死後で繋がる物語   作:四季燦々

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第3話です。原作アニメでは第2話にあたります。
そして今回は10000字いきましたよ!大ボリュームの13000字オーバーです!

これ、逆に読みにくくないですかね?


descent

両手で構えた銃と狙いを定めている標的に意識を集中。狙いは定まった、呼吸も落ちついている。後はこの引き金を引くのみ。

 

――――いける!そう思い、ゆっくりと引き金を引いた。

 

 

ドォン!!

 

 

重い衝撃と共に銃口から飛び出した弾丸。命を簡単に奪い去るそれは、しかし生物ではなく無機物である空き缶を貫く。接触した衝撃により、岩の上に置いてあった缶は簡単に弾け飛んだ。手元から硝煙の臭いが立ちこめ、銃口からは僅かながら煙が上がる。

 

「フーー………」

 

「だいぶ慣れてきたんじゃねえか?これなら実践でも十分戦えるな」

 

「銃の扱いに慣れるなんてあんまり良い気はしないけどな」

 

「そう言うなって。いつかは慣れなくちゃいけないんだ。それがこの世界に存在していく上で必要な事なんだぜ」

 

そう言ってオレの練習に付き合ってくれていた日向は、標的にしていた空き缶を拾い上げる。狙っていたのは缶のど真ん中だったはずなのだが、実際は弾丸は缶の側面を掠る程度だったようで、その部分が抉れるように割れていた。う~む、なかなか上達しないもんだな。

 

あのライブがあった日から数日が経過していた。その間にも何度か天使と戦うことがあったのだが、今だにオレは直接戦ったことはなかった。というのも、この前の作戦でバリケード班といった戦闘を行う部隊は音無が1人加わっただけで十分だという結論に行きつき、1人残されたオレは半ば強制的に遊佐が所属する通信班の一員として活動するようになったからだ。

 

まあ、実際に通信士を行うのではなく、専ら通信班の奴らの護衛を行ってるけどな。しかしだ、通信班は天使と遭いまみえることなど早々ないため、今だにオレは戦闘経験0というある意味偉業を成し遂げている。護衛(笑)である。そのため、任務がないときはこうして日向に付き合ってもらって銃撃の訓練をしている。

 

本当は刀についても特訓したいのだが、如何せん教えられそうな奴がいないため完全に我流だ。詳しそうなのは椎名だが、1度ご教授願おうかと思った時に、覚えるのは実戦が一番とか言って小刀チラつかせてきたから丁重にお断りした。

 

なんなのあいつ。忍者みたいな見た目して、アサシンかよ。いやでも割と戦闘狂な一面もあるからもしかしたらバーサーカーかもしれん。もしくはランサー。いずれにせよ、この世界には聖杯はありません。

 

そんなこんなで数日間を訓練9割、護衛1割で過ごしてきたオレだが、今日はこのあと報告会があるらしい。詳しくは知らないがな。

 

「さてと、そろそろ時間だし行くか。ゆりっぺは遅刻するとこえーからな」

 

「校長室――じゃなかった、本部に集合なんだよな?」

 

「ああ」

 

訓練が一段落ついたところで日向が言った言葉に近くで一緒に訓練していた音無が反応する。こいつはもうオレよりたくさん経験積んでんだよな。同じ新入りなのにどうしてこうなった。あっ、教えてもらったのだがSSSは校長室を本部と呼んでんだって。

 

ほら行こうぜ、と日向が校舎の方へと歩き出したので、銃を懐にしまい音無と共にあとをついて行く。ちなみにオレ達がいたのは学校の敷地内を流れる川の河原だ。

 

学校の敷地内に川って……と思ったがあまり気にしないことにした。こんだけデカい学園だしと言う理由で無理やり納得した。色々と衝撃的なことがありすぎてもう驚くのも疲れたしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「神も仏も天使も無し、と」

 

校長室の前で合い言葉を言ってからノックをしてドアノブを回す。最初にここに来た時は全く知らなかったのだが、この扉は合い言葉を言わなければ罠が起動する。あのハンマーの事だ。オレの時は事前に野田が吹っ飛ばされていたから発動しなかったらしい。全く肝が冷えるぜ、野田に感謝だな。仕掛けたのは野田自身らしいけど。自分の罠に思いっきり引っかかるってアホ過ぎだけどな。

 

「じゃあ、高松君。報告をお願い」

 

SSSのエンブレムが回転する見慣れてきたスクリーンを背に、ゆりが高松の報告を促す。報告の内容は要約すると、戦闘で使う弾薬及び銃が底を尽き始めてきたのでギルドに降下して補充して来よう、という内容だった。

 

そう、()()である。とはいっても、何も上空から降下するというわけではない。今いるこの地上から地下へ降下するということだ。音無はそれを聞いて安心している様子だった。まあ、オレもパラシュートとかおっかねえことしたくねえしな。

 

にしても、地下かよ……。確かに武器工場なんてものを地上に置いとくわけにはいかねえけど、だからって普通それを地下に造るか?全くSSSメンバーに技術力の高さには感服である。SSSの技術力は世界一ィィィィ!

