妖精と白き夜叉   作:さとモン

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12月5日 加筆修正


一章 万事屋銀ちゃん見参!
1話 万事屋なんかに頼むとろくな事がない 前編のはず


「ねぇエルザ。知ってる?」

 

 

「なんだルーシィ」

 

 

FAIRYTAILで、ルーシィがエルザに話しかけた。

ごく普通の世間話だった。

 

 

「最近、ある独立ギルドが闇ギルドを倒していってるらしいの」

 

 

「ふむ」

 

 

興味深そうな顔をするエルザ。

それは、強者の予感をさせるからか。あるいは、不穏な雰囲気が漂っていたからか。

 

 

「なんだ?」

 

 

「二人でなに話してるの?」

 

 

「ナツ、ハッピー」

 

 

興味深そうに二人の会話に入ってきたのは桜色のツンツン頭と、青いネコ。ナツとハッピーだった。

二人?はパートナーであり、家族だ。

 

 

「最近、とある独立ギルドが闇ギルドを倒していってるらしい。」

 

 

「闇ギルドを?」

 

 

「あっ、私知ってるよルーちゃん!私が聞いた話によると、相当強いらしいの。それに、サムライがいるって聞いたわ」

 

 

レビィいわく、メンバーの一人一人がS級の魔導師に匹敵する力を持っているらしい。

そのようなギルドが果たして実在するのかどうか、疑わしいところでもあるが。

 

 

「とにかく強ぇんだな!」

 

 

「サムライ…東の国の」

 

 

サムライ

 

 

東の国の日本というところに住む強者達

 

 

侍は皆、刀をもつ

 

 

刀とは、彼らの魂だ。

 

 

いや、日本では刀の有り無しなど関係ない。

 

 

皆、心のなかに筋の通った意思を持っているから侍。なのだそうだ。

 

 

「でも、なんでフィオーレに来たんだろ?」

 

 

「さぁ……」

 

 

彼らは刀…日本刀と呼ばれる物を使うためなのか、こちらの地方よりも魔法の使える者が少ない。

 

 

魔法より、魔法を使わない技術――科学力が高い。

 

 

魔法がなくても、彼らは生きていけるし、職もある。

 

 

もとより、わざわざフィオーレに来る者がいない。

 

 

国同士の交流もない筈だ。

 

 

だからこそ、エルザは気になった。

 

 

特にマスター(リーダー)の男。

 

 

白夜叉と呼ばれる男には。

 

 

「すんませーん。万事屋ですけどー!」

 

 

ギルドに声が響く。

 

 

皆、一斉に入り口を見た。

 

 

そこにいたのは……

 

 

「ん?」

 

 

白髪……いや、光を反射する銀髪の天パで、変な服装をしている男に、眼鏡をかけた地味で着物を着た黒髪の少年。

オレンジの髪に、チャイナ服を着た活発そうな少女がいた。

 

 

「まさか……」

 

 

ルーシィはありえないような顔で銀髪の男を見たが、すぐに頭のなかに浮かんでいた考えをブンブンと頭を振って消去した

 

 

その三人に、FAIRYTAILのマスター。マカロフが近づいていく。

 

 

「すいません、万事屋さん。なにやら工事の業者が忙しいもんで」

 

 

工事というのは…つい先日、ナツとグレイ、エルザが暴れて出来てしまった大きな穴のことだ。

 

 

普段は壊した本人がやるのだが、そこでも暴れて喧嘩をしてしまい、業者に頼むことになったのだが、業者は何故か色々と忙しく、万事屋に頼むことにしたのだ

 

 

「いやいや、寧ろ俺らは助かってるんで」

 

 

銀髪の男は少し苦笑いをして言った。

 

 

もしかしたら、不本意なのだろうか。

いや、おそらく不本意なのだろう。

 

 

「金欠だから仕事は選べないアル」

 

 

「万事屋って何?」

 

 

ルーシィは聞き慣れない仕事に興味津々である。

 

それは、他のメンバーも同じだった。

 

 

「何でも屋です。といっても、万の事を売る…仕事の手伝いから届け物までなんでもする店で、物を売る万屋とは違うんですけど。」

 

 

「へぇー。そんな店があるんだ。」

 

 

感心したように笑う。

 

 

「てめっ、銀ちゃんナメんなヨ!銀ちゃんはなぁ!強ぇんだからナ!

