妖精と白き夜叉   作:さとモン

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7話の最後の叫び声は、真選組の叫び声です。
神楽がやらかして、とんでもないことになりました。



8話 足元に気を付けないと取り返しのつかないことになるかもしれない

次の日のことである。

 

 

 

「銀ちゃん!新八ィィ!!」

 

 

神楽の指す木の幹を見ると

 

 

「違う違うアレ、金ピカピンのカブトムシアル」

 

 

金色に輝くカブトムシがいた

 

 

「あれは!」

 

 

エルザは何度も見直す。

間違いない。あれだ

 

 

「よっしゃぁぁぁ!あれを捕まえればいいんだな!行くぞハッピー!」

 

 

「アイサー!」

 

 

ナツとハッピーは金色のカブトムシを捕まえようと近寄る。

 

 

「待てッ!」

 

 

しかし、エルザに制止される。

 

 

「今は駄目だ。」

 

 

そう、今は万事屋がいる。

彼らにバレてはいけないのだ。

どうなるか分からない。

 

 

「えーでもォカッケ―アルヨ、キラキラしてて」

 

 

「駄目だって、自然界でも人間界でもあ―いういやしく派手に着飾ってる奴にロクな奴はいねーんだよ」

 

 

まぁ、確かにそうだが。

大抵の漫画では、調子ノッてる奴ほど雑魚い。

 

 

「頭が銀色の人に言われたくありませんよ」

 

 

「俺は違うよ、これは白髪だから、それに生活も素朴だろ」

 

 

ということは、これから彼の事を白髪野郎といっても、彼は怒ってはいけないということになるのだろうか?

彼からしてみれば、白髪というのは事実になってしまうのではないだろうか。

これは失言だったと思わないのだろうか。

 

 

「うおっ、汚ねっ!!お前、頭に金蠅乗ってんぞ!!」

 

 

「え?」

 

 

「うわっ!!」

 

 

神楽の頭の帽子の上に、金色のカブトムシが乗ったため、銀時と新八は慌てた。

金蠅ではないのだが。

 

 

「ちょちょちょ動くな、動くなよ!うおらァァァァァァ!!」

 

 

「もっと生き物を大事にしたらどうなんだ。アイツ」

 

 

グレイの言うことは当たり前なのだが、実は彼等三人は、定春という座高だけで170㎝もある犬を飼っていたりするわけで、決して彼らが生き物の命を大事にしない人だというわけではないのだ。

 

 

「待てェェェ!!待てェ待てェ!!」

 

 

どこからともなくゴリラの叫び声が聞こえてくる。

 

 

この森には野生のゴリラがいるのだろうか

 

 

「それはヤバイんだって!!それっ」

 

 

その時

 

 

悲劇は起こった―――!

 

 

近藤の体は傾き始めた。

 

 

もう、誰にも止めることはできない。

 

 

そう、近藤は躓いたのだ。

 

 

それがいけなかった。

 

 

近藤は、神楽の頭にしっかりチョップを決めてしまった。

 

 

躓いたというよりは、蜂蜜で滑ったという方がいいのかもしれない。

 

 

「ぇぇええ!!?」

 

 

「あの子大丈夫!?」

 

 

ルーシィは神楽の心配をする。

まぁ、普通なら心配するだろうが、銀時たちはそこまで心配してはいない。

どうせぴんぴんしているからである。

 

 

「ギャアアアア!るりら…瑠璃丸がァァァ!!」

 

 

瑠璃丸は地面に落とされた。

 

 

もちろん、瑠璃丸の事を知っている妖精の尻尾(フェアリーテイル)組は、唖然とする。

あれで瑠璃丸が死んでしまえば、全てがおじゃんになってしまうのだ。

 

 

「いったいなァー!!ひどいヨみんな!!金蠅だって生きてるアルヨ!!

