「なぁ、ふたみん。聞いていいか?」
「ん? 聞くだけなら聞いてやる」
「あ、俺も聞きたい事ある!」
俺も俺もとクラスの連中から声が上がる。全く、なんなんだ一体?
「で、なんなんだよ」
「「「「「何で女装喫茶になったんだろう……?」」」」」
「お前らが書いたからだよ!? 何今更言ってんの!!??」
「それより、何で僕の衣装はこんな……くっ!!」
「フェイトきゅんのミニスカセーラー萌えれぼらっ!!??」
「黙ってくれないか……?」
いや、それ以前に何で素直に着たんだよ? つーか裏方で調理とかやれば良いって前に言ってやったのに……。
「アーウェルンクス君。君はまだ良い方だよ……僕なんて……僕なんて!」
「いやぁ、真面目眼鏡と言えば三つ編み図書委員かと思ったんだけどなぁ」
「女装の時点でアウトなんだよ! お前らいい加減自分の馬鹿さに気付け!!」
「なにおう! それを言うなら女装喫茶に決定したふたみんにも責任あるだろ!!」
「「「「そーだそーだ!!」」」」
「あ? やんのかテメェら!」
殴り殴られの大喧嘩に発展していく我らが3-C。当然この騒ぎは広まる訳で……。
「貴様ら……何か言い訳はあるか?」
「「「「ふたみんが女装喫茶なんかにするから!」」」」
「お前らが女装喫茶とノーパン喫茶しか書かねぇからだろ!! 打ち合わせでもしたのかよ!!」
「黙れ。決めたのならさっさとやれ。次揉め事を起こせば……分かるな?」
「「「「「イ、イエッサー!!!」」」」」
「やれやれ。普通に作業している僕らの身にもなって欲しいね。ロリバヤシもそう思うだろう?」
「まぁ、気持ちは分かるけどね。けどその前に、その呼び方は止めてくれないかな? せめて普通にロリコンと呼んでくれたら良いから」
「それだと別の人物と被るから出来ないね」
あっちはあっちで作業しながら変な会話してるな……。
「そういや今年も誰か試すの? 世界樹伝説」
「世界樹伝説?」
「ああ、フェイトきゅんはこないだ来たばっかだから知らないっけ。学祭最終日に世界樹の下で告白すればまず間違いなくその2人は結ばれるんだよ!」
「ほう?」
「けど、告白以前にこいつらに誘える女子なんていなかったから結局何事もなく終わったってわけ」
「それを言うなよふたみん!」
「ふむ、それならフタミンなら何の問題もないだろうね」
あ、あれ……? こいつ何言う気? 何言っちゃう気なの!!??
「なに……?」
「フェイトきゅん、詳しく聞かせろ」
「リア君も含めると最低でも3人は誘う相手がいるって事だよ」
「「「「「裏切り者には裁きを!!」」」」」
「だぁああああっ!! お前準備しなきゃいけない時に余計な事言うなよ!!」
「だが事実だろう? リア君、アヤセユエ、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル」
「2/3外人かよ死ね!!」
「そういやロリ林君が金髪ロリがお前と一緒にいるとこ見た情報があるとか言ってたな。まさかそのエヴァンジェリンちゃんがそうなのか!!」
こうして、女装喫茶の準備はどんどん遅れていくのであった。なお、俺はひたすら殴り蹴られの酷い暴行にあいました……。フェイトめ、覚えてろよ……。
「って訳でこっちは全く準備が進まねーんだよなぁ」
「決まっている分まだ良いのでは? こちらはまだ決まってすらないですよ?」
「……お兄ちゃん、ネコミミラゾクバーって、なに?」
「え、いや、俺も知らねぇな……」
「龍宮さんが言ってましたが、知る必要のないものだとの事ですのできっとロクなものではないですよ。その後もいつものバカ騒ぎになってしまい、結局新田先生に怒られる始末ですし」
あらま、ネギ君もお気の毒に……。でも、まだ決まってないのはヤバくないか? もう10日くらいしかないぞ?