そこら辺の魔導師なんかボコボコだからナ!」

 

 

オレンジの髪の少女は、何を勘違いしたのか、ドスの聞いた声?をしてルーシィを睨み付けた。

 

 

「神楽ちゃん、この人は銀さんのことをナメてないよ。確かに、魔法なんか使わなくても銀さんは強いけどね」

 

 

神楽というらしい少女はムッとした顔でルーシィを未だに睨んでいた。

 

 

よく言えば優しく、悪く言えば勘違いの激しい子だ。

 

 

「すいません。神楽ちゃんも悪気があるわけじゃないんです。」

 

 

「もしかして、あなた達魔法が使えるの?」

 

 

魔法なんか使わなくても。という言葉は、魔法が使えるという可能性を高くした。

 

 

「えっ?あぁ、まぁ一応…」

 

 

眼鏡の少年の肯定。

 

 

「銀ちゃんは魔法つかわないけどな!」

 

 

「お前は銀さんの個人情報を暴露しようとしてんのか?」

 

 

ごつん。という音がすると、前の少女の体がぐらついた。

 

 

少女の後ろに銀ちゃんや、銀さんと呼ばれていた男が立っていた。

 

 

「やるぞ。新八、神楽」

 

 

「「はーい」」

 

 

3人は自分の服を掴む

 

 

そして、そのまま斜め上に引っ張った

 

 

「よしっ、やるか」

 

 

「魔法!?」

 

 

「いえ、下に着てたんです。」

 

 

眼鏡の少年……新八は「やっぱり、最初は驚かれるんですよ」と言う

 

 

いや、それにしてもあり得ないような気もするが。物理的に何かをすっ飛ばしているような気がする。

 

 

「ギャグに理屈を求めたら敗けなんだよ」

 

 

「銀さん、それメタイです」

 

 

銀ちゃんと呼ばれる男は何処から出したのかわからない工具と材木を担いで、穴へと向かった

 

 

「銀ちゃ~ん、ネジ曲がったアル」

 

 

「わかった、お前は材木を運びなさい。お前に任せた俺が悪かった」

 

 

彼女は先程トンカチなどを持っていなかった。

ネジを曲げるという力は、あの細い腕からどこから出るのだろう。

いや、このギルドにいる屈強な女性を見れば、そのような言葉はすぐに消えた。

 

 

神楽はしぶしぶ材木を運びをし始める。

 

 

まだ新人のルーシィは、神楽のあんな細い腕で運べるか不安だった。しかし、それは数秒後に消し去ってしまう。

 

 

「銀ちゃ~ん、一気にやっていいアルか?」

 

 

「勝手にやれ~」

 

 

神楽はそれを聞いたとたん、材木の束を三つ担ぎ、走り出した。

 

 

ルーシィは自分の目を疑う。

 

 

大の大人(男)でも無理そうな重さのある材木をの束を、さも当然のように少女が担いでいたからだ。

 

 

穴を塞ぐ作業をしている二人は驚いていないようで、三人にとっては当たり前のことなのかもしれない。

 

 

「えっ?ちょっ、ちょっと神楽ちゃ~ん!?なんで突っ込んでっ!?」

 

銀髪の男に向かって、少女が物凄い勢いで走っていた。

勿論、男は突っ込んで来ると思い身構えるが、その予想に反して少女はピタッ、と男の目の前で止まった。

 

 

「バカアルな」

 

 

「お前に言われたくねぇよ!」

 

 

未だに名前が銀しかわからない男は、楽しそうだった

 

 

~~~~~~

 

 

 

「いや~、ありがとうございました!」

 

 

「……」

 

 

「いえ、こちらもありがとうございました。」

 

 

新八だけ、礼儀正しく礼を言う

 

 

神楽は街を見に行ってしまった。

 

 

「ほら、銀さんも……」

 

 

「新八、ここにいろよ」

 

 

「え?」

 

 

銀髪の男は、先程神楽が出ていった方……ギルドの出入口を睨み付けた。

 

 

いつの間にか、腰には木刀があった。

 

 

不穏な気配に気付いたのは、ギルドの奥にいた女

 

 

エルザもだった。

 

 

 

 


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