妖精と白き夜叉   作:さとモン

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最近字数が少ないです。
まことにすいません。


十話 六魔将軍…?

 

「あれアルカ?銀ちゃん」

 

 

「そーそー。」

 

 

「僕ら、邪魔じゃないですかね…」

 

 

三人は、連合軍を上から見ていた。

依頼でないといえば依頼ではないので、あまり下手には動けない。

 

 

「そーいえば銀ちゃん」

 

 

「あ゙?」

 

 

ふと、思い出したように神楽が銀時に問う。

 

 

「銀ちゃんの魔法って、何アルカ?」

 

 

「……俺の魔法?……そーさな」

 

 

 

あれは、幼い頃だった。

 

 

 

俺は歩いて近所の戦場に遊びに行ったんだが…

 

 

「何これ?え?戦場に遊びに行く?」

 

 

そこでは既に戦いが終わっててな、俺は敵はいねー!ってことで死体の山つくって遊んでたんだよ。

 

 

「アンタ、仏さんに怒られますよ」

 

 

でな、作り終えてその山の上に座って昼飯食うことにしたんだよ。いつもみたいにな

 

 

「いつもやってんのかよっ!!」

 

 

実はそこに死体処理班が来る予定でな、俺はそいつらに見つかっちまったわけだ。

 

 

「それ、ヤバくないですか」

 

 

そいつら、俺のことを敵だと思いやがって、それで襲いかかってきたんだよ。

だから

 

 

「死体の山に登らせてやった。」

 

 

死体の山に先程の死体処理班が積み重なっており、山はさらに高くなっていた。

その上に、銀時はVサインで笑っている。

 

 

「いやこれ死体と一緒になってるから!」

 

 

「これが俺の魔法。人を死体にする、だ。」

 

 

頷き、どや顔をする。

 

 

「スゲー銀ちゃん!」

 

 

「んな訳ないだろボケェェェェ!!」

 

 

新八がうるさい突っ込みをした。

 

 

「えー。かっけーアルヨー」

 

 

「どこが!?銀さんも嘘つかないでくださいよ。」

 

 

新八が呆れているのも、無理はないだろう。最初は真面目に聞こうと思ったが、やはり銀時の話はアホらしかったのだ。

 

 

「誰だ!」

 

 

「でもほら、新八くん。」

 

 

「?」

 

 

銀時が苦笑いしながら新八の後ろを見る。

 

 

「気づかれちゃってるよ」

 

 

「あーそうですか。気づかれちゃってるんですか。よかったで、す…ね?」

 

 

新八がゆっくり後ろを見た。

 

 

そこに、ジュラがいた。

 

 

「……」

 

 

「何者だ。」

 

 

「はははははは…」

 

 

銀時はものすごく笑っていた。

冷や汗をかきながらだが

 

 

「はははははは…。じゃっ、ねーよ!」

 

 

新八は、銀時を殴った。

 

 

「ゲボラァ!」

 

 

銀時の体は見事にすっ飛ぶ。

 

 

「なにやってくれてんの!?アンタが変なこと話すから!バレちゃったでしょ!?」

 

 

「お前が叫ぶからだろーが!」

 

 

殴られて赤くなった頬を擦りながら、叫び返す銀時。

 

 

「……万事屋?」

 

 

エルザが呟いた。

 

 

「あ、エルザアル!」

 

 

神楽がエルザを見つけ、手を振る。

残念ながら、彼女らにとくに接点はない。

 

 

「よぉ、妖精女王(ティターニア)

 

 

「なぜ貴様らがここにいる」

 

 

エルザが剣に触れる。

敵であればきるつもりだろう。

 

 

「ちょっと色々あってな。」

 

 

「色々とはなんだ。」

 

 

「それは教えられねーな。だが、俺は少なくとも今は、アンタらの敵じゃねー。でも、ニルヴァーナは、俺が止める。」

 

 

先程までは笑っていた銀時の顔は、いきなり無表情なものに変わった。

その変化に、場の空気が凍る。

 

 

「勘違いするなよ。俺は評議員の味方になる気はねぇ。」

 

 

彼の目は、何かに絶望している目だった。

 

 

その目に、不思議な威圧感がある。

 

 

(この男、ただ者ではない…。この魔力、殺気。そうとうの修羅場を踏んだと思われる。)

 

 

銀時に、ジュラの体は危険であると、警鐘を鳴らしていた。

 

 

「おい、行くぞ」

 

 

彼らを睨み、銀時は二人を連れ、去ろうとする。

 

 

「待てっ!」

 

 

エルザのその声に、銀時は足を止める

 

 

「……」

 

 

「収穫祭での件。すまなかった。そして…」

 

 

なにを謝っているのか。なにが

 

 

俺は俺がしたいことをしただけだ。

 

 

「感謝している。」

 

 

「上から目線はやめろバカヤロー」

 

 

彼が顔をこちらに向くことはなかった。

 

子供たちは、それを不安そうに見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

「銀さん!」

 

 

「本当のことを、教えてください。」

 

 

新八の目は、真剣だ。

 

 

「……銀ちゃん」

 

 

神楽が呟く

 

 

「ここ、哀しいヨ」

 

 

こことは、この場所。

銀時はわかっていた。

 

 

だが、それを話そうとは思わなかった。

 

それは、己の魔法を教えることと同じだから。

 

 

「あぁ、そうだな…。お前らは、飲み込まれるなよ。」

 

 

「!」

 

 

神楽は驚きを隠せなかった。

なぜ、わかる?

