第三話を修正しました。結構重要なのでそれを読んでから読むことをお勧めします。
じゃないと「?」ってなります。
説明を聞いた後、黒ウサギに連れられて歩いていると大きな門が見えてきた。まあ途中でいろいろあったけどねw
「ジン坊っちゃーん。新しい方々を連れて来ましたよ!」
「そちらの御三方が?」
「はいっ!こちらの御三方がそうで・・えっ!?三人?」
振り返って急に驚く黒ウサギ。ニタニタする俺たち。
「どうかしたの?」
「呼ばれたのは本当は四人なんです。それで、もう一人の目付きと口が悪い"ザ・問題児"みたいな人はどうされたんですか?」
「ああ、十六夜君なら“ちょっと世界の果てを見てくるぜ!”と言って駆け出していったわ。
あっちの方に」
「なんで止めてくれなかったんですか!?」
「止めてくれるなよ、と言われたもの」
「どうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!」
「黒ウサギにはいうなよ?と言われたから」
「嘘です、絶対嘘です! 実は面倒くさかっただけでしょう皆さん!」
「「「うん」」」
お、ピッタリ合った。
がくりとうなだれる黒ウサギ
「た、大変です!"世界の果て"には野放しにされている幻獣がいるんです!」
「「幻獣?」」
「不死鳥とかか?」
「ギフトを持った獣を指す言葉で、特に"世界の果て"付近には強力なギフトを持ったものがたくさんいるんですいます!場所によっては神格を持ったものも!まあ不死鳥はさすがにいませんが...。でも出くわせば最後、とても人間では太刀打ち出来ません!」
ジンは焦った様子で言う。その様子が事態の重大さを物語っている。
「それは残念ね。もう彼らは・・・・・」
「ゲーム参加前にゲームオーバー?・・・・・斬新」
「冗談を言っている場合じゃありません!」
こんな時にも平常運転の飛鳥と耀。
「でも彼は無事なのでしょう?」
「ああ。無事だ。俺がここにいられる限りは死ぬことはないぞ。」
「それはどういう意味ですか?」
「まあ行けばわかるかもしれないな。3割くらいの確率で。」
「低いですね!はぁ、取り敢えずジン坊っちゃんはこの四名の案内をお願い出来ますでしょうか? 黒ウサギはあの問題児を捕まえに参ります」
「わかった。」
「事のついでに″箱庭の貴族″と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、この上無く後悔させてやります!」
箱庭の貴族ってなんだろう?
「一刻程で戻ります! 皆様はゆっくりと箱庭の生活を御堪能下さいませ!」
その言葉置き去りにして全力で跳躍した黒ウサギは弾丸のように飛び去っていった。結構速いな。
「へえ。箱庭の兎は随分速く跳べるのね。素直に感心するわ」
まあそうだろうな。それにしても黒ウサギ向こうについたらびっくりするだろうな~。
「それでは黒ウサギも言っていたし、箱庭に入るとしましょうか、エスコートは貴方がしてくださるの?」
「あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢十一のかなりの若輩ですがよろしくお願いします。四人の名前は?」
こいつがリーダーなのか...。少し不安だな。
「私は久遠飛鳥よ。」
「春日部耀」
「八雲菫だ。」
「それじゃあ箱庭に入りましょう。軽い食事でも取りながら話をしましょうか」
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俺たちは近くのカフェテラスで軽食を取ることにした
「あら?外から天幕に入った筈なのにお日様が見えるのだけれど?」
「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんですよ。そもそもあの天幕は太陽の光を受けられない種族のためにあるものですから」
「あら、じゃあ箱庭には吸血鬼でも住んでいるのかしら?」
「え、居ますけど」
「...そう。」
へ~。レミリアやフランが聞いたら喜びそうだな。あ、店員さんが来た。
「いらっしゃいませー。ご注文をどうぞ」
「えーと、紅茶を四つに緑茶を一つ。後軽食にこれとこれを」
「はいはーい。ティーセット五つにネコマンマですね」
...ん?
「三毛猫の言葉、分かるの?」
へ~。普通の猫と意思疎通ができるのか。すげえな。てか春日部もわかるの?
