゲル・クラインは、状況は違うが地球連合に独立戦争を仕掛けたプラントの最高評議会議長、国のトップだったキャラクターだ。

しかも穏健派の中心人物だったので、過激な思想を振りかざす事も無いだろう。

まあ、強硬派を抑えられず最終的に暗殺されてしまう点や、ニュートロンジャマー散布により凍死、餓死で10億人が死亡した大惨事の引き金を引いた点が不安だが、仮にもコーディネーターで最高評議会議長に選出されたのだ、決して無能なキャラクターでは無い。

10億人死亡の大惨事も、自国が核攻撃された後の行動なので一定の理解は出来る。

 

「もう一人くらい呼びたいな、三人寄れば文殊の知恵って言うし」

 

呼び出すキャラクターを検討する。

条件としてはシーゲル・クラインと同じように頭の良い、政治が分かるキャラクター。

いや、シーゲル・クラインは政治家だから、同じ政治家を召喚するよりも違うタイプ、軍人とかを呼んだ方が良いかな?

まだ戦争に参加すると決めた分けじゃないけど、だからと言って何の備えをしない訳じゃない。

 

「軍人と言っても呼ぶなら前線で戦う兵士よりも指揮官、それも最高司令官の方が良いよね。そうなると、結構選択肢が限られてくるな」

 

アニメとかのキャラクターは前線で戦う兵士が主だし、偉くても艦長とかが普通だ。

稀に出てきても前線指揮官とかだから、戦争全体を指揮する司令官って少ないよね。

 

最悪、ジオン独立戦争にザビ家の人間として参戦する事もありうる。

その場合、今回召喚するキャラクターは僕のブレーンになるのだから、下手なキャラクターは召喚出来ない。

 

「ヤン・ウェンリーとか好きなんだけど、ちょっと求めているタイプじゃないんだよなぁ。不敗神話の人だけど、あんまり仕事に積極的じゃないイメージがあるし」

 

それにヤン・ウェンリーは自由と民主共和制を重視する軍人だから、下手をするとザビ家による独裁を目論むギレン兄さんと敵対しかねない。

いや、敵対するのは良い。もしかしたら、将来僕も敵対する可能性もあるのだから。

しかし、ヤン・ウェンリーには欠点がある。

 

「ヤン・ウェンリーは保留しよう。召喚した途端、年金生活求められるかもしれないし」

 

折角召喚しても、働いて貰わないと意味が無い。召喚時のカスタマイズで勤勉なキャラクターにしても良いけど、勤勉で真面目なヤン・ウェンリーなんてヤン・ウェンリーじゃない。

 

次の候補としては、ラインハルト・フォン・ローエングラムか、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだろう。

どちらも優秀な指揮官であるが、ルルーシュはヘタレなシスコンで、ラインアルトは野心家なシスコン。特にラインハルトの場合は下克上される可能性もある。

 

「優秀な相談者ってなかなか思いつかな」

 

このままジオンのザビ家として独立戦争に参戦するのか、地球連邦側で参戦するのか、そもそも独立戦争自体を止めるのか、それはこれから検討するが、ある程度の軍備、勢力は確保したいと思っている。

 

僕が勢力を確保する為には三つの特典を利用する事になるのだが、この特典の一つに不動産がある。特典の詳細は決めていなかったが、この特典もポイントを使用して不動産を召喚(建造?) する特典のようだ。

ちなみに、それぞれの特典に使用するポイントは別のポイントで、それぞれ初期ポイントとして9,999,999,999,999がある。

 

…賠償としてディスガイアのMAX所持金を求めたのだが、本当にくれるとは思わなかった。

ポイントは貰えないと思わなかったので、ポイントを増やす手段をつけて貰ったのだが、これは杞憂だった。

いや、正直やり過ぎた気がする。

 

まあ、それは置いておいて、僕はこの有り余るポイントを使い、本拠地としてイゼルローン要塞を手に入れようと思う。

 

イゼルローン要塞は銀河英雄伝説に登場する難攻不落の宇宙要塞だ。

直径60km、耐ビーム用鏡面処理を施した超硬度鋼と結晶繊維とスーパーセラミックの四重複合装甲を持ち、宇宙港は2万隻の艦船が収容可能で、400隻を同時に修復可能な整備ドックや一時間で7500本のレーザー核融合ミサイルが生産可能な兵器廠、7万tもの穀物貯蔵庫と酸素生産も兼ねた広大な食用植物プラントを持つ宇宙要塞だ。

また、20万床のベッドを持つ病院の他に、学校、映画館、民間人の居住施設などのインフラも充実し、軍人・民間人を合わせると500万人の人口を有する巨大都市としての機能を持っている。

攻撃面も強力で、要塞主砲の「雷神のハンマー」(トールハンマー)は一撃で数千隻の艦隊を消し飛ばす威力を持つ、まさにチートと呼ぶに相応しい要塞なのである。

 

「唯一の欠点としては移動できない事だけど、要塞だから仕方ない」

 

ファーストガンダムの宇宙拠点と言えばソロモン、ア・バオア・クー、グラナダ、ルナツーだが、基本的にどの拠点も基本移動出来ない。

と言うよりも、移動できるのはアクシズくらいだろうか?

