暴君の家庭教師になりました。   作:花菜

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実は生きていました。

いつの間にか一年たってたんですねー。
むしろ、まだ待っててくれた方がいたとは……。
ありがたい感想を頂いたため、続きをこっそり上げてみました。



かわいいは癒し

 

 あれからツナくんはすっかり坊ちゃんに懐いて、ちょこちょことカルガモの子供のように坊ちゃんの後ろをついて回りました。

 あ、ライオンさんはちゃんとサーカスの人たちが引き取りに来ましたよ。

 ひたすら平謝りしてました。

 まあ、来たのがウチで良かったですねえ。

 

「にーたん、にーたん」

「なんだ、ツナヨシ?」

「どしたら、にーたんみたいにかこよくなえゆ?」

「……俺みたいになりたいのか?」

 

 柔らかな笑顔を浮かべ、ツナ君の髪の毛をかき混ぜるように撫でる坊ちゃん。

「きゃあ」と言いながら、嬉しそうにツナ君は坊ちゃんの掌に頭を擦り付けます。

 微笑ましすぎる光景です。

 私のカメラが火を噴いても仕方がないことなのです。

 そう、いつの間にか帰ってきた9代目が混じって同じくカメラを手に荒ぶっていても、コレは仕方がないというものなのです。

 

「……親父何やってる。」

「ただいま~ザンくん!

 勿論、可愛いザンくんとツナくんが戯れているところを儂の心とカメラに刻みつけているのさっ!!!」

 

 キラっ!とでも擬音が付きそうなくらいなドヤ顔で答える9代目。

 坊ちゃんが米神を指で押し、ツナくんが不思議そうに首を傾げます。

 

「じーたん、だあれ?」

「じーたん! 

 じーたんはね~、ザンザスにーたんのお父さんですよ~。

 ツナくんとは赤ちゃんの頃あっているんですよ~」

 

 じーたんの呼びかけに感動しまくっているなあ。

 そこらへんにいる孫バカなおじいちゃんとまったく変わらないデレデレっぷりです。

 あら、そういえばいつも一緒にいるはずの――

 

「9代目ニャンザス様はどうしました?」

「ああ、ニャンくんなら――」

 

 同時に扉が開かれ、三角耳のシルエットが美しい人物が現れます。

 

「パパン、ただいまにゃ!」

「おおっ!! ニャンくんお帰り!!」

 

 この頃9代目と一緒にいる(主に9代目のお守りとして守護者さんに懇願された)ニャンザス様が、部屋を突っ切り9代目の腕の中に飛び込みます。

 

「にゃ~、今日も子供たちは元気だったにゃ」

「おお、ニャンくんいつもご苦労様だねえ、ありがとう」

「当然のことにゃ」

 

 胸を張って猫耳をぴんとさせるニャンザス様の頭を撫でる9代目。

 この頃、ニャンザス様は孤児院や町を見回り、治安を守っているのです。

 気持ちよさそうに撫でられていたニャンザス様が、その黒猫耳を興味深そうにジッと見つめている幼児に気が付きます。

 

「にゃ? だれにゃ?」

 

 ……そういえば、ニャンザス様とは初対面でしたね、ツナくん。

 

「おお、ニャンくん!

 この子はツナヨシくんと言って、家光の息子なんだよ~。

 つまり、儂の孫ということに!!」

「にゃ。わかったにゃ」

 

 ほんとは違いますが。

 まあ、いいか。

 興味深そうに、ニャンザス様がツナくんを見つめ、ツナ君もじっと(主に猫耳と猫しっぽを)見つめています。

 

「だりぇ?」

 

 こてん、と大きな頭が傾くと、メロメロになった9代目が写真を撮りまくっています。

 ニャンザス様は肉球のついた手を天に向けてあげると、

 

「にゃ!

 俺様はニャンザスにゃっ」

「にゃんじゃしゅ?」

「にゃ。

 今はそれでいいにゃ。

 で、オマエはなんていうにゃ?」

「あい。

 ちゅなはしゃわだちゅなよちでしゅ!」

「良く言えたにゃ。えらいにゃ」

 

 舌足らずな声で一生懸命に答えるツナくんに、肉球つきの手で、ツナ君の頭をなでなでするニャンザス様。

 ――ふう。

 何コレ楽園?

 世界の癒しの全てを詰め込んでいるというのか!?