「そりゃ分かりますよー私も猫族何ですから。お歳のわりに随分と綺麗な毛並みの旦那さんですし、ここはちょっぴりサービスさせていただきますー」
『にゃー、にゃにゃーにゃー』
「やだもーお客さんったらお上手なんだから♪」
...さっぱりわからん。
「ちょ、ちょっと待って。貴方猫と会話出来るの?」
「うん。生きてる動物なら誰とでも話は出来る」
やっぱそうなのか。すげえな。
「それは便利そうだな。」
「そう……春日部さんは素敵な力があるのね。羨ましいわ」
「久遠さんは」
「飛鳥でいいわ。菫君もそう呼んで頂戴。」
「りょ~かい」
「う、うん。飛鳥はどんな力持ってるの?」
「私?私の力は最低よ。だって「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最底辺コミュ″名無しの権兵衛″のリーダー、ジン君じゃないですか。」あら。」
いや、空気読めよ。つーか品のねえやつだな。
「僕らのコミュニティは″ノーネーム″です。″フォレス・ガロ″のガルド=ガスパー」
「黙れ名無しが。聞けばまた新しい人材を呼び寄せたらしいな」
「失礼ですけど、同席を求めるのでしたら名乗って、一言添えるのが礼儀では?」
「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ″六百六十六の獣″の傘下である」
「烏合の衆の」
「コミュニティのリーダーをしている、って待てやゴラァ!!」
ナイスジン。お前才能あるな。
「ありがとうございます。」
「俺を無視するな!それに口慎めや小僧...紳士で通ってる俺にも聞き逃せねえ言葉はあるんだぜ?」
へえ、紳士ねえ...。飛鳥と輝も苦笑してる。さて、そろそろ質問するか。
「なあ。悪いがちょっといいか?そいつが言ってる”名無し”ってのはなんなんだ?それにコミュニティの現状についても教えてほしい。さっき最底辺がどうのこうの言ってたからな。」
まあ大方予想はついてるが。
「...。」
ジンは俯いている。これで俺の予想の裏付けがとれたな。
「こいつが話さないので変わりに私がこいつのギルドについて説明してもいいですか?「ちょ、ちょっと待っ」うるせえ小僧。勝手に箱庭に連れてきたんだがら、自分のコミュニティについて語る義務がお前にはあるだろうが。」
「うっ...」
「というわけでみなさん私がコミュニティの重要性とこの小僧...じゃなくてジン=ラッセル率いるノーネームについて客観的にお話したいのですが、よろしいですか?」
ジンは俯いてるし。こいつにお願いしようか。
「じゃあ頼む。」
「承りました。まず、コミュニティとは読んで字のごとく複数名で作られる組織の総称です。受け取り方は種によって様々でしょう。人間はその大小で家族とも組織とも国とも言い換えますし、幻獣は ”群れ” とも言い換えられる」
「それぐらい分かるわ」
「はい、一応確認までに。そしてコミュニティの縄張りを主張する大事な物。この店にも大きな旗が掲げられているでしょう? あれがそうです」
ガルドはカフェテラスの店頭に掲げられてある ”六本傷” が描かれた旗を指さす。なるほどね。
「六本の傷が入ったあの旗印は、この店を経営するコミュニティの縄張りであることを示しています。もし自分のコミュニティを大きくしたいと望むのであれば、あの旗印はのコミュニティに両者合意で『ギフトゲーム』を仕掛ければいいのです。私のコミュニティは実際にそうやって大きくしました」
自慢げに語るガルドはタキシードの胸ポケットに刻まれた模様を指さす。
そこには虎の紋様をモチーフにした刺繍が施されていた。
ん、これそこらじゅうにあるじゃん。結構大きいコミュニティなんだな。
「その紋様が縄張りを示しているのなら...この辺りはほぼ貴方達のコミュニティが支配している、と考えていいのかしら?」
