「うわー、凄い雨」
「傘一本しかないアルなー」
「にしても別荘ってホント修業にゃもってこいだな! また魔法の練習する時とか使わせてくれよ!」
「あとテスト勉強の時とかにもお願い!」
「別に構わんが女には薦めんぞ? 歳取るからな」
なんでも、現実では1時間だが別荘でしっかり1日経っている分、肉体的には老けるらしい。詳しくは良く分からん。
「ふむ、この様な天気なら僕の出番のだね。フタミン、リア君、転移するから僕に掴まって。この時間なら部屋には誰もいない」
「まぁ、あのバカは大抵部屋にいないけどな」
「……いない方が、いい」
「って言うかフェイト! そんな魔法をポンポン使っててもし誰かにバレたら……!」
「既にクラスの幾名かに魔法を見られている君には言われたくないな」
「うぐ!?」
「それよりネギ君、今日みたいな天気の日は特に『気をつける』事だ。何があるか分からないからね」
「?」
何意味深な事を言ってるんだ? それ、何かのフラグじゃね……?
「っと、それじゃ皆またな。綾瀬はまた部活で」
「……また、明日」
「じゃあね~」
「ではまたです」
「さ、それじゃ帰ろうか」
そのフェイトの一言で俺達は一瞬にして部屋へと戻った。しかし、俺はある一つの問題に気づいてしまった。
「あ、ヤッベ。ドリンクの買い置きがもうない」
「何だって?」
「……残念」
「切らさないように割とこまめに買ってたんだけど……まぁないもんは仕方ないか。とりあえず今ある『オーロラココア~酢と塩を添えて~』飲んじまうか。んで、ちょっと自販機いって買ってくるわ」
「いや、僕が行こう。僕なら転移していけばすぐだし、こんな天気だ。『何が起こるか』分からないからね」
「なぁフェイト、お前やっぱり……」
何か知ってるんじゃないか? そう言おうとした瞬間にフェイトは転移していってしまった。
「リア、どう思う?」
「……怪しい。でも、大丈夫……だと思う」
「ま、確かにな。注意してくれてるんだし……それに短いけどそれなりに付き合いもあるんだし、信じてやらねぇとな」
「……うん。お兄ちゃん、優しい」
「別にそー言うんじゃねーよ。あ、そうだ。リア、一つ聞いていいか?」
「?」
せっかく2人きりだし、昔の事とか聞いてみよう。無理やり聞き出すつもりはないけども。
「リアの昔の事が聞きたいなー、って思ったんだけど……」
「……嫌」
「どうしても?」
「……どうしても」
ありゃ、まさかここまで頑なに拒否されるとは思わなかった。そんなに辛い過去なのかな?
「そっか。なら仕方ねぇか。悪かったな、変な事聞いて」
「……私の過去、知ったら……お兄ちゃん、絶対私の事嫌いになる。……だから、嫌」
「そんな事ねーよ。と言うだけ言っておくけど、別にだからと言って無理に聞き出すつもりはないからな? んな話したくねーなら話さなくていいし」
「すまなイ、忘れ物をシタ」
「あん? フェイト、お前が忘れ物なんて珍しいな。金か? ほら、これ使え」
「……! お兄ちゃん、ダメ……!」
「お?」
急にフェイトが帰ってきたかと思ったら今度は何かに気づいた様子のリアが俺に声をかける。
「もう遅イ。でも、まさか『大物』まで釣れる思わなかっタゼ」
「んなっ!? 水!?」
「……!!」
「サァ、少しの間眠っテナ」
先程までフェイトだったモノがいきなり水を撒き散らしたかと思うと、大きな球体となって俺とリアを包み込む。そして、多分魔法だと思うけど、意識が強制的に闇に落とされた。俺……まだドリンク飲んでないんだけどなぁ。
side-リア
「……んっ」
「あ、リアちゃん起きた!」
「リアさん、大丈夫ですか?」
「……私は大丈夫。でも……何でみんなハダカ?」
……これは、お兄ちゃんに見せてはいけない。
「風呂場で襲われたんだよ! あの変態男爵に!」
「協力すると言ったそばから足手まといに……面目ないです」
「……分かった。けど、お兄ちゃんどうしよう……?」
「え……!? ちょ、な、なんで二見さんまで連れて来てるですか!?」
「そーだよ! 見られたらどーすんのさ!!」
……あれは? なんで、こんな所にいるの……?
