エンドール
ユウ「お、おお……」
エンドールについたユウ一向。城下町に広がる色々な人間、武器屋、防具屋、道具屋、宿屋の人、元の世界でだってこんなのを見る機会なんてない。しかと目に焼き付けておこうとそう思った。この時期はちょうど今度開かれる武術大会参加者がいていつもより活気がある。
アリーナ「腕の立ちそうなのがいっぱいいるわね!腕がなるわ!」
強い人が好きなアリーナは目を輝かせている。ユウは呆れた顔をしながら宿がないかあたりをキョロキョロする。同様にクリフト、ブライも探す。旅の扉のせいで未だにクリフトは顔が悪かったが…
ブライ「あそこの宿にしましょうか、姫様」
ブライが指をさした場所にはエンドール最大の宿。カジノがあるらしいが今はやっていないとのことだ。四人は中へと入っていく
店主「いらっしゃいませ、何名様で?一部屋5ゴールドです」
金はかかるが3部屋にしてもらおうと思っていたのだが、クリフトとブライ。アリーナと自分が一人ずつということで、でもアリーナが二部屋でと頼んでしまい、結局、前回同様アリーナと同部屋である。ブライがなんやかんや言っていたがクリフトが説得してくれた。
ユウ「ふぅ、疲れたな」
アリーナは荷物を置いてさっさと城内にある武術大会の参加者になるために向かった。ユウは何日もここで過ごしたが死んだらどうなるのか気になった。今まで考えたことはなかったが一度死にかけたので不安がこみ上げてきたのだ。
だからと言ってこの答えを知るものはいないのだから考えても仕方ないのでアリーナをおいかけることにした。
アリーナ「あ、ユウ。ちょうどいいところに来たわね!」
城に入る前にアリーナと出くわした。なんでも武術大会二人一組の参加らしい
のでユウに頼もうと思っていたらしい。俺としてはめんどくさいとは思うがクリフトやブライがでるものでもないし、アリーナも参加をやめるわけもない。なので了承し二人は城内に入っていった。
受付「はい、受領しました……アリーナさんですか、王様からアリーナという名前の物が参加を希望したら玉座の間にいくよう言伝を預かってます。今から行くようでしたら兵士が案内しますがいかがされますか?」
アリーナ「エンドールの王が私に……?わかったわ、案内頼むわ」
エンドールの王から来るよう言われたアリーナだったがまったか呼ばれる理由がわからなかった。もちろんユウにもわからない。兵士についていき玉座の間へとドキドキしながら向かった。
玉座の間
エンドール王「よくぞ参った。サントハイム王女、アリーナよ」
玉座に座るエンドール王と隣にいる女性。見た目からして娘だとは思う。アリーナのことを知ってることを見てからサントハイムからなにか言われたのだろう。
アリーナ「エンドール王、どんな用件で呼んだのでしょうか?」
アリーナも王族。今まで見たことがないくらい礼儀正しい。それに対し王はコホンと一つ咳をし、少し言いづらそうに口を開く。
エンドール王「実はな……この武術大会で優勝したものに娘をやると言ってしまって……困っておったのじゃ、後から二人一組というのを設けほとんどの武人は組みを作ったがのぉ……そこでお主らに優勝して欲しいのじゃ、頼まれてはくれんか」
手を合わせ必死に王がアリーナ達に頼み込んできた。エンドールを治めるくらいだから愚王ではないとは思うが少しアホらしい。決して口にはだしませんが……ユウはそんなことを考えチラッと横を見てアリーナを見た。きっとアリーナは自信満々に答えるだろう、任せてくださいと
アリーナ「任せてください、もとより優勝する気でありましたから」
エンドール王「まことか!それでは頼んだ、強者揃いじゃ、くれぐれも気をつけてくれ、下がって良いぞ」
思った通りだった、王は心底嬉しそうに何度も首を上下させ頷いていた。
下がっていいといわれアリーナ達は城を出た。
ユウ「あんな、自信満々に言ったが……大丈夫か?」
宿に戻ったユウはアリーナに問いかけた。アリーナはもちろんと元気よく言ってユウがいるんだものと話した。頼りにされてるのは嬉しいが対人戦はまだやったことはない。今日は不安ばかり残る1日であった。武術大会は明日からだ。アリーナの期待添えるようがんばろう。ブライに話したらなんて言われるか……
ユウ「デイン!」
「ぐわぁ」
アリーナたちは勝ち進んでいた。4回のうちすでに3回勝利している。1回戦も2回戦目も個々で言えば強いだろうが即興のチームだったため連携が取れずにアリーナたちに敗れて行った。これは3回戦目も同じだった。
アリーナ「なーんか、あっけないわねぇ〜」
ブライ「まったく、わしらに何も言わずに参加して……ユウもじゃ!なんで止めてくれんのだ」