「ええ、残念なことにこの店のコミュニティは南区画に本拠を構えているため手出しできませんが...。この二一〇五三八〇外門付近で活動可能な中流コミュニティは全て私の支配下です。残すは本拠が他区か上層にあるコミュニティと───奪うに値しない名もなきコミュニティくらいです」
クックッと嫌味を込めた笑いを浮かべるガルド。その視線はジンへと向いており、当の本人はやはり顔を背けたままローブをぐっと握りしめている。悔しそうだな。
「さて、私のコミュニティの話はここまでにしましょう。そしてここからがレディ達のコミュニティの問題。実は貴女達の所属するコミュニティは数年前まで、この東区画最大手のコミュニティでした」
ガルドの突然な内容に飛鳥が驚きの声を上げる。俺もそれは意外だな。最初からそこまで大きくないと思ってた。
「あら、それは意外ね」
「とはいえリーダーは別人でしたけどね。ジン君とは比べようもない優秀な男だったそうですよ。ギフトゲームにおける戦績で人類最高の記録を持っていた東区画最強のコミュニティだったそうですから」
ガルドは一転してつまらなそうな口調で語る。まあ今のこいつにとってはどうでもいいのだろう。
「彼は東西南北に分かれたこの箱庭で、東のほかに南北の主軸コミュニティとも親交が深かったらしいのです。私はジン君のことは毛嫌いしてますが、これは本当に凄い事なんですよ。南区画の幻獣王格や北区画の悪鬼羅刹が認め、箱庭上層に食い込むコミュニティだったというのは嫉妬を通り越して尊敬に値する凄さです。───まぁ先代は...ですがね。」
ジンは歯を食いしばり耐える。なるほどね。失礼だけどジンにそれが可能とは思えない。
ガルドはそんな彼を気にせず話を続けた。
「人間の立ち上げたコミュニティではまさに快挙ともいえる数々の栄華を築いたコミュニティは………敵に回してはいけないモノに目を付けられた。そして彼らはギフトゲームに強制的に参加させられ、たった一夜で滅ぼされた。『ギフトゲーム』が支配するこの箱庭の世界、最悪の天災によって」
「「「天災?」」」
俺たちは同時に聞き返した。自然災害でそんな大きなコミュニティが潰れるとは思えない。
「それは比喩にあらず、ですよレディ達に紳士殿。彼らは箱庭で唯一最大にして最悪の天災───俗に ”魔王” と呼ばれる者達によって………ね」
今までで一番真剣にガルドは言い放った。魔王ねえ...。神綺みたいな?まああんなのがゴロゴロいたら怖いが。てかあいつは魔神か。
「魔王?」
新たに聞き覚えのない言葉に首を傾げる二人。俺も気になる。
「えぇ、貴女達の世界で取り上げられている ”魔王” とは少し差異がありますがね。”主催者権限” という箱庭における特権階級を持つ修羅神仏、それが ”魔王” です」
主催者権限?なにそれおいしいの?
「ちょっと待って。その ”主催者権限ホストマスター” というのは───」
「もちろん、そのことについても説明させていただきます」
そしてガルドは語り始めた。
”主催者権限” とは、ギフトゲームを自由に開催できる権限のことで、いかなる難易度のゲームも、 ”主催者権限” にかかればどんな理由であろうと参加させられる。そして先に待つものは圧倒的な力で滅ぼされるという絶望。
故に ”魔王”、故に ”天災”。
その ”魔王” のゲームに敗北したジンのコミュニティは、コミュニティに必要な全てを奪われた。全てとはそれすなわち、名と旗印。そして寝食をともにし支え合った仲間。
その全てがたった一つのゲームで消え去ったという。
すげえな。魔王。てか主催者権限俺もほしいな。
「...なるほどね。だいたい理解したわ。つまり ”魔王” というのはこの世界で特権階級を振り回す修羅神仏のことを指し、ジン君のコミュニティは彼らの玩具として滅ぼされた。そういうこと?」
「その通り。神仏というのは古来、生意気な人間が大好きですから。愛しすぎた挙句に使い物にならなくなるのはよくあることなんですよ」
ガルドはカフェテラスの椅子の上で大きく両手を広げ、皮肉そうに笑う。
