週末、少し買い物でもしようと思って外に出るとエヴァ&絡繰に出会い、こないだ教えてもらった囲碁は俺がゴミだと言う事で何故か他のテーブルゲームで勝負する事になった。ちなみに今は将棋をしているんだけど……
「ほら詰みだ」
「ぐぬぬ……」
「くく、これで5連敗だなぁ? 時間内に負け数多い方が罰ゲーム、と言う約束……忘れてはいないだろうな?」
「わ、分かってるよ! 次こそは勝つ!」
「何度やってもどんなゲームで勝負しても無駄だ。さ、諦めて罰ゲームを楽しみに待つといい」
何故だ、何故勝てない……? つかこいつテーブルゲーム全般強すぎだろ!
「マスター、お茶です。ふたみんさんも」
「うむ。今日のはなんだ?」
「さんきゅ」
「はい、ふたみんさんから頂いた『サポタージュ~青春を君に~』です」
「ブハァッ!!??」
「あ、おい吐くなよ!」
あっぶねぇ……危うくかかる所だった……。そんなにマズイかこれ? 味的にはポタージュに塩気が効いてる感じの味で普通に美味いと思うんだが……。
「お、おのれ……完全に油断していた。貴様を招いた時点でこの可能性は十分視野に入れておくべきだった……」
「成分表示にあの夏の日の青春、こっそり抜け出した時の背徳感、と書かれております」
「訳が分からんわ!!」
「この訳の分からなさが面白いんじゃないか」
「黙ってろこのバカ舌!」
「ひでぇ!?」
俺のどこがバカ舌なんだよ! 俺の味覚は正常だぞ!!
「ん? おい、携帯鳴っているぞ」
「あ、悪い悪い。ちょっと失礼。……朝倉? 一体何のよ――」
『おっすロリみん元気してr』
即座に通話を切った。いきなり失礼な奴だな! が、またかかって来たので渋々ではあるが通話ボタンを押す。
「……次ロリみん言ったら着信拒否な」
『いくらなんでもそれは酷くない!? ま、まぁそれは一旦置いていて……ふたみんって土日暇?』
「ん? まぁ今週は特には。リアからも何も言われてないし」
『んっふっふー。じ・つ・は! 耳寄りな情報があるんだけど、聞きたい?』
「面白そうなら聞かせてもらおう」
朝倉の事だ、きっと面白そうで俺が乗ってくると見込んで電話してきたんだろう。なら聞くっきゃない!
『それに関してはバッチリ! これは私もさっき聞いた事なんだけど……いいんちょがネギ君連れて南の島に行くんだってさ!』
「なに、南の島だと!?」
なにそれ俺も行ってみたい!! 南国リゾートとかハワイを逃した身からすれば是非とも行きたい!
『これからクラスの全員に話して行きたい面子みんなでついて行こうって思うんだけどさ、リアちゃんの保護者枠でふたみんもどう? 今なら3-A美少女達の水着付きで!』
「水着はともかく南国には行ってみたかったんだ! ぜひとも行かせてもらう!」
「……南国か」
「行きたいのですかマスター?」
「バッ! んな訳あるか! それに私は呪いのせいで学園外には出れないだろうが!」
「いえ、だから行きたいのかと思いまして」
『ん? さっきエヴァちゃんの声聞こえた気がするんだけど、ひょっとして一緒にいるの?』
「ああ。話の流れで罰ゲーム賭けて囲碁勝負する事になって」
……嫌な予感がする。そう、例えば物凄く不名誉な事を言われると言う予感が。
『リアちゃん然り、エヴァちゃん然り……やっぱロリコn』
「切っていいか?」
『もう、冗談に反応しすぎだって! 今更ふたみんがロリコンでも誰も気にしないからさ!』
「だからちげーっての!」
『じゃあふたみん、周りに良くいる女の子の名前挙げてみ?』
「えーっと、綾瀬だろ? リアは勿論として後はエヴァ? ……あれ?」
おかしいな。良く話す女子の2/3がロリだ。見た目で言えば全員だ。
『分かった?』
「い、いや待て! 他にもパルとか宮崎さんとかあと絡繰……とか?」
「さっきからお前は何を話しているんだ? 人の名前を出したり……」
『パルはまぁ分かるけど、宮崎と話すの? あと茶々丸さん』
「……」
『はい、無言は肯定。これで分かったっしょ?』
「ぬぉおおおお!! 違うのに! 違うのに環境が否定してくれない!」
そもそも俺まだ恋愛とかあんまり興味ねぇんだよ! そりゃドキッとしたりはあるけどさ!? だから幼女しか愛せないとかそんな事はないんだ!