 

「うちの息子と孫が可愛すぎて世界が危ない!!」

 

 床をゴロゴロしながら悶える9代目。

 諦観の眼差しで見遣る坊ちゃん。

 その視線に気づいた9代目が飛び起きると、真剣な表情で坊ちゃんの手をがっしりと握り締めます。

 

「あ、ザン君は大天使でずっと可愛いから問題ないからね!!」

「そういう問題じゃねえっ!!」

 

 怒鳴る坊ちゃん。

 不思議そうにそれを見る2人の天使。

 愛らしい二人を上機嫌で抱き上げ、足取り軽く、今にも踊り出しそうな9代目。

 

「……平和ねえ。」

「何が平和だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっっっ!!!!!」

 

 ばぁんっ!と勢いよく音を立てて、扉を蹴り開けながら異議申し立てをする銀髪のサメが帰ってきました。

 

「あら、スクアーロお帰りなさい」

「おう、ただいま――じゃねえ!!

 何が平和だ!!

 こっちは延々と延々と永遠かと思うくらいの守護者どもの愚痴を聞かされたっていうのにっっ!?!?」

「…………………それはお疲れさま。ほんとに……」

 

 この頃発散するような場がないからなー。

最近、生贄を求めて彷徨う暴徒みたいな目の守護者さんと敵対するのはあまりにもマズイと、この頃どの組織も気付いたのか、皆さん大人しくしていますからねえ。

こないだなんか――

 

『何故、敵対組織が現れないのか?』という議題で、守護者さんがすさんだ雰囲気で会議していた時、コーヒーを持って行った給仕の子がその放たれる殺伐とした空気に、圧倒されて泣きついてきましたし。

 本当に、守護者さんのストレス発散相手出てきませんかね。

 不謹慎ながらそう願ってしまう程、皆さん目が座っていました。

 

「おー、今日も叫んでるなあ、スクアーロ」

「あら、ディーノくん。いらっしゃい」

「おー、お邪魔するぜ。レオ姉。ザンザス、9代目――って相変わらずだな」

 

 その端正な顔に苦笑を浮かべて見遣る視線の先には、様々な角度から2人を撮っている9代目。

 

「にゃっ」

「にゃっ」

「ああっ! 最高だよ、二人とも!!」

 

 ポーズをとるニャンザス様。

 真似するツナ君。

 荒ぶる9代目。

 え? 私も勿論、撮っていますが何か?

 

「ん?

 ニャンザス様と可愛い奴がもう一人いるけど、誰だ?」

「あ、ディーノ君も会ったことありませんでしたっけ?

 ほら、家光お兄様の息子の綱吉くんですよ」

「ああー。家光の……嫁さん似か?」

「嫁さん似です」

 

 そこはしっかり断言しておきます。

 ええ。

 家光お兄様には悪いのですが、このまま奈々さんに似て欲しいと思っています。

 まあ、9割方は似ると思うんですけど。性格も。

 その天使たちが泣いているスクアーロに気付きました。

 

「にゃ、またスクアーロが泣いてるにゃ」

「どちたの、にーたん?」

「……くっ……」

 

 小さく小首を傾げ、心配そうに見上げる彼らにスクアーロが目頭を押さえて天を仰いでいます。

 ――だって、涙がこぼれちゃうもの。みたいな。

 そんなスクアーロのズボンの裾を引っ張って、しゃがみ込ませると、ニャンザス様がツナ君に言い聞かせます。

 

「いいにゃ、ツナ。

 こういう時はなでなでしてあげるとみんな元気になるにゃ」

「あい。にゃんじゃしゅたま!」

「なでなでにゃ~」

「なでなでにゃ~」

「……ニャンザス様、ツナヨシ…………!!!」

 

 一生懸命銀髪を撫でる天使二人を感極まってスクアーロが抱きしめます。

 

「にゃ~スクアーロ元気だすにゃ~」

「しゅくにーたん、げんきなりゅ?」

「ずりースクアーロ!! 俺も変わってくれよ~!!」

「スクアーロくん! 場所チェンジ場所チェンジ!!!」

 

 愛くるしい天使二人を抱きしめているサメが羨ましくなったディーノくんと9代目にバシバシ背中叩かれていますが、そんなことに構うことなく二人を抱きしめ、柔らかな髪に額をぐりぐりしています。

 

「いやだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!

 俺はコイツらをあと一時間は抱きしめて、癒されてえんだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あっっ!!!」

「………………………………」

「………………………………」

 

 もうなりふり構わず、ディーノくんと9代目に天使を渡すまいと抱き込むスクアーロに坊ちゃんは呆れの視線を、私は憐憫の視線を送らせてもらいました。

 ホントに身も心も疲れ切ってるな~。

 坊ちゃんの右腕として、仕事を覚えさせられているスクアーロですが、覚えること自体 に不満がなくても、守護者さんの愚痴やこれからの9代目対策については全く慣れることがなく、いつも憔悴して帰ってきています。

 時々、疲れ切った鮫を見かねたニャンザス様になでなでして癒しています。

 が、今回はダブル天使のなでなで!