「……ヨーゼフ」
「え、リアちゃん知り合い!?」
「……リア嬢、せめてヘルマンにしてはくれないかね? ヨーゼフだとアルプスに行った気分になるよ……。行った事はないがね」
「……ヨーゼフの方が、可愛い」
……ヘルマンより、ヨーゼフの方が、可愛い。確信。
「ぐ、む……ま、まぁいい」
「あ、折れた」
「となるとあいつもロリコンアルか!?」
「ほう? 私『も』と言う事は同志がいるのかね? 誰かね。是非とも一杯引っ掛けながら語り明かしたいものだ」
「ここで寝てるふたみんアル」
「なんと! それは惜しい事をした! 今すぐ起きてもらわねば!」
「……『凍てつく氷柩』」
……変態は、黙らせるに限る。お兄ちゃんが、言ってた。
「ぐもっ!?」
「氷漬けですね……」
「アレ、どうすんのよ……」
「ったく、ショーがねーな、ヘルマンのおっさんは」
「あの性癖さえなければ老紳士なのデスガ」
「あの年でロリコンとか救いようがナイデス」
……お兄ちゃん、いつ目が覚めるの……?
sideout
「……んぐっ! あ、あれ? 俺一体……」
「あ、起きるアル!?」
「ちょ、今目を開けられたらマズイです!」
「……えい」
目を開けようとしたらいきなり何者かに目を突かれた。
「ギャ――――ッ!!??」
「うっわ、ブッスリ入ったよ今」
「リ、リアちゃん容赦ないなぁー」
「あわわわ……」
「超痛ぇ……あ、でもそろそろ見えてきt」
「……ダメ」
再度眼球に突き刺さる誰かの指。聞こえてくる会話から察すると俺の目を突いてるのはリアみたいだけど、なんでそんな事すんの!?
「アッ――!!??」
「ふ、二見さん大丈夫ですか……?」
「だ、大丈夫なわけねぇだろ!? リア、訳を話せ訳を!!」
「……ヨーゼフにみんなハダカで捕まってるから、お兄ちゃんは目を開けちゃダメ」
「だ、だったら先にそう言ってくれませんかね!? あー、くそ……やっと見えるように――」
「……バ○ス」
三度突かれる俺の眼球。……ねぇ、大丈夫だよね? 俺の眼球機能停止してないよね!?
「目が、目がぁあああああっ!!??」
「おい、コントしてるとこ悪いがお前にヘルマンのおっさんが用事あるみたいダゼ?」
「あなただけ出してあげますから出てきてクダサイ」
「あ、さっきの話アルな!」
「いやぁ、どうなっても知らないよあたしゃ」
「あの、目が見えないんで手を引いてくださいお願いします」
もう目を突かれるのは嫌なのでとりあえず今は目を閉じておく事に決めた。
「あん? 知らねーヨ。自分の足で歩ケ」
「え、そんなご無体な! ク、クソ! やってやらぁ!!」
「ちょ、ふたみん逆! 逆!!」
「ん? こっちか!」
「な、ちょ、どうしてこっちに来るですか!?」
「……お兄ちゃん、こっち」
「こ、こらいきなり服掴むな、ぬおっ!?」
歩きだそうとしたその時、リアに歩き出した方向とは真逆の方向に服を引っ張られ、思いっきり足を滑らせた。この子さっきから割とマジで何してくれてんの!?
「え、キャッ!!??」
「うわぁ……」
「ふたみんが目を閉じてなかったら大惨事アル……」
「ゆ、ゆえー……だいじょう……ぶっ!?」
「あ、あわわ……ふたみんが全裸のゆえとくんずほぐれつしとるえ……」
「いってぇ……ん、でも何か柔らかいものが……何これ?」
「ど、どどどどこ触ってるですか――――っ!!!」
「ろ゛も゜っ!?」
いきなりの綾瀬の怒号と共に思いっきり、おそらくは突き飛ばされたんだろう。まだ目を閉じてるからそう考えるしか……で、俺これどこに突き飛ばされたんだろう?
side-夕映
「はーっ! はーっ!」
「……ユエ、ごめん」
「べ、別に良いですよ。あんな所を異性に触られ取り乱したのは認めますが、そもそも二見さんは目を閉じていたわけですしね……犬に噛まれたと思って忘れるです……」
でないとあんな……あんな……あんな大事な所を触られて平気でいられるはずがないでしょう!!??
「まぁ、さすがにアレは同情するわゆえっち」
「ゆえ、しっかり揉まれてたもんなぁ~」
「こ、こここここのかさん! お願いですから言わないでください!!」
「え、夕映は揉む程ないアルよ?」
「その喧嘩買いましょう」
分かってるですよ? 自分の発育が他の方達と比べても圧倒的に悪い事くらいは! でもだからと言ってその事を指摘されて怒らないわけないでしょう!?
