暴君の家庭教師になりました。   作:花菜

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主人公がはっちゃけました。
思った以上にはっちゃけています。
ついでになんかチートっぽいです。
無駄にですが。

初めての続きものになると思います。
あの方とかあの方とかも出る予定です。

感想、評価、お気に入りありがとうございます。
増えると更新頑張ろうと思います。

感想でのご指摘で、オリキャラ多数のタグ付けました。
ありがとうございます。



ハロウィーンの夜に ①

その時の私の衝撃はすさまじいものでした。

 

「………………」

「……ぼ、坊ちゃん……」

 

 坊ちゃんがこちらをゆっくりと振り向くと同時に、黒い尻尾がぴょこりと揺れます。

 

「はうっ!」

 

 私のHPが一万ぐらい削られました!

 坊ちゃんが肉球のある黒い手を見て固まり、すぐに鏡を見ます。

 そこには――黒ニャンコな坊ちゃんの姿が!!

 

「な、なんだこりゃ~~~~っっっ!!!」

「坊ちゃ~ん!!」

 

 憤る坊ちゃんを腕に抱きしめスリスリします!

 ああ、三角の猫耳が気持ちいい!!

 

 今日はハロウィーン(坊ちゃんを合法的にコスプレ出来る日)なのですから!!!

 

 

 

   ◇◇◇――◇◇◇――◇◇◇

 

 

 

 数時間前。

 私は逃亡してしまった坊ちゃんを探しに、屋敷を探索していました。 

 

「坊ちゃんどっこでっすか~~~!!」

「「「…………」」」

 

 上機嫌で私は上から落ちてきた投網を切りとばし、スキップしながら進みます。

 なんか後ろでリボーン先生たちが微妙な表情していますが、まったく気になりません!

 だって今日はハロウィーンなのですから!!

 

「……ちょっとリボーン、キミ止めなよ……」

「……無理だ……」

「ほお。しばらく会わないうちに腕をあげたものだな」

 

 感心したようなラル教官、疲れ切ったリボーン先生とマーモン師匠の三人を引き連れての坊ちゃん探索隊は進みます。

 坊ちゃんてば、おやつを食べた後からいなくなっちゃったんですよね~~。

 この日を私がどれだけ楽しみに思っていたのか知っている筈なのに!!

 

「……楽しみに思ってたから、全力で逃げてんだろ」

「カレンダーに毎日『坊ちゃんが猫耳をつけるまであと113日』『愛らしい黒ニャンコになるまで90日』『坊ちゃんが猫耳猫しっぽをつけて、にゃあと愛らしく鳴くまで10日』とか細かく書いてたら、流石に逃亡すると思うよ」

「なぜ!?

 こんなにも愛らしいものをさらに愛らしく出来るという素晴らしい日を、楽しみにしていただけですのに!!」

 

 私が振り返って抗議すれば、どこか呆れた気配を纏わせた死神姿のリボーン先生と小悪魔姿のマーモン師匠の二人。

 マーモン師匠は宙に浮き羽をパタパタさせるまでの細かい仮装振りです。

 ああ、可愛い!!

 何故、師匠とついているのかというと、別料金でマーモンに霧の炎の使い方を教えてもらったからです。

 

「エレオノーラ。何はともあれ急がないと時間に間に合わないぞ」

「あ、そうですね」

 

 三角のとんがり帽子が可愛い魔女の衣装の教官に急かされ、可愛いものセンサーの導きのまま坊ちゃんの居場所を探り出します。

 本当は魔法少女的な衣装がいいかなーと思っていたのですが、教官に『レオも同じものを着るならきてやる』と言われたせいで断念しました。

 ……うん。ああいうのは年齢制限があるとおもうんですよ。

 キュア○ラック似合いそうだったんですけどね~。

 せっかく、コロネロ大佐にも送ろうと思ったのに。

 私は無難に吸血鬼の恰好です。

 黒のマントにドレスシャツ、牙を装着しただけで、普段とあんまり変わらないと大評判です。

 いいのですよ!

