MAHORA不思議ドリンク研究会   作:ヨシュア13世

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これで8話目……ストック流しきるのはまだまだ先だなぁ。


7時間目 誰にでも思い出したくない事はある

MAHORA不思議ドリンク研究会が発足してから早2ヵ月。リストも順調に作って行っている。……完成の兆しが見えないのはこの際気にしないでおこう。

 

「あ、来た来た。こっちこっちー!」

 

「は?」

 

いつもの様にカフェに行くと何故かパルがいた。いや、パルだけじゃなくて宮崎さんや近衛さんもいる。

 

「やほ、二見君」

 

「ぺこ」

 

「すみませんです。何かハルナ達が二見さんに話があるとかでついてきたです……」

 

「俺に話? あ、すんません温苺納豆ジュース一つ」

 

座るついでに以前飲んでみようと思っていたメニューを頼んでおく。

 

「ほう、それにしますか。それなら私はこのホットアップルキムチジュースを一つ」

 

「かしこまりました~」

 

「あんたら……相変わらず変なの飲んでるわね」

 

「ウチ、夢に出そうや……」

 

「あうぅ……」

 

相変わらず酷い反応だな。面白いってのに……。

 

「ま、それは良いとして……話ってなんだ?」

 

「え? あ、ああそうそう! 二見君の部屋に遊びに行っていい?」

 

「唐突だな、おい」

 

「まぁまぁ、良いじゃん。じゃ、明日土曜だし昼過ぎ位に行くからー」

 

「え、あ、おいっ!」

 

武村……追い出しといた方が良いかなー。絶対に宮崎さんの苦手なタイプだしなー……。ま、何にせよ……エッチな本だけは片付けさせよう。絶対に。

 

「……では二見さん、活動を始めるですか」

 

「……だな」

 

パル達が去った後、綾瀬の言葉に頷いて今週分の成果をそれぞれ確認し合う。

 

「ほうほう、結構な成果ですね。ちなみに二見さんはその中で特に何が良かったですか? 私は『フカヒレモドキジュース』が良かったと思うです。フカヒレなんて高級食材は食べた事ないのですがそんな気分にさせてくれる味と食感でした。あれを中華風味と言う普通の味付けでなく色々な味付けをしてみるのも面白いと思いますが」

 

満足げな顔で語ってくれる綾瀬。……確かに美味いなぁコレ。フカヒレモドキの食感もとろけるようだし。

 

「俺は『鳳凰の生き血サイダー』かな。名前で味が判断出来ないのが良いと思ったぞ。ちなみに味は唐辛子とサイダーを混ぜたような味でよ、辛い+炭酸が絶妙にマッチせずに形容しがたい味になってて面白かった」

 

まぁ、辛すぎて火ぃ吹くかと思ったのはここだけの話。……なのに何で綾瀬は涼しい顔して飲んでるんだ? 辛いのは平気な性質か? なんて羨ましい。

 

「なるほど。では、この二つを学園長にお届けいたしましょう」

 

「だな」

 

※学園長は倒れて一週間程うなされていたらしい。――きっと、あまりの面白さに驚いたんだろうな。

 

「――ふむ。では今日はこの辺でお開きにしましょうか。……明日はきっと大変な事になるでしょうし」

 

「だろうなぁ……」

 

「まぁ、ハルナがやりすぎないように私達も着いて行くから大丈夫ですよ」

 

「そりゃ綾瀬や近衛さん達がいてくれたら楽っちゃ楽だけど、宮崎さんは大丈夫なのか?」

 

「どうでしょうか……。せっかくですから少しは男性に対する免疫を付けた方が良いとは思うのですが」

 

でもなぁ……武村はなぁ……トラウマにならないと良いけど。

 

「俺もルームメイトの奴にキツく言っとくよ」

 

「そうしてくれると助かります」

 

「でもさ? そもそも宮崎さんは連れ来なければ良いんじゃないのか?」

 

「9割方ハルナが無理矢理連れて行くです」

 

「納得」

 

その光景が物凄く鮮明に目に浮かぶぞ……。なにせパルだもんなぁ~~。宮崎さんも気の毒に……。

 

「では、また明日です」

 

「おう、また明日」

 

席を立ち、それぞれの帰路についた。

 

「ふぅ……武村に説明しないとなぁ」

 

ウザく絡まれるんだろうなぁ……。嗚呼、鬱だ……。

 

…………

 

………

 

……

 

 

「な、なんだってえぇぇぇぇっ!!??」

 