「名も旗印も主力陣も全て失い、残ったのは膨大な居住区画の土地だけ。今や失墜した名も無きコミュニティの一つでしかありません」
「...」
「それに、名乗ることを禁じられたコミュニティに一体どんな活動ができるでしょう。商売? 主催者ホスト? 名も無き組織など信用されません。優秀な人材も失墜したコミュニティに加入したいと思うでしょうか?」
「...誰もそうは思わないでしょうね。」
ガルドが言いたいことがわかった。
「もっと言えば彼はコミュニティの再建を掲げてはいるものの、その実態は黒ウサギにコミュニティを支えてもらうだけ。ウサギといえばコミュニティにとって所持しているだけで大きな ”箔” のつく存在。どこのコミュニティでも破格の待遇で愛でられる筈です。なのに彼女は毎日毎日子供達の為に僅かな路銀でやりくりしている」
それが非常に残念でなりません。と付け加る。
「...事情はよくわかったわ。それで、貴方はどうして私達に丁寧に話をしてくれるのかしら?」
やっぱきずいてたか。
「単刀直入に言います。もしよろしければ黒ウサギ共々、私のコミュニティに来ませんか?」
「な...なにを!?」
うわ、ジンめっちゃ焦ってる。まあでも少し安心しろ。十六夜は入ったみたいだから。
「そうね...確かに話を聞いている限りだと貴方のコミュニティに入った方が賢明な選択といえるでしょうね。崖っぷちギリギリのコミュニティと支配者だと天と地ほど差があるもの」
ガルドがいやらしい笑みを浮かべ、ジンがぎゅっと目をつぶる。飛鳥もいい性格してるな。さっさと言えばいいのに。
「でも結構よ」
ジンとガルドは理解できないような惚けた表情で「はっ?」と間抜けた声を出し、飛鳥の顔を窺う。どうせ今の反応が欲しかったんだろ。うん、GJ。
「聞こえなかった? 「結構よ」と言ったのよ。私はジン君のコミュニティで間に合ってるわ」
彼女は再び言うと何事もなかったようにティーカップの紅茶を飲み干すと、俺たちに話しかけてきた。
「春日部さんと菫君は今の話をどう思う?」
「別に、どっちでも。私はこの世界に友達を作りに来ただけだもの。どっちのコミュニティに属するかなんてどうでもいい」
「あら意外。じゃあ私が友達第一号に立候補していいかしら? 私達って正反対だけど、意外に仲良くやっていけそうな気がするのよ」
飛鳥は自分の髪を触りながら耀に問う。多分そういうの慣れてないんだな。恥ずかしそう。
耀は無言で少し考えた後、小さく笑って頷いた。
「...うん。飛鳥は私の知る女の子とはちょっと違うから大丈夫かも」
「そう、嬉しいわ。なら今度黒ウサギも交えて女の子同士、お茶でも飲みながら話ましょうか。それで菫君は?」
「保留で。あ、でもこのガルドってやつのコミュニティは入らん。」
ガルドは顔をひきつらせている。
「...理由を教えてもらっても?」
「だから、間に合ってるのよ。春日部さんは聞いての通り。そうよね?」
「うん」
「私は裕福だった家も、約束された将来も、おおよそ人が望みうる人生の全てを支払ってこの箱庭にきたのよ? それを小さな小さな一地域を支配しているだけの組織の末端として迎え入れてやる、などと慇懃無礼に言われて魅力を感じるとでも思ったのかしら。だとしたら笑い物ね。貴方自身の身の丈にあった台詞を言われた方がマシよ」
「んーなんかこいつ小物臭がするし、正直魅力を感じない。それにちょっと気になることがあるし。」
ピキリとガルドに青筋が立つ。
おお、怖い怖い(笑)
そんなガルドを無視して飛鳥はさらに言葉を続ける。
「何よりこの久遠飛鳥がもっとも好きなことの一つは、自分の思い通りに事が運ぶと思っているヤツにキッパリと断ってあげる事よ...。わかったら修行して出直して来なさい、エセ虎紳士さん?」
ピシャリと言い切る。お~。いうねえ。さすがお嬢様。
「お...お言葉ですが───」
「私の話はまだ終わっていないわ」