 今日は子供が主役なのですから!!

 ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ~~~。

 坊ちゃん私から逃げ切れると思うなんて甘いですよ!!

 可愛いものセンサーの導きによって辿りついたのは私の部屋でした。

 内側から掛かっている鍵などなんのその!

 

「てーいっ!!」

 

 私の気合の入った蹴りの一撃で、分厚いドアが音を立てて後ろに倒れていきました。

 ふ。今の私を止められるものなど何もない!

 たとえ未来編の堕天使とか出てきても羽根むしって撃退しますよ!!

 

「……ちょっとリボーン。キミ、淑女教育を彼女に施したとか言ってなかった……?」

「……言うな……」

「なかなか、躊躇いのない、良い蹴りだな」

 

 ふふふ。何を言っても今の私は止まりませんよ!

 居間にはいません。ということは寝室ですか。

 ドアを開けるとベッドの上に布団をかぶった膨らみが!

 そこですか!?

 

「坊ちゃん、覚悟してください!」

 

 布団をめくるとそこには――テディベアが!?

 何!? 囮!?

 背後に気配を感じ、振り返れば炎を右手に纏った坊ちゃん!!

 

「少し寝てろ!!」

 

 解き放たれた炎が私に向かってきます!

 ですが――甘い!!

 腰に刺していたアーミーナイフを抜くと、雨の炎を大空の炎で調和し、雲の炎で増幅し、ナイフに纏わせます。

 

「はっ!!」

 

 気合一閃!

 憤怒の炎を私の炎が掻き消します!!

 

「残念でしたね、坊ちゃん!」

「テメエそれは反則だろっ!!」

 

 坊ちゃんの抗議もなんのその。

 今日の私は無敵です!!

 今ならナスの幽霊もおしりぺんぺんしてから説教できますっ!!

 

「――ちょ、今レオ雨の炎増幅させなかった?」

「……どうにもアイツ死ぬ気の炎の『融合』が得意らしくてな……」

「なに、あのこ無駄にチートじゃない……」

「さすが、俺の生徒だな」

 

 せっかく持った『死ぬ気の炎』で何かできないかと、色々試した結果、私は他の炎と大空と雲の炎で調和と増幅をさせることによって一時的に、効力を大きく出来るようになりました。

『なにオマエチートになってんの!?』

 とか言われそうですが、別にチートじゃありませんよ。

 勿論、この炎は例外を除いてあくまで擬似的なもので他の『嵐』『雨』『雷』『晴』の本来の持ち主程の力を一時的に使うことが出来ますが、制約も多いのです。

 

「さあ、坊ちゃん! 観念してこれを身に着けてください!!」

「だれが付けるかそんな猫耳と猫尻尾なんざ!!」

「何を言うんです!

 これはただの猫耳じゃありません!!

 ボンゴレ技術開発部が坊ちゃんのために、開発した感情まで本物そっくりに表せる猫耳と猫しっぽなんですよ!!」

「なおさらつけるか!!

 なに無駄なことに技術使ってやがる!!」

「無駄じゃありませんよ!!

 坊ちゃんがいかに愛くるしく可愛いらしい存在か、半日かけてお話した結果、笑顔で引き受けてくれたんですから!!!」

「そりゃ、脅迫っていうんだっ!!」

「……洗脳ともいうね……」

「……開発部の連中が、『坊ちゃんは可愛い』ってなんか虚ろな目をして呟いてたって言う話は聞いてたが……」

「……レオのせいだったか……」

 

 何にも聞こえないもーん!!

 今の私には坊ちゃんをニャンコにするという重要な使命があるのですから!!

 何しろ、世界中の人間が坊ちゃんの愛らしさを楽しみにしているのですから!!

 と、坊ちゃんが手を差し出します。

 あら? 

 その手にそっと猫耳と猫しっぽを載せます――ニヤリと坊ちゃんの顔が歪みました。

 は! 坊ちゃん、まさか!!