 これならいつもより早く復活するのでしょうか?

 

「なんで、こうなるんだ……カスどもが……」

 

 めんどくさそうに呟く坊ちゃん。

 いや、まあ仕方ないとは思いますけど。

 口の堅い関係者だけの時にツナ君の『死ぬ気の炎』について、話すつもりだったんですけど。

 

「よお、随分賑やかだな」

「ふん。相変わらずだね」

「あら、リボーン先生、マーモン師匠。お久しぶりですね」

 

 ここ一月ほど、お二人の姿を見ていないと思っていましたが。

 

「野暮用があってな。元気にしているみたいだな」

「まったく金にならないことは僕の管轄外だっていうのに……」

 

 察するところ、どうもアルコバレーノに関係することでもあったのでしょうか。

 まあ、深くは訊きませんけど。

 

「あ!」

「お?」

「うん?」

「にゃ?」

 

 上から順に、ツナ君、先生、師匠、ニャンザス様の声。

 小さな子たち(ホントは違うけど)の共演は癒されます。

 ツナ君の視線が、先生と師匠に集中してます。

 抱き付いているスクアーロの腕をぱしぱし叩いて、降ろすようにお願いしているようです。

 降りた途端、先生と師匠の前にとてとてと駆けてきます。

 二人の前にしゃがみ込んで、目をキラキラさせています。

 

「ちゅなよりちっちゃい!

 ちゅな、にーたん!」

 

 そういって手を伸ばしたのですが――あっさり二人に避けられました。

 

「う?」

「俺は俺の認めたヤツにしか、触れさせる気はないな」

「金を払うなら、撫でられてやってもいいよ」

 

 …………二人とも…………。

 

「大人げなさすぎだろ!」

「幼児相手に鬼かオマエら!!」

 

 ディーノ君とスクに突っ込まれますが、二人は全く動じません。

 ああ! ツナ君の琥珀の瞳が潤んできてしまいました。

 滴が零れ落ちそうになったとき――

 

「ツナヨシ。泣くな」

「うえ? にーたん?」

 

 坊ちゃんの大きな手が、ツナ君の頭に置かれます。

 その温かさに安心したのか、ツナ君の涙が引っ込みます。

 

「そう簡単に泣くな」

「うゆ……らって……」

 

 しょんぼりするツナ君の頭を坊ちゃんが撫でてやりながら、語り掛けます。

 

「カッコいい男になりたかったら、簡単に泣くな。

 そして、簡単に諦めるな。

 何度でも挑戦しろ」

「う――あいっ!」

「よし、イイ返事だ」

 

 やだ、うちの坊ちゃん超いいお兄ちゃんしてる!!

 

「ザン君がイケメン過ぎる!!」

「うっわ、ザンザスが真面目に兄貴分してる」

「……自分も結構おとなげねえけどな――でっっっ!?!?!?」

 

 ああ、いらんこといったスクアーロが振り返ることもなく、蹴り倒された……。

 ちなみにニャンザス様はもう、9代目が抱きしめているので無事です。

 もう一度、二人の前に立ち、手を伸ばすツナくん。

 避ける二人。

 

「……大人げないにゃ」

「本当にねえ」

 

…………本当に大人げないと、流石に思ってしまいますよ。

 そこへ――

 

「がうっ!!」

 

 扉を押して、飛び込んでくる白い何か。

 それは真っ直ぐにツナ君の方に駆けていき――

 

「ひゃっ!!」

 

 先程のことを思い出したのか、固まりかけたツナ君は咄嗟に向かってくる白い塊から庇うように、先生と師匠を抱き込みます。

 その身体をオレンジの淡い炎が目に見える程の強さで包み込んでいました。

 

「「「「「なっ!!!」」」」」

 

 私と坊ちゃん(あとニャンザス様)以外の驚愕の声が重なります。

 透明度の高い美しいオレンジの炎が守るように先生と師匠を包み込みます。

 

「……これほどまでに純度の高い『死ぬ気の炎』を纏うとは……!」

 

 ――流石は初代の系譜。

 

 無意識に9代目が呟きます。

 ――この場にいる人物が口の堅い人たちばかりで良かった。

 全ての生き物が魅入られてしまうような眩いばかりのオレンジの炎を見て、正しくツナくんはボンゴレ初代の血を引いていることがわかったのでした。

 そしてそれに相応しい『覚悟』を持てる子であることも。

 白い何かから先生と師匠を護るように、涙目になりながらもしっかりと二人を抱き寄せている彼に自然と口元が緩みます。

 

