MAHORA不思議ドリンク研究会   作:ヨシュア13世

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我ながら嫌なサブタイトルですね(笑)


54時間目 チキンと女装とガチムチと

しおりん達にネカネさん達を任せ、俺とフェイトは自分のクラスへと向かっていた。

 

「いやぁ、それにしてもアーニャんのアレには驚いたなぁ」

 

「アレは何かの発作かい?」

 

「知らねーよ、ネギ君に聞いてくれ」

 

「では早速聞いてみるとしよう」

 

そう言うなり携帯を開き何やら操作を始めるフェイト。まさか、ネギ君にメールを……? いつの間にアドレス交換してたんだこの2人。

 

「どうだって?」

 

「聞いた事がない、何故ああなったのかは分からない。だそうだ」

 

「となると、ネギ君がこっちに来てからって事かな?」

 

「さぁ? 特に興味はないね」

 

「俺、禁止用語連発で罵倒されまくったんだけど」

 

まさかあんな風に罵倒される日が来ようとは……。ヘルマン辺りなら泣いて喜びそうだ。

 

「流石の僕も面食らったよ。――ところで"自主規制"とはなんだい?」

 

「頼むから聞かないでくれ……」

 

「ふむ……君がそう言うのならそうしておこう」

 

「ああ。あ、そう言えば超から聞いたんだけど、予選突破したんだってな? おめでとさん」

 

「あの程度の予選を突破したところでだけれどね」

 

「お前強いみたいだもんなぁ……」

 

「少なくともこの学園で僕とまともに張り合えるのはタカミチ・T・高畑か、力を取り戻した状態のエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルくらいじゃないかな? 学園長もかなりの実力者だろうけど、実際の所は分からないから計算に入れていない」

 

あ、あのデスメガネですらこいつと良い勝負になるのかよ……。エヴァ? あいつ吸血鬼みたいだし、死なないんならどうとでもなるんじゃないの?

 

「で、本選の相手は?」

 

「初戦かい? 初戦なら、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだよ」

 

「いきなりハイレベル!?」

 

「まぁ、今の魔力を封じられている彼女なら大して怖くないね。何をしてくるか大体予想がつくし」

 

「……さいですか」

 

あれ? って事はこいつが優勝かっさらってくるんじゃ……?

 

「ちなみに優勝賞金は一千万円だそうだよ」

 

「必ず勝ってこい。俺はお前を信じてる」

 

「お金はともかく、勝つのは問題ないよ。余程のイレギュラーがない限りはね」

 

そう言って愉しそうな顔をするフェイト。あ、これ悪い事考えてる顔だ。頼むからわざと負けるなんて止めてくれよ……? 一千万なんてこの先何があっても拝める気がしないんだからな。

 

「おや、お久しぶりですね。ふたみん君」

 

「ん? あ、チキンの人!」

 

「チキン……? む、貴方は……!」

 

「私もとても驚いていますよ。ご安心ください、君達に何もする気はありません」

 

「え、2人共知り合い?」

 

突如現れて俺達に声をかけたフードの人は、去年綾瀬とはぐれた際に一緒にチキンを食って意気投合した通称チキンの人。名前聞く前に消えたんだよなこの人……。

 

「当時は良い意味ではなかったけどね」

 

「フフ、そうですね。ですが、今の君となら良い関係が築けそうな気がします。お一ついかがですか? 学祭限定チキン『黒胡椒ガーリックドリアン風味』です。この『アポカリプスドリンク ~実は単なる牛塩タン~』と組み合わせると中々イケますよ?」

 

「ふむ、いただこう。アルビレオ・イマ」

 

「クウネル・サンダースとお呼びください、フェイト君? ああ、ふたみん君には名乗っていなくてすみませんでした。気軽にクウネルと呼んでくださいね」

 

「あ、うん。クーネルさん」

 

クウネルよりクーネルの方が呼びやすいからクーネルさんでいこう。

 

「クウネル・サンダース……じゃあ、本選にあったあの名は」

 

「私です。友との10年来の約束がありましてね」

 