 

そういうことでゆりや日向や音無と言った、最初に自己紹介をしたメンバーで物資補給に行くことに。その中には野田が居なかったが、どうせ単独行動をしてるのだろうという結論に至り気にしないことにした。つか、さっきギルドの奴に今夜向かうってことを伝えた時にトラップの解除を頼むって言ってたな。それだけ厳重に守られてるってことなのか。

 

 

 

 

時刻は過ぎ、夕暮れ時になりオレ達は体育館へと向かった。何でもそこにギルドへの入り口があるらしい。他の奴らは別段不思議に思うことのなく、ステージしたのパイプイスとかを収容している台車を引出し、その中へと次々と入って行った。

 

「ほら、突っ立ってないで俺達も行くぞ」

 

「こ、この中にか?」

 

「また、すげえところに入り口作ったな」

 

「別にここは俺達が作ったんじゃねえよ。最初からあったんだ、地下のでかい空間も含めてな。俺達はそこに工場を作っただけ。それにギルドには他にも入り口はあるぜ」

 

「いや、それも大概だろ……」

 

入り口がまさかこんなところとは思わず驚いている音無や呆れているオレの背を押して日向が誘導する。押されるがままにステージ下に潜ると、そこには下へ降りられる梯子があった。もう色々おかしいな。

 

カンカンと金属音を奏でながら地下の通路へと降りる。中は薄暗く、視界が悪い。見えないこともないが、暗さになれるまでは懐中電灯がなければ進むのも難しそうだ。

 

「ギルドに入るのも久しぶりだね」

 

「そうなのか?」

 

「うん。本当ならギルドの人が物資を持って来てくれるんだけどね」

 

「今回は天使との交戦が多く、物資の消費が激しかったですからね。供給する量が多いので私達もその手伝いとうわけです」

 

大山の言葉に疑問を持ったオレが尋ねると、報告者である高松が詳しく説明してくれた。なるほど、だから入るのは久しぶりだったのか。

 

「おいっ!誰かいるぜっ!」

 

大山や高松とのんびり話していると、突然藤巻が警戒心を込めた声を上げる。そのまま持っていた懐中電灯を通路の先へと伸ばしていくと――――

 

「――――ふっ」

 

――――何やら恰好つけた野田が仁王立ちしていた。

 

「うわ~……バカがいた」

 

激しく同感だ日向。その野田(バカ)は持っていたハルバードを音無へと突きつけてくる。おいこら危ないだろうが。

 

「音無とか言ったか。俺はまだお前を認めていない」

 

「わざわざこんな所で待ち構えている意味が分かんないよな」」

 

「野田君はシチュエーションを重要視するみたいだよ」

 

「意外とロマンチストなんだな」

 

コソコソと日向と大山と一緒に感想を口にする。野田はその間もずっと音無を睨み付けていたが、やがてハルバードを回し、今度はそれをオレに向かって突きつけてきた。

 

「そして、貴様っ!!」

 

「うおっ!?お、オレ?」

 

「そうだっ!俺はお前のことなどさらに認めていないっ!!」

 

「度合いの違いがいまいち分かんねえよ」

 

「あさはかなり」

 

「貴様、ゆりっぺに名前をもらうなど羨ましい慈悲を受けながら全く仕事をしていないそうだなっ!!許さんぞ、そんな奴を俺は決して認めたりはしないっ!」

 

要するにそれただの嫉妬じゃねえかっ!?八つ当たりもいい加減にしろっ!つか、地味に人が気にしてること指摘してくんな!自分の仕掛けた罠に引っかかるアホのくせっ!

 

「意味不明ね……」

 

「別に認められたくもない」

 

「オレだってちゃんと働いてるし。だよな、リーダー?」

 

「さあ?遊佐さんの報告からは何も触れられてないけど」

 

遊佐さん酷いっ!!