寮中に響き渡るんじゃないかと言うくらい大きな声で叫ぶ武村。マジでうるさい&ウザいって……。

 

「うるせーよ」

 

「た、頼む二見! もう一度! もう一度言ってくれ!」

 

「あ、ああ……。明日友達の女子が遊びに来るからお前死ねよ?」

 

「なんでだよ!! 当然俺も一緒に遊ぶに決まってるだろ!! 女子だぞ女子!」

 

うわーい、あまりにも予想通り過ぎる展開に泣きそうでーす。

 

「はぁ……億歩譲って遊ぶのは良いとしよう」

 

「おう!」

 

あ、億で良いんだ? いや、今はそんな事より

 

「一人とても大人しい子がいてな? あんまりはしゃぐとその子が怖がるから気を付けて欲しいんだ。OK?」

 

「お、おう、分かった。気を付けるよ。気を付けるからそんな睨まないでくれよぉ……めっちゃ怖いじゃんかよぉ……」

 

泣きそうな顔になって何回も頷いた武村。よし、これなら明日は大丈夫そうだな。万が一の時には殴るか蹴るかして止めればいいし。

 

「あと、この散乱してるエッチな本は全部片付けろ。俺の趣味と思われたらたまらん」

 

「それくらいは分かってるわ! お前俺をなんだと思ってるんだ!」

 

「変態が変態に変態って言うくらい変態だと思ってる」

 

「それもうただの変態だよね!? え、なに俺そんな扱い!?」

 

こいつは何を当たり前のことを言ってるんだろう?

 

「知らないのか? お前のあだ名はエロ村もしくはムラムラって言うんだぞ?」

 

「聞いたことねーよ!? なにそのイジメ!」

 

「事実だろ事実」

 

「認めね―――っっ!!! 俺は紳士なんだ!」

 

「はいはい。紳士と言う名の変態な」

 

「違う―――っ!!」

 

――なんだかんだで次の日になった。……いやもう思い出したくないんであの続きは勘弁してください。

 

「おーい! 起きろ二見ー!」

 

ゆさゆさどころかがっくんがっくんと、身体を揺さぶられ意識が無理矢理浮上させられる。

 

「うげぇ……あ、朝からなにしやがる……」

 

こんな最悪な寝起き初めてだ……。

 

「バカ言ってんじゃねーよ! 今日は女子が遊びに来るんだろ? だったら早起きして準備しておくのが当然じゃないか!」

 

やたら良い笑顔でサムズアップなぞを決めてくる武村。

 

「……てめぇ、だからって何で5時に起こすんだ」

 

「だから! 早起きをして準備をだな!」

 

「そんなもん長くて1時間あれば終わるわ!! 日も昇ってないじゃねえかこのバカ野郎が!」

 

「バカじゃありませんー。バカって言った方がヴァカなんですぅー」

 

……殴って良いかな? 良いよね? 返事は聞かない。

 

「おい、祈りは終わったか?」

 

「は? 何を言ってあぶるもげらっ!!??」

 

寝起きの体にムチ打って武村の顔面に百科事典を叩き込んだ。

 

「寝てやがれっての。――ったく……目が冴えたじゃないか……」

 

武村は良いよなぁ、ぐっすり寝やがって。

 

※気絶です。

 

そっからはもう寝る事も出来ず、適当に漫画でも読んでパル達が来るまで時間を潰した。時計が正午を指そうとした頃。

 

「おーい、二見くーん。遊びに来たよー!」

 

ドアの外からパルの声が聞こえ、

 

「うっひょー! 来たあぁぁぁぁっ!!」

 

チーターも驚くスピードでドアまで駆けて行った武村。……ああ、予想通り過ぎて泣ける。

 

『いらっしゃい! 二見のルームメイトの武村って言うんだ。よろしく!』

 

『よろしくー、私は早乙女ハルナ。皆も呼んでるしパルって呼んで頂戴な! で、こっちが――』

 

「綾瀬達が可哀相だ。さっさと武村とパルを止めないと……」

 

いい加減、中に入れてやった方が良いだろうな。それから、パル達を招き入れ適当に話をして楽しんだ。驚いた事に、武村は予想以上に大人しくしていた。おかげで宮崎さんもなんとか怯えずに済んだし。ただ……後日、綾瀬経由で明らかに俺と武村を題材にしたようなBL本を渡された事はもう二度と思い出したくない。




ストック流してるだけですと中々書く事が……

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