『はいはい。まぁそんな事いいから、良かったらエヴァちゃんにも行くか聞いてみてくれる?』
「そんな事ってお前……まぁ、いいか。エヴァー、南国リゾート行くー?」
「フン、行けたら苦労はせん。それに別に行きたくもな――」
「とても行きたいようです」
「そんな事言っとらん!!」
「あ、朝倉? なんか物凄く行きたくってウキウキしてるってさ」
まぁ、BBAだなんだっつっても遊んだりはしたいだろうしなぁ。いや、そう呼んでるのリアだけなんだけどな。
「おい、だから違うっつーの!!」
「あ、ちょ、止め! 電話中に揺らすな!」
『……仲良いねぇ』
「おい、その含みのある言い方なんだよ!?」
『ま、出発時間とかはまたメールするから、水着だけは用意しといてねエヴァちゃんも!』
「だから無理だと言っているだろう朝倉! おい、話を聞かんか! ……切れた」
人の携帯ひったくるのは良いけど投げるの止めてくれませんか?
「で、どうすんの、来るの?」
「だ・か・ら! 私はぼーやの父親、サウザンドマスターにかけられた呪いのせいで学園の敷地外には出られないんだよ! 15年もな!」
「それは大変だなぁ……でもせっかくだし来れたら良いのになー」
「……フン、今回だけは貴様のその気持ちだけ貰っておいてやる。あとそれに免じて罰ゲームの話もナシだ」
「そう? それじゃま……普通の囲碁、やるか?」
「良いだろう。ま、結局私の勝ちは決まっているがな」
「マスター……やはり行きたいのですね」
その後夕方近くになってリアから呼び出されるまでずっと囲碁に興じていた。結果? なんだかんだで引き分けです。
…………
………
……
…
「……おかしい」
「……頭が?」
「違うわ!!」
「ふむ、これが南の島か。確かに赤道に近いだけあって暑いね」
「だが、この熱気に綺麗な海、青い空! まさに南国! 素晴らしいじゃないか!」
「二見さん、何やらテンション高いですね」
そりゃ修学旅行でハワイ行かなかったし、まさかこんな所に来れるなんて思わなかったもんよ?
「おい、なんで私がここにいる!? 思いっきり学園外だろここ!!」
「別に出れたからいーじゃん」
「マスター、先日飲んだ『サポタージュ~青春を君に~』の成分表示にあった『こっそり抜け出す背徳感』の効果かと。こっそり抜け出す、の部分が作用したのでは?」
「ふざけるな! たかがドリンク少し飲んだだけであの忌々しい呪いが解除されてたまるか!!」
「たかがとはなんだ!!」
全く……エヴァは不思議ドリンクの面白さを欠片も理解してないようだな……。なんと悲しい事か。
「ですからあくまで『抜け出す』だけ、なのでしょう。マスターの魔力は依然封印されているままですし。それに、ふたみんさんは石化を一時的に無効化したのですから、似たようなものかと」
「ぬぐぐ……あのドリンクは一体なんなんだ!?」
「禁則事項です」
「まー、それは良いとしてせっかく来れたんだから泳げば?」
ちなみにエヴァと絡繰以外は既に水着着用済みである。なんつーか、3-Aって基本スタイル良い奴多くて目のやり場に困る。
「ちっ……茶々丸!」
「勿論用意してます。あと浮き輪とボールとイルカさんとシュノーケルとさらには」
「とことん遊ぶ気だな!? まぁいい、着替えに行くぞ」
「はいマスター」
うんうん。南国に来たんだから目一杯遊ばないと損だよな!!
「しかし二見さん、あのエヴァンジェリンさんを連れてくるとはすごいですね」
「いや、俺は話伝えただけでまさか本当に来るとは俺も思わなかった」
「……お兄ちゃん、私の水着……どう?」
「ん? おー、そのフリフリしたの、可愛いと思うぞ?」
「……良かった。ユエのは?」
「そこで私に振るですか!?」
「綾瀬? えーっと……」
見事なまでに絶壁だな。うん、言ったら確実に殺されるな。
「今、とても不愉快な視線を感じたのですが?」
「い、いやいやそんな事ないって! 可愛いよ? うん、可愛い可愛い!!」
「……ユエ、胸小さい?」
「リアァアアアアア!!! 何言っちゃってんの!? 何言っちゃってんの!?」
「べ、べべべべ別に気になんてしてないですよ? 大体胸なんて飾りですし? あんなもの走る時に邪魔になるだけではないですか。単なる脂肪の塊如きでどうこうなんて私はこれっぽっちもないですよ? ええ、ありませんとも! そもそもですね、女性の胸と言うのは――」
「……ごめんなさい」
綾瀬が元に戻るまで2時間くらいかかりました。やっぱり、かなり気にしていたらしい。
「……お兄ちゃん、何かしよ?」
「そだなー。何がしたい?」
「……何か、一緒に出来るのが、いい」
「でしたら定番ではありますが砂で城でも作るですか? 丁度エヴァンジェリンさん達も暇してるようですし」
「あん?」
「?」
そして、半ば無理やりエヴァ達を仲間に引き入れ、砂のお城築城計画がスタートした。
「なぁ茶々丸……私は何故南の島まで来て砂の城なんぞを作っているんだ?」
「あ、ふたみんさん、そちらもう少し削って頂けますか?」
「んー、このくらい?」
「ええ、ありがとうございます」
ふむふむ、今作ってるとこが外壁だから……なるほど、確かにバランスが良くなった!
