ひっさびさに投稿してみます。
感想有難うございます。
以前、書いたレオが原作に行くことがあったらのお話です。
俺がその部屋に入った時の雰囲気はなんといったらいいんだろうか。
絶望。
失望。
ありとあらゆる負のオーラを背負うスクアーロ達を見て、俺は迷わず踵を返した。
「お邪魔しました」
「待てええええええええええええっっ!!
ツナヨシ!!
テメエも手を貸せええええええええええええっっっ!!!」
涙目のスクアーロと他の面々に、服を掴まれて俺は諦めて溜息を吐いた。
「…………で、なんでみんなそんなに負のオーラを纏ってるワケ?」
訊きたくないけど、もうしっかり俺の服を握り締めて、離れないマーモンを振り落とすわけにもいかず、渋々理由を聞いてみる。
「それがもう、ツナちゃん聞いてちょうだい。
Ⅸ代目がねー、ボスのお嫁さんを探してこいっていうのようっ!!」
ルッスーリアの憤慨したような台詞に俺の思考が固まる。
……………ザンザスの……………お嫁さん……………。
「――え?
それって人類?」
「当たり前だろう!!
ボスを何だと思っている!!」
「えー、わがままなお子様でファザコンこじらせた暴君」
レヴィに咎められても、あっさり切り返せば皆が苦虫を噛み潰したような顔をする。
「貴様ああああああああっっ!!
ボスの素晴らしさがまだわからんのかあああああああっ!!」
…………いや、わかんないよ。
正直、俺のザンザスの最初の印象って、中学生相手に問答無用で殺しにかかってきた碌でもない相手だし。
……まあ、その後色々あって、一番問題なのはⅨ代目だったんじゃないかと思ったけど……。
「……まあ、それでザンザスのお嫁さんって具体的に候補がいるの?」
「……一応、守護者たちが用意した嫁候補はここにあるけどな。
でも、王子はこの中の誰もボスの嫁には相応しくないと思うけど」
ドサっと机にばらまかれた見合い写真(豪華な装丁)を見下ろして、ベルが呟く。
「まあ、ザンザスに品行方正なお嬢様って言われても、俺もなんか想像できないなあ」
「そうでしょっ!
ボスの相手なんてそんじょそこらのお嬢様じゃ無理なのようっ」
ハンカチを噛みながらルッスが力強く同意する。
……そんなに強く噛むとハンカチ破れるよ……
「ってか、ザンザスって好きなタイプとかいるの?」
好きな女の人のタイプからして、想像が出来ないんだよなアイツの場合。
「それなんだよなああああああ。
ボスの女の好みって言われても、アイツは一応そつのない付き合いは出来でも、本気で好きになった女はいねーし、娼館でも気に入った女がいる訳じゃねーし、そもそも好みっていうもんがわかんねーんだよ……」
机に崩れ落ちるスクアーロ。
まあ、一番一緒にいるのがスクアーロっぽいしなあ。
あ、いっその事――
「――スクアーロが女の子になってお嫁さんになれば?」
「恐ろしいことをいうなあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっ!!!!!」
涙目で絶叫するスクアーロ。
「いい手だと思ったんだけど。」
「どこをどうしたら、そんな思考回路になりやがるっっ!?
テメエ、まともに考える気ねーだろっ!!??」
正解。
実は正直、あんまり考える気がない。
だって、誰を連れてきても鼻で嗤うか、怒るかしそうだもん、アイツ。
Ⅸ代目ももっと、現実的なことを考えればいいのに。
「とゆーか、なんでお嫁さん見つけてこいなんて話になったの?」
「………………どっかの組織の長に孫自慢されて、羨ましくなったらしい……………」
「しょうもなっ!!」
思った以上にしょうもないよ! Ⅸ代目!!
「――というか、嫁を見つけるまでヴァリアーの仕事は休みとか抜かしやがるし……」
「それ一生仕事来ないじゃん」
「絶望的なことをいうなあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっ!!!!!」
「待たせたな、ヤロー共っ!!」
机に突っ伏し号泣するスクアーロの声を遮り、愉快犯がやってきた!!