「ツナ、大丈夫だから目を開けるにゃ」

「う? にゃんじゃしゅたま?」

 

 恐る恐る目を開けるツナくんに、笑顔でニャンザス様が白い何かを指差します。

 それは鬣を持つ金の目の小さな白い獣です。

 

「紹介するにゃ。俺様の相棒のベシュターにゃ」

「にゃんじゃしゅたまの?」

「がう」

 

 小さな白い獣はふわふわの毛で覆われた顔をニャンザス様の頬に擦り付けてきます。

 そんなベシュターの首のあたりを撫でてやりながら、ツナくんに笑い掛けるニャンザス様。

 

「ベシュターは天空嵐ライガー(小)にゃ。

 すごくふわふわで気持ちいいから触ってみるにゃ?」

「うえ? ほんと?」

「俺様嘘つかないにゃ」

「がーってしにゃい?」

「しないにゃ」

 

 ニャンザス様に説得されて、躊躇いつつもそっとベシュターに手を伸ばすツナくん。

 大きなふわもこのしっぽがぱったりぱったりメトロノームのように揺れています。

 小さな手がベシュターの身体に触れると、ツナくんの目が輝きます。

 

「しゅごいっ! べしゅたーふかふかっ!!」

「その通りにゃ。俺様の相棒はすごいにゃ!」

「うんっ! しゅごい!!」

 

 夢中で小さなライガーをモフるツナくん。

 その心和む光景に、やっと夢から覚めたかのようにリボーン先生が口を開きました。

 

「……やれやれ、まさか俺があんな小さな子供に庇われるとはな……」

「……確かにね……まあ、必要なかったけど守ってくれたみたいだしね……」

 

 相変わらず素直ではない二人です。

 とはいえ、ツナくんのことを二人とも認めてくれたようですね。

 

「……まさかこの年で『炎』が使えるなんて」

「たいしたもんだな。

 しっかし、どうすんだボス?

 この『炎』って、こんな年から出してて、なんかツナ自体に影響ってでねえのか?」

「……炎自体は俺もこのぐらいの年から出せていた。

 影響はないが、使い方を間違えれば死ぬ可能性もあるな」

「げっ! それ目茶苦茶やばいじゃねえか!」

 

 確かに。コントロールの仕方を間違えて、『炎』を放出しきってしまえば、生命エネルギーと同等の『炎』は存在そのものを消し去ってしまう可能性があります。

 ……実際、これを見ると便利だけど本当に危険な代物だということがわかります。

 坊ちゃんも炎を出すことが出来ていましたが、既にコントロールを本能的に覚えていたのでしょうか。

 

「まあ、まだこんな年で『炎』を使う必要もなければ、封印してしまうことも出来るしね」

「それが一番かもなー。

 ここならともかく、日本で炎を使う必要はそうそうないだろ?」

 

 師匠の言葉にうなずくディーノ君。

 そうなんですよね。

 それが一番安全で手っ取り早いことだと私も思っています。

 だけど――

 

「……ふむ。

 これはどうするべきかな」

「パパンどうしたにゃ?」

 

 皆の意見は封印の方に傾いているようでしたが、意外にも9代目は別意見のようです。

 

「このままツナくんの炎を封印するのはたやすい。

 だが――どうも儂の勘が封印するよりも、コントロールを覚えさせるべきだと告げているのだ」

「それは事実か9代目?」

「リボーン。儂がこんなことで冗談を吐くように思うかね?」

 

 眉根を寄せて先生が問えば、溜息のように答える9代目。

 9代目の勘=超直感であるとすればそれは、未来予知にも等しいものです。

 ならば、それはそうした方が良いのでしょう。

 ですが、それだけ強大な力を扱うと言うことは、同時に厄介ごともそれなりに招き入れる可能性があります。

 それでもいいのでしょうか?

 

「親父、そうするとツナは色々厄介なことに巻き込まれる可能性が高いぞ」

 

 坊ちゃんも同じことに思い至ったのか、渋い顔をしています。

 

「そうだね。

 ……ただ正直なところ、ボンゴレの血を引いていると厄介ごとに巻き込まれるのはもう、運命としかいいようがないんだけど…………」

「「「「「「確かに」」」」」」

 

 尻すぼみで小さくなる9代目の台詞に、思わず全員で断言するほど納得してしまいました。

 が、本当にそうなんですよね。

 このボンゴレの血筋って。

 

 ――平穏無事に暮らすのなんて諦めなあああああっっっ!!

