妖精と白き夜叉   作:さとモン

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6話 妖精さんの幻想曲~ファンタジア~

「銀ちゃん、パレード明日らしいアル」

 

 

「そーかそーか。」

 

 

銀時はジャンプを読みながら適当に流す。

 

 

「……それはいいんですけど」

 

 

新八はチラッと己の左側を見た。

 

 

「銀時、俺も共に見るぞ。」

 

 

「いらねぇーよ。くんな。」

 

 

何故か桂がいた。

 

 

「というかなんで今頃くるわけ?目障りなんだよ。どっかに消えやがれ」

 

 

銀時はゲシゲシと桂を蹴る。

 

 

「ちょっ、痛い。痛いって、ねぇやめてっ!?」

 

 

銀時はつまらなそうに笑いながら蹴っていた。

虚ろな目である。

 

 

「……雷ヤロー、どうなるアルカ」

 

 

神楽は心配そうに新八と銀時を見つめた。

 

 

「さぁな…だが、なんらかの罰は免れねぇだろうな。」

 

 

「……仕方ないですよね。」

 

 

新八が暗く笑みを浮かべた。

 

 

神楽はポツリと呟き始めた。

 

 

「アイツ、ただ自分の家族を舐められたくなかっただけアル。悪いのはアイツの家族を馬鹿にした奴等アル。」

 

 

「その家族にあんなことしたんだろ。」

 

 

「んー……」

 

 

ぷっくりと頬を膨らませ、御立腹のようだ。

そうしていれば少しは可愛いげがあるのに。

普段は何であんなに毒舌なんだろう。

ゲロインだし、色気はないし。

 

 

「あ"ぁ!?」

 

 

いきなり蹴られた。

体が物凄く後ろに吹っ飛んでる。

 

 

「ぐはっ!」

 

 

あぁそうだった。神楽は人の心をよめるのだった。

明らかに今回は俺のミスだ。

 

無意識に人の思考をよみ取れるのだから、俺の思考がよみ取られてもおかしくない。

 

 

「……またよめなくなったアル」

 

 

よめなくなったのではない。

 

 

俺がよめないようにしているのだ。

 

 

「はぁ……。」

 

 

溜め息をつきながら、神楽はヅラを殴っていた。

いい気味だ。

 

 

なんだか変な言葉を発しているようだが、この際無視をするに越したことはない。

 

 

「銀時、リーダーへの教育はどうなっているんだ!」

 

 

「ソイツを育てた覚えはねぇ」

 

 

「もう、そんな子になっちゃって!お母さん知らないからね!」

 

 

「誰がお母さんだ」

 

 

「俺に決まっているだろう。」

 

 

そんなことを言うのは勝手にすればいい。

フッと笑うヅラには興味はない。

だが、その言葉には反論しなくてはならない。

 

 

「俺に親なんかいねぇ。それぐらい知ってんだろ。」

 

 

親なんて、顔すら知らない。

 

 

知りたいとも思わない。

 

 

俺を捨てた親なんぞに会いたくもない。

 

 

「銀時…」

 

 

「ヅラァ…、残念なことに俺には親なんかはいねぇ。むしろいなくていい。」

 

 

親のような人はいたかもしれないが

 

 

親はいない

 

 

「でも、俺には家族がいる。そいつには血の繋がりなんかこれっぽっちもねぇが、魂っうもんで繋がっててな。」

 

 

「……!」

 

 

桂はこちらを見ながら目を見開いていた。

 

 

意外だったのだろうか。

 

 

それとも

 

 

アイツに似ているからなのか

 

 

その言葉が。

 

 

「俺にはコイツらだけで十分さ」

 

 

座っていた二人を抱き寄せ、桂に見せつけた。

 

 

「「!!」」

 

 

二人は一瞬だけ嫌そうな顔をする。

 

 

おいおい、この銀さんが家族だといってやってんだぜ?

 

 

もうちょっといい顔はねぇのかよ

 

 

「ふん、銀ちゃんなんかに家族と言われても全然嬉しくなんかないアル。」

 

 

「そうですよ。僕ら別にそんなこと望んでませんから」

 

 

と、頬を赤くしながら言う。

 

 

可愛い奴等だ。それでいてどこか憎めない。

 

 

不思議と、口がにやけてきた。

 

 

「家族だと思っていいって言ったのは何処のどいつだ?」

 

 

「……はぁ」

 

 

「なんで溜め息!?」

 

 

新八があの時言ったのに、こういう反応をされるとは……

 

 

「知りませんよ。そっ、そんなこと」

 

 

まぁ、いいか。

 

 

未だに顔が赤い神楽に問う。

 

 

「で、見に行くんだろ?」

 

 

神楽はゆっくりと首を動かす

 

 

「勿論アル!」

 

 

と、神楽はニコッと笑いながらこちらを見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すごいアル!」

 

 

目をキラキラさせながら、神楽は跳び跳ねている。

 

 

「……平和だな」

 

 

「あぁ」

 

 

銀時は、どこか違う場所を見つめているようだった。

まるで、過去を見つめているような…

 

 

「銀時?」

 

 

「……あぁ」

 

 

普段なら、祭りというだけで気分が上がっているはずの銀時は、何故かあまり楽しそうではない。

 

 

「今日ぐらい、忘れたらどうだ」

 

 

「忘れられねぇよ。あの日のことは」

 

 

後悔してもしきれぬあの忌々しい記憶。

 

 

何故、あんな道を選んでしまったのか

 