ガルドの有無を言わさずに話し出す飛鳥。多分今俺が考えてることと一緒だな。
「貴方はこの地域のコミュニティに ”両者合意” の上で勝負を挑み、勝利したと言っていたわ。けれど………ねぇ、ジン君。コミュニティそのものをチップにするゲームはそうそうあることなの?」
「い、いいえ。どうしようもない時なら稀に、でもかなりのレアケースです」
「そうよね。では ”魔王” でもない貴方がコミュニティを賭けあうような大勝負を強制的に続けることが出来たのか、そこに座っておしえてくださる・・・・・・・・・・・・・・?」
飛鳥がそう言うと、ガルドは椅子にヒビが入るほど勢いよく座り込む。ん、他人を支配できるのか。強力だな。あ、さっきの店員さん。
「お、お客さん! 当店で揉め事は控えてくだ───」
「ちょうどいいわ。猫の定員さんも第三者として聞いていてくれないかしら? きっと、面白いことが聞けるハズよ」
飛鳥が話せと呟くと、ガルドは語り始めた。
「...相手コミュニティの女子供を攫って脅迫し、ゲームに乗らざるを得ない状況に圧迫するっ。コミュニティを、吸収した後も...」
「吸収した後も?」
「ガルド=ガスパー………?」
がんばって抵抗してるけど無理だね。脅迫はまあ常套手段だね.
「数人ずつにとってある」
ピクリと飛鳥の片眉が動く。言葉や表情には出さないものの、嫌悪感が滲み出ていた。コミュニティには無関心だった耀も不快そうに目を細めている。まあ2人ともそういうのに慣れてないんだな。
「...そう、それで? その子供達は何処に幽閉されているの?」
「もう殺したッ」
...まじか。
「始めてガキ……共をッ…連れてきた日、泣き声が頭にき……て殺した。それ以降は自重しようと……ッ思ったが、泣き続けるのでやっぱり殺…した。だから……ッ! 連れてきたらすぐに殺すことに決め───」
「黙れ・・」
飛鳥がキレている。多分俺も怖い顔してるな。意味がある殺人はまあしょうがない。俺だって何人も殺している。だが、こいつのそれは明らかにいみがない。
「...すがすがしいほどに外道ね。さすがは人外魔境の箱庭の世界といったところかしら」
絶対零度の目のままジンに話を投げかける飛鳥。その冷ややかな視線に慌てて否定する。
「か、彼のような悪党は箱庭でもそうそういません!」
まあこんなんがゴロゴロいたら治安やばいしな。
「なら、今の証言で箱庭の法がこの外道を裁くことはできるのかしら?」
「...厳しいです。もちろんガルドの行為は違法ですが...裁かれるまでに箱庭の外に逃げてしまえばそれまでです」
それはある意味裁きといえなくもないが、それじゃ物足りないな。
「そう。なら仕方がないわ」
飛鳥が苛立たしげに指を鳴らす。それが合図なのだろう。ガルドを縛り付けていた力が拡散し、体に自由が戻る。
「俺に………手を出したな……」
ワナワナと体を震わせ不自然に膨張していくガルド。顔は虎に変わり、体毛も変色して黒と黄色のストライプ模様が浮かび上がる。
彼を包んでいたスーツは耐えきれずに弾け飛んだ。今更何言ってんのコイツ。
「この───小娘がアァァァァァ!」
雄叫びとともにテーブルを粉砕する。逆切れなんていい身分だねえ?
「テメェ、どういうつもりかは知らねぇが………俺の上に誰が居るかわかってんだろうなぁ!?箱庭第六六六外門を守る魔王が俺の後見に...!」
あ、殺気もれてた。
「今更怒るなよ。悪いのはどう考えてもお前だ。さてジン?お前は魔王が背後にいるコイツに屈して見逃すのか?」
「...僕たちのコミュニティは ”打倒魔王” を目指しています。貴方の脅しに屈する気はありません」
「だそうだ。」
よく言ったな。少し見直したぞ。
「く………クソッ……!」
「というわけでだ。提案があるんだがいいか?」
「何かしら?」
俺は笑みを浮かべる
「フォレス・ガロとノーネームで、ギフトゲームをしないか?」
ちょっと原作コピーしすぎたかなぁ...?