 

まあ、移動出来る能力は絶対条件ではないし、必要になれば特典を使ってカスタマイズすれば良い。

 

「拠点はイゼルローン要塞として、戦艦とMSはどうするか? 戦艦と言うか艦隊はやっぱりドロス級とグワジン級を中心すれば良いだろうし、MSはギラ・ドーガを量産しよう」

 

ギラ・ズールでも良いのだが、運用していた組織の関係から貧乏臭いイメージがある。

普通に考えてギラ・ズールはギラ・ドーガの後継機だから、ギラ・ズールの方が性能は良いんだろうけど。

 

「いや、今は宇宙世紀0060だから史実通りなら開戦まで約19年ある。なら、ギラ・ドーガを量産するよりも、汎用量産型MSを開発するのもアリだな」

 

開発のベースはジオン公国だからギラ・ドーガをベースに、ジェガンを研究して能力アップを試みよう。後はZとかZZ、νガンダム、ササビー、シナンジュも召喚して研究しよう。

 

と言っても汎用量産型なので第二世代MSなのは確定だ。コストパフォーマンスが悪く整備性も低そうな第三、第四世代の汎用量産型は開発しない。仮に開発、生産したとしてもエースパイロット用や特殊部隊用など、少数生産にしよう。

ジェガンを研究するのは、配備されてから30年以上も連邦の主力機であり続けた名機だからだ。その信頼性と整備性は侮れない。

・・・大きな戦争、紛争が無かったからかもしれないが。

 

星一号作戦で連邦軍は5000機のMSを投入していたって資料を読んだ記憶があるから、最低でも同数のMSは配備したい。

同数を配備しても全戦力を投入できないので、ある程度は質で量をカバーする必要はある。

それにジオン公国と共闘するのであれば、連邦軍の数を超える事も出来るだろう。

 

「5000機のMSを配備って、冷静に考えてパイロットが5000人に5000機のMSを整備する整備員、母艦を運用する船員、さらにそれを後方から支援する人員。全体でどれくらいの規模の軍隊になるんだ?」

 

軍隊の動員率は一説に、平時は人口の1%程度、戦時でも5%程度で10%以上に動員する事は異常事態らしい。

ジオン公国軍は終戦時、既に国民を最大限動員していただろうから、追加で5000機のMSを配備した軍隊は組織出来ない。

 

「人員は特典で召喚できるとして、召喚した人員をどうやって養えば」

 

衣食住のうち、住はイゼルローン要塞があるから大丈夫として、残りの衣食が問題だ。

これも最悪はイゼルローン要塞で生産すれば自給自足できるけど、給料が支払えない。

 

「転生前の計画通り、2億人くらい召喚して働いて貰おう。そして金を徴収すれば軍も組織できる」

 

冷静に考えて、2億人もいたら国レベルの組織になると言うか、徴収する金って税金だよね。

いっそのこと、新しいサイドでも建設しちゃおうかな。

 

「とりあえずは、シーゲル・クラインを召喚しよう」

 

心の中でオープンと唱えると、目の前に光のディスプレイが出現する。

これが僕の特典を操作するコンソールだ。余談だが、タッチパネル式だ。

 

初期画面に表示されてタイル(アイコン)は三つで、上からカスタマイズ、召喚、建設となっている。

僕は真ん中の召喚をクリックする。

画面が更新され、今度は人物と道具という二つのタイル(アイコン)が表示される。画面上部には9,999,999,999,999という数値が表示されている。

 

「このポイント多さ、神様に感謝だな」

 

人物のタイル(アイコン)をクリックすると、作品から召喚、創造というタイル(アイコン)が表示された。

どうやら作品からキャラクターを召喚するだけでなく、キャラクターの創造も出来るようだ。

 

「とりあえずは、シーゲル・クラインの召喚だ。キャラクター作成はまた後で確認しよう」

 

作品から召喚をクリックすると検索バーとソフトウェアキーボードが表示されたので、シーゲル・クラインと入力し検索を実行する。

検索結果はすぐに表示された。検索結果には登場作品名と召喚に使用するポイント、プロフィールと能力が表示されている。

 

「シーゲル・クラインって49歳だったのか。今が宇宙世紀0060だから、原作開始時点で68歳。政治の場で活躍出来ない事は無いけど、健康状態とか身体能力的に不安になる年齢だな」

 

独立戦争時は良いとしても、続編のZは宇宙世紀0087だから75歳、逆シャアは宇宙世紀0093だから82歳、ユニコーンが宇宙世紀0096だから85歳。どこまで頑張って貰うのか?

 

そもそも僕はどの時代まで関わるのか決まっていないが、80歳くらいまでは生きていたい。

今は5歳なので、宇宙世紀0135までの事は考えよう。後の事は、その時代の人達に任せよう。

流石に年上のシーゲル・クラインを召喚して生涯サポートして貰うのは難しいだろうし、僕も60~70歳まで働いて、後は余生を過ごしたい。

つまり、60~70歳までサポートして貰うと想定すると、宇宙世紀0115までは健在でいて欲しい。

 

「カスタマイズ機能で若返り出来るけど、あまり若くすると独立戦争時に若すぎても困る」

 

 

シーゲル・クラインには外交の場に出て貰う可能性もあるので、相手に侮られない年齢でいて欲しい。

 

「よし、原作開始の宇宙世紀0079時点で49歳になるようカスタマイズして召喚しよう」

 

こうして、僕は生涯の相談相手を手に入れた。

 


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