MAHORA不思議ドリンク研究会   作:ヨシュア13世

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今回はちょっとイチャイチャ(?)しています。


50時間目 漂うラブ臭

「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー!」

 

「いや、それは違う気がする」

 

「……お兄ちゃん落ち着いて。私が付いてる」

 

「ううっ、すまねぇ……」

 

た、確か時間的に今は児童文学研究会だったっけ? 児童文学って……要するに子供向けの本とかそんなのかな?

 

「おや、早速来てくれたですか。歓迎しますよ」

 

「お、おう! ほ、ほほほほらこれ差し入れ!」

 

「あ、わざわざありがとうございます。ほぅ『わさび牛乳(甘口)』ですか。ふむ……おぉ、これは中々……わさびの刺激と牛乳、それとこの甘味は……練乳? 全く噛み合っていないのにどこか統率された謎の味……さすが、学祭限定ドリンクは違いますね!」

 

「ふむふむ、これは興味深いな。リア、お前が読んでいるのはなんだ?」

 

「……私は、これ」

 

「二見さんも何か読みますか? ちなみに児童文学研究会の出し物のテーマは色んな人に児童文学……今まさにリアさん達が呼んでいる様な本に興味を持っていただく事にあるです」

 

「なるほど……」

 

そんな事より……今なら誘えるか……? いや、やっぱ無理! 心臓が破裂しそう! あー、仮装も可愛いな!

 

「あと少ししたら哲学研究会の方に行かなくてはいけないのですが、せっかくですし一緒に行きますか?」

 

「……行く」

 

「ここまで来たら私も付き合ってやる」

 

「おう……」

 

「ん? 二見さんどうかしましたか? 何やら顔が赤い様ですが……」

 

「うおぁっ!!??」

 

い、いいいいいきなり顔を近づけてくるとか何て奴だ! 心臓麻痺で死んだらどうしてくれる!! 俺はまだ告白すらしてないんだぞ!!

 

「わ。……ホントにどうしたですか?」

 

「な、なななんでもない! さぁ行こうやれ行こうそれ行こう!」

 

「え、あ、ちょっと!?」

 

「……お兄ちゃん待って」

 

「私を置いていくな!」

 

どうやったら緊張しなくなるんだろう? これも慣れなのか……? けど、慣れるのかこれ……慣れる前に死ぬんじゃないだろうか。

 

『――ハイデガーによれば存在は存在者ではありません。つまり存在は存在しないと言うのです。つまり――』

 

「え? は?」

 

「……?」

 

「な、何を言っているのだこれは……?」

 

「まぁ、哲学は難しいですからね。興味がない方には難しいですよ」

 

『ニーチェは世界には、きみ以外には誰も歩むことのできない唯一の道がある。その道はどこに行き着くのか、と問うてはならない。ひたすら進め。と残しており、これはつまり――』

 

あ、頭痛くなってきた……哲学研究会っていつもこんな事してんの!? 綾瀬、お前ホント色んな意味ですげーわ……。

 

「う、う、うがぁあああああああ!!」

 

「今日は本当にどうしたんですか!? いつもより数倍おかしいですよ!?」

 

「フタミンの気持ちも分かる」

 

「……うん、分かる」

 

「もう何をどうすれば良いか……」

 

何言ってるかさっぱりなんだもん。元々こんがらがってた頭が更にこんがらがったわ! リアもほむほむも頭上に?マーク浮かんでるし……。

 

「ええっと……も、もう少しで私もお昼ですから、一緒に食べに行きましょう! ね!」

 

「……そう言えば、お腹空いた」

 

「学祭で美味い物が食べれると聞いて朝食べてない……」

 

「俺、それどころじゃなかった……。でも、確かに腹減ったな」

 

綾瀬の言葉に従い、また少し哲学講義を受けて俺達は落ち着ける場所で昼食を摂る事にした。

 

「なるほど、フェイトさん達はそれぞれ自由に行動しているのですね」

 

「おう、すらいむ達も朝からいなかったし、まぁ手がかからなくて楽っちゃ楽だけどな」

 

「あいつら私を置いてきぼりにして……あとで焼く!」

 

「……美味しい」

 

「もう結構回ったのですか?」

 

「いや、途中でネギ君のお姉さんとネギ君の幼馴染に会ってさ。ネギ君の所に送り届けてたからちゃんと見たのは綾瀬のとこだけかなー」

 

おや? なんだか普通に話せてるぞ! この調子で行けばイイ感じに……!