 

 

内容を、誰にも教えてなどいない。

知ったかぶりなどではない。

これは明らかに知っている目だ。

 

 

「なんで、使わないんですか」

 

 

「……お前らにはわかんねーよ。」

 

 

俺らのことも。

 

 

アイツらのことも

 

 

アイツのことも

 

 

あの人のことも

 

 

俺のことも

 

 

罪は罪。

 

 

俺の罪が許されることはもうない。

 

許す相手なんてもういない。

 

許されたいとも思っていない。

 

 

過去の亡霊とはよく言ったものだ。

 

 

白夜叉

 

 

その名を聞くたびに、なにかが壊れるような気がして仕方がない。

 

 

あの日のように

 

 

「僕ら、本当に…」

 

 

爆音が聞こえた。

 

 

ずいぶんと近いところからだ。

 

 

「……」

 

 

銀時の見ている方を見て、新八は驚いた。

 

 

「!?……黒い、光」

 

 

樹海から、おどおどしい黒い光がさしている。

 

 

あれはなんだ

 

 

禍々しい。

 

 

「ニルヴァーナ。」

 

 

「知ってるんですか!?」

 

 

「……使ってはならない。古代魔法。」

 

 

その、魔法は

 

 

「どんな魔法なんですか?」

 

 

「……闇と光。それを入れかえる魔法。」

 

 

あれは、まだ封印を解いただけ。

まだ、魔法自体を使っているけではない。

 

 

「気を付けろよ。善と悪の狭間にいる奴ほど、入れかえられやすいんだ。」

 

 

おそらく

 

己も

 

 

「……もう、着いてくんな。」

 

 

「!?」

 

 

「なんでっ!?」

 

 

離れなくては、コイツらに危害を加えてしまう前に。

 

俺がまだ、俺を抑えられているうちに

 

 

「早く……行けっ!」

 

 

「銀さん……まさかっ!?」

 

 

新八はようやく気づいた。でも、行きたくない。離れたくない。離れてはいけない気がする。

この人を、一人にしてはいけない。

 

 

だが、立ち止まっていた新八の体は、後ろに勢いよく引っ張られた。

 

 

「うわっ!」

 

 

「行くネ新八ィ!ここに居たらいけないアル!」

 

 

神楽だ。神楽は、新八を連れて何処かへ走っていった。

 

 

「……」

 

 

銀時はそれを見て、笑みを浮かべる。

 

 

「大丈夫」

 

 

大丈夫だ。まだ、大丈夫

 

 

「俺は、まだ護れる。」

 

 

傷つけないですむ。

 

 

『本当に?』

 

 

「!」

 

 

聞こえてくる。また、あの声が。

 

 

『誰も護れなかったのに?』

 

 

…違う。違う、違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!

 

 

俺は、大切なものを護れてる。

まだ、失って…

 

 

『なに言ってるんだよ。』

 

 

違う、お、れは…

 

 

『私を助けられなかったくせに』

 

 

「せ……違っ、お、れ…や…も、た」

 

 

何を言っているのかわからない。言葉が出ない。

どうして。

 

 

赦さないでいいから。

 

 

赦されたいなんて思ってないから

 

 

お願いだから。

 

 

「うわァァァァァァァァァ!!」

 

 

頭を抱えた。苦しい。

生きた心地がしない。

 

 

己が生きているのかを疑ってしまう。

 

 

生きなければよかった。

 

 

アイツが死んだのは、幕府のせい?

天導衆のせい?

アイツらのせい?

誰のせい?

 

俺のせい?

 

 

わからねーよ。

 

 

もう、なにも

 

 

俺は人じゃないんだろうな

 

 

また、人を斬るだけ。死体にするだけ。肉の塊にするだけ。

 

 

なにも護れない。

 

 

そうだ。

 

 

護れていたと思い込んでいただけだ。

 

 

戻ればいい。

 

 

『そうだ』

 

 

ほら、もういいんだ。

 

 

『堕ちろ』

 

 

銀時は目を閉じた。

耳鳴りのように聞こえていたあの声は、今はもう聞こえていない。

 

 

聞こえてくるのはなにかの囁き。

 

 

そ……

 

 

 

 

心地よい。

 

 

己は元々、闇の存在だったのかもしれない、

 

 

なのに

 

 

なんでだろう。

 

 

 

昔に聴いた声が、頭から離れてくれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ」

 

 

「急ぐアル…」

 

 

子供たちは、走る。

 

あんなちゃらんぽらんでも、大切な家族なのだ。

 

 

「誰、か…銀ちゃんを助けて…」

 

 

走る。どこに向かっているのかもわからず。

 

 

ただ、一人の家族を救うためだけに。

 

 

「銀さんっ……」

 

 

護らせて

 

 

お願いだから。

 

 

 




アイツとか、色々出てます。
そろそろ気になる銀さんの魔法。
なぜ、彼はニルヴァーナを知っていたのでしょうか。
実は、けしてアイツから聞いていただけではないのです。
銀さんの魔法がわかるまで、楽しみにしていてください。
次の話では、不自然な【そ…】の部分を説明できたら…と思っています。
間違えではありません。わざとです。

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