 

「貴様ら……今度は千回死なせて――――だっはぁっ!?」

 

――――その瞬間、野田は鳥になった。真横へと吹っ飛ぶ鳥に。

 

いや、何かポエムチックに言ってるけど、目の前の光景はそんな綺麗な絵面しゃないけどな。突然こちらににじりよって来た野田が消えたかと思うと、奴は横から来た大きなハンマーにナイスショットされた。そのまま、壁際に叩きつけられてさらにはハンマーの追加攻撃で潰され、瓦礫の下敷きになった。ハルバードが墓標のように突き立っている。

うわ……一瞬見えたけど腕とか変な方向に曲がっててグロかった。死なないとは言え、ちょっと同情。

 

「臨界体勢っ!!」

 

「トラップが解除されてねえのかっ!?」

 

ゆりの大きな声が通路内に響き、各々が姿勢を低くして銃を構える。釣られる様にオレもいつでも抜刀できるように左手を鞘に、右手を柄へと添えて腰を落とす。そんな中、理解が追い付いていない音無の姿勢を日向が無理やり下げさせた。

 

「何事だっ!?」

 

「見ての通りトラップが解除されてねえんだよ。対天使用の即死トラップがな」

 

「それが今でも稼働中ってことかよ……」

 

「トラップの解除忘れかな?」

 

「まさか俺達を全滅させる気かよっ!?」

 

「――――いいえ。ギルドの独断でトラップが再起動されたのよ」

 

動揺が走る仲間内だったが、それを静めるかのようにゆりの言葉がかけられる。流石ずっと戦い続けてきたけのことはある。こんな状況になっても冷静さを失っていない。ちなみにオレは平静を装っているつもりで内心ガクブルである。野田の吹っ飛んでいった光景が頭をよぎり、ああはなりたくないとガチで思っていた。

 

「何故っ!?」

 

「答えは1つしかない。天使が現れたということよ」

 

「この中にかっ!?」

 

「Just wild,man」

 

「不覚っ……!」

 

「でも、ギルドの連中は俺達がいるのを分かっててこんな真似をするのか?」

 

音無の疑問は至極まっとうだろう。仲間がいる状況であんなトラップを起動するのはどうかしている。()()であれば。

 

「あなたはまだ分かってはいないようですね。何があろうと私達は死ぬわけではない。死ぬ痛みは味わいますが」

 

「それが嫌なんだが……」

 

高松の言葉に冷や汗を流す音無。またまた激しく同意だ。オレもそんな痛みはご所望じゃない。

 

「んで、ギルドが落とされると物資の補給ができなくなり、天使と戦うことすらできなくなる、ということか」

 

「そのとおりです」

 

「ギルドの判断は正しいわ」

 

「どうするゆりっぺ?天使を追うか?」

 

「トラップが解除されてない中をかよっ!?」

 

その後、音無が引き返すことを提案したが、結局トラップはただの足止めにしかならないとゆりがそれを論破し、奥へと進むことになった。はぁ……ただの物資運びなだけの任務だったはずなのに、難易度がHARDに引き上げられてんですけど。オレ、無事に地上に帰れるのかな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――マズイっ!来るぞっ!」

 

進軍していくこと数刻、トラップを発動させないように慎重に進んでいたオレ達だったが、突然椎名が鋭い声を上げる。全員振り返り、後方へと意識を向けた瞬間、ガコッという何かが起動する音が聞こえた。そして、天上から通路を一杯の大きさを持った鉄球が現れ、オレ達に向かってものすごいスピードで転がってきた。

 

「走れっ!」

 

慌てて通路の先へと走り出す。随分古典的な罠ですねこんちくしょうっ!!と内心ぼやいていると、いつの間にかオレ達を追い越していた椎名がこっちだっ!と通路脇の空間へと誘導。SSSメンバーは次々とそこへと逃げ込む。オレも何とかそこへと避難できたが、運悪く入れなかった高松の悲鳴が通路の先から聞こえてきた。

 

「高松がやられたか……」

 

「高松君には悪いけど、早く進みましょう。天使は待ってくれないわ」

 

「お、おい、助けなくていいのか?」

 

「彼も言ってたでしょう?別に死にはしないわ。自力で何とかするでしょ」

 

そう言ってさっさと先へと進み始めるゆり。他の奴らも見えない高松に軽く謝罪をしてからその後を追い始めた。

 

「ほら、神乃。行くぞ」

 

「お、おう」

 

日向にポンと肩を叩かれて足を動かし始める。えっ?酷くね?と思いつつもさっさと進んでいるオレは、どうやら随分こいつらの染まったようだ。

 

そうして次に訪れたのは、これまた狭い通路。しかし、今までの土と木造ではなく、金属製の近代的な造りになっている。つか、マジ狭いな。1人で通るとしたらやや余裕があって、しかし2人だと突っかかる。そんな通路の先の扉を藤巻が弄っているのを後目に、オレは後ろに立っていた大山に質問をすることにした。

 

「なあ、大山。ここはどんなトラップなんだ?」

 

「えっとね……何だっけ?」

 

忘れちゃったと大山が頭を掻いた瞬間、ガシャンと今来た扉が勝手に閉まり、照明がわずかに落ちる。

 

「ああっ!忘れてたよっ!ここは閉じ込められるトラップだったっ!」

 