「フ……そういう事か。分かったよ。『彼』がどうなるかは分からないけれど、決勝の舞台は2人に譲ろう」

 

「ありがとうございます」

 

「あ、あのー……話についていけないんですけど?」

 

完全においてけぼりなんですが。一体何がどうなってんの? 一千万が無理な事は分かったけど……

 

「ああ、これは失礼。明日、本選を見て頂ければ分かりますよ」

 

「ごめんなさい、明日はクラスの出し物に出るので見れません」

 

「……後で僕が話してあげるよ」

 

「助かる」

 

「それにしても……君がここにいる事が未だに信じられませんよ」

 

「そうだね……自分でも時々そう思う。だが、あの味を知ってしまったら全てがどうでも良くなったのさ。もっと知りたい、もっと色んな味に出会いたいとね」

 

「……ふたみん君、君はある意味でとてつもない功績を上げたかも知れませんね」

 

「え、なんで?」

 

たかがドリンクくらいで大げさだなぁ。まぁ、ドリンク研究会としてはメンバーが増えた事は良かったけどな!

 

「自覚はしない方が良いですよ。そのままの君の方がとても魅力的です。それでは私はこの辺で。学祭を楽しんでくださいね」

 

「あ、ども」

 

「また明日本選で会おう」

 

そう言ってまたしても突然消えたクーネルさん。……今更だけど、あの人って魔法使いだったんだな。じゃなきゃ突然消えるなんて芸当出来るはずないし。

 

「いや、まさか君が彼とも知り合いだったとは驚きだよ」

 

「そなの?」

 

「ああ」

 

「ふーん……ま、良いや。それより早く戻ろうぜ。あいつら打ち上げしたくてウズウズしてるはずだし」

 

「フ、そうだね」

 

だが、いざ教室に戻ってみると、既に打ち上げは始まっていた。全員女装姿で。カオスな事この上ない。

 

「お、戻ってきたなロリみんにフェイトきゅん! 見ろよこの売上!!」

 

「ロリみん止めろ。ぶっ飛ばすぞ。って、マジか……なんだよこの金額、一体何がどうしたってんだ」

 

武村が見せてくれたのは今日の売上。初日から中学生感覚ではだいぶヤバイ金額が集まっている。

 

「それが……ガチムチでオネエ言葉を話す集団がオカマバーと勘違いして……」

 

「さらに全員一回は尻を撫でられ、そのお詫びとかで……」

 

「うちはいつからおさわりOKになったんだ!?」

 

普通にアウトだろそれ。つーか、俺達オカマバーみたいに見られてるんだな……軽く死にたい。

 

「フタミン、この喫茶店は早々に引き払った方が良い様な気がするんだ」

 

「だよなぁ……」

 

「フザけんな! お前らがあの苦しみを味わうまでこの喫茶店は続行だぞ!!」

 

「なんでっ!?」

 

「こんな負の遺産さっさと処分するべきだよ」

 

「うるさいうるさい! 明日もまた来るって言ってたんだよ! だから今こうやってそれを忘れるべくはしゃいでるんだよ! 分かれよ!!」

 

そう叫ぶ武村の言葉に俺とフェイトを除く全員が首を縦に振っている。

 

「いや待て、俺達以外にも何人か非番いたよな!?」

 

「まぁ、かく言う俺もその1人なんだけど、今の話を聞いてると明日以降が怖くて怖くて……」

 

「だったら店閉めたら良いじゃん!?」

 

エヴァとかリアが来るとか言ってたけど、そんな事気にしてる暇はない! 貞操の危機だろおい!!

 

「「「「「……いや、まぁ、尻触られるだけであれだけもらえるなら良いかなって」」」」」

 

「お前ら落ち着けぇえええええ!!」

 

金の力って怖い。

 

…………

 

………

 

……

 

 

「――で、落ち着いたか?」

 

「お、おう。俺達も初めて見る大金に目が眩んでいたようだ」

 

「だな。あんなガチムチのおっさん達に貞操奪われてなるものか」

 

「女装喫茶は継続するんだけどな」

 

「今の話の流れでどーしてそうなる!?」

 

やっぱこいつら頭おかしいよ!!