かわいそーと思わないアルか!? あーよかったアル大丈夫みたい」

 

 

まぁ、たしかに金蠅も生きている。

それは金蠅ではないが。

 

 

「待てェェェ!!金蠅じゃないんだそれっ…それ実は…」

 

 

「この子私を慕って飛んできてくれたネ」

 

 

「おい、ちょっと聞いてる!?」

 

 

近藤が叫ぶが、神楽は聞こえていないかのように話し続ける。

 

 

「この子こそ定春28号の跡をつぐ者ネ。今こそ先代の仇を討つ時アル!いくぜ、定春29号!!」

 

 

神楽は瑠璃丸を虫かごの中へと入れ、すたすたと歩き、去っていこうとする。

 

 

「オイぃぃ!!待てェ、それは将軍の…」

 

 

その時、土方の隊服を掴み、引っ張る者がいた

 

 

 

「将軍の…何?」

 

 

銀時だ。

 

 

死んだ魚のような目ではなく、きりっとした目だ。

 

 

ニヤッと笑う銀時に、土方は咥えていた煙草を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

「はァァァァァ!?将軍のペットぉぉ!?」

 

 

新八が驚き、大声を上あげる。

 

 

「そうだよ」

 

 

「俺達は幕府の命により将軍様の愛玩ペット"瑠璃丸"を捕獲しに来たんだ」

 

 

「道理でおかしいと思いましたよ」

 

 

「オイオイたかだか虫の為にこんな所まで来たの?大変ですね~お役人様も」

 

 

「だから言いたくなかったんだ」

 

 

土方はイラつきを見せる。

まぁ、銀時の茶化すような言い方が悪いのだが。

 

 

「まァまァトシ、事ここまでにおよんだんだ。こいつらにも協力してもらおう」

 

 

「協力?今そのロリ丸は俺達一派の手の内にあるんだぜ」

 

 

ニヤッと銀時は笑う。

 

 

「瑠璃丸だ」

 

 

「こいつはとり引だ。ポリ丸を返して欲しいならそれ相応の頼み方ってのがあんだろ」

 

 

「瑠璃丸だ」

 

 

何度も名前を間違える銀時に、近藤も何度も訂正する。

 

 

「六割だ、そいつを捕まえた暁にはお前らも色々もらえんだろ?その内六割で手を打ってやる」

 

 

ニヤリと笑う。

 

 

「だから言いたくなかったんだ」

 

 

「俺もそう思う」

 

 

土方と近藤は、苦虫を噛んだような顔をした。

 

 

「よし決まりだ。新八、こいつァしばらく家賃の心配しなくてよさそ―だぜ」

 

 

「そうですね!」

 

 

二人は腹黒く、笑った。

 

 

「金に貪欲だな。」

 

 

グレイもまた、呆れながらにそう言った。

 

 

が、二人が笑っていられたのはそこまで。

 

 

森を抜けた先、崖の上に神楽と沖田が見えた。

 

 

「総悟!?」

 

 

「アレ?何やってんの?イヤな予感がするんですけど」

 

 

なにやら話しているのは分かるのだが、その内容は聞き取れない。

 

距離があるからである。

 

 

神楽が瑠璃丸を地面に置いたので、カブト相撲でもするつもりなのだろう。

 

 

「ちょっとォォォ!!カブト相撲やるつもりですよっ!」

 

 

「神楽ァきけェ!そいつは将軍のペットだ!傷付けたらエライことになるよ!」

 

 

「私たちのお金がぁ!」

 

 

上から新八、銀時、ルーシィの順に叫んだ。

 

まぁ、今回はルーシィだけおかしい。

 

 

「どーいうこと!?」

 

 

 

「トシィ!!」

 

 

「まァ待て、総悟も全て計算ずくで話に乗ってるんだろう、手荒なマネはしねーよ。そこまでバカな奴じゃねェ」

 

 

どうすればいい、と問う近藤に、土方は安心させる意味をもって言った。

 

 

「じゃあ、あれはなんだよ」

 

 

ナツが指差す

 

 

沖田の隣に、大きなカブトがいた。

 

 

その大きさは、沖田が上に乗っても、余るぐらい。

 

沖田の背丈よりも大きかった。

 

 

「凶悪肉食怪虫カブトーンキング、サド丸22号に勝てるかな?」

 

 

「おいィィィ!!ちょっと待てェェェェ!どっからそんな怪物拾ってきやがったァァァ!!