「「そんな大事な事忘れるなよっ!?」」

 

大山のうっかりさにオレと音無が同時にツッコむ。バカっ!何でちゃんと覚えてないんだよっ!?いや、確かに来るのは久しぶりだと言ってたけどもっ!すると、再び証明が点灯する。ここからヤバいのが来るというゆりの警戒した声に今度は進む先を見た。

 

「伏せろっ!」

「しゃがんでっ!」

 

藤巻とゆりの声に慌てて体を伏せる。すると、何かが体の上を通り過ぎていくのが分かった。椎名が煙幕弾を巻くと、通り過ぎて行ったものが何かが分かった。それは、赤い線だった。それが何本か通路をよぎるように平行に引かれている。

 

「……当たるとどうなるの、あれ」

 

「最高の切れ味で胴体を真っ二つにしてくれるぜ」

 

どこのスパイ映画だよっ!つか、嬉しそうに言うなこのバカっ!

 

「どうすんだよっ!?」

 

「潜るのよっ!」

 

そうこう言っている間に第2射が向かって来たので、上げていた頭を慌てて下げる。あぶねえっ!髪の毛掠ったっ!?

 

「第3射くるぞ!!」

 

「第3射なんだっけ!?」

 

「Xだっ!」

 

「あんなのどうすりゃいいんだよっ!?」

 

「それぞれ何とかしてっ!」

 

「無茶言うなよぉぉぉっ!!」

 

次々とクリアしていくメンバーを見ながら泣き言をいうオレだったが、喚いたところでレーザーカッターが止まってくれるわけもなく、覚悟を決めて交わってる部分を飛び越えるようにジャンプ。ギリッギリ。本当にギリギリで飛び越えることに成功した。ちくしょうっ!死ぬほど怖かったぞっ!

 

「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

何とか飛び越えれたことに安堵していると、後ろから松下五段の悲鳴が聞こえた。思わず振り返ろうとしたが、日向に抱えられる。横では同じように音無がいて、2人して日向に抱えられたようだ。

 

「見るなっ!見ちゃいけねえ……」

 

グチョリ、グリョと嫌な音が聞こえる。人肉が切り刻まれ、骨がバラバラにされ、内臓がグチャグチャ鳴る音だ。この時オレは日向に感謝した。そんな光景を直に見てたらトラウマになっていたことだろう。

 

その後、何とかロックを解除して転がりだすように部屋から脱出する。脱出した後ろでは大山が吐いていた。たぶん松下五段のを直に見てしまったのだろう。オレはその背中を擦る。

 

「次の犠牲者は松下君か。あの体じゃ仕方ないわね」

 

「ったく、少しはダイエットしろってんだ」

 

大山が落ち着くのを待ち、大丈夫そうなのを確認する擦っていた手を離し、皆の下へと戻る。

 

「やれやれ、俺はお前らが無事で良かったぜ。あっ、ちなみにバラバラにされてもしばらくすれば元に戻るぜ」

 

「あっ、ははは……・」

 

音無と共にもう引きつった笑い声を上げるしかない。あんなにバラバラ(見てないけど)になってもちょっと時間が経つだけで復活するのか。本当にすげえなこの世界。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、天上が落ちてくるトラップをTKが受け止めてくれることで回避したり(TK脱落)、落とし穴のトラップでは人間綱登りをしたり(落とし穴発動の際、大山転落。登る際、日向がゆりにセクハラ紛いの事をして蹴り落とされ転落)、水攻めに遭ったり(カナヅチだった藤巻溺死)と散々だった。

 

水攻めを乗り越えたオレ達は水路のようなところに出た。現在残ったのはゆり、音無、オレ、椎名だけとなった。一応最高戦力である椎名が残っているとはいえ、随分と戦力がいなくなってしまった。

 

「ゆり、こっちだ!」

 

水路から上がったオレ達を対岸にいた椎名が呼ぶ。ここから向こうに行くには少し遠回りをしなくてはいけない。そう考え歩き出した瞬間、川上から何かが流れてきた。箱のような物に入っているそれは何かの動物のように見える。

 

「あれは――「あああああっ!!子犬が流されているぅぅぅ!!!」――ちょっ、椎名っ!?」

 

「とうっ!」

 

「ええええええっ!?」

 

「椎名さんダメェ!!」

 

ゆりの抑止の声も聞こえないのか、椎名はすごいスピードでダッシュ。そのまま水路へと飛び込んだ。派手な水しぶきと共に着水した彼女は、すぐさま取ったどー!と言わんばかりに動物のような物を手にする。って、おい!そのまま行くと滝壺に落ちるぞっ!?つか、何で地下に滝壺っ!?