「どうしたの、リボーンって……ヴェルデ?」
「久しぶりだな」
「おう、オマエ達がどうしようもないことで悩んでいると聞いて面白そう――じゃなくて、気の毒になってな。
ちょうど、ヴェルデの実験に悩みが解決できそうなものがあったから持ってきてやったぞ!!」
キラっ!とドヤるリボーン。
……何故だろう。
どうしようもない結果にしかならない気がしない……。
「……この際、なんであろうがイイ……。
この状況を打開できるなら、俺は悪魔にだって魂を売ってやる!!!」
「魂の安売りしないでよ、スクアーロ」
目が血走ってるっていうか、もうすでに後がないっていう目をしてる……。
「良く言ったスクアーロ!
これで俺も暇が潰せるぜ!!」
「……先生……本音が駄々漏れだよ……」
「てへっ♡」
可愛くないからね。
……もうヴェルデの発明がまともなものであることを願おう……確率天文学的に低そうだけど……
「で、ヴェルデの発明って?」
「ふむ。
今回、10年バズーカから着想を得てな。
未来だけの可能性でなく、平行世界の人物を引き寄せることが出来るマシーンを開発したのだ」
「平行世界の人物?」
「そう、オマエ達がもしも白蘭に勝てなかった場合や、朝の食事を食べ損ねた場合など、ありとあらゆる『IF』により、未来は無限の可能性を持つ。
その『IF』の世界より可能性を持つ人物を呼び出すことが出来るのだ」
えーと、つまり……
「ザンザスのお嫁さんになる可能性を持つ女性も呼び出せるってこと?」
「あくまで可能性だがな」
「すごいじゃん、それ!!」
ヴェルデにしてはまともそう!!
たぶん。
「よーっし。今すぐそれをやってくれ。
やれ、一刻も早く」
「落ち着きなさいよ、スクアーロ」
「そーだよ。いきなりボスのお嫁さんなんて、僕らも覚悟しなくちゃいけないでしょ」
「ボス……。
幸せにラブラブに暮らしている可能性もあるのか……?」
レヴィの言葉に俺達が一斉に固まった。
お嫁さんとラブラブなザンザス…………。
「「「「「「怖い」」」」」」
「ヴェルデ。
ちょっと心の準備をするために、ザンザスと仲が良い女性ぐらいに設定してらえる?」
「そ、そうだな。
仲が良いヤツでも十分に参考になるぜ」
「そ、そうよね。
そのぐらいからがいいわよね」
「らぶらぶなボスも見て見たいが」
「「「「「「絶対ヤメロ」」」」」」
とりあえず、何事も準備が必要なんだよ。
あのザンザスが女の人といちゃいちゃしてるのを見たら、俺は……意識を保ってられるんだろうか?
「それでは仲が良い女性でいいんだな?」
「うん。それぐらいからでお願い」
「まあ、それが妥当だろうな」
リボーンがまでも賛成するぐらい、らぶらぶなザンザス(怖)は俺達にとって脅威だった。
「それでははじめるぞ!」
側面にあるスイッチを入れるとよくわからないチューブやコードが繋げてある大人の一人分ぐらいある箱型のマシンが震えるような音を立て動き出す。
ヴェルデが何か分からないキーボードを操り、何かを設定すると上の方についているライトのような物が光り出す。
その下から空間が歪み始める。
「磁場が?」
「まあ、そうだな。
あれが収まるまで近づくなよ」
空間の歪みは大きく広がりやがて人一人分ぐらいの大きさになる。
そして――
ピカッッッッ!!!
