MAHORA不思議ドリンク研究会   作:ヨシュア13世

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ここから二章が始まります。内容? ほとんど同じですね(笑)ネギ君もそろそろ……


第二部 VIVA☆MAHORAドリンク
8時間目 担任によって一年が変わるよね


春――それは出会いと別れの季節。出会いがあるから別れがあり、別れがあるから出会いがある。そう考えると、人生って不思議だね。――なんてことを考えてみたり。ってなわけで……俺達もう中三かぁ。早いなぁ、時間が過ぎるのって。

 

「おーい二見~、黄昏てないでお前もエロ本観賞しようぜー」

 

「台無しだよバカ野郎」

 

斜め前の席にいるルームメイトの武村が女性のあられもない姿が映った本を俺に見せつけてくる。いや、ほんと俺のさっきまでの気分返せよ。

 

「まぁまぁ、良いから良いから。んな変なドリンク飲んでる暇があったらこれ見て元気出せって。な? 元気になるのは一部だが」

 

「ええい、近づけてくるんじゃない! 俺まで同類に見られるだろうが! そして変なドリンクとはどう言う意味だコラ」

 

この『ミートスカッシュお味噌味』は胃にずんと来るような肉の味に無駄に強烈な炭酸、それらを全て台無しにするかのような味噌味がとても面白い飲み物なんだぞ!

 

「君達……新学期が始まったと言うのにいきなりそれかい?」

 

「ちょ、中林君! 違う、俺は見たくて見ているんじゃない!」

 

先ほどまで俺の前の席で静かに本を読んでいた中林君が物凄く冷たい目で俺達を見てきた。酷い! 俺は見せられている側だと言うのに!

 

「何を言うんだ二見! 昨日は朝からずっとエロ本を眺めていたじゃないか!」

 

「アホか! お前が一向に片付けないから片付けてただけだ!」

 

「冗談だよ。二見君は大っぴらにそう言う事は言わないだろう?」

 

「ホント心臓に悪い冗談止めれ」

 

「そこまで言うのかよお前!」

 

当たり前だ! 俺はこんな教室で堂々とエロ本を広げるようなバカではない! ……どうせ読むなら部屋でこっそり読みます。文句あるか!? 俺だって興味あるんだよコノヤロー!

 

「それはそれとして……僕達の担任は誰になるんだろうね?」

 

「さぁなー。新田だけは勘弁してほしいけど」

 

「言える言える。俺なんか何回正座させられたことか……」

 

お前の場合は自業自得だろ。遅刻はするわテストの点数は低いわで。

 

「僕的にはガンドルフィーニ先生か伊集院先生辺りだと思うのだけど」

 

「そっかな? 案外デスメガネかもよ? ほら、子供先生と担任変わったじゃん?」

 

子供先生……名前は綾瀬から聞いたけど忘れた。綾瀬から聞いた話だと、イギリス人らしく最初こそ子供に務まるか微妙だったけど今ではそこそこらしい。学年末の時とか結構頑張ったって聞いたし……子供なのに頑張るねぇ。一度会ってみたいもんだよ。

 

「ああ、高畑先生か。でもあの人は主に女子部の担当じゃなかったかな」

 

「マジカヨ! デスメガネ許すマジ! 女子ばっかりとか超羨ましい!!」

 

「まぁ、誰にしろ面白い先生だったら良いな」

 

「そうだね、面白いと言うより気さくな先生の方が好感が持てるとは思うよ」

 

「決めた! 今日からデスメガネじゃなくてエロメガネって呼んでやる!!」

 

エロはお前だろうが。それに、そんな風に呼んだら確実にデストロイだろうよ。

 

「おーい、お前ら何の話してんだー?」

 

今頃登校してきたらしき鷲崎が話に入ってきた。

 

「ああ、新しい担任は誰になるのかなって話をしてたんだよ」

 

「今の所ガンドルフィーニ先生か伊集院先生辺りかと思って話をしていたんだ」

 

「何を言ってるんだお前達。ここは葛葉刀子先生一択だろ! な、武っち!」

 

「おお! 葛葉先生は良いよな!! しずな先生には負けるがスタイル抜群だし! さすがは我が同志良く分かってるな!」

 

エロが増えた。と思ったらクラスの連中のほとんどがこいつらの話に頷いている。

 

「だよな、やっぱ男より女だよ」

 

「しかも刀子先生みたいな超美人だったらめっちゃモチベーション上がるよな!」

 

「分かる分かる! テストで良い点取って褒めてもらいたい!」

 

「これがクラスの声だよ二人とも! 大体お前らそんなに男が良いのか!? ホモなのか、BLなのか!?」

 

「そう言う訳じゃないけどよ? 俺年上ってあんま好きじゃなくて」

 

「あ、僕もだね」

 

「「「「この、ロリコンが!!!」」」」

 

さて、OSHIOKIの時間だ。年上があまり好きじゃないだけでロリコン扱いたぁ、良い度胸だなこいつら……。

 

「武村よ」

 

「どしたロリコン」

 

「死ね♪」

 

「ぐぼぉっ!?」

 

拳を強く握りしめ、武村の顔面へと叩き込んだ。どうやら良い感じで入ったらしく、そのまま変態は地面に倒れ伏した。

 