 

「――――不覚っ!ぬいぐるみだったぁぁぁぁぁ!」

 

椎名はそんなことを叫びながらもその犬の人形を大事そうに抱え滝壺へと落ちていった。椎名、脱落。

 

「くっ、椎名さんまでトラップの餌食に……!」

 

「あれも対天使用のトラップかよっ!つか、一目で気づけよな……」

 

何故あそこまで椎名が過剰に反応したのかと言うと、どうやら彼女は可愛いものが弱点らしい。特に動物のぬいぐるみなどには目がないそうだ。意外と可愛い趣味があったな。アサシンだけど。

 

とうとう残ったのは3人だけになってしまった。しかもそのうち1人はほぼ実践経験0の素人だ。これはとうとう詰んだかもしれん。そんなことを考えていると、音無がポロリと零した。

 

「でも、大丈夫なんだろ彼女も?」

 

「…………」

 

今まで散々言ってきた内容だったが、ゆりはその一言に顔をしかめ、無言で先を急ぎ始めた。

 

「ゆりの奴どうしたんだ?」

 

「俺、何か怒らせるようなこと言ったか?」

 

「まさか。客観的に聞いててそんなことなかったと思うぞ」

 

急変したゆりの態度にオレと音無は頭を捻りながらその後に続く。本当にどうしたというのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コツコツと3人の足音が通路に木霊する。先程から無言状態を貫くゆりの後ろをオレと音無が付いて行く。ちょっとしたストーカー気分だ。しかし、そんなふざけた考えはふう……と小さくため息をついたゆりによって取っ払われた。

 

「残ったのは音無君と神乃君だけね」

 

「そうみたいだな」

 

――ガンッ!先を歩いていたゆりが突然立ち止まり、壁に拳を叩きつけた。

 

「本当の軍隊なら皆死んで全滅じゃない……!酷いリーダーね……」

 

「……仕方ないだろ。対天使用のトラップだ。これぐらいじゃなきゃ意味ねえよ」

 

「音無の言う通りだぜ。今回の事は予想できなかったんだ。どうしようもねえことだってあるさ」

 

「…………」

 

音無とオレで悔しさを零すゆりをフォローするが、彼女からは何の返事もない。オレと音無は顔を見合わせると、互いに困った表情をした。ちょっと疲労が溜まっているのだろう。この世界でも疲労は溜まる。腹だって減るし、眠たくもなる。疲れが溜まれば人間ネガティブになるもんだ。

 

「ちょっと、休んでいかないか?」

 

「……そうね。服だって乾かしたいし」

 

「こっちに休めそうなところがある。行こうぜ」

 

そうして、オレ達はしばしの休息をとることに。今のままじゃ、天使に遭遇したところでまともに戦えないからな。

 

「――――あんな連中をよく統率していられるな。なんであんたがリーダーに選ばれたんだ?」

 

「初めに歯向かったから。それだけよ」

 

「天使にか?」

 

「そう」

 

短く答えるゆり。しかし、それ以上は口が進まないようだった。やれやれ、どうしたのものか。次の会話をどう切り出そうかと考えていると、意外にも切り出したのはゆりだった。

 

「――――――兄妹が、いたのよ」

 

「えっ?」

 

ゆりがポツリと呟く。

 

「あなた達にはない記憶の話よ」

 

「この世界に来る前の、生きていた時の話か?」

 

「そう。私が長女で妹が2人に弟が1人。親の仕事が成功していたおかげで別荘みたいな家に住んでたわ。」

 

淡々と、なに一つ感情を込めることなく話し始めたゆり。表情もどこか遠い目をしているように感じられた。

 

「……夏休みのある日、両親が留守の午後、見知らぬ男達が部屋の中にいたの。真夏だったのに暑そうな格好をして、一目で悪い事をしに来たんだって分かった。案の定、強盗だったみたいだけど」

 

「…………」

 

「私は長女として絶対にこの子達を守らなくちゃって思ったわ。でも、どう考えても子どもの私じゃ適いっこないじゃない」

 

自嘲気味に笑うゆり。遠い目をしていたゆりの瞳に明らかな憎悪が籠る。しかし、それは無力だった過去の自分を嘆いているように見えた。

 

「連中はもちろん金目の物狙いよ。でも、奴らは見つけ出せなかったの。無闇に窓ガラスやテレビを壊したりして、苛立ちを見せ始めた」

 

「…………」

 

「そして、連中は私達弟妹にとって最悪のアイデアを思いついたのよ」

 

瞳に宿っていた憎悪が殺意へと変わる。自分に向けられているわけでもないのにもかかわらず背筋が凍る。そう感じるほどだった。

 

「奴らは私に金目の物を探してくるように言ってきたわ。もし、持ってきた物が気に入らなかったら、弟と妹達とお別れだ、って。制限時間は1人10分、10分ごとに持って来い……そう言ってきたわ」