お…お前そんなもんで相撲とったら瑠璃丸がどうなると思ってんだァ!?」

 

 

慌てた土方は、説得を試みる。

 

 

「粉々にしてやるぜィ」

 

 

しかし、沖田は全くその行為を改めようとしなかった。

 

 

「そう!粉々になっちゃうから神楽ちゃん!定春29号粉々になっちゃうよ!」

 

 

「ケンカはガタイじゃねェ!度胸じゃー!!」

 

 

ヤル気満々の神楽もまた、説得には応じない。

 

 

「度胸があるのはお前だけだから!ボンボンなんだよロリ丸は!将軍に甘やかされて育てられたただのボンボンなの!」

 

 

「瑠璃丸だっ!」

 

 

エルザはあまりに名前を間違える銀時にツッコんだ。

 

 

「止めねば!早く二人を止めねば!」

 

 

「無理ィ!!こんな崖上がれませんよ!」

 

 

とうとう侍たちは慌て出した。

 

 

それは、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の者も同じだった。

 

 

「ナツ、グレイ!!私が上る!!」

 

 

「無理だよエルザ――!!」

 

 

皆、魔法を使うことを忘れていた。

 

 

「力を合わせるんだァ!!五人協力すれば越えられぬ壁などない!」

 

 

「よし、お前が土台になれ!俺が登ってなんとかする!!」

 

 

「ふざけるなお前がなれ!」

 

 

「言ってる場合じゃねーだろ!今為すべきことを考えやがれ!大人になれ!俺は絶対土台なんてイヤだ!」

 

 

「お前が大人になれェェ!」

 

 

「一人だけ上るんだからそんなケンカしてんじゃねーよ」

 

 

グレイがまた飽きれながらに言った。

 

 

彼等は馬鹿な侍なのでしょうがないのだが

 

 

「もういい俺がやる!早くお前らあがるんだ!!」

 

 

「あがれってオメ―!こんなヌルヌルの土台あがれるかァァ!!気持ちワリ―んだよ!」

 

 

近藤が自ら土台になると宣言したが、彼の体は蜂蜜まみれ。

そんな体では、上の者がその蜂蜜で滑り、崩れてしまう。

 

 

そんなことをしているうちに、崖の上では二人が今にも相撲をしようとしていた。

 

 

「いけェェェサド丸ぅぅ!!」

 

 

「!!」

 

 

「ああいかん!!」

 

 

それを見た彼等

 

 

その時、彼らの心が

 

 

一つになった―――――

 

 

「「「「おおおおおお」」」」

 

 

 

近藤、土方、新八の順で土台になりその上を銀時がかけ上がる。

 

 

 

「カーブ―トー狩りじゃああああ!!」

 

 

銀時は巨大なサド丸を蹴り、サド丸はその巨体を横に倒す。

 

 

「なにあの人‥‥」

 

 

ルーシィは呆然とその光景を見ていた。

 

 

魔法を使わずにあそこまで出来るのだろうか。

 

異国の騎士、侍―サムライ―はこんなにも強いのか。

 

 

何故、彼が故郷を離れ、このフィオーレに来たのかは分からないが、相当の理由があるのだろう。

 

 

「旦那ァ!何しやがんでェ俺のサド丸が!!」

 

 

「銀ちゃん、ひどいヨー!!真剣勝負の邪魔するなんて!」

 

 

子供二人が銀時に対して文句を言う。

しかし、その二人に銀時は拳骨を食らわせた。

 

 

「バッキャロォォォ!喧嘩ってもんはなァ!てめーら自身で土俵に上がって、てめーの拳でやるもんです!遊び半分で生き物の命、あそぶんじゃねーよ!殺すぞコノヤロー!!カブトだってミミズだってアメンボだって、みんなみんな………」

 

 

と、そこまで言ったところで銀時の足元からメキッという音がした。

不思議に思ったというか顔を青ざめながら銀時は足をどけ、見る。

 

 

そこには無惨にもつぶれてしまった黄金色のカブトムシがあった。

 

 

「なにしてんのあの人――――!!」

 

 

 

その後、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーは、マスターにこっぴどく怒られたらしい。

なにもしていないのに。

 

ちなみに真選組も、松平に切腹を迫られるほど怒られていた。

 

 

 

 




今回はあまり妖精の尻尾組は活躍できませんでしたが、それはあくまで作者の文才のなさが悪いのです。
どう話にいれればいいか分かりませんでした。

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