モンスターハンター ~英雄への旅路~   作:楼河

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いつから俺が失踪していたと錯覚していた...?(大嘘)

という訳で(どういう訳だ)、約7ヵ月振りの投稿です。
言い訳は活動報告に書くのでそちらをご覧下さい。(露骨な宣伝)


第6話 桃色の風

 アリナ·ローゼヴィント。

 ハンター養成学校生徒副会長であり、アイテム調合部門最優秀賞獲得のエリート。

 その容姿、性格、カリスマ性全て揃い、街を歩けば絶えず異性の注目を浴びる完璧美少女。成績は学年トップ、狩りの腕前もヴェルデ程ではないもののの、彼に迫る腕前を持つ彼女が、ドンドルマから離れたカナタ村に住む、ヴェルデの前に立っていた。

「アリナ...!帰って来てたのか...!」

 そう、彼女はヴェルデの幼なじみで、家も隣で、幼少期に一番関わった人物である。

「あら、やっぱり2人とも顔馴染みだったのね。」

と、リーシャはどこか母性を感じさせるような顔で笑った。

 対してヴェルデは、

「そりゃ、まあ、ハンター養成学校では試験の度に毎度毎度勉強を嫌というほど教えてもらいましたからねぇ...」

 と、苦笑しながら話す。

「何よ、私が勉強を教えないとほぼ赤点確実なのに、少しは感謝してくれたっていいじゃない。」

 アリナは、慣れているかのようにヴェルデに反論する。

「うっ...ま、まあそれはそうだけど...だからって範囲に調合が少ない時まであんなに調合をやる必要は...」

「でも、1日最低100回はやらないと、ヴェルデくんはいつまでも成功しないでしょ?」

「そうだ、アリナ、一体あの量を一体どこから...」

「え?それは副会長権限で...」

「副会長権限強すぎじゃないですかねぇ...」

 などと、ずっと2人は言い合っている。

 片や絶世の美少女、片や伝説のハンターの息子ということもあり、やはり2人は新人ハンターの中ではかなりの知名度を誇るらしく、2人を遠巻きから見ているハンターも決して少なくはなかった。

 その視線にヴェルデは今更気づいたらしく、

「あー、場所を変えるか。あまりここで立ち話してても迷惑だし」

 そこでアリナも周りからの視線に気付き、

「そうだね。場所を変えよう」

 と言った。

 そしてヴェルデはカウンターにいるリーシャに、

「それじゃあリーシャさん、ありがとうございました。」

 と礼を言い、アリナも一礼して、2人はギルドから出ていく。

「はいはい、それじゃあね」

 リーシャも軽い調子で言い、仕事へ戻っていった。

 

 ギルドを出て、2人は大通りからゴルドラ山、通称【高山】を見上げていた。

「しかしこのタイミングでアリナに会うとはなぁ...」

「私も驚いたよ。リーシャさんに「紹介したい人がいるんだけど、今出掛けているから少し待っていてくれるかしら」なんて言われたんだもん。私はてっきり経験豊富なベテランのハンターだと思ってたよ」

 少し、と言ったわりには、実際には時間単位で待たされていたそうだ。基本的にはリーシャはかなり有能な新人のようだが、どこか抜けているところが無いわけでは無いようだ。

「そうだったのか。じゃあ俺のような新米ハンターじゃ不足だったか?」

 と、どこか自嘲気味に笑うヴェルデ。いくら期待の新人と巷で噂のヴェルデといっても、やはりベテランのハンターと比べれば、まだまだ経験が足りない。しかしアリナ は、そんな彼の気持ちを知ってか知らずか、焦った様に首を横に振り、

「そ、そんな事ないよ!確かにベテランのハンターかな、と思ってたけど、正直ヴェルデくんの方がずっと...その...」

 最後の方はよく聞こえなかったが、とりあえずアリナがフォローしてくれたことで、

「そうか。まあそう言ってくれるなら良かったよ」

 ヴェルデも少しは励まされたようだ。

 そこで話題を変えるようにアリナが、

「ところでさ、これからどうするつもりなの?もし良かったらさ、その...一緒にパーティーを組んでくれないかな?」

 と提案した。

 対してヴェルデは、

「そうだな、正直一人じゃドスランポスが手一杯だしな...良いんじゃないか?そっちも一人じゃ辛いだろうし」

 と、その提案に乗った。

「というかさ、ヴェルデくんは私が居ないと歯止めがかからないじゃない。ドスランポスは大丈夫だったの?」

 実際、ハンター養成学校では、彼の頭に血が上っている時は、必ずと言って良いほどアリナが静止させていた。

 だが、自分だってちゃんとドスランポスを狩ることができたのだ。

「む、少し危ない所もあったし、ハンター養成学校でパーティーを組んで戦っていた時とは違って、思うようにいかない時もあったが、何とかなったぞ」

 と、若干むっとしたような顔で返した。だがアリナは半目になっておどけた口調で、

「本当かなー。ヴェルデくん、結構頭に血が上りやすいからどうだろうねー」

 そのアリナの適切かつ妥当な指摘を受け、ヴェルデは言葉に詰まったように話題を変えようとする。

「うっ...まあ、その辺も含めて、これから先ももっと、父さん達が残したこの村を、守れるようなハンターになれるように、頑張らないとな!」

 そう、一見強気に見える彼の言葉には、どこか寂しげなところがあった。そんな彼の様子を見て、

「...そうだね。じゃあ、その為にも、立派なハンターにならなくちゃね!」

 と言った。

 そして、ヴェルデとアリナは歩き出す。

 ――この先にある数々の苦難、そして彼らの目指すものへと辿り着く為に…




※最終回ではありません。

次回から本格的に物語が始まると思います。
今までがプロローグだったのさ。そうに違いない。

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