「わあああっっ!!」
「きゃっ!!」
「何!?」
「なんだ?」
強烈な白い光が辺りを占め、視界を奪う。
俺達が目を抑えている中で、冷静なヴェルデの声だけが響く。
「安心しろ。
どうやら――成功だ」
白い光が収まり、目が慣れてきた中で――一人の黒髪の絶世の美女が驚いた顔で佇んでいた。
「……あら? ここって……?」
大事そうに豪華な装丁の分厚い本を抱え、無造作に辺りを見回す執事服姿の10代後半から20代前半位の女性。
「男装の麗人ですぅ!」とかハルならいいそうな中世的な大美人さんだ。
その女性は澄んだ緑の瞳をこちらに向け、こてりと首を傾げる。
そして――
「……ツナくん?」
「え?」
俺に向かってハッキリと名前を呼んだ。
リボーンが俺の脇を突く。
「おい、ツナ知り合いか?」
「ええ!? 知らないよ。こんな印象的な人、会ったら流石に俺でも覚えてるよ」
「リボーン先生? スク? ルッスさん? ヴェルくん? レヴィさん? マーモン師匠? ヴェルデ博士?」
次々と俺達の名前を呼ぶ美女に、この人はどこかの世界の俺達と仲が良い人達だということが判明する。
確認するように皆の表情を見回してみるが、名前を呼ばれても皆、女性に見覚えがないようだった。
――じゃあ、この人はこの世界の俺達は出会わなかったのか。
困惑する俺達をよそに、彼女は後ろを振り返り、金属のオブジェを見てから、今度はヴェルデを一瞥し、「ああ……」と納得したように頷く。
どうもこの状況に焦ることもないようなので、彼女にとってもこの程度のことは日常茶飯事らしい。
呼び出してしまったからにはこちらの意図を伝えなくてはならない。
勇気を出して話し掛けてみる。
「すみません、お姉さん。
俺のことを知ってるみたいですけど、一応自己紹介しますね。
俺は沢田綱吉です。
貴方のお名前を聞かせてもらえますか?」
一瞬、彼女の瞳が丸くなって、それから何か感動したように目元を和ませる。
――まるで、しばらく会わなかった親戚の子供が大きくなったのを見たみたいに。
「ご丁寧な挨拶をありがとうございます。
私の名前はエレオノーラと申します。
よろしければレオとよんでください」
完璧といえる綺麗なお辞儀と挨拶から育ちの良さが窺える。
……この人がザンザスと仲の良い女性……?
理性では疑いを持つが、俺の中の超直感がSiと言っている。
「……あの、レオさん。
今の状況に驚かないってことは、ヴェルデの発明とかで被害受けるのはしょっちゅうなんですか?」
『被害とはなんだ!』というヴェルデの抗議はスルーする。
「ええ、ヴェルデ博士ならうち――ボンゴレがスポンサーなので、色々創ってもらっていますよ。
被害というよりもあれはどちらかというと感性のズレじゃないかと……」
最後に付け加えられた一文はフォローのつもりだったのだろうか。
「……あの、ところで坊ちゃんは?」
「………………坊ちゃん…………?」
誰のこと?
「ザンザス坊ちゃんです」
にこやかな笑顔。
ああ、ザンザス――
「「「「「「「坊ちゃん!?!?!?」」」」」」」
「はい」
にっこりと微笑む形の良い唇から出た言葉に俺達全員が驚愕する。
「坊ちゃん…………フッ」
「笑っている場合じゃないよ、リボーン」
「ボスが坊ちゃんて……」
「何者だ……?」
「なあ、アンタ。
ボスをそんな呼び方するってことはかなり古い付き合いなのか?」
「そうね、どのくらいの付き合いか訊いてもいいかしら?」
スクアーロとルッスーリアの問いに頷くと綺麗な黒髪がさらりと揺れる。
「勿論。
私は元々、坊ちゃんがボンゴレに来たばかりの時に家庭教師として任命されていますので、もう、10年以上の付き合いになりますね」
「家庭教師? アンタがいくつの時からだ?」
「私が10歳で坊ちゃんが5歳の時です」
「10歳!?」
小学校5年ぐらいであの暴君の家庭教師やってんの!?
