「なぁ、フェイト誰この子ら? 既に仮装してるわお前の事様付けだわ」
「お前……フェイト様に何て口の聞き方を!」
「許しません!」
「え、え? 何でこんな敵視されてんの俺?」
「僕に言われてもね。まぁ、とりあえずここで暴れるのは止めた方が良い。そもそもどうやってここに来たんだい?」
フェイトの知り合い……もしくはそれ以上ってのは良く分かったけど、何で5人ともローブなんて身につけてるんだろう?
「フェイト様の為なら例え火の中水の中です!」
「いつまで経ってもフェイト様がお戻りにならないから迎えに来たんです! 気合で!」
「お、この『昆布出汁juice+鰹出汁』は中々……」
「ほう? 一つもらって良いかな?」
「ほれ」
「む、無視しないでくださいよぉ~!」
おいおい、あの猫耳付けた子涙目だぞ。他の子は全員俺に敵意全開だし……。えー、どうすんのこれ?
「話を戻そうか。環君・焔君・調さん・栞君・暦君、何故ここに来たんだい?」
「つーか、どこの生徒だよ? 普通に女子中等部か?」
「いや、彼女らは外から来たんだよ。僕の従者だ」
「え、じゃあお前この子らと全員キスしたの? この色情魔!」
「結論を急ぎすぎだよ。他の方法を取っているさ」
そう言う問題でもないような気がするけど。
「何をノーテンキな事を言ってるんですか! ひょっとしてそこのアホ面したバカに何かされたんですか!?」
「あれ? ひょっとして俺の事?」
「貴様以外に誰がいる!! ええい、かくなる上は貴様を処分して――」
「焔君、それはいけないね。彼は僕の友人、そして師でもある。彼に危害を加えると言うのなら、君達は僕の……敵だ」
「あ、う……」
「お、おいフェイト……?」
今、確かにフェイトの雰囲気が変わった。焔、と呼ばれたツインテールの女の子は完全に萎縮しちゃってるし……。と言うか他の子全員が。てか、俺はいつからフェイトの師になったの?
「いや、これはハッキリさせておかないと君の命が危ないからね。最も……この学園でそんな事は起きないだろうけど」
「え?」
「全く……こんな雑魚相手に私の手を煩わせるんじゃない」
「吸血鬼の真祖……素晴らしいロリっ子だ。どうかね、今度一緒に食事でも」
「死ね」
「……お兄ちゃん、来たよ」
気がつくと周りには人が一切おらず、エヴァ・ヘルマン・リアがやってきていた。え、え? 何これ? 何がどうなってんのさ?
「みんな、大人しくしてくれないか? でないと彼女達が君達を取り押さえる事になるだろう」
「で、ですがフェイト様!」
「祭りが近づくとこう言う馬鹿共が現れるのはある程度予想はしていたが……フェイト・アーウェルンクス、お前の客か?」
「まぁ、そうだね。すまない、こう言う事がある可能性をここに来る前にちゃんと言っておけば良かったね」
「あのぉ、俺完全に置いてけぼり……」
「ふむ……まぁ丁度良いか。君達も今日からこの学園の生徒として過ごすように。学園長には彼が話をつける」
「なんで俺!?」
そこは自分で行けよ! 何で俺にそんな役回り押し付けるのさ!!
「ちょ、フェイト様待ってください!」
「だが断る。君達は知識や教養が不足している部分が多々見受けられる。僕も暫くはここにいるし、君達もここで少しでも多くの事を学んでくれたまえ」
「……人払いまでして来たと言うのになんだこの茶番は? くだらん、私は帰るぞ」
「ま、待ってくれ吸血鬼のお嬢さん! 是非とも私と食事だけでも!」
「ええい、近づくな捻り殺すぞ!」
「……お兄ちゃん、この人達……誰?」
「俺にも良く分からんけど……フェイトの従者、だってよ」
ところで様付けってフェイトの趣味なんだろうか? あとヘルマン、そいつだけは止めた方が良いと思うぞ。
「で、ですけど計画は!? 計画はどうするんですか!?」
「……ああ、そう言えばそんなものもあったね」
「そんなもの!?」
「まぁ、それはボチボチ何とかするとして、フタミン。彼女達を紹介しよう。竜族の環君、豹族の暦君、亜人の調さん、エルフの栞君、えっと……焔君だ」
「わ、私だけそんな扱いですか!?」
「いやだって君の種族知らないし」
「はうっ!?」
うわぁ……見てて可哀想だよ。焔……だっけ?
「それでは……フタミン様、よろしくお願いしますわ」
「!? 栞、お前何を!」
「え? だってフェイト様のご友人でしたらやはり凄い方なのかな、と……」
「それは一理ある」
「で、でも凄いアホ面だよ!?」
「誰がアホだ誰が!!」
この猫娘さっきから失礼だな!!