「中林君、トドメは任せた」

 

「……」

 

「……なんで顔背けてんの?」

 

「……い、いや別に……」

 

……え? まさか中林君て……。

 

「フッ、化けの皮が剥がれたな中林君! 君はすました顔をしているがその実真性のロリk――」

 

「すまない、手が滑った」

 

武村が言い終わるより早く、中林君がカバンから取り出した広辞苑(何で持ってきてるんだろう?)を武村の顔面に落とした。

 

「ごべえっ!!??」

 

「……さて、後何人いたっけか?」

 

「片っ端からやって行けば良いんじゃないかな?」

 

俺は見なかった事に、聞かなかった事にして制裁を開始する事に決めた。うん、世の中には知らない方が良い事もあるんだ。うん。

 

「それだ!」

 

「「「「本当に申し訳ありませんでしたぁっ!!!!」」」」

 

すると、俺達以外の全員が綺麗に土下座を披露してくれた。……おい、つーことは何か? 俺らはクラス全員からロリコンと思われたわけか? ……いや、中林君は……やっぱり止めておこう。何か殺気を感じる。

 

「そろそろチャイムも鳴る頃だし、この辺で良しとしないかい?」

 

「……うん」

 

色々あったが、教室にいつもの風景が戻った。それから中林君が言った通りすぐにチャイムが鳴り、俺達は席に着く。先程広辞苑を落とされ再起不能になった一名を除いて。

 

「さーって、どんな先生が来るのかな~っと」

 

「「「「葛葉先生カモオォォォォン!!!」」」」

 

程なくして教室の扉が開いた。そこに現れたのは――

 

「……私が今日からこのクラスの担任になった神多羅木だ」

 

神多羅木と名乗った先生は、やたらダンディな髭にサングラスをかけていた。最早ダンディとしか言いようがない。ダンディと言う言葉はこの人のために存在しているに違いない。そう感じさせる程のダンディズムがあの先生にはある。

 

「む……? そこで寝ているのは……ふむ、武村か。どうした? そこの……二見、何か知っているか?」

 

「え? あ、えっと……変態の末路です」

 

いきなりダンディ先生に呼ばれたので思わず真実を告げてしまった。大丈夫かな?

 

「……そうか。では、軽く私の事を紹介しておこう」

 

「((((納得したんだ!?))))」

 

「名前はもう良いな。去年は男子高等部で数学を担当していた。好物はコーヒー、嫌いな物は特にない」

 

やべー、超ダンディだよ。好きな物がコーヒーとかダンディすぎるよ。数学ってのも何か超似合ってるし。

 

「私の事は好きに呼べば良い」

 

「「「「グラヒゲ先生ぇ――――っ!!」」」」

 

俺達は、あまりのダンディさに満場一致でサングラスとヒゲをもじってグラヒゲ先生と呼ぶことにした。この件を発端とし、神多羅木先生はグラヒゲ先生という愛称で親しまれるようになったとか。

 

「……では、HRを始める。が、連絡としてはこの後身体測定がある。と言う事だけだ。去年の保健委員が機材を持ってきて各自プリントに自分で書き込め。終わったら保健委員が私の所に提出に来い。そしてそれが終わったら全員帰れ。以上」

 

それだけ言うとグラヒゲ先生は教室を出て行った。すげぇ……たった数分でHRが終わった。新田ならHRの時間ぎりぎりまで良く分からん事を延々と喋ってるのに。さすがグラヒゲ先生!

 

「おーい、保健委員。さっさと持ってきてよー。さっさと終わらせてさっさと帰ろうぜー」

 

「OK。悪いけど何人か手伝ってくれ」

 

早い物で、グラヒゲ先生が出て行ってからわずか10分足らずで身体測定の準備が出来た。

 

「じゃ、適当に並んで適当に書いて行ってくれー。あ、でも紙は出席番号順に並べてくれなー」

 

「「「「了解!」」」」

 

「あ、なぁなぁ知ってるか? 桜通りの吸血鬼の噂」

 

「おー、知ってる知ってる。アレだろ? 最近噂になってる奴だよな?」

 

誰かが言いだし、どんどん話が広まって行った。吸血鬼……いるわけないだろそんなもん。いても血吸われるんだから面白くないし。

 

「むぅ……」

 

ふと、俺の次に測定していた武村を見ると物凄く真剣な顔をしていた。何かあったのか? こいつが真剣な顔をする時は大抵ロクな事を考えていないはず……。

 

「どうした? 悪い物でも食ったのか?」

 

「いや……吸血鬼の事でちょっと、な」

 

「?」

 

「だからさ、もし吸血鬼が超美人だったら……吸われてみても良いかも知れない」

 

やっぱり。聞いた俺がバカだった……。たまには何か大事な事でもあるのかと思ったら予想通りこれだよ……。

 

「「「「それだっ!!」」」」

 

「バカかお前ら!」

 

と、そんな下らない事を話しながら身体測定を終え、グラヒゲ先生の言うとおり俺達はそのまま帰宅の準備に入った。いやぁ……まさかこんなに早く帰れるなんてな~。グラヒゲ先生最高!

 




……あれ? このクラス変態しかいないや。でも、楽しそうで何よりです。
そして吸血鬼といえばもちろんあの方です。

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