選手の控え室で不満気にいうアリーナとご立腹のブライ。案の定ブライには怒られた、今もまだぐちぐち言われている。クリフトは否定はしなかったが肯定もしなかったのでアリーナの気持ちは尊重したいが危険な真似はやめてほしいそんなところだろう
ユウ「そんなこと言われても……」
クリフト「まあまあ、落ちていてください。姫様、ユウ様。回復します、ホイミ」
クリフトはそう言い回復してくれた。ユウのホイミとは違い回復量はやはり違う。クリフトがいて本当に助かった。いろんな意味で……そう考えていると決勝戦が始まるみたいなので選手は出るよう言われた。
アリーナ「さて!行ってきますか!文句なら後で聞きますよ!ブライ!」
アリーナが歩き出しユウもついていく、ブライがなんやかんや言っていたがクリフトが怒りをおさめていた、本当クリフトありがとう。そう思った。
戦いの場へ戻ってきた二人、決勝戦だからだろうか王も来ていた。
エンドール王「ここまでよくぞ勝ち進んだ!アリーナとユウよ!次の相手は1人でありながら次々と強者倒したピサロじゃ!健闘を祈る」
王の言葉が終わり対戦相手が入ってくる。確かに1人らしい、黒の服と大会用の木剣。ユウはやけに耳が長い気がしたが特に深くは考えなかった。ただ強いという事がわかった、そんなオーラというか気迫?を感じた。
アリーナ「次はあなたね!ユウ!手は出さないでね!1対1で勝負よ!」
アリーナも同じことを考えたのだろう、強敵と戦えるのを楽しみにしてこの大会に出場したのだから、最後くらい一人で戦いたいのだろう。ユウはこくりと頷き、手は出さないつもりだった。戦闘が開始し次の瞬間、アリーナは吹っ飛んだ。
ユウ「!?アリーナ!」
ユウはアリーナに駆けつけホイミを唱える。どうやら気絶しているだけらしい。ユウは木槍を構えピサロと対峙する。
ピサロ「……」
ピサロは何も言わずにこちらへ向かってきた。リーチが長いのを利用して攻撃する。ときおり魔法を使ってくるのだがそれもなんか避けている。ピサロの攻撃の速さがどんどん早くなり紙一重で避けるのが精一杯でユウは攻撃する機会がなくなっていく。
ユウ「く、くそ……」
どんどん押されていくユウだが、後ろからいつの間にか起きたアリーナが攻撃を仕掛けた。だがピサロはうしろに目がついてるのではないかというくらい素早く反応し、ユウを風の魔法で吹き飛ばし、アリーナに回し蹴りをして吹っ飛ばした。会場も唖然としていて静かであった。ピサロは手を挙げメラゾーマを唱えようとしたが突然空を飛ぶ魔物が近づいていった。
魔物「……」
ピサロ「……」
何を言ったかはその場にいた人間たちには分からなかったがピサロが魔族ということがわかり王は兵を動かすがピサロはルーラを唱え消えていった。ユウとアリーナは気絶したままで兵が病室に連れて行った。
ーーーなんでお前がこんなことをする!ーーー
ーーーかつていた勇者とその仲間たちの存在を消した天界を消すためだ。もちろん勇者の存在をもう一度認識させる。その為に俺はーーになる必要があった。勇者ーーよ。俺はもう止められないーーー
ユウ「ん……」
ユウは目を覚ました。またおかしな夢を見た今度は二人の人間が対峙していた片方は勇者と呼ばれ片方は魔物みたいだが人にも近い容姿だった。
あれから数時間がたったらしい。俺が起きるちょっと後にアリーナも起きた。しばらく沈黙が続いていた。
ユウ「…………」
アリーナ「あいつは……ピサロは魔族だったのね」
アリーナが沈黙を破った。魔族、魔物とは違い知識を持ちひとに近い容姿を持つ魔物のことを言う。魔王もこの部類にはいるだろう。ピサロに叩きのめされた二人は意気消沈していた。すると扉が開きクリフトとブライが入ってきた。
「「姫様!!」」
起きているアリーナを見て二人は大声をあげた。それほどまでに心配だったのだろう。ブライなんてまたぐちぐち言ってる。
ブライ「だから言ったのだ!我々に相談もせずに大会にでて!気絶程度で済んだからいい物の……だいたい姫様は……」
長くなると察したクリフトはまあまあと話を強引に切った。クリフトも無事だったからいいじゃないですかと言ってくれた。
アリーナ「でもピサロはいつか倒さないといけない……そんな気がする」
ユウはアリーナがそう言ったのを聞き自分も強くならなければと思った。レンも心配だがこの世界も救わねばならないそのための手がかりも探さなきゃならない。
アリーナ「強く……ならなきゃね」
そうアリーナが言うと全員頷いた。あの強さを見てブライもクリフトも強くなろうと決めたのだろう。ユウは拳を握りしめみんなで強くなろう。そう思った。
ここまで見ていただきありがとうございます!次はレンサイドになります!