…………
………
……
…
「――えっと……と言うわけなんですが」
「ふぉ……フェイト君の親戚、のぅ」
「は、はい。右から環・暦・調・栞・焔、だそうです」
「軽々しく私の名を呼ぶなっ!」
「もう諦めた方が良いと思う」
「だよねぇ」
「まぁ、こう言うのもたまには良いと思いますが」
「あ、調もそう思います? ちらっと見たんですけど、ここの制服可愛いですよね~♪」
案外乗り気だなぁ、約一名を除いて……。てか焔は馴染めるのか、かなり不安になって来た。いや、そもそも学園長が許可してくれるのかどうか。
「ふむ……フェイト君は自身で色々と誓約をつけてまでこの学園に入りたいと言って来たが、君達はどうなのかね?」
「フェイト様が!?」
「一体どんな……」
「ふぉ、大雑把ではあるが学園の敷地内で戦闘行為を行った場合、魔力を永久に失うと言うものじゃな。言われた時はわしもビックリしたんじゃが……」
「魔力を!?」
「一体何がフェイト様をそこまで……」
……ドリンク、だよな? いや、ドリンクしかないよな。あいつ……マジでドリンクに命かけてやがる……!
「ちなみに最高ランクの魔法具で契約しておる」
「本当に何があったんですかフェイト様ぁ!?」
「まぁ、とりあえずフェイトの事は一旦置いておくとして……学園長、彼女らの入学……どうにか認めてもらえませんか? ほら、お前達も!」
「お、お願いします……?」
「な、なんで私達まで……」
「人に物を頼む時は当然でしょう?」
「そうですよ暦」
みんな俺に倣って頭を下げたかと思いきや……やはり納得がいかないのか憮然とした表情を崩さない焔。
「……氷漬けか、頭下げるか……選んで?」
「ひ!?」
「そう言えば、この子はフタミン様の妹なのですか?」
「様付けは止めてくれると嬉しい。で、リアだっけ? そうだなー俺の妹だよ? 義理だけど」
「と言うか焔に氷は効かないハズ……」
「……これ程度の炎なら余裕」
「これって言うな!」
なるほど、リアとは仲良く出来そうだなぁ。じゃあ焔はリアに担当してもらおう。
「ふぉふぉ、まぁ……二見君が面倒を見ると言うのなら安心は出来るがのぉ……」
「や、何で俺なんです?」
「そりゃ、君の周りにいる人材を見てそう判断しているだけじゃよ? 最初は普通の生徒じゃと思っておったんじゃけど……」
「いやいやいやいや! 俺普通の生徒ですから! 最近魔法始めたばかりの一般人ですから!」
「あのエヴァンジェリンと仮契約しとる時点で普通ではないぞよ……?」
「あ、あれは無理やりされただけでっ!」
でも、アーティファクトをもらえたのは嬉しかったりする。モノ自体はともかく、やっぱこう……魔法使い! って感じがするし!
「あ、あの闇の福音と仮契約……だと!?」
「本当に凄かった!?」
「え、あいつそんなに凄いの? 確かに自分で凄い魔法使いだとは言ってたけど……」
「エヴァンジェリンをあいつ呼ばわりするのはこの学園では君くらいじゃて……多分」
「あ、学園長。仮にこいつら全員入学OKだとして住処はどうなるんです? 寮に空きとかあったりは……」
「ないぞよ?」
あっさり言うね学園長!? それじゃあこの子ら野宿!?
「……野宿?」
「「「「「えっ!?」」」」」
「いや、ちゃんと住宅街に住まいを用意するからそこは安心してくれてええぞい。二見君もな」
「え?」
あれ、なんだろう。果てしなく嫌な予感がするんだけど……?
「君・リア君・フェイト君・暦君ら、今日から一緒の家で生活してもらうぞい」
「なんでっすか!? 俺寮追い出されんの!?」
「一応ちゃんとした理由があっての? まずフェイト君とリア君じゃが、いつまでも同じ部屋に住まわせとく訳にもいかんじゃろう?」
「……私は、今のままでも全然」
「だそうですが」
「まぁ、話はキチンと聞きなさい。もう一つの理由じゃが……君がリア君を連れ込んであんな事やこんな事やそんな事をしている、等と言う噂が広がっておっての?」
「誰だそんな噂流したやつ!!」
十中八九武村だろうけど……広がったらヤバイ事になる事くらい分かれよ!!