 

「それについてはロリ林君が説明してくれる」

 

「その呼び方は止めてくれ。――ロリみん君、まず続ける理由だが」

 

「次ロリみん呼んだら君でもぶっ飛ばすぞ?」

 

「……コホン。続ける理由だが……その、誠に遺憾ながら女性にも人気だったんだよ……」

 

「なんで!?」

 

「キモかわいい、との事らしい。ほら、これアンケート」

 

中林君からアンケートを受け取って見てみると、そこには……『キモイ』だの『化物屋敷みたいで面白い』だの『メイク下手すぎて笑える』だの……って

 

「キモかわいいなんて単語どこにもないんだけど!? ほとんど罵倒文じゃん!!」

 

「えっ? 女子のキモイはかわいいと同列なのだろう? ならこのキモイはつまりかわいいと言う事だろう?」

 

「お前本当にどうした!!??」

 

「だが、そこまで不評ではない事に驚きだね。しかも明日以降も楽しみにしてるとまで書いてある」

 

バカしかいないのかよここは!! けど、けど……みんなが楽しみにしてくれるのなら応えなくては……。

 

「ちなみにフタミン、楽しみにしてるというのは嘲り笑うと言う意味だからね?」

 

「い、いや、それでも楽しみと言うのなら……!」

 

「……もう僕の口から言う事はない。どうせ明日は武道大会だし」

 

もう覚悟を決めようじゃないか。それに良く考えたら明日エヴァは試合なんだから来れないじゃないか! ならリアに見られるだけなんだから傷は浅くて済む! おさわりしようとするガチムチ共は全て凍らせてもらえばいい!

 

「いよーっし! 明日は頑張るぞー!」

 

「お、ならこれ、お前のチャイナ服」

 

「ごめん。やっぱ今の無しの方向で」

 

だがそのお願いも虚しく、俺は強制的にチャイナ服へと着替えさせられるのであった。

 

「あー……明日こんな格好で人前に出るのかー。死にたいなー」

 

「死ぬ前に写真を一枚」

 

「カメラごと叩き割るぞテメェ」

 

「冗談1割だってふたみん!」

 

「ほとんど本気じゃねぇか!! 写真撮ったらマジぶっ飛ばすからな!!」

 

こんな黒歴史、写真などに残されてなるものか! ロリコンに続いて女装が学園に知れ渡ったら今度こそあの船から身投げする。

 

「ま、冗談は置いといて、とりあえず今は打ち上げしよーぜっ!」

 

「……それもそうだな。明日の事は明日考えるとして、今は目一杯騒ぐか!」

 

さぁ、来るなら来いガチムチ共……! リアの魔法で氷漬けにしてやんよ!!

 

「リア君が来なければどうするつもりなんだい……?」

 

「……フェイト、それは言わない約束だ」

 

「ふむ」

 

「そういや、お前学生服のまんまで明日の本選出るの?」

 

「いや? 僕もクワネルと同じくフードでも被って行こうかと思っているよ。と言うか、僕はあまり顔バレしたら困るから予選もフード被ってたよ?」

 

「え、そうなの?」

 

誰にバレたら困るんだろうか。学園長とかその辺かね? 前にそんな事言ってたような気がしないでもないし。

 

「まぁね。と言う訳で格好については気にしないでくれたまえ」

 

「俺は見に行けるわけじゃないから別にどんな格好でも好きにしたら良いと思うけどさ」

 

「ふむ、ビデオが撮れたら良いのだけど、主催者側の意向で撮影の類は一切不可だそうだ」

 

「あらま。それじゃお前の活躍とかネギ君の活躍とか見れないわけか」

 

「そうなるね。だが彼女がどう出るか……」

 

超か。そういやリアを仲間にしたいとか言ってたな。一体何やらかすつもりなのやら。……変な事させるつもりならフェイトに頼んで石化させるぞ! え、俺? 麻帆良の最強頭脳に俺なんかが勝てると思ってるわけ?

 

 




なんだかんだで武道会本選には話が進みませんでした……。
アンケートはまだまだ開催中ですので活動報告をご覧下さいませ。

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