妖精と白き夜叉   作:さとモン

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11話からのサブタイトルは繋がってます。


十三話 悩み、

 

 

〈僕たちのことはいい!!! 最後にこれだけ聞いてくれ!!! 時間がかかったけど、ようやく〝古文書(アーカイブ)〟の中から見つけたんだ!!!! ニルヴァーナを止める方法を!!!!〉

 

 

それが、古文書(アーカイブ)とやらに書いてあるってことは、昔にニルヴァーナは起動し、止まったってことになる。

ということは…

 

あの声の正体は…

 

 

〈ニルヴァーナの足のようなものが8本あるだろう?その足…実は大地から魔力を吸収しているパイプのようになっているんだ。その魔力供給を制御する魔水晶(ラクリマ)が各足の付け根付近にある。その八つを同時に破壊する事で、ニルヴァーナの全機能が停止する。一つずつではダメだ!!!他の魔水晶(ラクリマ)が破損部分を修復してしまう〉

 

 

六本木 ……じゃなくて、8本ね。

いけない、いけない。

これはあくまでシリアスだった。

 

ん?メタイ?メタくたっていいだろうーが!

銀魂はなァ!メタくて上等なんだよ!

そんなことに恐れてたらなぁ…他の作品パロることなんかできねーだよ!

 

 

〈僕がタイミングを計ってあげたいけど、もう……念話(テレパシー)がもちそうにない。くう!!〉

 

 

8本つーことは、最低でも8人必要だよな。

 

まぁ、アイツ等なら充分足りるだろ。

俺がいなくても

 

 

〈君たちの頭に、タイミングをアップロードした。君たちならきっとできる!! 信じてるよ〉

 

 

……俺にはこねーか?……いや。

 

 

20分?

 

 

〈次のニルヴァーナが装填完了する時間だよ〉

 

 

ようするに、発車する直前に叩くってことか。

失敗したらおわりだな。

 

 

〈無駄な事を〉

 

 

!!

 

 

こいつは、さっき…じゃねーけど、俺が攻撃した…

 

 

クライン!

 

 

念話(テレパシー)をジャック?したのか

 

 

〈オレはゼロ。六魔将軍(オラシオンセイス)のマスターゼロだ〉

 

 

ゼロ?

 

なんだそれ?

 

 

〈まずは褒めてやろう。まさかブレインと同じ〝古文書(アーカイブ)〟を使える者がいたとはな……〉

 

 

しかも、ブレインだった…

 

……古文書(アーカイブ)

ブラインもそれが使えたってことか。

 

 

〈聞くがいい!! 光の魔導士たちよ!!! オレはこれより、全てのものを破壊する!!!! 手始めに仲間を3人破壊した。滅竜魔導師(ドラゴンスレイヤー)に氷の造形魔導士、星霊魔導士、それと猫もか〉

 

 

アイツらが……?

 

 

〈あぁ、それから滅鬼魔導師(デーモンスレイヤー)。〉

 

 

〈!?〉

 

 

俺!?なんで俺!?

というか、なんで…俺の魔法を…?

 

 

〈夜兎と、メガネの侍は俺が破壊しておいた。〉

 

 

かぐ、らとし、んぱち…が?

 

こいつなんかに?

こんなやつなんかに?

破壊され、た?

 

………

 

 

許さねぇ

 

 

〈許さねェェェ!!〉

 

 

怒りをにじませ、殺意を纏う銀時。

このままでは、怒りで我を忘れてしまうのではないだろうか。

 

 

〈テメェらは魔水晶(ラクリマ)を同時に破壊するとか言ったなァ?オレは今その8つの魔水晶(ラクリマ)のどれか一つの前にいる。ワハハハハ!!!! オレがいる限り、同時に壊すのは不可能だ!!!!〉

 

 

……いい。

 

 

俺が…!俺が!

 

 

『冷静になりなさい』

 

 

誰かの声が、また聞こえた。

煩いな。いつもなら、そう言ってるだろう。

なのに、その声には反抗できなかった。

 

 

そこでゼロの声は途絶えた。

念話(テレパシー)がきれたんだろう。

 

 

「こっちは2人だ、誰か他に動けるものはいないのか!!?」

 

 

妖精女王(ティターニア)の声だ。

 

なるほど。

念話(テレパシー)で人数を確認するのか。

 

 

〈私がいるではないか〉

 

 

〈一夜さん!!!〉

 

 

〈これで3人!!!〉

 

 

一夜……あぁ、二頭身ぐらいやつか。

 

 

これで四人。半分。

 

 

足りねーな。

ふつーに。

 

 

〈まずい……もう…僕の魔力が……念話(テレパシー)が…切れ……〉

 

 

「あと5人だ!!! 誰か返事をしろーーー!!?」

 

 

〈グレイ……立ち上がれ……お前は誇り高きウルの弟子だ。こんな奴等に負けるんじゃない〉

 

 

……念話(テレパシー)を通して離れたものに、語り掛けるものがいる。

 

 

〈私……ルーシィなんて大嫌い……ちょっと可愛いからって調子に乗っちゃってさ、バカでドジで弱っちいくせに……いつも…いつも一生懸命になっちゃってさ……死んだら嫌いになれませんわ、後味悪いから返事しなさいよ〉

 

 

仲間……

 

 

〈新八、神楽。よく聴け。

俺たちがすることはわかってるな?