「で、それが職員会議でも問題になっておる。神多羅木先生も対処に困っておっての……」
「うぐ……そ、それを言われると何も言えない……」
「ま、本当は強大な力を持つ魔法使いを複数擁している君と言う存在をこちらがキチンと管理出来る場所に移そう、と言う事なんじゃが」
「ぶっちゃけちゃったよこの学園長!! それならネギ君とかどうなるんすか! てか寮の方が管理しやすくない!?」
「彼はまた別件であの部屋に居てもらわねばならぬのじゃよ。それに寮は相部屋とかの問題があるじゃろ? 理不尽な事は百も承知じゃが……」
「いやまぁ……俺に何が出来るって訳でもないから従いますけど……ちなみに、リア達に危害を加えるとかになると話変わりますよ?」
そう言う話なら絶対拒否だぜ!
「それに関しては心配ご無用。君達はうちの生徒じゃ。この学園内にいるうちは安全は保障するぞい」
「……ヨーゼフの侵入許した癖に」
「み、耳が痛い……」
「こ、こらリア! あー……と、とりあえず俺は今日から住宅街から学校いけば良いんですね?」
「いや、正式には明日からじゃ。彼女らには今日はこちらで用意した所で寝泊まりしてもらおう。麻帆良祭前で悪いのじゃが……」
「……気合で頑張ります」
そして次の日の放課後、学園長から指示のあった住宅街のとある場所へと向かう。準備は適当言って抜けてきた。
「へぇ、ここが……」
「僕らの新居と言うわけか」
「……でかい」
リアの言う通り、家は結構でかかった。いやぁ、こんな広そうな家なら寮から出て正解だったかもな! ……武村が一人で寂しいって泣いてたけど。そういやすらいむ達部屋にいなかったけど……大丈夫なのかな?
「あれ、私達何しに来たんだっけ……」
「段々楽しみになって来た」
「わ、私は認めないからな!」
「別に貴方が認めようが認めまいが関係ないような……」
「ま、ここで突っ立ってても仕方ないし、入るか」
中に入って最初に目に飛び込んできたのは、新築なんだろうか、綺麗な廊下。そこを進んだ先にあったのはこれまた小奇麗なリビング。キッチンもすぐ目の前にありテーブルがでかい。多分、この人数+αくらいはいけそうだ。となると、引越しの話が決まってから用意してもらったのかな? 後は最低限必要な家具や電化製品があるくらい。
「お、遅かったじゃネーカ」
「遅いですよお兄サン」
「1日待ッタ」
「お前らは先にこっち来てたのね……。道理でいない訳だ」
あれ? て事はまさか……?
「ヘルマンのおっさんはいねーゼ?」
「ほっ……」
「フェイト様……あの人は魔物使いか何かですか……?」
「違うよ。……最近否定しきれないけどね」
「……この家で人間はお兄ちゃんしかいない」
「あら? でしたらリアさんは……?」
「彼女は悪魔……魔族だよ。ラスボスの次の次くらいには強いんじゃないかな?」
「えっ!?」
「……ぶい」
そういやリアってかなり強い悪魔なんだっけ? まぁ、種族が悪魔なだけであって、実際は天使だけどな!
「さてさて、とりあえずこれから共同生活を送るわけだし、一応自己紹介からしようか。んじゃ、まずは俺から。名前は二見隼人だけど……まぁ気にせずふたみんとでも呼んでくれ。今は魔法使い見習いやってる。とまぁ、こんな所かな? 趣味や特技はまた追々」
「なら次は僕かな? 名はフェイト・アーウェルンクス。「完全なる世界」の一員、「土」のアーウェルンクスだ」
「ちょっ!?」
「フフフフェ、フェイト様!?」
「そ、それは言ったらダメだと思いますよ!?」
「良く分からんけど、土が得意って事でOK?」
「ああ、その通りさ」
「「「「「馬鹿で良かった……!」」」」」
「……むか。『凍てつく氷柩』×5」
一瞬で出来上がる氷漬けの女の子×5。あのぉ、自己紹介……。
「おいおいリア、あれくらい気にすんなって」
「……お兄ちゃんをバカにするのは、許さない」
「仕方ない、お湯に浸けて溶けるのを待つとしようか」
「そだな。その間にドリンクでも買いに行くかー」
「……おー」
すらいむ達の魔法で風呂の湯船に水を入れ、さらにフェイトとリアが魔法でお湯を沸かす。流石に氷の塊(in女の子)を持っていくのは冷たくて無理なのでフェイトが魔法で浮かしつつ湯船に放り込んでいた。なお、すらいむ達はその様子を見て笑っていた。酷い奴らだ……。
~今回の出来事~
・フェイトガールズ登場!
・こちらへは気合で来たらしい。
・主人公お引越し
・師→ドリンクの師
・フェイト君、正体バラす
グダグダです。ええ、グダグダです。途中完全に迷走したなと思いつつ、書き上げてしまいました。
ガールズそれぞれの口調が難しい……。要勉強ですね。
次回、お風呂回です!(少しだけ