「く、久土さん…
「あぁ、そうだが。どうした広野、顔色悪いぞ?」
昨日の創多との出来事を広野に話すと青ざめた顔でそんな事を聞いてきた。
「ヤバイですよ久土さん、創多君は幽霊に出会ったんですよ」
「はぁ…幽霊ってお前、そんなモンがいると思ってんのか」
何を言うかと思えば幽霊だなんて、いる訳無いだろ。
まさか、広野が幽霊を信じるタイプの人間だったとはな、広野もまだまだ子供ってことだな。
「久土さん、僕は子供じゃないですよ。」
「おおう…」
流石エスパー、俺の考えていることはお見通しみたいだな。
「僕だって初めは信じてなかったんですよ。でも、かなりの人があの公園で真っ白い少女を目撃しているんです!絶対に、幽霊ですよ!」
「わかったわかった。仕事しような」
少し興奮状態になって俺の肩を揺さぶる広野を宥めようとした。
「わかってないですよ。それに、その少女の幽霊は子供を攫うっていう噂ですよ」
「……幽霊なんている訳無いだろ。そんなこと言ってる暇があったら赤鬼の情報でも探してこい」
俺が少し強めに言うと、広野は「じゃあ、聞き込み行ってきます」と言って出て行ってしまった。
☆☆☆
昼休み。俺は支部近くの公園へと足を運び、ブランコの横にあるベンチに座り辺りを見渡す。
平日のお昼ということもあり、公園には散歩の途中であろう老人と数人のサラリーマンが公園の横道を通るだけであった。
「やっぱり、いるわけないよな…」
俺の呟きは誰に聞こえるわけもなく、寒風によって虚しくかき消されてしまった。
この寒い中、公園に来たのには理由があった。
『その少女の幽霊は子供を攫うっていう噂ですよ』
先ほどの広野の言ったことが気になってしまったからだ。
言っておくが幽霊なんて信じてないぞ。もし、子供を狙う
それに幽霊の正体が、昨日創多が出会った真っ白なお姉ちゃんだったら、ちゃんと礼を言わないといけないし…あと、無いと思うがSS級駆逐対象の赤鬼っていう可能性もあるしな…
三十分程待ってみたが公園の前を人が通るだけでそれらしい人物は現れることはなかった。
まぁ、所詮噂話。わかっていたことだ。
俺はそう自分に言い聞かせてベンチから立ち上がり、駆け足で支部へと向かおうとした瞬間。俺の横でポツンと立っていたブランコの一つが揺れているのに気づいた。
ん?風は吹いていないのにどうして揺れているんだ。
俺は風もないのに揺れたブランコを不審に思い近づいて調べる。
揺れていたブランコは所々錆びていたが別にこれといって異常は見られないようだった。
ふむ、さっき揺れたのはきっと俺が気づかない間に誰かが乗ったんだろう…
これにて、不意に揺れたブランコ事件解決。この公園の平和は守られたな、やったね俺、大手柄。
そんなくだらない事を思いながら公園を後にしよう歩き出すが、自分の推理がおかしいことに気づく。
誰かがブランコ乗ったとして、そのブランコに乗った奴はどこに行ったんだ?
この公園の周りは柵で囲まれていて出入り口は一つだけ、俺が座っていたベンチの真正面に出入り口があるんだから誰かが通れば直ぐにわかる。
仮に柵を乗り越えて入ってくる。または出たとしても柵を登る音がするはずだ…なのに何の音もしなかった。
『真っ白なお姉ちゃんと一緒に待っていたの』
『創多君は幽霊に出会ったんですよ』
創多と広野の言葉が頭をよぎる。
馬鹿馬鹿しい、幽霊なんている訳無いだろ…そうだ、ブランコが揺れたのはきっと何らかの偶然が重なって揺れただけだ。
「……こんにちは」
「ッ!?」
不意に俺の背後から声が聞こえた。
恐る恐る振り返ってみると、そこにはブランコに座ってこちらを見ている少女がいた。
読んで下さった方ありがとうございます。
何だろう・・・書いていてコレって東京喰種のお話だよね?ホラーじゃないよね?って思ってしまいました。
あと、主人公が少ししか登場してない・・・頑張らないと