 

「ほうほう。ところで二見さん、何故顔を真横に傾けながら話しているのですか?」

 

「ですよねー」

 

「おいリアお前食べ過ぎだぞ! 私にも少し寄越せ!」

 

「……ヤダ」

 

「ほれ、俺のやるから静かに食え」

 

「……」

 

「なんだよ?」

 

なにその視線。やれやれ仕方ないなこのロリコンは、とでも言いたげだな!!

 

「やれやれ、全く仕方のないロリコンですね」

 

「言うと思ったよ!! また頬ぐにぐにしてやる!」

 

「あうっ!?」

 

「……」

 

流れでつい触っちまったけどこっからどうしよぉおおおおお!!?? 凄い柔らかいし! 触ってて何かこうドキドキするし! 

 

「あ、あの、黙られるとこちらも困るのですが……と言うかただ撫でるだけとか止めて頂けませんか!? とてつもなく恥ずかしいのですが!!」

 

「うおっ! わ、悪い……!」

 

「……ほむほむ、あっちいこ。ここだと、お邪魔」

 

「あ、ああ。そうかー、あれがなー」

 

「「待って!?」」

 

side-夕映

 

「うー……」

 

あの騒ぎの後、お手洗いと言って抜け出してきた私は先程の事について考える事に。

 

「二見さんは一体何がしたかったのでしょう……」

 

いつもおかしいのはおかしいですが今日は輪をかけておかしいです。顔が赤いので風邪かと思いきやそうでもなさそうだったり……い、いきなり人の頬を撫でてきたり……。あんなのまるで好意を抱いている女性にやるような……

 

「……いやいや! いやいやいやいや!! ないですないです! ありえないです!」

 

特段二見さんの気を引くような事をした記憶はないですし、それならエヴァンジェリンさんやリアさんの方が……。まぁリアさんに手を出すような外道ではないでしょう。

 

「い、いっそ本人に聞いてみるですか? その方が手っ取り早い気が……」

 

で、でももしそれで……もしそれであの人がその気だったら? その気だったら私はどうするですか? 確かに好意はあります。ですがそれが恋心なのかどうかと問われると……

 

「あああああっ! 恥ずかしいですぅーっ!!」

 

のどかの事もあると言うのにあの人は! こんな余計なものを!

 

「余計……なのでしょうか」

 

色恋沙汰を余計なものと言うのはよろしくないですね。のどかに対する侮辱にもなってしまいます! と言うか、それも全てあの人が私の事を好いていると言う事が前提条件ですよね。

 

「これが勘違いだったらただの痛い女ですね私は……」

 

その時はキッチリぶん殴って差し上げます。この広辞苑で!

 

sideout

 

綾瀬がお手洗いから戻って来たのでそのまま話を聞くと、綾瀬はもうしばらく哲学研究会にいなくてはいけないと言う事で俺達は再び3人で回る事に。

 

「……今のアトラクションは中々」

 

「め、目が回る……」

 

「つか、あいつら一体いつになったら合流するんだよ。フェイトは電話出ねぇし……」

 

まぁ、フェイトは夕方からの格闘大会に出るみたいだから良いとして……連絡手段の無いしおりん達とはどうやって合流すればいいんだろうか? 無理に合流する必要もないんだけど、フェイトに頼まれてるしなぁ。

 

「お、リアちゃんにふたみんじゃん! そっちの子は……またロリみんの毒牙にかかっちゃった子か……」

 

「待てや」

 

「……ハルナだ」

 

「お前、意外と女の知り合い多いんだな」

 

「俺を題材としたBL本送ってくるような奴を知り合いに数えていいか悩むけどな」

 

しかも18禁とか舐めてんのか。お前まだ中3だろうが!!

 

「やだなー、ほんの冗談じゃん。なら、そのお詫びって事で私が似顔絵を描いてあげよう!」

 

「それは漫研の活動だろうが!」

 

「……漫研?」

 

「それはなんだ?」

 

「ん? 言ってなかったっけ? 私、図書館探検部の他にも漫画研究会に所属してるのよん」

 

「漫画……フェイト様が読んでいたアレか」

 

読んでるのは大抵バトルモノだけどな。それも大量に。一度あいつの部屋見たけど部屋が漫画で埋め尽くされてたし……。そろそろ足の踏み場がなくなるんじゃないだろうか?