これ止めるために必要な人数が足りてねぇのもわかってんだろ。

いいか、お前らで一つぶっ壊せ。〉

 

 

聞こえただろうか。

 

 

聴こえるんだろうか。

 

 

 

〈ナツ君…僕たちの…声が……〉

 

 

 

わかる。

 

 

「聞こえてる!!!!!」

 

 

ナツ・ドラグニル

 

 

火竜(サラマンダー)の声が聴こえてきた。

 

 

〈も…もうすぐ念話(テレパシー)が…切れる……頭の中に僕が送った地図がある……各…魔水晶(ラクリマ)に番号を…つけた……全員がバラけるように…決めて……〉

 

 

地図まで送れるのか。

万能だなー。

 

 

「1だ!!!!」

 

 

火竜(サラマンダー)のその声に続き、どんどん番号を言っていく。

 

 

「…5。」

 

 

〈6ヨ!行くネ新八ィ!!〉

 

 

〈私は7に行く〉

 

 

妖精女王(ティターニア)か…。

 

 

そういやこいつ。甘えもん好きだったような…

 

 

〈ではオレは…!?〉

 

 

〈お前は8だ〉

 

 

……誰か、いるのか?

けど、どっかで聞いたことがあるよーな。

 

 

 

……。

 

 

銀時は目を閉じた。

もちろん、そこには暗闇が広がっている。

 

 

己にとって、光はなんだろう。

 

 

魔水晶(ラクリマ)を、自分にとっての闇で壊していいものか。

 

 

自分にとっての光で破壊するべきなのではないか。

 

だが、あの魔法を使うのはいけない。

 

 

俺は、赦さない。

 

 

魔法なんか、必要ねぇ。

 

 

俺が今までふるってきた。

 

 

この木刀で

 

 

 

壊してやる

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

「お前……!」

 

 

「君は…?」

 

 

なんで、なんでコイツがここにいる。

いるはずのない奴を見た。

 

 

「ジェラール、なんでここに」

 

 

「……すまない。」

 

 

「は?」

 

 

出会ってそうそう、謝られた。

なんで謝ってんのコイツ。

こんなキャラだっけ。

いや、こんなキャラじゃなかったよな。

 

 

「君とは昔、会ったかもしれないが、覚えていないんだ。」

 

 

「は?お前マジでふざけんなよ。つーか、どこ行く気だよ。8に行くんじゃなかったのか。」

 

 

「!?」

 

 

そうか、わかった。

妖精女王(ティターニア)と一緒にいたのはコイツだ。

 

なんで、記憶喪失かはしらねーが。何もかも忘れてるなんざ気に食わねー。

 

 

けど

 

 

「……まっ、冗談だけどな。早く行けよ。行くんだろ?火竜(サラマンダー)のところに」

 

 

「……すまない。」

 

 

「謝るんじゃねーよ。バーカ。」

 

 

ジェラールは銀時の後ろを過ぎていった。

 

 

冗談だけどとか、本当に冗談だと思ってんなよ。

 

 

 

気に食わねー。

 

 

俺をバカにしたやつが俺のこと忘れてんのは気に食わねー。

 

 

 

『自分の国を護れなかった英雄が』

 

 

「……くそっ」

 

 

イライラするのか、銀時は自分の髪を、くしゃくしゃと掻き乱し始めた。

次第にそれは頭皮に触れ始め、爪で掻くようになってしまう。

 

怒りがおさまり、銀時はその行為をやめた。

手を下げようとする。

 

 

その時に一瞬、指先が紅くなっているように見えた。

疲れているのだろう。と、気のせいだと思ったが、なにやら爪に何かが詰まっているような気がした。

気になって、銀時は自分の爪を見た。

 

 

「……っ」

 

 

目を疑った。

 

気のせいなどではなかった。

 

 

銀時の指先には、血がついていた。

爪には紅いものとが詰まっていた。

 

それからは、ほのかに鉄の臭いがする。

 

やり過ぎた。

 

 

銀時は懐から適当に布を取り出すと、それを頭皮にあてた。

 

布を見ると、一部分が紅くなっていた。

 

 

それを何度か繰り返し、紅がつかないようになったところで、5番に向かった。

 

 

そんなことに時間を潰している暇なんてなかった。

 

 

 

気づけば、残り時間は7分をきっていた。

 

 

 

 

 


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