 

ギリッ……!と、いつの間にか強く噛みしめていた歯が鳴った。

 

「私は必死に家の中を探し回った。頭が酷く痛かった、吐き気がした、倒れそうだった。あの子達の命がかかっているんだ、探し出さなきゃって。だけど、あいつらが気に入る価値のある物なんて分からない。ただ、時間だけが過ぎていったわ……」

 

「ゆり……」

 

「警察が来たのは30分後。……生きていたのは、私1人」

 

ゆりはそこまで話すと、1度小さく息を吐く。

 

「別に生まれ変わった後にどうなろうと構わないわ。私はただ、立ち向かいたいだけよ。だって、理不尽すぎるじゃない……!!」

 

「…………」

 

「私も!あの子達も!何も悪いことなんてしてないのに……あの日までは立派なお姉ちゃんでいられた自信もあったのに……。守りたい全てを30分を奪われた……そんな理不尽ってないじゃない……!そんな人生なんて……許せないじゃない」

 

全てを吐きだしたゆりは顔を伏せる。オレはそんなゆりに何も声をかけてあげられなかった。大切な人達を理不尽に奪われる、その苦しみが分かるなんて驕ったことは言えない。軽んじてそんなことは言っちゃいけないと思った。

 

「――――強いな、ゆりは」

 

「――――――っ!!」

 

「俺の記憶がそんなのだったらとっとと消えてしまいたくなるかもしれない。……でも、ゆりは抗うんだな」

 

「――――そうよ」

 

オレが何も言えずにいると、代わりに音無が口を開く。音無の言葉にゆりは力強く答え、その場から立ち上がった。オレも同様にして立ち上がる。腰に差していた刀が地面と擦れ、カランと乾いた音を立てた。

 

「なあ、1つだけ聞いてもいいか?」

 

「なに?」

 

「ゆりは、どうして死んだんだ?」

 

「――ああ。って、馬鹿ね。自殺なんかしてないわよ。自殺した人間が神に抗うわけないじゃない。それにこの世界に自殺した人間はいないわ。さっ、行きましょ。あなた達は私が守るわ」

 

そう告げてズンズンと歩き始めるゆり。どうやらいつもの調子に戻ったようだ。さて、ゆりの調子も戻ったことだし、今ならオレも言いたいことを言えそうだ。別に会話に入れなくて空気だったとか思ってねえから。

 

「ゆり!」

 

「なに?早く行かないと――「オレも皆を守る!」――はっ?」

 

「お前がオレ達を守ってくれるってんなら、オレもお前を守る!音無も、他の皆も!」

 

「馬鹿ね。あなたまだ満足に戦えないじゃない」

 

「それでもだ!そりゃ、オレはまだまだ弱いけど、だったら強くなる!」

 

「……ふふっ。じゃあ、期待させてもらおうかしら。き・た・い・の・し・ん・じ・ん・さん」

 

「おう!期待しとけっ!」

 

オレの突然の表明に、苦笑したゆりは柔らかく笑う。よく見ると音無も笑っていた。

 

「お前、また随分でかく出たな」

 

「決意ってのは口に出せば貫かなくちゃいけないからな。ほら、口から出したことは戻せないって言うじゃねえか」

 

「それ、微妙に意味違うけどな」

 

そうと決まれば無事にこの任務を終わらせないとな。

 

それからオレ達はさっきまでの暗い雰囲気と違う、適度な緊張感を持った状態で進むことができた。奥に向かい、長い梯子を降りると、そこには凄まじく広い空間が広がっていた。機械が唸り、煙突から煙を掃吐きだし、鉄を叩く音がする。

 

って、おかしいだろ!?どう考えても工場ってレベルじゃねえじゃん!工場どころか基地じゃん!?軍事基地じゃん!?

 

「ゆりっぺだっ!」

「ゆりっぺが来たぞ!」

「無事だったのか!」

「あのトラップの中たどり着きやがったか!さすがだぜ」

 

オレ達を発見した作業着姿の男子達が次々に駆け寄ってきた。こいつらがここで武器を造ってたのか。ってことはこいつら1人1人が技術者ってことなんだけど、改めてゆりの統率力はすげえな。

 

「そんなことより天使は?」

 

「さっきまで進行は止まっていたけど、また動き出したようだ」

 

スゴォ!と凄まじい音が上の方で鳴り、同時に地鳴りが伝わってくる。技術者達の話からどうやらまたかかったようだ。つか、近いぞ……。ゆりの判断を待っていると、やがて彼女は口を開いた。

 

「――――ここは破棄する」

 

「正気かゆりっぺ!?」

 

「武器が作れなくなってもいいのかよ!?」

 

「大切なのは場所や道具じゃないわ。記憶よ。あなた達それを忘れたの!?」

 

「記憶?どういう意味だゆり」

 

ゆりによると、この世界では命は生まれない。しかし、無機物のような形だけの物は生み出すことはできる。それを構成する仕組みと造りだす方法さえ知っていれば土くれからでも金属、紙など造りだせるそうだ。もはや錬金術だな。両手をパンって合わせればできるのだろうか?