 

「いよーっし、それじゃみんなの似顔絵描いちゃうよーん。ささ、座って座って!」

 

「似顔絵……」

 

「……楽しみ」

 

「どうにも嫌な予感が」

 

いやいや、流石に疑いすぎは良くないよな。……でもパルだしなぁ……。

 

「そう言えば、その子の名前は?」

 

「私は焔……」

 

「……ほむほむ」

 

「おい!」

 

「ほむほむちゃんね、OKOK!」

 

「ぬぐぐぐ……!」

 

こいつも俺と同じように名前で呼ばれない系だな。フフ、直に慣れるさ……名を名乗る事の無意味さがな。いや、でも自分の名前の確認の為にもたまには名乗った方が良いかも知れない。

 

「んー……こんなもんかな? どうどう?」

 

「……おお」

 

「これは……!」

 

「なんで俺だけ阿○さんとの絡み絵なんだよふざけんな!!」

 

しかもご丁寧にアッーの文字まで書きやがって!! それならまだロリコン呼ばわりされる方がまだマシだわ!

 

「ちなみにこれは本気!」

 

「なお悪いわ!」

 

「? これはどう言う意味なんだ?」

 

「……分からない」

 

「知らなくていい。知る必要もない」

 

ほむほむはまだしも、リアがそっちの道に目覚めてしまったらどうしてくれる!

 

「ちぇー。……あ、そーだ。ふたみんはのどかとネギ君のデートの話聞いてるよね?」

 

「え、なにそれ聞いてねぇよ!?」

 

「……あ、言うの忘れてた」

 

「でーと?」

 

「ま、聞いてなかったなら今から説明するけど実はね――」

 

パルから聞いたのは、学祭最終日にネギ君と宮崎さんがデートして仲を進展させよう。と言う事らしいが、その宮崎さんが今日で良いと言ったらしく時間は今日の16時から。……ネギ君格闘大会はどうするんだ? 確かフェイトの話だと一緒に参加するとかなんとか。

 

「ほー」

 

「てか、どうせ夕映のとこも回ってきたんでしょ? 夕映からも聞かなかったの?」

 

「い、いや色々あってな……」

 

「ぬむんっ!? このラブ臭はまさか……っ!」

 

「うげっ!?」

 

「いやー、ようやくかー。フフフフフ、これでからかい甲斐が出てきたと言うものよっ!」

 

「悪魔かおのれは!!」

 

せめて温かく見守るとかの選択肢はないのか!?

 

「そんなもの生まれる前からドブに捨ててるわ!」

 

「心読んでんじゃねぇぞ!? くそっ……一番気づかれたくない奴に……。ある意味本人より厄介だよ……」

 

「……お兄ちゃん、ドンマイ」

 

「良く分からんがまぁ、ご愁傷様」

 

「一度だけマジで聞くけど……本気、よね? のどかは相手がネギ君だからどう言う形になっても大丈夫だろうけど、夕映はああ見えて初心なのよねー。親友としてはその辺がちょーっと心配って言うか?」

 

「それを先に言ってくれたら素直に答えれたのになー。……ま、本気だぜ? 初恋ってやつだしな」

 

「でも初恋って実らないって言うよね」

 

「お前ホントに鬼だな!?」

 

なんでいきなりそんな不吉な事言いやがるこの野郎! いや、まぁ今の状態でいきなり告白してもダメだろうなって空気はさっきの綾瀬とのやりとりで大体理解出来たけどな!?

 

「あっはは、ジョーダンジョーダン。本気って事なら夕映にも発破かけとかないとねー。意識させといた方が告白やりやすくなるっしょ?」

 

「絶対やり辛くなると思う」

 

「ふむ……それなら是非意識させないとね! 面白そーだし!」

 

「おいコラ!」

 

「……お兄ちゃん、そろそろ行こ?」

 

「次はここに行ってみないか?」

 

「パル! 絶対だかんな! 余計な事したらぶっ飛ばすからな!」

 

「はいはいわかってるよー」

 

あの棒読み……くそっ、絶対言いやがる! 流石に直接的な事は言わないだろうが……ええい、誰かあいつを鎖で縛ってどこかに閉じ込めておいてくれ!!

 

 




~今回の出来事~
・ドリンクはまだ控えめ
・名前で呼ばれない系女子ほむほむ
・アッー


パル様と出会って即バレは必然。この後ややこしくなるのもまた必然。このまま普通に恋路が進むのって面白くないと思うんです。ドタバタしてこそ……!

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