 

 って呪いを掛けられているんじゃないっていうくらい、厄介ごとがどかどか降りかかってきてるような気がします。

 ……主に先祖の残した厄介ごとのせいな気もしますが……

 

「にゃんじゃしゅたま、みんなどーちたの?」

「にゃ。ツナがこれからどうするか、考えているにゃ」

「ちゅなの?」

 

 こてん、と首を傾げるツナくん。

 ……こんな可愛い子は普通の生活を送らせてあげたいなあ、と思うのですが。

 ただ、どうあってもこれからの厄介ごとに巻き込まれることが決定なら……『炎』のコントロールは覚えていて損はないでしょう。

『原作』通りのことが起こるならば、ツナくんに出会ったことで救われる人物は多々います。

 しかし、それはツナ君が『ボンゴレⅩ世を継ぐ』という前提の中での出会いとなります。

『ボンゴレⅩ世』を継がなければ、彼らとの出会いはないのでしょうか?

特に、『獄寺隼人』や『六道骸』のようなボンゴレの地位やその肉体を狙っていた人間と出会うことはなくなるのでしょうか?

……たぶん、そんなことはないでしょう。

以前リボーン先生が言っていたように、AからBに行く地点は一つではないというように、また彼らとの出会い方も一つではないと思うのです。

ただ、ボンゴレに関わっていた方が出会う確率は数段上がるとは思います。

そのためには、この『炎のコントロールを覚える』というのは、ボンゴレとの繋がりをもたせるのには好都合ではないのかと思います。

…………大丈夫かなあ…………?

関わるだけならともかく、ボンゴレⅩ世として持ち上げられる可能性も出てくるんじゃ……?

うちの厄介ごと巻き込まれ率は相当高いし、ツナくん自身もトラブルホイホイな気がこうひしひしと……。

 

 そんな私の心配をよそに9世は笑顔でツナ君を高い高いしています。

 

「よーっし!

 ツナくん! じいじがその炎の使い方をちゃんと教えてあげるからね!!

 それで将来、ボンゴレに就職してね!!」

「う? ぼんご?」

「そう! ザン君と一緒に働けるよ!!」

「にーたんといっちょ!!

 ちゅなやりゅ!!」

 

 ……なんだろう。今、妙なフラグが立った気がする……。

 

「いいのか、これで?」

 

 流石に軽すぎないか?と呟くディーノくん。

 気持ちはわかります。

 

「まあ、保護者である家光お兄様に訊いてからになるとは思いますけど、9代目の超直感がそう告げたのならば、否はないと思いますけど」

「家光もあれでも一応門外顧問だからな。

 ボンゴレの未来のためにも覚えた方がいいというなら、納得せざる得ないんじゃないか」

 

 ……一応って、坊ちゃん。

 あの人ぼっちゃんが来る前から、門外顧問やってますから。

 些か心配な気もしますが、9代目ニャンザス様と一緒にクルクル回されるツナ君を見ながら、戻ってきた家光さんが失神しないといいなあ、と私はこっそり祈るのでした。

 

 

 ~オマケ~

 

「それよりレオ」

「はい?」

「あの白いのはなんだ?」

「え? 天空嵐ライガー(小)ですが」

「アレはテメーが、俺がガキの時に買ってきたぬいぐるみだろうが!

 なんで、動いてるんだ!?」

「え?

 いつの間にか、ニャンザス様が召喚してましたけど」

「なんだそれは!?」

「まあ、坊ちゃんとベスタ―は相棒ですから、当たり前じゃないですか」

「何が当たり前なんだ!?」

「坊ちゃんにはベスタ―、ニャンザス様にベシュター。

 もうこれは世界の真理ですから、動かしようがありませんよ!!」

「何が真理だっ!?」

「いいじゃねえか、ザンザス。

 ベシュターはふわもこだぞ」

「ほんとになー、癒されるなー」

「がう」

「ほら、スクアーロもディーノ君もこういってますし。

坊ちゃんも」

「がうがう」

「くっ。気持ちいいなコイツ」

「ベシュターですから」

 




ツナ君の就職先が決定しそうです。
そのうち、ヴァリアー全員とも絡む予定ですが、予定は未定です。

ベスタ―のミニバージョンのベシュターが出てきました。
癒し要因が増えても、スクアーロの胃は一向に治りそうもありません。


つたない作品ですが、待っててくださった方がいてくれて嬉しいです。
ありがとうございます。
カタツムリ並みの速度ですが、頑張って更新していきたいと思います。

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