「……よくもったな……」
「そんな……ボスのそんな幼い頃から共に……羨ましい!!!」
「ボスにも子供の頃ってあったんだよね」
「それはそうでしょ」
「あんまり想像できないけどねー」
ヴァリアーのメンバーが口々に感想をいう中で、女性は楽し気に笑うだけだ。
見る限り、まともな人に見えるけど、あのザンザスの家庭教師なんてやれる人なんだから、相当肝は太いのかなあ。
「なあ、レオ」
「なんですか、リボーン先生」
リボーンは当たり前のように自分を先生と呼ぶ女性に、面白そうな顔をする。
「オマエはボンゴレの血筋を引いているのか?」
「ええ。
私はⅥ世の子孫に当たります」
!! いたんだ、俺以外にも血を引いた子孫。
「――とはいえ、ツナくんと比べると大分薄いですし、かなりの遠縁になりますけど」
「そっか。
じゃあ、こっちの世界では俺達は会ってないのかな?」
「たぶん、そうなじゃないでしょうか。
私も『炎』を使ったところをみられていない限り、ボンゴレの関係者と出会うことはなかったでしょうし」
「そっか……ってレオさん炎使えるの!?」
俺達が驚愕の眼差しを向けると、のんびりと頷く。
「ええ。
一応、使うことが出来ます。
私が主に使うのは『大空』と『雲』と『霧』ですけど」
「そんなにいっぱい使えるの!?」
「適合しているものが、そんなにあるものなのか?」
「正確には『大空』と『雲』がメインで残りにも一応適性があります」
こともなげに告げる女性に絶句する。
様々な炎を操れるってすごいことだよね?
俺が尊敬の眼差しを向けると苦笑する。
「まあ、全て使える代わりにどれもそこまで威力は強くないです。
ただ、『霧』なら一定の条件の上で使えますけど」
「一定の条件?」
「ええ」
「それって――」
「ああ、皆、ここにいたのか?」
「Ⅹ代目!」
「ちょっとボンゴレ、この暴君どうにかしてください!」
「ボス」
「うさぎちゃん、どうにかしてほしいぴょん」
「ボンゴレ……」
「……何してやがる」
さらに深く訊ねようとしたところに、ディーノさんが皆を引き連れて部屋に入ってくる。
「お?
ツナ、その美人誰だ?
紹介してくれよ」
「誰です?」
「えーと、この人は……」
どうしよう。
この人を呼ぶ過程を省いてなんて説明すれば……。
「坊ちゃん?」
その中で静かに響いた女性の声に、一同注目する。
彼女の視線は明らかに不機嫌そうなザンザスに向けられていた。
「……誰だテメエ?」
胡乱げな眼差しに臆することなくレオさんはにっこりと微笑む。
「どの世界でも坊ちゃんは可愛いですね」
……………………………………………。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「可愛いっっっ!?!?!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
その時の俺達が受けた衝撃をどれだけの人がわかってくれるだろうか?
平然とあの機嫌の悪いザンザスを見て可愛いという女性がいるなんて!?!?
「…………何言ってやがるテメエ……………?」
当事者であるザンザスも信じられないものを見るように、警戒心に溢れた表情になっている。
それでもレオさんはまったく動じず、にこにこしている。
……すごい。
この人にとって本当にザンザスは『可愛い坊ちゃん』なんだろうな。
……ぷっ……。
「おい、ツナヨシこの女は誰だ?」
俺が心で笑ったことに気付いたらしい、ザンザスがチンピラの数百人が一睨みで逃げ出すような顔で訊いてくる。
……うーん、正直に答えていいものか……。
「――ああ、そう言えばなんで私はここに呼び出されたのでしょうか?」
そういえば、レオさんにも言ってなかったね。
なんか、普通に会話してたから忘れてたけど……。
「ああ、今俺達はヴェルデの実験を手伝っていてな。
これは平行世界からとある人物を呼び出すという実験でな」
「……碌なことじゃねえだろう……」
リボーンの言葉にザンザスが苦虫を噛み潰したような顔をする。
――はい、ザンザスくん正解。
「……私が呼び出されたということは坊ちゃんに関係する人物に加えて、女性であることが条件ですか?」
――はい、レオさん大正解!
「オレに関係する女だと?
――テメエら何考えていやがる?」
「……オマエの父親に苦情はどうぞ」
「クソじじいの差し金?」
「……察するに、9代目が坊ちゃんの見合い相手でも皆に押し付けて、あんまり坊ちゃんの好みが分からなくて、ヴェルデ博士の実験にのったって言うことですか?」
――!!!!!!!!