 

「だが、いつからか効率ばかりを優先して、こんな工場でレプリカばかりを生み出す仕事に慣れ切ってしまった、と」

 

技術者達の背後から一際迫力のある声が聞こえてきた。その人物を通すように技術者達の集まりが割れ、1人の男子学生が現れた。いや、言っちゃ悪いがとても学生には見えない。長く伸ばしきった髪と髭。鍛え抜かれた大柄な体。チャーと呼ばれたその人物が技術者のリーダーのようだ。

 

「本来私達は、形だけのものに記憶で命を吹き込んできたんだものね」

 

「なら、オールドギルドへ向かおう。長く捨て置いた場所だが、あそこには土くれだけならいくらでもある。あそこなら地上にも戻れるしな」

 

「じゃあ、ここは?」

 

「爆破だ。天使はオールドギルドには渡らせん。あそこは俺達が帰れる唯一の場所だからな」

 

そこで再び地下が大きく揺れる。マズイ……さっきよりも近い。

 

「持っていくものは記憶と職人としてのプライド。違うか?お前らっ!!」

 

『―――――はいっ!!』

 

「よーし、爆薬を仕掛けるぞ。チームワークを見せろっ!!」

 

『うおぉぉぉぉぉぉぉ!!』

 

チャーの一声に技術者たちが大きく答える。方針は固まったようだ。それを見届けたゆりは嬉しそうに笑い、今の降りてきた背後を登り始めた。

 

「ゆりっ!?」

 

「時間稼ぎよ。私の事守ってくれるんでしょ?」

 

「おうとも!行ってやるぜっ!」

 

ゆりの後を追うようにオレも背後を登り始める。それのさらに後を音無がついてきた。何とか爆薬がセットされるまで時間を稼がないとな。初めての実戦だが、なるようになるだろ。

 

背後登りきった先、比較的広い場所でオレ達3人は天使を待ち構える。その入り口の部分では土煙が上がり、そこに天使がいることを示していた。オレはまず懐にしまっていた銃を構える。音無も同じように銃を取り出した。

 

やがてその土煙の中から小さな女の子が現れた。1度見れば忘れることはない。両腕から刃物のような物を生やした美少女、天使だ。

 

「――――行くわよっ!」

 

ゆりの合図と共にオレと音無も天使に向かって発砲。最初のゆりの一発こそ足に命中したものの、天使が何かを唱えた瞬間弾丸が届かなくなった。否、弾丸が天使から逸れている。な、なんじゃありゃっ!?

 

「おい、ゆり!?」

 

「そう言えば神乃君は初見だったわね。あれは天使のガードスキル、“ディストーション”よ。あれをかけられると弾丸じゃまず無理ね。腕から生えてるのは“ハンドソニック”ね。それにしても、くそっ!対応が早すぎる!」

 

そう叫ぶと、ゆりは銃を投げ捨て、服の下に隠していたナイフを持って天使に特攻した。時に突き、時に払い、凄まじいナイフ捌きを見せた。天使もハンドソニックとやらでナイフを受けたり、ゆりに向かって突いたりともの凄いスピードで動いている。

 

2人が交わるたびに、金属特有の火花が飛ぶ。離れたと思ったら近づき、逆に近づくかと思ったら離れるなど戦闘の駆け引きをを熟知している動きだった。

 

す、すげえ……。あいつ、あんなに接近戦もできたのかよ。確かにオレ達を守ると豪語するだけある。でも、だからといってここで指くわえて見てるわけにはいかない。どうやらディストーションとやらは飛び道具にだけ対応するスキルのようだ。そうでないならば、わざわざナイフを塞ぐ理由は無いしな。

 

「音無、オレもゆりの加勢に行ってくる」

 

「だ、大丈夫なのか神乃?」

 

「心配すんな。イメージでは九頭龍閃まで撃てる」

 

「イメージじゃねえかっ!本当に大丈夫なんだろうな!?」

 

「いいから、援護まかせたっ!」

 

銃をしまい、抜刀してゆりと天使の下へ。ちょうどその瞬間、天使の姿がぶれたかと思ったらゆりの背後に瞬間移動した。ゆりは突然消えたターゲットに気をとられわずかに反応が遅れる。

 

「ゆりっ!」

 

ギィィィィンっ!!と小気味のいい金属音を響かせながら、ハンドソニックを受け止める。あぶねえ、間に合ったっ!