「……チャチャ、堀……出来たよ」
「良い仕事をさせていただきました」
「おお……お二人共素晴らしいです」
「馴染みすぎだろお前!?」
「マスターもやりませんか?」
「やらん! 手が汚れる!」
「……えい」
何を思ったのか、リアが急に泥をエヴァ目掛けて投げつけた。……あー、こりゃ一時避難した方が良さそうだな。
「なにぷっ!? き、貴様……水ならまだしも泥を顔面に投げつけるとか常識はないのか常識は!?」
「……私に常識は通用しない」
「ふぅ。んじゃ、少し休憩すっか」
「そうですね。あ、二見さんこれを……ここの自販機で見つけたです」
「お、何々……『トロピカル温野菜~牛タン塩とレモンを添えて~』? さすがいいんちょ、こんな不思議ドリンクまで置いてあるなんてすげぇな!」
俺達はのんびりドリンクを飲みつつ、目の前で繰り広げられている泥合戦を観戦する事に。
「このっ、小娘如きが!」
「……ノーコンBBA。えい」
「わぷっ!?」
「マスター、楽しそうです」
「リアも楽しそうでなによりだ」
「フタミン、ここにいたのかい。……彼女達は何を?」
「おお、フェイトか。見ての通り、泥合戦かな? まぁ、リアが一方的にぶつけてるだけなんだが」
エヴァがどんどん泥まみれに……。あー、また顔面にクリーンヒット……可哀想に。
「うわぁ……エヴァちゃん泥まみれやね……」
「リアさんはエヴァンジェリンさんと何かあったんですか? やたら敵意があるみたいですが……」
「あ、これはまたお揃いで。んー、そこは俺にもサッパリ。何故かずっとBBAって呼んでるし」
フェイトに続いて近衛さんと桜咲まで。……うん、この2人は大丈夫だな。それにスク水だし、色気的にも……。
「二見さん、何か誰かに対して失礼な事を考えてないですか?」
「か、かかか考えてねーよ!?」
近衛さんはともかく、桜咲に知られたら斬られる! 絶対に斬られる!!
「大体、貴様は年上に敬意を払うという事を知らんのか!」
「……見た目私と同じくらいな癖に」
「なんだと!?」
あっちはあっちで……喧嘩する程仲がいいって言うけど、あいつらホントにそんな感じだよなぁ。見てて微笑ましいわ。
「で、いつ止めるですか?」
「腹減ったら止まるんじゃね?」
「ず、随分適当なんですね……」
「いやだって……あんな泥合戦に巻き込まれたいと思う?」
「「「納得」」」
うん、納得してくれて何よりだ。
「それよりフタミン、こんなものを見つけたよ。一応報告しておこうと思ってね」
「ん? 『ヤシの実サイ○ー』……これは危険だ。色んな意味で危険だ。今すぐ元の場所に戻してきてくれ」
「ふむ……君がそう言うならそうしておこう」
危ない危ない。男女平等パンチを食らうとこだったぜ。何であんな危険物がこんな所に……。
「おのれ……身体能力がそのままな事に腹が立つ! これでは本当にただのガキではないか!」
「……見た目は子供、中身はBBA」
「ええい、やかましいわ! もういい、私はシャワーを浴びてくる!」
「あ、ならリアも入れてやってくれよ。絶対砂被ってるから」
「どうして今の状況でそんな事が言える!? 本当のバカだなお前は!!」
「……お兄ちゃん、任せて。このBBAは、私が綺麗にする」
そうして、金銀のロリ組はシャワーがあるコテージへと向かっていった。……何やら言い合いしているみたいだけど……こっちから見るとどう見ても仲良しこよしなお友達にしか見えないよなぁ。2人とも否定するだろうけど。
~今回の出来事~
・ドリンク、効果範囲は主人公達のみならず
・フェイト君、今回はちょっと危険だった
・やっぱり主人公はロリk――
エヴァ成分やや多めで行きました! あのロリ組の絡みが書きたかった……。クオリティの方は本当にごめんなさい。
今回最も重要な役割を担った『サポタージュ~青春を君に~』ですが、念の為にご説明を。サボタージュ+ポタージュ=サポタージュ、です。