※注意※
この話には一部キャラが原作崩壊しております。その人物はアリシア・フォン・アウスレーゼです。
知らないよーって言う方はそのままお読みください。知ってるよーって言う方はお気を付け下さい
ここはリベール王国。アリシア・フォン・アウスレーゼ女王が、国家元首として王国に君臨しており通常だったら、厳粛に全ての事が運んでいる状態だったのに・・・。その様子について、王室親衛隊隊長のユリアが見たままを説明してくれるみたいだ。彼女のひとり言に耳を傾けてみよう。
私はいつものように陛下を起こし、それから食事をとる陛下に一日のスケジュールを説明、その後は有事に備えて訓練に明け暮れる毎日を過ごすはずだった。それが訓練できない事態に陥った。きっかけは部下の信じられない証言だった。
「ユリア隊長ーっ。へ、陛下が・・・」
「落ち着け、何があった?」
はぁはぁと息を切らしながら私のもとに、走り込んできた部下がいた。それでその部下を落ち着かせながら、他の部下たちを集め寄せ殿下の元に馳せ参じようとした・・・。
「へ、陛下が踊ってます」
「・・・・・・・・・はぁ?」
その言葉に一気にその場に漂っていた緊張が拡散した。腰を抜かした部下もいたらしい。だが、私はしっかりしてないといけない。それであらんかぎりの冷静さをふるって、どうしようもない報告をした問い詰めようとした。
「・・・もう一度聞くぞ。お前は陛下の何を見た?」
「はっ。自分が陛下を呼びに行ったところ、声をかけても返事のなかったので扉を少し、少しだけ開けて中を確認したところ・・・」
「・・・陛下が踊っていたというのか?」
「ひぃ。は、はいぃ・・・」
尋問のようになっていたのだろうか、部下が一歩後ずさりつつも答えた。走ってきた時に吐息を確認したが、酒に酔っているわけではなさそうだ。それにクスリをやっているわけでもなさそうだ。それを見たのは一人だけなので真偽の程を知るため、私が行って確認したほうが良さそうだ。親衛隊の間にも動揺が広がりつつあるからだ。
「大体の話はわかった。ほかの皆は訓練に行ってくれ。私は確認しに行かねばならぬ。この事案に関して口外する事は断じてならん。口外した奴についてはこれもあるからな?」
と言いつつ、手で首を掻っ切る仕草をした。すると、揃ったように首を縦に振り続けた。
――そのまま振っていると首、痛めるぞ――
自分でも何、場違いな事を?と思いつつ殿下の元に急いだ。
グランセル城に国家元首のアリシア女王がいる。厳格でいながらそれでいて民衆に好かれ、二つの大国に挟まれつつも平和なのはアリシア陛下のおかげと言っても過言ではない。それが踊っているなんて・・・。
「ふっ、私も部下の冗談を本気にしてしまうなんてどうかしている。・・・疲れているのか、しばらく休暇でも取ろうか・・・」
などと考えているとアリシア女王が、いつもいるテラス付きの部屋の真正面までたどり着いた。耳を扉に付けてあわよくば部屋の中の音を聞けるかどうか試してみた。
「~♪~~♪~~~♪」
どうやら鼻歌を歌っているようだ。・・・ん?歌って・・いる?この時間はまだ執務の時間のはず、朝一で殿下のスケジュールを確認した時にそのように聞いているのでこれはおかしかった。
「へ、陛下?今お時間よろしいでしょうか?」
少し声が震えてしまった。
「っ、ユリアさんかしら?どうぞお入りなさいな・・・・・・」
中から慌てた声も聞こえてきた。テラスに出ていたのだろうか、声が小さかったのが段々と大きくなってきて扉の近くから声が聞こえた。
「は、失礼します」
そこにいたのは見た目はいつもの陛下だった。いや、少し息が切れていたと言う違いがあったけれども。
「どうかしましたか、ユリアさん?」
「親衛隊の部下から陛下を心配する声を聞きましたので、安全を確認するべく参上いたしました」
「あら、そうだったの?でも私は無事よ。ホホホ・・・・・・。それで、聞きたいことはそれじゃないはずよね?ユリアさん、あなたはどうして私の元に来たのかしら?」
微笑みのあとの質問だ。これにはユリアも体をこわばらずにはいられなかったようだ。まるで蛇に睨まれたねずみのように・・・。
「そ、それは・・・ですね。部下の一人が声をかけても出てこない陛下を心配しまして、部屋を開けたところ踊っているところに出くわしたんです。こんなことは今まで一度もなかったので、親衛隊一同どうしたのかと思った次第です」
しどろもどろになりつつ、ユリアは自分が言いたかったことを全部告げることができた。伏し目になりながら返事をしたが、アリシア女王から何もなかったので怒っているのかと思い目を上げてみると、そこには見たことのないペンダントを片手で触りながら微笑んでいる女王がいた。
「陛下、それは?」
「あぁ、これ?これはね、私が踊るぐらい嬉しかったとある男性から貰ったものよ。あれから数十年経ってようやく再会できるものね・・・。嬉しさは隠せないわ」
見たところそれは白一色の水晶のように見えた。しかしユリアにとってそれは見たことのない物質だった。それで聞く事にした。
「陛下、その・・・見たことのないペンダントですが
「これは、ゼムリアストーンで出来ているのよ」
「はっ?」
驚く答えが返ってきた。ゼムリアストーン・・・これはまだ加工する技術が整ったばかりの物質。しかし女王の話の流れからすると、数十年前に貰ったものだと言った。と言う事は送った人物は、少なくとも十数年前に加工する技術を持った者の仕業だということが分かる。
「ユリアさんにも信じられないかもしれないわ。でもこれは本当の話。あとは本人に聞くしかないかもしれないわ」
「は、はぁ・・・。もう一ついいですか?」
「ええ、何でも聞いて」
上機嫌な女王を前にしてまたもや見慣れないものについて聞く事にした。それ
「そこで輝いている物は一体?」
「これもあの人が、再会する時まで持っていてと言われて預かった国宝級の品物よ。値段・・・付けられないぐらいでしょうねー・・・・・・」
ユリアは考えた。陛下にこれほどまで慕われている存在の男性とは一体何者なのだろうか。最初はお金目的や王族を狙ってのことと思いもしたが、それも有り得ない事。お金目的なら殿下の持っている二つの品物を預けるなんてしない。それに王族狙いだとしても数十年も待たせるだろうか?
段々とその人について何もかもが分からなくなってしまった。しかし、その反面どんな人なのだろうかと会うことついても期待を抱きつつあった。そしてそう遠くないうちに女王とユリアは出会うのであった。
アリシア・フォン・アウスレーゼ【女性、60歳】
リベール王国の第26代女王。帝国と共和国という二大大国に囲まれながらも外交力と、政治力を発揮している女傑。慈愛を以て国民に接している事からとても慕われている存在。
ユリア・シュバルツ【女性、26歳】
王室親衛隊女中隊長。親衛隊には大隊長がいないので隊長となっている。レイピアを使う剣技を得意とする。女王の孫の、クローディア姫の護衛兼養育係も兼任しているため姫もレイピアを使用する。性格はいたって生真面目。
ゼムリア・ストーン
資料が余りないが原作中で最強武器を作るのに必要。
七曜石【しちようせき】
鉱山等から採掘される天然資源の結晶体。地・水・火・風・時・空・幻という7つの属性を持ち、重要なエネルギー資源となる。※女王が持っていたのは塊だったので値段がつかないと言う設定※