今でも時々わからなくなる。

 

 

「忘れられるわけねぇんだよ。忘れちゃいけねーんだ。お前は忘れたのか?」

 

 

「……そうか。そうだったな。お前はあの日から、使わなくなったのだったな。」

 

 

あの時、魔法を使ったように見せかけた。魔水晶(ラクリマ)を使って、あいつらごと騙した。

 

 

俺にあの魔法を使う権利なんてない。

あの魔法でなくても、俺はもう魔法を使わない。

 

決めたんだ。

 

 

鬼にはならない。

 

アイツを殺したのにアイツの魔法を使うなんて間違っている。

 

 

だから俺は

 

 

「銀時……」

 

 

桂には、罪悪感があった。

 

 

あの時、己が捕まらなかったら……と、考えてしまうのだ。

 

 

銀時の魔法は弱く、強い魔法。

 

 

今のアイツは、魔法を使わないのではない。

 

 

使えないのだ。

 

 

「……エリザベス」

 

 

【なんですか桂さん?】

 

 

己の相棒に問う

 

 

「友が悩んでいるというのに、俺は何もしてやれない。」

 

 

【桂さん……】

 

 

「どうすればいいのだ。俺は…」

 

 

桂もまた、このパレードを楽しめそうになかった。

 

 

だが

 

 

「銀ちゃん銀ちゃん!そんな顔してたらダメアル!お前がそんな顔してたら、周りの人にもそれが伝染ってしまうネ。銀ちゃんが暗いのはいいけど、私に伝染ってしまうのはダメアル。だから無理矢理にでも笑えヨ馬鹿。」

 

 

「オメーに馬鹿って言われたくないんだけど」

 

 

神楽の言葉に吹き飛ばされた。

 

 

子供のちからというのは凄いものだ。

 

 

「しっかし、スゴいもんですねィ」

 

 

「!!」

 

 

桂は悟った。

 

 

ここにいては危険だと。

 

 

しかし、パレードは楽しみたい。こんなやつらのために俺がなぜ移動せねばならんのだ。俺は移動しないぞ!絶対にだ!移動しないからね!

 

 

桂は直ぐ様変装した。

 

 

「あり?旦那じゃねーですかィ」

 

 

そこに、袴を来た沖田がいた。

 

 

「サドォォォォォオオ!!」

 

 

神楽は沖田に向かって飛び蹴りをかます。

しかし、沖田はそれを軽々と避けた。

 

 

「あれ、なんか通った気がするけど……蟻かねィ?」

 

 

「誰が蟻アルカァァァァ!殺すぞテメェェ!」

 

 

沖田の挑発に、神楽はノる。

 

 

「そーか、殺れるもんならやってみな。返り討ちにしてやるからよォ。」

 

 

「上等じゃこらァァァァ!!」

 

 

二人は喧嘩しようとした。

 

 

「神楽!」

 

 

「総悟!」

 

 

ピタッと、二人の動きが止まる。

 

 

「チっ……」

 

 

「ニコマヨ、ゴリラァァァァ!!」

 

 

「ゴリラって呼ばないでぇぇぇ!」

 

 

そこに、煙草を吸った黒髪のストレート瞳孔開いてる男と、人間のようなゴリラがいた。

 

 

「いや、人間だから!?」

 

 

「どこにツッコミ入れてるんですかィ近藤さん。アンタはゴリラなんですから」

 

 

「総悟ォォォォオ!!」

 

 

ゴリラは泣きながら叫んだ。

煩い。迷惑である。

 

 

「ところで新八くん、お姉さんは元気かい?」

 

 

新「……」

 

 

神「姉御のことは教えないアル」

 

 

銀「消え失せろストーカー」

 

 

ヅ「ストーカーとは情けない。警察がこれとは、世も末だな。」

 

 

エ【○ね】

 

 

冷たい反応を見せる一行。

 

まぁ、当たり前である。

 

 

「……だそうですぜ、近藤さん。」

 

 

「……あの、俺は」

 

 

「いたのか山崎。」

 

 

土方は今、初めて山崎の存在に気付いた。

 

 

「酷いですよ副長!」

 

 

「すまんザキ、俺も気づかんかった。」

 

 

「局長まで!?」

 

 

「というかテメーらが来たせいでシリアスなところぶっつぶれたじゃねーか。どうしてくれんの?作者もどうしたらパレードに戻れんのかわかんなくなってんじゃねーか。」

 

 

「どういうことだよそれ。」

 

 

銀時の発言に、新八はツッコんだ。

 

 

「……おい、アレ」

 

 

土方が呟く。

 

 

そこにいる者達は、土方の視線を追う。

 

 

彼らは目を見開いた。

 

 

妖精の尻尾の皆が親指と人差し指を立たせ、腕を挙げていた。

 

 

誰かに向けて、見えるように

 

 

「あのじいちゃん……」

 

 

神楽にはわかった。

 

 

これが誰に向けてしているのか

 

 

(たとえ姿が見えなくとも、たとえ遠く離れていようと…ワシはいつでもおまえを見てる。

 

 

おまえをずっと……見守っている)

 

 

 

 

 




1ヶ月ぶりの更新です。
遅くなってすいませんでした。
質問にも答えられず、ただグータラしてました。
ジャンプと月刊銀魂を読んでました。
さて、アイツとは誰のことかわかりますよね?
どうやら銀さんには魔法が二つあるようです。

アンケート実施中。
詳しくは活動報告を見てください。

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