 ボッと音を立てて炎がボンゴレの技術の粋を集めた猫耳と猫しっぽを舐めとり、あっという間に灰に変えていきました。

 

 ――なんということを!!

 

「何をするんですか、坊ちゃん!!

 人類の夢と希望を灰に変えるなんて!!!」

「何が人類の夢と希望だ!

 ――ともかく、これで俺は出れないからな」

 

 ふんぞり返って勝利宣言をする坊ちゃん。

 それに今度は私がニヤリと笑ってみせました。

 

「甘いですよ、坊ちゃん。

 私がこの日をどれだけ楽しみにしていたと思ってるんです?」

「なにっ!」

 

 咄嗟に私から離れようとする坊ちゃん。

 ですが――遅い!!

 

「私の覚悟の炎よ!

 今こそ萌えあがれ!!!」

 

 藍色の炎が坊ちゃんを包み込みます!!!

 

「「「なっ!!!」」」

 

 驚愕の三重奏をよそに、炎が収束し、消えていきます。

 後には――黒ニャンコ姿の坊ちゃんが!!

 

「なんだこりゃ~~~~~~っ!!!!!」

「ぼっちゃ~~~~ん!!!!!!」

 

 世界よ、見たか!!

 今、坊ちゃんの愛らしさは大気圏を超えた!!!

 

「やーだー可愛い~~~~!!

 もう可愛い~~~~!!!

 超可愛い~~~~~!!!」

「テメエ、レオ!

 オレに何しやがった!!」

 

 あ、毛がぶわってなってる~~!!

 流石私!

 妄想――もとい、想像力には定評があります!!

 

「何って、霧の炎を大空の炎で調和し、雲の炎で増幅したんですよ~。

 私、霧の炎だけはなんかやたらと相性いいらしくって」

「ちょ、待ってよ!

 確かに僕はキミに基礎は教えたけど、これって有幻覚でしょ!?

 なんで術者でもないキミがそんな高等技術使えるのさっ!?」

「え、坊ちゃんの猫耳は実際触れた方が可愛いじゃないですか」

「……そ、それだけの理由で……?」

「萌えは全てを凌駕するのです」

「……ヤダ、この子怖い……」

 

 崩れ落ちてしまったマーモン師匠には、悪いのですが今の私には坊ちゃんを愛でることの方が最重要事項なのです!!

 

「レオ!

 元に戻しやがれ!!」

「絶対Noです!!

はうう~~~

 坊ちゃん可愛いですう!!

 ああ、こんな可愛い坊ちゃんを9代目に見せてしまったら……」

 

 今日は会議で某国に行ってしまっている9代目。

 行く直前まで、

『いやじゃああ~~!

 儂もザン君の猫耳姿を生で見るんじゃ~~!!』

 と床を転げて駄々こねていましたが、守護者の皆さんに両手両足を一人ずつに掴まれ、車に積み込まれていきました。

 そういえば、坊ちゃんの前ではダンディーな父親であるようにしているらしく、この手の姿を一度も見せてはいないのですが……バレたらどうするのでしょうね。

 坊ちゃんが尊敬するお父様がこんなんだったと知ったら……心配です。

 しかも、こんな愛らしい姿を一回でも見てしまったらきっと――

 

『ザンザス、欲しいものはあるかね?』

『世界にゃ』

『そうか。

 ――皆の者。これよりボンゴレは世界征服に挑む。

 ザン君に世界を捧げるのじゃ~~!!』

『『『『『『『『『『おおおおおおおおおおおおおおお~~~~~~』』』』』』』』』』』』

 

 ――なんてこと!

 坊ちゃんが傾国どころか傾星の美少年に!!

 

「坊ちゃん!

 くれぐれも世界を欲しいなんてお父様に言ってはいけませんよ!

 世界征服にボンゴレが乗り出してしまいます!!」

「誰が言うか~~っ!!!」

 

 爪を立てないように、ぽふぽふ頬にパンチされます。

 なんですか、肉球猫パンチですか!