「「「「「「「「「「大正解!!!」」」」」」」」」
「すごいわ、レオちゃん!」
「そこまで察するなんて!!」
「ボスと仲が良いのはホントらしいね!!」
「ボスだけじゃなく、9代目とも仲がいいのか?」
口々にほめそやす、皆に、レオさんは上品に微笑むだけだ。
一方ザンザスは、目つきを更に悪くして、怒り狂っている。
「…………あのクソじじい、勝手なことしやがって……」
まあ、確かに。
こんなこと、本人が直接ザンザスに言ってくれればいいだけの話だよねえ。
そっこー却下されるのは免れないけど。
だからこそ、部下に頼んだんだろうけど。
どっちにしても上手く行くはずがないよねえ。
「……こちらの坊ちゃんと9代目は仲が悪いんですか?」
不意にレオさんに問われ、俺達の動きが止まった。
えーっと、こちらの二人の仲が悪いって言うことは……
「そっちではあの二人仲が悪くないのか?」
「ええ、とても仲が良いですよ」
ディーノさんが代表して問えば、こくりと頷かれ、俺達は驚愕する。
「仲がいいってどんな風に?」
「え?
普通ですよ。
一緒にご飯にを食べに行ったり、休みの日は遊園地に行ったり、子供の時は時々一緒に寝たりしていましたよ」
「「「「「「「「「「「「「「「「「ええええええええええええええええええええっっっ!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「そんなことやってんのか!?」
「そんな普通の親子みたいなことやれてるの!?」
「なんでうちはそうならなかったんだ!?」
「……ふざけたこと抜かすな……」
ザンザスの静かな一言に、皆の騒ぎがピタリと止まる。
赤い瞳が炎のように燃え上がり、騒ぎを起こした女性――レオさんを強く睨みつけている。
身体から立ち昇る炎と共に、顔に傷が表れる。
かつて、9代目との死闘の末に付けられていた傷が。
皆が冷や汗を掻き、固唾を飲んで見守る中――レオさんはうっとりとザンザスを見上げ――うっとり……?
「……坊ちゃん、その傷――キジトラにゃんこみたいで可愛いです。
猫耳つけていいですか?」
頬を赤く染めて問うレオさん。
固まるザンザス。
………………………………………………。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「はい?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
――ぷしゅ。
ザンザスの炎が沈下する。
そのまま、疲れたように床に座り込む。
「どうしました、坊ちゃん!!」
――いや、貴方のせいです。
「めまいですか!?
横になりましょう!!」
言うなり、ザンザスをお姫様抱っこで抱え上げる!!
えええええええええええええええええええええっっっ!!
皆が目を皿のように見開いて、その現実が夢でないのか確かめていると、ザンザスも同じく目を見開いて自分に起こったことに対して混乱しているようだ。
レオさんは備え付けてあったソファにザンザスを寝かせると、額を触ったり首を触ったり、すぐそばにいたディーノさんに氷と水を用意するように言いつけたりと甲斐甲斐しく世話を焼いている。
…………………ほんとうにレオさんはザンザスと付き合いが長いヒトなんだなあ………………
「……おい、ツナ現実逃避すんな……」
「いや、だって先生、あれ見て現実だと思える?」
俺の目の前には持ってきてもらったタオルを水に浸し、絞ってザンザスの額にのせているレオさんと、諦めたようになすがままになっているザンザス。
「獄寺くん。今、俺寝てないよね?」
「……大丈夫です。Ⅹ代目。
俺もさっきから頬つねってますけど、ちゃんと痛いみたいなんで……」
それ以上つねると頬がちぎれるんじゃないかというぐらい、引っ張っている獄寺くんがそういうんだから現実なんだろう。
「あの、ツナくん。
少し、お話を聞きたいのですが、よろしいでしょうか?」
「あ、はい。なんでしょうか?」
突然こちらに意識を向けられて、思わず俺も敬語になってしまう。
「こちらの坊ちゃんと9代目、それにツナくんたちはどんな関係だったのですか?」
えーっと、どうといわれますと、割と碌でもない関係なんですが。
少し厳しい視線から、多分正直に話さないと納得してくれなさそうだよね。
「そうですね。
まず、俺が中学1年生の時に、リボーンが来て――」
少しばかり長い話を語りはじめた。
続きます。 たぶん。