 

「神乃君っ!?」

 

「うおぉらぁっ!!」

 

右手からの斬撃を刀を盾にして受ける。さらに左手からの斬撃は下に伏せることで躱した。そのままヤケクソ気味に刀を振り上げるが、再び瞬間移動した天使に躱される。マズッ、見失ったっ!?

 

「後ろよっ!」

 

「うおっ!?」

 

ドンッと背中を押され前に倒れこむとギィンっ!と金属音が。どうやらゆりが庇ってくれたようだ。しかし、無理に庇ったせいか体勢を整えることができず防戦一方に。やがて持っていたナイフまでも弾け飛ばされてしまった。

 

「あぶねえっ!ゆりっ!!」

 

ゆりに向かって突きだされたハンドソニックを下から切り上げて弾く。そして僅かにがら空きになった天使の胴体を蹴り距離をとる。女の子の体蹴っちまった……。ちょっと自己嫌悪。

 

「3人ともっ!!」

 

これからどうしようかと考えていると、梯子がある方からオレ達を呼ぶ声がした。振り返ると、そこには赤色に塗られた超強大な大砲がこちらを睨んでいる。ちょ、何それメッチャかっこいい!!波動砲みたいっ!

 

「やるじゃない、あなた達っ!そんなの簡単に造れないわよ!神乃君、音無君!こっちよ!」

 

ゆりに呼ばれ、大砲の車線上に入ってしまわないように隅の方へと避難する。

 

「いくぞぉ!!」

 

「総員退避っ!」

 

「撃てぃ!!」

 

ドゴォォンという大きな音がし、凄まじい衝撃と土煙が立ち込めた。おい、ちょっと待て。発射するところ見たいと思って見てたけど、今砲台が爆発したように見えたぞ。

 

「やったのっ!?」

 

あ~……そこでフラグ立てちゃいますか、ゆりっぺさんや。

 

「ほ、砲台大破……」

 

「ててて……。やっぱ記憶にねえ物は適当には造れねえな」

 

「適当に造んなぁ!!!」

 

最後に発言した技術者にゆりがシャイニングウィザードを決めているうちに、ムクリと天使が起き上がる。やっぱ「やったか!」はフラグだったな。

 

その後何とか天使を足止めしようと、技術者も混じって手榴弾を投げる。投げる、投げる、投げまくる。一通り投げたところでシェルターに退避した。

 

「おしっ!ギルドを爆破する。いいな、ゆり?」

 

「やって」

 

「よしっ!爆破っ!!」

 

チャーがスイッチを起動した瞬間、地下の方で大きな音が響く。そして、ここに居ても分かるぐらいの熱が立ち込め、今までで一番の大きな揺れがギルド内を襲った。オレ達は巻き込まれないように急いで避難。ふと気になり後ろを振り返ると、ちょうど天使が天使のいた場所の地盤が崩れ、下へと落下していくところだった。

 

真っ赤に染まる地下に天使と言う一筋の光が落ちていく。

燃え盛る火の中に――――

 

――――静かに

 

――――悲鳴すら上げずに

 

――――ただ無抵抗に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ははははっ……。なんにもねえな」

 

「壁と突けばいくらでも土くれは落ちてくるわよ?」

 

「やれやれ。酷いねぐらを提供されたもんだ」

 

「また一つ、よろしく頼むわ」

 

ようしっ!と意気込んだチャーは他の技術者に指示を出す。それに答えるように技術者達は一斉に動き出した。ある者は土くれを集め、ある者は図面を引き始める。全てを無くしたように見えた彼らは、何一つとして失っていなかったようだ。その中に混じってゆりも指示を始めていた。

 

「すごいな、ゆりは」

 

「……ああ。誇らしいリーダーだ」

 

誰よりも強く、誰よりも固い決意。それを突き動かしている原点は憎悪なのだとしても、皆が従う理由がはっきり分かった。その強さが他者を魅了し、惹きつける。ほんと、すごいリーダーだ。

 

色々と騒々しかったギルド降下作戦はこうしてミッションコンプリートとなった。知ったこともたくさんあったし、心に決めたこともあった。きっと、オレはこのオペレーションを忘れることはないだろう。

 

 




だ、第3話です。つ、疲れた。何時間かかったんだろう……

今回はギルドの話です。トラップは全部書きたかったんですけど、さすがに長くなるので止めときました。

そして、今回比較的神乃君が空気です。やっぱりシリアスな話だと加えづらいですね。

しかし、最終的に空気を読まず決意表明をしています。彼にとってはほとんど衝動的なものですが、きっとこの決意が彼を支える根本的な部分になるでしょう。

では、次の話まで。

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