 ご褒美ですね!

 ありがとうございます!!

 ああ、坊ちゃんは可愛い!!

 でれっでれに顔を緩めていましたが、重大なことに気付き私は顔を引き締めました。

 坊ちゃんも怪訝そうに、私を見つめてきます。

 

「ニャンザス様……」

「誰がニャンザスだ!!」

 

 坊ちゃんの肩に手をのせ、真剣に私は言い放ちます。

 

「にゃあ、と言って下さい!!」

「誰が言うか、ドカス!!!!!」

 

 真剣な顔で何言ってやがると猫パンチを繰り出されますが(気持ち良い)、それよりも今は貴方の『にゃあ』の一言が欲しいのです!!

 

「坊ちゃん、にゃあですよ」

「誰が言うか!」

「部下に施しを与えるのも『王』の役目ですよ!」

「ふざけんな!

 そんなこと言って何があるって言うんだ!!」

「主に私のやる気とテンションが上がります!!!」

「これ以上、あげてどうすんだ!!!」

 

 ぷい、と横を向いてしまいました。

 あう。

 そんな、坊ちゃんがにゃあ、と一言いってくれれば、世界の一つや二つ坊ちゃんに捧げてもいいかな、という気持ちになりますのに。

 肩を落として落ち込んでしまいます。

 にゃあ、聞きたかったなあ。

 

「……レオ……」

「はい?」

 

 呼ばれて振り向けば、クルリとその場でターンし、某魔女っ娘の決めポーズをとるラル教官。

 なんですと!?

 私のビデオカメラが荒ぶります!!

 さっきはポーズ取ってください!といっても取ってくれませんでしたのに。

 

「可愛いです教官!!」 

「そ、そうか」

「もうちょっと右斜めにむいてみてください」

「こうか?」

「はい! 可愛いですよ!!」

 

 次々とポーズを決めてくれる教官は可愛らしく、ハロウィーン限定の妖精のようです!!

 後で、コロネロ大佐にもあげましょう!

 

「……ほお。張り合ってるな」

「……何をさ……?」

「ラルを真っ向から可愛いと言って女の子扱いするヤツは少ないからな。

 つい、何かしてやりたくなったんだろ」

「……そう。後から自分の行動振り返ったら、暴れそうだけどね」

 

 教官てば、お優しい!!

 紫の魔女服は未来編の人形を思い出させますが、気にしないでおきます。

 

「……レオ……」

「はい?」

 

 唐突に呼ばれて、振り向くとどこか苦悩し続けて漸く、何かを決意した目をした坊ちゃん。

 

「坊ちゃん?」

「………………………にゃあ……………………」

 

 はうっ!!!

 私の心臓を愛くるしい鳴き声が射抜きます!!

 

 顔を真っ赤にして、すぐに横を向いてしまった坊ちゃんが愛らしすぎる~~~つ!!!

 

「坊ちゃ~ん!!

 もう一回言って下さい~!!

 今度は録音しますから~~~!!」

「~~~!! 言わねえよ!!!」

 

 思わず抱きしめふわふわの猫耳を撫でます。

 ああ、ラル教官もマーモン師匠も坊ちゃんも可愛い!!

 

「先生!」

「……なんだ……?」

 

 ちょっと離れて見ていたリボーン先生に私は宣言します。

 

「私は今、理想郷にいます!!!」

「……良かったな……」

 

 

 

 




リボーン先生が突っ込みを放棄しました。

主人公が暴走しまくっていますが、今回彼女の炎の使用例がでてきました。
なんとなくチート能力に見えますが、色々制約が付くため、チートにはならないと思います。
霧の炎は妄想力を叶えるには絶好の炎だと思います。
このために主人公にこの炎持たせましたとか怒られますかね?
いえ、それだけではないのですが。

ニャンザスさまが降臨しました。
ボンゴレのマスコットキャラにこのままなってしまいそうですが、出来るだけ阻止していこうと思います。

……無理かな?


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