「まーまー、落ち着きなって。ロリみんはそんなゆえっちが大好きだからさ」
「どう言う意味ですか! このタイミングで言われてもこれっぽっちも嬉しくないです!」
sideout
「ぬぐぐぐ……」
「えっと……ふたみん大丈夫ー?」
「こ、この声は……神楽坂? ……俺、目を開けても良いのでしょうか?」
「蹴るわよ?」
「なんでっ!?」
え、何? なんで俺さっきから目潰しされたり突き飛ばされたり酷い目に遭わされてんの!? あ、でもリアがヨーゼフとやらに一部がハダカで連れて来られた、とか言ってたな……。
「はっはっは、中々大変な目に遭っているね少年」
「ん……? 誰?」
「なに、通りすがりのただのロリコン紳士さ。フタミン、と言ったかね? 君と少し話がしたいのだよ」
「あんたがあいつら全裸で連れて来たりしたのか?」
「ああ、タイミングが悪かったみたいだね。だがカグラザカアスナ嬢の格好以外は私の趣味ではないよ。やはり女性は着飾ってこそだと思わないかい?」
え、なにこの人。いきなりロリコン自称したと思ったら語りだしたんだけど……。
「はぁ」
「そして下着はベビードール、服はゴスロリ服が最高だと私は思うんだよ。おっと、名乗るのが遅れたね。私はヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヘルマン伯爵だ。伯爵と言っても没落貴族だがね。まぁそんな事はどうでも良いんだよ。それよりフタミン、君もロリコンだと聞いてね! 是非とも話がしたかったのだよ!」
「俺はロリコンじゃねぇ!!」
「「「「「いや、それはない」」」」」
なんか全員から否定された。あれ、なんだろう……目から汗が止まんないや……。
「リアちゃんといっつも一緒にいるくせに何言ってんだか」
「一緒に寝てるって聞いたアル!」
「え、お風呂じゃなかった?」
「……お風呂は、恥ずかしい」
「あのぉー、あんたらどっちの味方なんですか?」
「一緒に寝ている……だとっ!?」
ヘルマンとか言う人何か興奮しだしたよ。どうするんだよこれ、どうやって収拾つけるんだよ。
「フタミン、リア嬢と一緒に寝ていると言う話は本当かね? あの孤高のクールロリ美幼女をどうやって攻略したんだね」
「ん? あんた、リアの事知ってるのか?」
「当然じゃないか。何せリア嬢は――」
「……! ダメ、言わないで……!!」
「わ、リアちゃん?」
「どうしたのですか?」
「リア嬢は――最高のロリっ子じゃないか」
「「「「「……は?」」」」」
「……そっちで良かった。けど、キモイ」
ねぇ、マジで何言ってんの? 見事に全員ハモったよ?
「考えてもみたまえ。銀髪で、蒼眼で、私服がゴスロリ服などと……全く、ロリコンの心を掴んで離さないじゃないか。そんな彼女と一緒に寝ていると言う君が羨ましくてたまらないよ。パジャマはベビードールかね? それともキャミソールかね」
「あの、死んでもらっても良いですか?」
「ここに来たのは『学園の調査』とネギ君達の事だったんだが……もう今はそれすらどうでもいい。と言うか、この学園にいれば毎日リア嬢に会えるのかね?」
「……死ね、一秒でも早く死ね」
「あ、いや……ネギ君の事は少しは気になるね。彼があの時からどの程度『使える』少年に成長したのか、楽しみだよ。勿論、これから毎日リア嬢に会える事を思うと全然大した事ではないんだがね」
おい、この変態麻帆良に居座る気だぞ。つか、リアのストーカーかよこいつ。3-Aの連中にリアの護衛を頼もうそうしよう。
「ああ、フタミン。君に会えるのも楽しみだよ。私の周りにはロリっ子の素晴らしさを分かってくれるのがいなくてね。やれ巨乳だやれJKだと……。全く……女性は未発達な10歳前後、JSが一番だよ。ロリ巨乳? 私はそんなもの認めないね」
「誰か、警察呼んでくれ! こいつガチでヤバイ人だ!」
「そう言えば……先程フタミンと絡み合っていたお嬢さん。君もリア嬢と同じくらいに見えるが……歳はいくつだい?」
「絡み合うとかいやらしい表現止めてくれませんか!? それに私は14です! 発育が悪くて悪かったですね!!」
「いやまさかその逆だよ! JCはBBAだとばかり思っていたのだが……まさか君の様な女性もいるとはね。JCも中々……」
「ひっ!?」
ヤベェよ、このド変態マジでヤベェよ……! ネギ君! どこにいるか分かんねぇけど早く来てくれ! あとフェイトも!! そして出来れば……俺に目を開ける事をそろそろ許してください。
~今回の出来事~
・バ○ス
・ヘルマン伯爵がただのド変態へと昇華
・ドリンクの出番……
ヘルマン伯爵は割と好きなキャラだったのですが……いつの間にか大暴走してしまいました。どうしてこうなった……。
今回はドリンクの出番が微妙でしたが、次回で盛り返そうと思います!
最後に夕映が14と言っているのは間違いではなく、彼女の誕生日は11月16日な為、中3の5月~6月くらいであるこの辺りでは14歳と言う訳ですねー。分かってるよわざわざ解説しなくていいよ! と言う方にはごめんなさい。