「そう言えばすらいむさん達はどうしたんです? 確か外出許可を出したのですよね?」
「出したよ? でも、部屋に置いてたカードゲームに興味示したみたいで……ずっとやってる」
「あそこまで熱中出来るのも凄いと思うね」
「そ、そうなのですか。まぁそう言う事ならそれはそれで良いとして……今日の活動ですが、おそらくこちらのクラスの準備等の事を考えると今日が学祭前の最後の活動になるかと思います」
最後とは言っても各自でドリンク収集はするわけだが。
「りょーかい」
「当日はまずどこに集合するんだい?」
「当日はまず世界樹広場からにしましょう。とは言っても各々それぞれ持ち場の時間があると思いますのでその時間だけ教えていただけますか?」
「初日は空いてるかなー。俺の持ち回りは2日目の午前だし」
「僕はその後の午後だね」
「私は初日の午前中に哲学研究会と児童文学研究会の出し物が、2日目に図書館探検部の探検ツアーがあるです」
そういや綾瀬はドリンク研究会を入れたら4つ掛け持ちしてるんだっけか。クラスの出し物入れたら5つ。俺なんてクラスとこっちだけだから自分の持ち回り分さえ終われば後は自由だし……。
「……私は2日目の午後。ギリギリ、お兄ちゃんの所に行ける」
「一応リアさんは初めてなのとやはり二見さんと居たいだろうと皆で話し合ったのですが……」
「……特別扱いは、ヤダ」
「と言う訳なのです」
「ほぉ、リアも兄離れか?」
「……それはない」
と言って抱きついてくるリア。……いや、狙ってないからね? おい綾瀬にフェイト、その変質者を見る目止めろ!
「それにしても、ずっと疑問だったのですが……どうして二見さんなのですか? 以前にお聞きしたのは一人でいる所に声をかけられたから、との事でしたが……」
「それは僕も興味あるね。君程の力を持った存在がどうして彼に惹かれたのか……いや、それは僕にも言える事か……?」
「……良く分からない、けど……お兄ちゃんは、暖かい感じがした……」
「暖かい……? ってどんな感じなんだ?」
「……何て言ったら良いのか、分からない……。でも、お兄ちゃんが優しいのは、分かる」
「ふむ……つまり、彼の器に惹かれた……と言う事かな? フタミンの器の大きさには正直ドン引きするよ」
あれ? 褒め言葉を貰っているのに全く嬉しくないんだけど?
「まぁ……リアさんはともかく、ヘルマンさんやすらいむさん達も受け入れてますしねぇ」
「ちなみに僕も、ね。フ、まさか僕がこう言う気持ちを抱くとはね」
「んー……良く分からんけど、友達って事で良いのか?」
「……ああ、そうだね。僕と君は……友人だ」
「……私は?」
「お前は可愛い妹だよ。誰が何と言おうともな」
ロリコンとでも何とでも言うが良いよ! と言うかどっちかと言うとシスコンだっつーの! 文句あっか畜生!
「……嬉しい」
「おうフッ!! ……今、初めて綾瀬達の気持ちがはっきりと分かった気がする」
「でしょう……? この可愛さ……正に悪魔級です。天使ですが」
「だな……我が妹ながら悪魔級の可愛さだ……。天使だが」
「……君達、自分の発言が矛盾している事に気がついているのかい?」
「……♪」
リア……恐ろしい子!
「っと、さすがにずっとリアさんに萌えているのはマズイですね。研究会の活動をしなくては」
「確かに。んじゃま、探しに行きますかー。リア、帰る時は携帯に連絡するんだぞ?」
「……うん、分かった」
「では皆さん、健闘を祈ります」
「任せてくれたまえ」
「……頑張る」
こうして麻帆良祭前の最後の活動が始まった。
「お、『味噌パフェ』発見! 中々シンプルなネーミングだが、それ故にそそられるな!」
ほぅ……これはこれは、パフェ全体の甘さと味噌の味が喧嘩して何とも言えない微妙な味に仕上がっているな……素晴らしい!
「フタミン、こちらに『激辛外道麻婆ジュース「黒鍵」』と言うものがあったよ。……ふむ、この舌を焼き尽くす程の辛味にこれは……ひき肉? が入っているね。そして何故か脳裏にとある神父が浮かんだよ」
「そりゃまた面白いドリンクもあったもんだ!」
「ああ、全くだよ。さて、次のドリンクは――」
「フェイト様!! なにやってんですかぁっ!!」
「おや?」
「え、なに、知り合い?」
いきなりフェイトの事を様付けで呼び、集まってくる5人の女の子。え、え? 誰この子ら?
~今回の出来事~
・フェイト君はミニスカセーラー
・すらいむ達はカードゲームに夢中
・ラストに登場した子達はご想像通りでございます。
ラストの部分で分かる通り、次回からさらに登場人物が増えます(笑)なんで学園内に入ってんの? 等は次回で全て明らか(になるかは微妙)にしたいです……。