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最近、主人公戦ってないなぁ……
「……到着」
午前中でビックガールのバイトを終えた私は、喫茶店あんていくに来ていた。
ドアを開けて店内を見渡す。
今日も従業員並びに喰種のお客さんに不審な動きはないですね。
強いて言えば……
「い、いらっしゃいませ」
「……」
ゲロキさん……失礼、カネキさんがあんていくの従業員になったということでしょうか。
これでハッキリしました。
カネキさん、貴方は私達側ですね。
いえ、私達側に近づいていると言った方がいいのかもしれません。
まだ少しヒトの匂いがしますが、喰種の匂いもします。
「あ、あの~……ご注文は?」
「……いつもの」
「はっはい! わかりました」
カネキさんは逃げるようにカウンターに向かう。
「いつもの」と言ってしまいましたがカネキさんは珈琲を作れるのでしょうか……心配です。
「アンタ、あの人と何かあったの? すっごい睨んでたけど」
「べ、別に……たいした事してないよ」
私はテーブル席に座りぼんやりと店内を眺めていると、カネキさんとトーカさんの会話が聞こえる。
……ほぅ。
私のスカートに吐瀉物吐いておきながら『たいした事してないよ』ですか。
あの日私がどれだけ……どれだけ……
ふっふふふ…アハハ。
カネキさぁああん、帰り道は気をつけてくださいねぇ。
油断していると頭と体がサヨナラしちゃいますよ。
「お、お待たせしました」
「……ありがと」
私はカネキさんが作った珈琲の香りを嗅ぎ一口飲む。
……普通。
えーと、普通以外に何も言えないです。
カランカラン。
私が珈琲を飲んでいるとドアが開く音がする。
反射的にドアの方へと視線を向けると、黒髪で優しそうな雰囲気の女性と、その影に隠れるように花柄のカチューシャを付けた女の子が入ってきた。
あの二人は親子ですね。
顔立ち、雰囲気がどことなく似ています。
「いらっしゃいませー」
「あら…新人さん?」
あの女性、カネキさんを見て「新人さん?」と聞いているということは常連のお客さんでしょうか。
でも、私がここに来てから一度もあったことありませんし……単純に時間が合わなかった?
「笛口です。ほら……ヒナミもご挨拶なさい」
あの女性は笛口という苗字の方で、女の子の名前はヒナミちゃんですか。
「こんにちは……」
笛口さんに言われたヒナミちゃんは恥ずかしがりながら小さな声でそう言った。
ヒナミちゃんは人見知りなのでしょうか……可愛いですね。
「リョーコさん――」「こんにち――」
笛口さんはリョーコさんという名前なのでしょうか。
小さな声で話しているのでここからでははっきり聞こえません。
トーカさんと笛口さんが話を終えると、笛口さんはヒナミちゃんを連れて奥にある階段を登っていった。
……気になりますが特に警戒することはないでしょう。
「……ごちそうさま」
「はっはい! ありがとうございますー……」
珈琲を飲み終えた私はカネキさんに珈琲代を渡す。
カネキさん、凄いビクビクしていますね。
うーん……
「……たいした事してないよ」
「ッ!?」
私がそう言うと、カネキさんは銅像の様にピシリと固まる。
ふふ、お返しです。
「じゃあね……」
私は固まっているカネキさんの横を通り過ぎあんていくを後にした。
☆ ☆ ☆
「こんな時間……」
近くにあった時計を見ると、あと数分で0時になる所だった。
急いで帰らないと……私は少し歩調を早めて家に向かう。
こんな時間になるまで家に帰れなかったのには理由があります。
あんていくを出た後、誰かにずっと後を付けられていたんですよね。
付けていたのは喰種だったので気絶させてさっさと帰りたかったのですが…ヒトが多くてできなかったんです。
……今度付けられたら殺そう。
私は近道するために裏路地へと入る。
数分ほど歩くと、前方からヒトの気配がした。
裏路地でこの時間帯……怪しいですね。
私は立ち止まり耳を澄ませる。
人数は二人……この足運びに体格。
そして……アタッシュケース……間違いありません、この先に喰種捜査官がいます。
二十区には喰種捜査官はいなかったはず、他の区からの見回り?
それとも二十区に配属された?
どちらにしても、私には何も出来ませんね……悔しいです。
アレ等を殺すことは簡単です。
ですが殺した後が問題なのです。
二十区で捜査官が喰種に殺された!
二十区には捜査官を殺す危ない喰種がいる!
よし、調査だ!
こんな感じで二十区に捜査官が沢山来られると、ここに住んでいる喰種の皆さんに迷惑がかかりますからね。
私のように他の区に家があるなら問題ありませんが……多分ないでしょう。
さて、どんな捜査官か見ておくことにしましょう。
顔がわかれば色々と調べやすいですし、対処できます。
私は気配を殺し少しずつ近づく。
「―――襲われて」「あぁ、そうでしたか…」
普通に会話している様ですが、かなり警戒していますね。
これでは顔を見ることができません。
ギリギリまで近づいた私は耳を澄ませる。
声色からして若いヒトと少し老けたヒトですね……
あと、近くに喰種の死体も一つ転がっています。
恐らく捜査官に殺されたのでしょう。
どうしてこの区に捜査官が来たのかはわかりませんが、声だけわかれば何とかなります。
さてと、見つかる前に帰りましょう。
私がその場を離れようとすると
「極めて
若い喰種捜査官がそんなことを言った。
ふふっ……面白いこと言いますね。
……コロス。
ハッハッハ……亜門さんの死亡フラグが立ちました。
ちなみにですが、今の亜門さんでは瞬殺です。
亜門さん、逝ってらっしゃい!
話は変わりますが、あと少しで笛口親子のイベントです!
さて……どうしよう(笑)