視界に広がるのは閃光。
聞こえるのは轟音。
「ぐ、ぐぅぅ……」
身体中が痛い。
指一本動かすだけで激痛が走る。
精々頑張っても、この激痛の元凶を見ようと顔を上に向けるくらいだ。
『直撃を確認。ダメージも負っているようです』
『……そうか。今までの経験だと手傷一つすら負わせることも出来ないと思っていたが……』
『天使のようなモノを展開しているようですが、あまり意味はないようですね』
ーーーやっぱりあいつらだ。
『…まだ制御が出来ていないのか、それとも動揺を誘っているのか……。結論は出ないが近接戦闘は避けた方が良さそうだ』
『しかし、先ほどの戦闘で弾薬は尽きてしまいましたが……』
ーーーあいつらが、俺を、
『レーザー兵器に切り替えろ。アレならば弾薬は気にしないで済む。射程は長いが有効範囲が狭いからこういう時にしか意味がないからな』
『了解。総員、武器をレーザーに切り替えろ!』
『『『ハッ!!!』』』
ーーー殺しに…。
『四方を囲み、飽和攻撃だ』
『了解』
ーーー視界にボヤけて映る人影が、俺の四方を囲んでいくのが見える。
俺はまだ、死にたくない。
こんなところで、無意味に、理由も分からず、死んでいくなんて。
ーーー許せない。
約束したんだ、精一杯生きて、幸せになるって。
約束したんだ、絶対に死なないって。
ーーだから、
『総員ーーー、撃てッ!!』
四方から紫色の閃光が、俺を貫こうと迫ってくる。
「……死ぬわけには、いかない…」
時間がゆっくりと流れる感覚。
自身に迫る紫の閃光が、あまりにも鈍く見える。
「…こんな、理不尽に…」
激痛の走る身体を無理やりにでも力を入れる。
そして、晴れた視界に映る人影を睨みつける。
「……平気で人を殺せる…、お前らみたいな奴にッッ!!!」
その瞬間、
ーーー大丈夫、私が守ってあげる。
懐かしい、彼女の声が、聞こえた。
◆◆◆◆◆◆
『ーー直撃を確認しました』
『…やったのか…?』
『爆煙で確認は出来ませんが、直撃はしました』
『そうか、ならば総員は爆煙が晴れるまで気を抜くな!』
視界には爆煙と粉塵が舞っている。
それらを機械を纏った彼女らは一瞬の隙を見せないように、睨みつける。
少しずつ爆煙が晴れて来る。
そして、それは起こった。
『ーーーッ!』
急に爆煙が吹き飛び、彼女らの半分が吹き飛んだ。
『距離を置いて、散開っ!』
号令と共に退避をしながら、散っていく彼女らを“何か”が襲い、吹き飛んでいく。
『クソッ!! 何が、どうなってーーー』
リーダー格の彼女が最後に見たのは、
『あ、アレは……』
クレーターの中心に立っている、
『まさにーーー、』
つい先ほどまでは両目とも輝くような紅色を宿したそれを、片目だけ
『ーーー天使』
三対の翼を携えた、天使だった。
少しずつですが、お気に入り登録が増えてきてすごく嬉しいです。